録画中継

第2回定例会
6月21日(金) 本会議(一般質問3日目)
市民連合
山下 隆夫 議員
1.住民自治によるまちづくりについて
2.新下関市立病院について
3.職員の人事評価制度について
【下関市議会 本会議確定版】

△一般質問
○副議長(安岡克昌君)
 休憩前に引き続き、会議を開きます。一般質問を継続いたします。
 16番、山下隆夫議員。(拍手)
  〔山下隆夫君登壇〕
○山下隆夫君
 市民連合の山下隆夫です。よろしくお願いいたします。まず初めに、住民自治によるまちづくりについてお伺いをいたします。令和2年度から令和6年度までの5年間を計画期間とする第2次下関市住民自治によるまちづくり推進計画は、本年度が最終年度となります。第2次計画期間内における取組を検証するとともに、次期計画への提言を含め、質問をしたいと思います。
 住民自治によるまちづくりとは、市民等が合意に基づき、地区における共通の課題の解決や地域活性化を目的として行う活動と、下関市住民自治によるまちづくりの推進に関する条例において定義をされています。同条例に基づき、現在17地区でまちづくり協議会が設立をされ、それぞれの地域における課題解決に取り組まれていますけれども、まず、まちづくり協議会の活動の現状と課題をお伺いいたします。
○市民部長(山田之彦君)
 それでは、まちづくり協議会の現状と課題についてお答えいたします。本市では、市民と行政が連携・協働しながら、課題解決や地域の活性化を推進するため、市内全17地区において、市民が自主的に活動するまちづくり協議会が設立され、住民が主体となったまちづくり活動が進められております。
 第2次住民自治によるまちづくり推進計画において、基本施策の3つの柱と、行政が取り組むべき10の推進項目を挙げて、地域の課題解決に向けた取組を進めているところでございます。
 しかし、地域間で活動に温度差も生じ、全ての推進項目において十分な取組が図られているとは言えない状況でございます。設立後、約9年が経過し、組織の担い手となる人材や後継者の不足、また、地域によっては急激な人口減少や高齢化が進むなど、状況や課題も日々変化していく中で、組織の体制や運営方法の見直しも含めて取り組んでいるところでございます。
○山下隆夫君
 第2次推進計画を策定したときの課題が抽出をされております。その中に、市民理解と市民参加が課題、それから事務局業務の負担軽減と効率化、安定的・継続的な財政支援、交付金の使途に関する適正化の検討というのが、第2次推進計画を策定するときの課題として掲げられております。これからそれに関連して、質問をしたいと思います。
 まず事務局業務の負担軽減についてであります。まちづくり協議会の運営会議におきまして、令和6年度の予算案を協議した際、運営委員の中から、事務局職員の賃金が安過ぎるのではという御意見が出されました。その際、他の協議会においても同様の課題として認識されているとお聞きをしました。事務局を担っていただいている職員の方からは、賃金もそうですけれども、賃金より事務処理や雇用条件等の問題がありますとの問題提起がありました。
 第2次推進計画におきまして、協議会組織を運営する上で、事務局の担う役割は非常に重要です。これについては、各種マニュアルの随時見直しにより、事務の効率化と適正化を図ります、また事務担当者のスキルアップを支援するため、分野別の研修等を実施しますと、事務局業務の負担軽減と合理化・効率化についての推進項目が掲げられていますけれども、事務局の負担軽減、事務の効率化は、これらによって十分図られているという御認識でしょうか、お伺いします。
○市民部長(山田之彦君)
 事務局の負担軽減、事務の効率化が図られているかという御質問に対してお答えいたします。まちづくり協議会の運営活動の原資として、まちづくり交付金がございます。この交付金という性質上、本市に提出していただく書類が、事業計画書、実績報告書など多数ございますが、会計事務や交付金事務に関する手引きを作成し、統一した事務処理の考え方をお示ししながら事務の効率化を図ってまいりました。
 また、各協議会の自主性を重視した効果的な交付金の運用を推進するため、交付金の使途の制限を緩和したこと、そしてその都度、市に協議する方法から、必要に応じて協議する方法に変更したことで、交付金の柔軟な活用が可能となり、事務の効率化にもつながっていると考えております。
○山下隆夫君
 今、御答弁いただいたように、提出書類等の簡素化・簡略化等によって、事務局の負担軽減、事務の効率化を図ってきているということでございましたけれども、全てのまちづくり協議会の現状を、私も把握しているわけではございませんけれども、条例に定めている報告様式では、事務作業が煩雑となり、勤務時間内では処理しきれず、やむなく自宅に持ち帰っている実態もあるそうであります。さらなる提出書類の簡素化・簡略化、これはできないものでしょうか、お伺いします。
○市民部長(山田之彦君)
 事務局業務のさらなる簡素化はできないかという御質問に対してお答えいたします。まちづくり協議会の活動が活発化することに伴い、事務局の業務が増加することも、事務局の負担要因の一つになっていると考えられます。
 第2次住民自治によるまちづくり推進計画の策定当初とは、状況も変わっていることから、改めて各協議会の事務担当者の意見もお聞きしながら、事務の効率化の手法を検討してまいります。
○山下隆夫君
 よろしくお願いいたします。次にまちづくり交付金の使途についてお伺いします。現在、事務局長、事務員に対する保険加入は、労災保険のみとなっています。雇用保険や社会保険に加入してもいいか、市に問合せたところ、他のまちづくり協議会と足並みをそろえてほしいと、暗に加入は御遠慮願いたい旨の回答があったそうでありますけれども、雇用保険や社会保険の加入、これを認めていない理由をお聞かせください。
○市民部長(山田之彦君)
 ちょっと過去のやり取りについては承知しておりませんが、協議会で雇用する事務員について、社会保険の加入を制限しているものではございません。加入するメリット・デメリットを勘案され、交付金の範囲内でそれぞれの協議会において雇用形態を検討していただきたいと考えております。
○山下隆夫君
 過去の経緯は承知をしていないけれども、雇用保険とか社会保険の加入については、制限をしているものではないという御答弁だったと思います。改めて各まちづくり協議会のほうに、この旨を周知していただきたいと思います。
 まちづくり協議会に主体的に参加されている方々の多くは、仕事をしながらボランティアとして活動されています。そういったことから、事業やイベントに取り組む際、どうしても事務局に頼らざるを得ない、こういった状況もあるわけであります。今、雇用保険・社会保険の加入制限をしていないということなので、事務局員に対する賃金アップをすることは可能、実態に合った勤務体系にすることは可能と思いますけれども、ただ、そうした場合、現状の交付金の範囲内で交付金を運用しなければいけませんので、活動事業を縮小しなければいけないということが起きます。新たに雇用保険や社会保険に加入をすると判断された協議会に対して、加算金を新たに創設していただきたいと思います。
 また、複数の中学校区を地区の範囲とするために生じる経費として、20万円が加算をされていますけれども、人口規模が大きければ、一つの事業を実施する際の規模も大きくなります。そういった意味では、この加算金も増額を検討していただきたいと思いますけれども、併せてお伺いいたします。
○市民部長(山田之彦君)
 昨年10月の大幅な最低賃金の引上げに伴い、まちづくり交付金交付要綱を改正し、協議会で雇用する事務員の賃金の上限額を6年ぶりに改定したところでございます。
 物価上昇や少子高齢化に伴う人材不足などを背景に、今後も、この数年を上回る引上げが予想される中、事務員の賃金を含む運営事業と活動事業の予算割合や、まちづくり交付金の算定方法の見直しが必要であると考えております。
 今後、第3次住民自治によるまちづくり推進計画の策定に向けて、まちづくり協議会とも協議しながら、交付金の在り方について検討していきます。
○山下隆夫君
 よろしくお願いいたします。しっかりそれぞれのまちづくり協議会と意見交換をしながら、適正な交付金にしていただきたいと思います。
 次に、市民理解と市民参加の促進についてお伺いをいたします。まず、市民理解についてでありますけれども、住民自治によるまちづくりは、市民と行政がともにその必要性や仕組みを正しく理解し、互いに協働しながら進めていく必要がありますと、計画の中で示されています。そして、市民への行政情報、地域情報の効果的な発信については、引き続き、市報やホームページによる適切な情報公開を行います、またSNS等、新たな情報発信手段を積極的に活用していきますと、行政情報・地域情報の効率的・効果的な発信が基本施策として、第2次推進計画で掲げられていますけれども、これらにより、住民自治によるまちづくりの必要性が、市民に十分伝わっているとお考えでしょうか。市としてどのような評価をされているのかお伺いいたします。
○市民部長(山田之彦君)
 市民理解について、どのように評価しているかということに対してお答えいたします。本市において、毎年実施している市民実感調査において、目標指標である7割近い方が、地域のまちづくりを推進することが重要であると感じている一方で、まちづくり協議会の取組について、進んできたと感じる割合は2割程度と、協議会の活動がいまだ浸透していないと考えられる現状から、協議会の活動を今まで以上にアピールしていくなど、さらなる広報活動が必要であると考えております。
○山下隆夫君
 今後の方向性については後ほどお伺いいたしますが、その前に市民参加の促進についてお伺いします。
 市民参加の促進につきましては、地域では自治会をはじめ、婦人会や子供会、学校、社会教育、環境保全、健康福祉、交通安全、産業・文化スポーツ、防災・犯罪といった多様な団体が、それぞれの立場から地域課題解決のための取組を進めてきました。地域のまちづくり計画の実現のためには、関連団体が目的を共有し、各地域の特性と得意分野を生かした活動を展開する必要があります。しかしながら、現在、地域の団体数の把握や各団体の活動状況など、その実態については、行政においても全てを把握していないのが実情です。
 地域団体の実態を把握し、情報提供とネットワーク化を行うことで、団体間の連携強化を推進しますと、各種団体との連携強化が第2次推進計画で示されていますけれども、市民参加の促進に対する現状認識をお伺いいたします。
○市民部長(山田之彦君)
 市民参加の促進に対する認識という御質問に対してお答えいたします。地域活動の担い手の高齢化や人材不足、人口減少が進む中、限られた人材に負担が集中しており、地域活動の後継者の育成や若い世代の参画促進が必要であると認識しております。
 そのような中、人材の発掘にもつながる取組事例として、プロジェクト制を推奨しており、一部のまちづくり協議会において、効率的な課題解決の手法として成果を上げております。
 これまでは、活動内容に応じた部会によって人員を組織する、いわゆる部会制が主流でした。一方、プロジェクト制は、地域課題の解決のため、部会の枠にとらわれず、広く地域住民や市民活動団体に参加を呼びかけ、個人や団体の持つスキルを生かして課題を解決する手法であり、組織に属することに抵抗を感じる人でも、気軽に地域活動へ参加できることから、参加者の裾野を広げていくことも可能になると考えております。
○山下隆夫君
 まず、様々な工夫をして、しっかり取り組まれているところもあれば、まだまだのところもあるのが実態だと思います。全般的に言えば、まだまだこの市民理解・市民参加という観点では大きく課題が残っていると思います。そういった意味では、市民の理解が、市内隅々まで行き渡っていないということも事実だろうと思います。設立から約9年が経過をし、各まちづくり協議会の世話人も世代交代の時期に来ています。そういった意味では、役員が交代をすることによって、その運営委員間で、理解度とか活動に対する温度差が出てきているのも事実でございます。そういった意味では、市民の理解と市民参加を、さらに促進をするために何らかの施策展開をしていかなければいけないと考えておりますけれども、今後の方向性はどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
○市民部長(山田之彦君)
 今後の方向性について回答いたします。現在、しものせき市民活動センターでは、市民活動を推進していくため、ボランティアに参加したい人と、ボランティアを必要とする団体を登録し、両者の交流を図り、活動の機会を創出し、両者をサポートする制度であるボランティアギルドの普及を図っております。
 今後、まちづくり協議会と市民活動センターとの連携を強化し、まちづくり協議会がこの制度を利用して、多様な人材を確保できるように支援していきたいと考えております。
 また、まちづくり協議会が市民協働参画の中で、より重要な役割を担えるように、市民の積極的な参加を促進してまいります。そして、第3次住民自治によるまちづくり推進計画の策定に当たっては、今年度予定している市民意識調査の結果も踏まえ、関係機関の御意見も参考にしながら、市民活動促進基本計画と一体的に策定し、市民と行政、市民と市民の協働による住民が主体となったまちづくりが行われるように取り組んでまいります。
○山下隆夫君
 今後、自治会への加入率の低下など、地域のつながりの希薄化が懸念されています。そういった意味では、住民自治によるまちづくりの推進の重要性は、ますます高まってくると思います。本来的にはそれぞれのまちづくり協議会が議論をし、活性化をどういうふうに図っていくかということを決めるのが本筋だと思いますけれども、持続可能なまちづくり協議会の運営が行えるように、やはり市としてもしっかりとバックアップをしていっていただきたいということを申しまして、この質問は終わります。
 次に、新下関市立病院についてお伺いいたします。高齢化のさらなる進展に伴い、本市では今後、救急搬送が増えていき、現状のままでは対応できなくなることが想定されることから、病院の再編・統合は避けて通れない課題ではあると思います。
 しかし、ただ再編・統合すればいいというものでもありません。全国で医師不足が深刻な社会問題となっています。また、看護師不足も深刻な状況です。そうした中で、地域医療の高度専門化に対応し、医師・看護師が集まってくれる病院にしなければならないわけであります。
 現在、新下関市立病院基本構想がまとめられ、その基本構想に基づき、今年度中に基本計画が策定される運びとなっています。基本計画策定スケジュールと、策定に当たっての基本的な考えをお伺いいたします。
○保健部長(八角 誠君)
 6月14日に開催されました文教厚生委員会において、パブリックコメントの結果を踏まえた、新下関市立病院に関する基本構想について御報告させていただいたところです。
 今後につきましては、この基本構想を踏まえ、新病院の診療科数、人員配置、診療部門などの医療機能や、病床数、概算整備事業費、経営収支の見通し等について基本的な方針を示す基本計画を策定することといたしております。
○山下隆夫君
 地域医療構想に基づく病院の再編・統合に当たっては、私は市民との情報の共有、これは不可欠な条件だと思っています。適宜、情報提供を行い、都度、意見集約を図っていくことを繰り返し行い、一部の医療関係者だけで議論し、決定をするということではなく、統合対象病院で働く職員や医療提供を受ける市民などが、基本計画策定過程に参加できることが重要だと思っていますけれども、いかがお考えでしょうか。
○保健部長(八角 誠君)
 基本計画の策定に当たりましては、下関市立市民病院と下関医療センターの2病院間の部門ごとのワーキンググループを設置し、職員の意見等を集約した上で、基本計画の骨子を策定することといたしております。
 またその後、基本計画骨子について住民説明会などを開催し、市民の御意見をお伺いした上で、計画の策定に取り組んでまいりたいと考えてございます。
○山下隆夫君
 繰り返しになりますけれども、病院の再編・統合において重要なことは、医療関係者のみならず、市民との情報共有だと私は思っています。一方的に情報を提供し、理解を求めるのではなく、疑問や懸念等について議論や意見交換ができる環境を整え、課題を整理していっていただきたいと思います。
 次に、病床数、病院機能等についてお伺いをいたします。基本構想において、新専門医制度の開始や医師の働き方に関する制度改正により、病院の勤務環境の整備、症例数の確保が、これまで以上に求められている。また、大学医局は病院への医師派遣の継続が難しくなっており、病院機能の集約が必要であると、医師に係る政策動向が示されています。
 病床数については、基本構想では、他の急性期病院に不要な悪影響が及ぶことのないように、他の2病院を上回らない程度の規模とするとされています。現在、統合対象病院の合計病床数は661床です。過剰に病床数を縮小すれば、大学医局からの派遣が難しくなることが危惧をされます。医療の高度、専門化に対応した急性期病院として、大学医局から選ばれるためには、500床規模の病院が望ましいと、第1次中間報告で示していますように、地域医療構想の原点に立ち返り、病床数を検討すべきではないでしょうか。お伺いします。
○保健部長(八角 誠君)
 下関医療圏公立・公的等4病院意見まとめにおいて、4病院は第1次中間報告を踏まえ、段階的な再編・統合を検討することとされております。各病院は、現在使用する施設の負債が残っている場合もある中、統合のために費用を負担して新病院を建設することが現実的に難しい状況にあるとされております。
 また、下関医療圏において、将来も持続可能な医療提供体制を確保するためには、各病院の建て替えのタイミングに合わせて、段階的に再編・統合を進めていく必要があり、まずは4病院体制から3病院体制への再編・統合に係る検討を早急に進めていく必要があること、その際には、各病院が良好な経営状況となるように、検討を進めることが必要であり、他の急性期病院に不要な悪影響が及ぶことのないよう、他の2病院を上回らない程度の規模とすることが示され、第2次中間報告についても、これを踏まえたものとなってございます。
 本市といたしましても、4病院意見を踏まえた第2次中間報告の考え方を尊重しつつ、市民が下関医療圏内で十分な急性期医療を享受できるために必要な病床数を確保することを大前提とした上で、引き続き検討してまいります。
○山下隆夫君
 医師の勤務先が都市に集中しているのは、提供できる医療の水準、研修機能等が充実をしているからであります。そうした傾向がある中で、地方の病院に勤務してもらうためには、病院機能の充実、これも重要な要素となると思います。
 この点につきまして、基本構想では、再編・統合に伴い、重複する診療科を整理することにより、症例数と安定した医師の確保が可能になり、将来的な医師の勤務に係る施策の変化に対応できる見込みですと整理をされています。
 専門的医術を身につけようとすれば、それなりの症例が必要となると思います。裏返せば、症例が少ないところには医師を派遣してもらえないということが想定されるわけであります。そういう意味では、受入れの器として、500床に限りなく近い病床を確保する必要があると思います。改めて見解をお伺いいたします。
○保健部長(八角 誠君)
 医師を含めた医療従事者の確保は、本市としても主要な課題と捉えてございます。下関医療圏は、他の同程度の医療圏と比較しても、急性期病院の数が多く、大学医局から4病院へ医師を派遣し続けることが難しくなってきており、再編・統合による病院機能の集約を行わなければ、医師の確保がますます困難となってくることが想定されます。
 このことから、基本構想にお示ししているとおり、4病院の再編・統合に伴い、重複する診療科を整理することにより、症例数を確保するとともに、医師等の医療従事者に選ばれる病院となるよう、施設・設備の整備を行うことで、安定した医師の確保を実現したいと考えてございます。
 また、病床数については、先ほど答弁いたしましたとおり、市民が下関医療圏内で十分な急性期医療を享受できるために必要な病床数を確保することを大前提とし、直近の医療需要の把握、それに基づく将来推計に基づき検討を進めていくこととしてございます。
○山下隆夫君
 病床数500床にこだわるのには、それなりの根拠があるからであります。統合対象病院の現在の病床数の合計は661床です。稼働率を70%、そして余裕率を少し設けなければいけないので、余裕率を10%設けたとします。661掛ける0.7、掛ける1.1、500床を超えるのですよね。だから、私は、現状において、2つの病院を統合した病床数は、やはり500床が適当ではないかと思っているわけであります。
 また病床数に加え、手厚い医師・看護師、医療スタッフの配置、高額な医療機器がないと、医師にとって魅力がない病院となっています。こういった点をしっかり踏まえて、改めて検討していただきたいと思います。
 次に、新病院の運営形態について伺います。モニターを御覧ください。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに提示〕
○山下隆夫君
 総務省の持続的な地域医療提供体制を確立するための、公立病院経営強化に関する検討会資料であります。これによりますと、公立853病院の運営方式は、公営企業法全部適用が382病院、公営企業法の一部適用が298病院、独立行政法人94病院、指定管理者制度79病院となっています。
 公営企業法の全部適用と一部適用病院で約80%を占めているわけでございますけれども、市民病院と下関医療センターの再編・統合にあたり、これらを運営形態の選択肢から除外した理由をお聞かせください。
○保健部長(八角 誠君)
 現在の2病院の運営形態としては、下関市立市民病院は地方独立行政法人であり、下関医療センターは国の独立行政法人である地域医療機能推進機構が母体となってございます。
 平成24年度より、市民病院の運営形態を地方公営企業法の一部適用から、現行の地方独立行政法人に変更した理由は、市民病院の経営改革を行う中で、地方独立行政法人のメリットである経営の責任の明確化、意思決定や事務手続の迅速化、人事・採用の裁量の向上などを生かし、経営の自由度の向上を図っていくためでございます。
 新病院においても、自由度の高い経営を行う必要があると考えてございますので、本市直営とすることを想定していないところでございます。
○山下隆夫君
 分かりました。基本構想で、経営形態として今お示しいただいたことから、地方独立行政法人と指定管理者制度が想定し得る選択肢とされ、令和6年中をめどに検討するということになっております。
 検討に当たりましては、経営の安定性ということも考えていかなければいけないと思います。経営の安定を推しはかる手法として、経常収支比率、自治体からの補助金を控除した修正医業収益比率がありますけれども、独立行政法人と指定管理者制度を比較した場合、一般的にどちらのほうが優れていると認識をされているのでしょうか、お伺いいたします。
○保健部長(八角 誠君)
 総務省の示した令和2年度の実績資料によりますと、経常収支比率は、地方独立行政法人のほうが指定管理者制度よりも若干高い比率となっており、修正医業収益比率は、ほぼ均衡している状況となっていると認識しております。
○山下隆夫君
 もう一点、市民病院と医療センターの統合は、医師をはじめとする医療従事者を安定的に確保するという目的もあるわけでありますけれども、医療従事者の確保、事務職員の専門性の向上といった人材確保の面において、地方独立行政法人と指定管理者制度では、どちらのほうが、一般的にメリットが多いとされていますか、お伺いいたします。
○保健部長(八角 誠君)
 6月14日の文教厚生委員会において、新下関市立病院に関する基本構想について御報告させていただき、その中で地方独立行政法人と指定管理者制度のメリット・デメリットについてもお示ししたところでございます。
 人材確保の観点からのメリットといたしましては、地方独立行政法人は、人事・採用の裁量の向上、指定管理者制度は、医師等の医療従事者の安定した確保を挙げてございます。
 これらのメリットは、直営からそれぞれの運営形態に移行したときのものであるため、2つの運営形態のメリットの大きさというのを比較するのは難しいと考えております。
○山下隆夫君
 モニターを御覧ください。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに提示〕
○山下隆夫君
 先ほど答弁の中にもありましたけれども、総務省が示している資料であります。これによりますと、経常収支比率、自治体からの補助金を控除した修正医業収益比率は、独立行政法人が最もよいと分析をしています。また、医療従事者の確保、事務職員の専門性の向上といった人材確保の面において、独立行政法人はメリットが多いとも書かれています。
 これらのデータを基に策定をされました公立病院経営強化ガイドラインの中では、地方独立行政法人への移行が推奨されているということを御存じとは思いますけれども、改めて御紹介をしておきます。
 統合病院の運営形態の決定に当たりましては、経常収支比率、修正医業収益比率のほかにも、経営責任、機動性、迅速性、医師をはじめとする医療スタッフの確保など、どちらの運営形態がいいのか、客観的なデータを基に判断をしていただきたいと思います。さらに、これらのデータを適宜市民に公表し、意見集約するなど、透明で合理的で多くの市民が納得する形で決定していただきたいと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
○保健部長(八角 誠君)
 新病院の運営形態につきましては、引き続き、関係者等との協議を進め、在り方を検討してまいります。具体的には、再編・統合による勤務労働条件の変化に伴う職員処遇の整理・分析などを行いながら、下関市立市民病院、下関医療センター、医療センターの本部組織のある地域医療機能推進機構及び下関市を含む関係者等との協議を行い、検討を進めてまいります。
 いずれの形態を取った場合においても、市立病院として必要な役割を果たすとともに、職員の雇用については希望に沿えるよう十分配慮してまいりたいと考えてございます。
○山下隆夫君
 よろしくお願いいたします。今、答弁の中で出ました職員の処遇についてでありますけれども、病院統合に当たり、在籍する職員の理解を得ながら検討を進め、雇用について職員の希望に沿えるよう十分に配慮しつつ検討を進めると、基本構想で示されていますけれども、具体的な内容が明らかになっていないため、医療現場では不安が渦巻いているそうであります。
 市民病院では、医師が増えたそうでありますけれども、看護師が確保できないため、医師増員のメリットを十分生かせない状況にあるとお聞きをしています。統合病院への採用のみならず、統合病院における処遇について早急に明らかにし、不安を解消していただきたいと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
○保健部長(八角 誠君)
 職員の処遇につきましては、重要な課題であると認識してございます。今後、運営形態が決まった後に、職員の処遇について協議を行うということになりますけれども、在籍する職員には、可能となった段階で速やかに情報提供を行い、理解が得られるよう丁寧に説明に努めるとともに、雇用に関しては、職員の希望に沿った配慮を行い、かつ市民の理解も得られるものとしてまいりたいと考えてございます。
○山下隆夫君
 御答弁の中にありましたけれども、経営形態が決まった後に職員の処遇について協議をすることになると、パブリックコメントの御意見に回答をされています。今の答弁もその旨の答弁でありましたけれども、再編・統合後の処遇がどうなるかという将来不安が、看護師を募集しても集まらない一つの要因となっているわけであります。早急に、その不安材料を取り除いていかなければいけないと思っています。
 統合病院への採用に当たっては、総合前のそれぞれの病院の勤続年数を通算することを前提として協議をするという姿勢を、まずは明らかにすべきだと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
○保健部長(八角 誠君)
 先ほど申しましたとおり、職員の処遇等について、両病院の状況の整理・分析などを行いつつ、今後検討してまいる事項でございますので、あらかじめお示しするというのは今の段階ではできないと考えてございます。
○山下隆夫君
 労働条件が保障されない場合は、職員が大量に退職をして医療サービスが提供できなくなるということも想定をされます。職員の処遇に関する対応を誤ると大変な事態になってくると思います。
 市民病院の労働組合が組合員を対象にアンケート調査を行っていますけれども、経営形態によっては大量退職となる可能性が、そのアンケート結果から見てとれます。地方独立行政法人、指定管理者制度のどちらの運営形態になろうとも、勤続年数の通算、統合前の労働条件を下回らないということは、早急に示すべきだと思います。
 病院は、地域住民の命を守る大事なインフラであります。安定的な医療サービスを提供することができ、市民の信頼を得ることができる運営形態は、地方独立行政法人なのか、指定管理者制度なのか、客観性・透明性を持って決定をしていただきたいということを改めて求めて、このテーマの質問を終わります。
 次に、職員の人事評価制度についてお伺いをいたします。1年前もこの件について質問をいたしました。その際、人事評価制度は、発揮した能力と上げた業績を評価し、本人にフィードバックすることで、能力開発や人材育成を促していくことを目的とし、その評価結果を任用、給与、分限、その他の人事管理の基礎として活用することで、公務能率及び組織力の向上を図り、住民サービス向上の土台をつくり上げる効果を持っている旨、部長は答弁をされました。
 人事評価の目的や効果を発揮するためには、公正・公平、客観性、透明性はもとより、職員が納得できる制度でなければなりません。職員の人事評価制度は、業績評価と能力評価により行われていると思いますけれども、それぞれ評価基準は明確になっているのでしょうか、お伺いいたします。
○総務部長(笹野修一君)
 人事評価の中の業績評価と能力評価の評価基準は、明確になっているかという御質問でございます。本市の人事評価のマニュアルでございます「下関市職員人事評価に関する取扱い」、今ちょっと私手元に持っておりますけれど、こういったものを定めておりまして、この中で業績評価・能力評価、それぞれの評価基準を詳細に掲載し、明確にしているところでございます。
○山下隆夫君
 今、答弁をいただいた評価基準をモニターのほうに示しています。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに提示〕
○山下隆夫君
 業績評価において、第1評価者から達成度が各項目「T3」――ほぼ目標どおり達成していると評価をされ、第2評価者の評価では5項目中、「T3」評価が4項目、「T4」評価――目標を大きく上回っているが1項目となっており、第2評価者の所見では、自己のスケジュール管理や取組内容など、目標どおり進めることが困難な場面が多くありますが、全ての業務について達成することができたことは評価できますとの所見がされている。また、能力評価におきましては、第2評価において、5項目中4項目が、職位に応じた仕事は過不足なくこなせるレベルである。さらなる伸びしろも認められる人材レベルの「B」評価、1項目が他の職員の模範であり、具体的な行動を学んだり模倣したりする対象となる人材レベルの「A」評価となっており、通常業務から専門的な分野まで幅広い業務内容ですが、年間を通じて責任を持って適切に対応できたことは評価しますと、第2評価者が所見で評価している職員の方が、最終評価では「C」評価とされ、勤勉手当が5%カットされたとお聞きをいたしました。どうしてこのような最終結果になったのか、お聞かせください。
○総務部長(笹野修一君)
 今、山下議員が御説明をしていただきました例示といいますか、その部分については、確かにその職員はしっかり頑張ったのだろうと思います。
 人事評価の結果というか、処遇への反映のところで言いますと、端的に申し上げれば、例示いただいた職員、つまり標準以上であった職員以上に、業務遂行上、より高度に能力を発揮し、実績を上げた職員がいたからということになります。
 人事評価は、業績評価と能力評価、それぞれ絶対評価で行います。勤勉手当の反映率は、この人事評価の結果を基礎として求めた点数を相対化して決定をいたします。業績評価につきましては、単に達成度だけではなく、期首において設定した難易度と業務のウエイトにより点数化をしております。能力評価につきましては、変数はございませんので、職務遂行上の行動を、今あちらにあります5段階で評価した結果をそのまま点数化しております。そのため、仮に業績評価・能力評価ともに標準の評価であったとしても、難易度やウエイトの違いにより点数が異なってまいりますので、結果として勤勉手当の反映率が、マイナスになったということが考えられます。
○山下隆夫君
 標準的な業務がこなせている、その中でも、よく頑張って取り組んでおられると評価を受けたのに、最終的に相対評価することによって5%カットされた職員は納得できるものではないですよね。私でも、そういう評価を受けたら、やはり納得できません。
 人事評価制度の目的は、行政サービス向上のための人材育成であるはずであります。職員間に競争や格差をもたらすことではないと思います。評価結果について、被評価者に対し、具体的に説明を行うことが重要と思います。しっかりと評価の理由や背景を伝えるとともに、次はどうすればいいかをフィードバックすることが重要です。
 総務省も評価結果を被評価者に示し、今後の業務遂行に当たっての指導・助言を実施することと、人事評価制度の導入に当たっての説明会でこのように述べています。評価結果がよくない職員に対するフィードバック、これは適切に行われていますか。お伺いいたします。
○総務部長(笹野修一君)
 本市におきましては、人事評価制度は人材育成のツールという位置づけもしておりまして、人事評価の目的であります、能力開発や人材育成を促していくためには、発揮した能力と上げた業績を適切に評価し、面談において被評価者に的確にフィードバックすることが重要と考えております。
 先ほど議員がおっしゃいました説明会、これに関しては本市におきましては研修という形でやっておりまして、そのため新任係長を対象に、面談のスキルの習得を目的とした研修を実施しております。令和5年度からは、各所属における評価者を対象に、評価者が果たすべき役割、難易度やウエイト設定の方法及び達成度の判断基準、面談の意味・目的と重要性を再確認するため、こういった研修を行っております。
 これらの研修を通じまして、引き続き、評価者のスキルアップを図るとともに、評価結果やそれに基づく助言などの的確なフィードバックの実施について、今後も周知徹底を図ってまいりたいと考えております。
○山下隆夫君
 制度を運用しているわけですから、今後、周知をするという答弁はちょっと納得できません。絶対評価で実施をされる業績評価・能力評価の評価シートでは、標準的であるとの評価を受けているにもかかわらず、最終評価で5%カットの「C」評価とされた職員の方は納得できず、何でそういう結果になったのか、どこを直せばいいのか等について説明を求めたそうでありますけれども、明確な説明をしてもらえなかったとお聞きをしました。明確な説明ができなかった理由をお伺いいたします。
○総務部長(笹野修一君)
 まずちょっと最初に、先ほどちょっと語尾が悪かったかもしれません。今後もと、今後も周知徹底を図ってまいりますということでございます。
 それから、今説明が、明確な回答がなかったという御質問でございます。こちらの職員課のほうにも御質問をいただいておりまして、職員課におきましては、人事評価の評価基準と勤勉手当の反映率、成績区分は別のものでありますよということを、この該当の職員のほうに説明をいたしましたが、納得してもらえなかったということであります。
 繰り返しにはなりますけれども、勤勉手当の成績区分、反映率が「C」となったことについては、先ほど来からございます例示いただいた職員以上に、つまり成績区分が「C」となった職員以上に、より高度に能力を発揮し、業績を上げた職員がいたからということになります。
 そのため、人事評価の評価結果は勤勉手当の反映率を決定する際の基礎となるものであることから、「標準」と評価された能力のさらなる延伸を図ることや、新たな課題にチャレンジしていくという姿勢が大事であると考えます。具体例を挙げるのであれば、能力評価においては、「B」となった項目、あるいは業績評価において、より難易度の高い目標にチャレンジすることや、「T3」であった達成度を、それ以上の評価につながるよう、高みを目指して取り組んでもらうということになると考えております。
○山下隆夫君
 説明を求めた職員の方は、そういった制度は理解した上で、どうすれば今度はちゃんとした評価をしていただけるのですかと質問したわけです。それに対して、制度の説明をしたって納得できるわけないじゃないですか。そして、直属の上司に聞いたけれども、明確な回答がなかった。直属の上司は標準的な業務をこなせている人材である、標準的な業務をこなしている人材であると評価をしたわけですから、直属の上司だって答えられないですよね。何をどうすればいいのか、説明してくれと言われても、自分たちはちゃんと、あなたはしっかり業務をこなしていますよと評価をしているわけですから、そこのところが問題だと思うのです。今、納得する説明が直属の上司の方ができないというのは、その直属の上司も、なぜそういう評価になったのかが分からないから、説明できないのではないですか。やはり制度に欠陥があると思います。
 今、本市の成績区分割合をモニターに表示をしていますけれども、相対評価を続ける限り、制度矛盾、これは絶対に解消されないと私は思います。人事評価制度の信頼性が確立できない限り、勤勉手当への反映は、私はストップするべきと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
○総務部長(笹野修一君)
 人事評価そのものは、先ほど冒頭におっしゃいましたとおり、人事管理の基礎とするというものでございます。その中で勤勉手当には処遇の反映ということで行っているわけですけれども、ちょっと総務省による用語解説から引用いたしますけれども、勤勉手当は民間における賞与に類似したものであり、一定期間における職員の勤務成績に対する報償的意図をもつ手当てとされております。こちらは議員も御承知のとおりと思います。そうした中で、限られた予算の枠組みの中で、職員の発揮した能力と上げた業績をより的確に処遇に反映するため、相対化を行っているものでありまして、矛盾はないと考えております。しかしながら、より的確に処遇に反映できるよう、引き続き、PDCAサイクルの中で制度の見直しは検討していきたいと考えております。
○山下隆夫君
 昨日の会計年度任用職員に関する片山議員への答弁でも、そうではありましたけれども、今の総務部長の答弁、市民サービスの最前線で頑張っている職員や会計年度任用職員に対するリスペクトが全く感じられない。機械的な、温かみを全く感じることができない答弁だと私は思っています。とても残念であります。
 勤勉手当への反映をやめることができないのであれば、この成績区分を廃止して、絶対評価の結果をそのまま勤勉手当に私は反映するべきだと思います。この成績区分割合を決めていることによって、無理やりこの割合に当てはめなければいけない。今は標準的な業務をこなしているけれども、この割合に当てはめようとしたら、下のランクのほうに持っていかなければいけないという、今回の事例でありますけれども、制度上、こういうことも考えられるのですよ。「C」「D」評価の区分で評価された職員が20%いたとします。13%ですから、7%は上に上げなければいけないのです。制度上、こういうこともあり得るわけですよ。それだけやはり制度矛盾があるので、当面は勤勉手当の反映、成績区分を廃止して、絶対評価結果をそのまま勤勉手当に反映する方向でシフト変更をしていただきたいということを申しまして、私の質問を終わります。(拍手)
○副議長(安岡克昌君)
 以上で、本日予定された一般質問は、終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
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