録画中継

第2回定例会
6月20日(木) 本会議(一般質問2日目)
日本共産党 下関市議団
片山 房一 議員
1.旧統一教会の公共施設使用について
2.下関市立大学の現状と課題
3.市の会計年度任用職員(非正規職員)の現状と課題
【下関市議会 本会議確定版】

○議長(香川昌則君)
 8番、片山房一議員。(拍手)
  〔片山房一君登壇〕
○片山房一君
 日本共産党下関市議団の片山房一です。今日は3項目の質問をします。最初の質問は、世界平和統一家庭連合、旧統一教会への公共施設貸出しの問題です。
今年4月6日、世界平和統一家庭連合、旧統一教会が初代教祖である文鮮明氏が日本に初めて下関から入国した1941年4月1日を記念する集会、日臨節83周年記念大会が生涯学習プラザ大ホールで行われました。国が解散命令請求をしている団体に市の施設を提供していることに大変驚きました。この件に関しては、昨日の竹村議員の一般質問、あるいは文教厚生委員会での教育委員会の報告がありました。
旧統一教会に市の施設を貸し出した理由を求めると、地方自治法第244条と生涯学習プラザの条例、いずれからも使用を拒む理由がないから貸し出したということでした。拒む理由がなかったのでしょうか。質問の中で明らかにしたいと思います。
まず過去5年間、旧統一教会関連団体に一体どれだけ下関市の施設を貸し出し、その活動の便宜を図ったのか、貸出しの実績をお答えください。
○教育部長(藤田信夫君)
 教育委員会関係でございます。日臨節記念大会につきましては、世界平和統一家庭連合下関家庭協会からの申請で、令和3年、4年、5年、6年に使用実績があり、その4年間の利用人数では総数で1,939人と承知をしております。また現在把握している範囲ではございますが、その他の使用許可は2件あり、132人が利用している状況でございます。
○片山房一君
 今年の日臨節83周年記念大会に生涯学習プラザ大ホールを貸し出した経緯を質問します。今年は生涯学習プラザを管理している団体、指定管理者から教育委員会に相談があった上で貸出しをしていたようですけれども、前年度までは指定管理者の判断で貸出しをしていたのですか。
○教育部長(藤田信夫君)
 令和5年の施設使用につきましても、指定管理者から市への相談がございました。その上で、指定管理者が使用許可を決定したものでございます。
○片山房一君
 指定管理者からの相談があったのか、なぜそういう相談があったのか、理由をお答えいただきたいと思います。今回、前回もそうなのでしょうけれども、慎重に対応すべきではないかという認識が指定管理者にあった。だから相談があったと思いますけれども、指定管理者からの相談があった理由をお答えください。
○教育部長(藤田信夫君)
 指定管理者としては、法令等に照らしまして、使用許可ができると考える一方で、当該宗教団体に係る社会的な関心が高まっていることから、市に確認のため連絡を行ったものでございます。
○片山房一君
 教育委員会が担当している施設ですから、教育委員会での協議が行われたと考えますけれども、教育委員会以外の部局との協議も行われて、貸し出すことが決められたのでしょうか。協議の関係部局を教えてください。
○教育部長(藤田信夫君)
 このたびの施設の使用許可に当たりましては、指定管理者である下関市文化振興財団から、生涯学習プラザを所管する教育委員会に相談がございました。これに対しまして、教育委員会のほうで法令等に照らして、公の施設を利用することを拒む理由がない旨を伝え、下関市文化振興財団が許可の決定をいたしましたもので、この件に関しまして、時点で、関係部局との協議は行っておりません。
○片山房一君
 教育委員会が判断したということで、最終的に誰の責任で貸し出すことが適当との判断をしたのかというと、教育委員会ということでよろしいですか。
○教育部長(藤田信夫君)
 答弁の繰り返しになりますが、使用許可の決定につきましては、下関市教育委員会の責任において、指定管理者である下関市文化振興財団が決定したものでございます。
○片山房一君
 その後の記者発表の場で記者の質問などに教育長が答えられたり、委員会たしか経済委員会だと思いますけれども、経済委員会でも市長の見解が述べられたりしていました。教育委員会だけで決め、そして指定管理者が実行した。でも実際は何か庁内で共有されているような気がするのですけれども、一切他の部局との協議はなかったということですか。
○教育部長(藤田信夫君)
 今回の使用許可につきましては、手続的には法令等に基づいて対応したものでございますが、当然、これは教育委員会、指定管理者ではなく、市長または市の判断を問われる場面がこれはあるだろうということで、教育委員会のほうで市長に今回の使用許可に当たる考え方の整理や他市の動向を説明して御理解をいただいているところでございます。その際には、各部局のほうにも情報提供はしているというところでございます。
○片山房一君
 では、庁内で情報としては共有していると。貸し出すことに差し支えないということは共有していると理解します。貸し出した理由として、地方自治法第244条の「正当な理由がない限り、住民が公の施設を利用することを拒んではならない」これを根拠に貸し出す判断をしたとおっしゃっています。全く理解ができない判断です。なぜ正当な理由がないと判断をしたのでしょうか。
国が解散命令請求を出した理由は、長期間にわたり、献金獲得や物品販売等に伴い、多数の人に対して財産的損害を与えただけではなく、家族を含めて重大な悪影響を与え、甚大な被害を及ぼした団体だからです。直ちに解散が命じられるべきだと判断したからです。
お聞きしますが、これらは正当な理由にはならないのですか。市が考える正当な理由、例えばどういう例が挙げられるのですか。こういう団体に貸し出せて、正当な理由ではないという判断、もう一度分かりやすくお願いします。
○教育部長(藤田信夫君)
 使用許可の理由につきましては、法令等に照らして、公の施設を利用することを拒む正当な理由がない、このことで使用を許可することとしたものでございます。
地方自治法第244条第2項の規定でございます、正当な理由につきましては、憲法第21条の集会の自由との比較判断に係る最高裁判例におきまして、一部引用いたしますと「明らかな差し迫った危険の発生が具体的に予見されること」さらに「その事態の発生が許可権者の主観により予測されるだけではなく、客観的事実に照らして具体的に明らかに予測される場合でなければならない」と例示をされております。当該使用に関しまして、この正当な理由には該当しないということで使用を許可したものでございます。
○片山房一君
 私もその判例などは読ませていただきました。しかし、今、下関市内で実際に被害に遭っている人がいたりする。そういう団体が使用したいと言っている。これをやはり断る理由、正当な理由があるのではないですか。そう思います。
仮に、毎年貸し出していたので、深く検討せず貸し出しました。再度検討し直しますということであれば、それなりに理解はできますけれども、どのような検討をして貸し出すことにしたのか。もう一度聞いても同じ返答しかないと思いますので、このことは省略いたします。
福岡市では、市長をはじめ関係部局の市政運営会議で、市の施設で集会等が行われると、その施設において新たな被害が発生するおそれがある。市民からも不安の声が聞こえており、このまま漫然と施設利用を許可し続けることはできないと判断し、当面貸し出さないことを市のホームページでも公表しています。水戸市では、水戸市長のコメントとして「今後とも水戸市は旧統一教会及び関連団体への関与はいたしません。市民の不安を解消するため、国の見解が示されるまでの間、市の公の施設の貸出しも行わないこととすることを、既に指示しております」ということを市のホームページで公表しています。
福岡市や水戸市などの貸し出さない、この判断、当然御存じだと思いますけれども、それをどう受け止めていらっしゃいますか。
○教育部長(藤田信夫君)
 他の自治体の判断につきましては、本市として言及することは控えさせていただきますが、他市の動向については注視をしてまいりたいと考えております。
○片山房一君
 他市の動向は注視するけれども、それを取り入れることはしない。そういう姿勢だということが分かりました。
下関市は、国の見解が示されるまでの間、貸出しをする。福岡・水戸両市は、国の見解が示されるまでの間、貸出しをしない。この違いはどう判断したらいいのでしょうか。施設貸出しを続けることで、新たな被害が発生した場合、どう責任を取るのですか、お答えください。
○教育部長(藤田信夫君)
 先ほどの答弁の繰り返しになりますが、他市の判断についての言及は控えさせていただきますが、本市においては、法令等に基づき使用許可を行ったものでございます。
また、新たな被害が発生するという仮定の質問にはお答えはできませんが、公の施設の使用に関しましては、国の動向や他市の裁判の結果を踏まえて、法令等に基づき適切に対応してまいりたいと考えております。
○片山房一君
 先ほどの貸出しした根拠として地方自治法を引用していましたが、市の施設にはそれぞれ設置運営に関しての決まり、条例があります。生涯学習プラザは、下関市生涯学習プラザの設置等に関する条例です。その第7条に「許可の制限」これがあります。1項めに「公の秩序を乱し、または善良な風俗を害するおそれがあるとき」という項目があります。公序良俗に反するおそれがあるときは許可しないとの条項です。
公序良俗に反する一般的な具体例としてよく挙げられるものに、人の無知、軽率や窮状、困ったことにつけ込んで不当な利益を得る契約などということがあります。旧統一教会の活動はまさにその典型です。貸し出す判断をしたということは、旧統一教会の活動が正しい宗教活動をしていたと教育委員会が判断しているからですか。
○教育部長(藤田信夫君)
 条例の規定につきましては、地方自治法第244条に規定する正当な理由を具体化したものであると考えておりますので、判例等も踏まえて、法を超える対応はできないものであると考えております。
○片山房一君
 旧統一教会の活動が、公序良俗に反するという判断はしていないのですかという質問についてお答えください。正当な宗教活動をしている団体だと認識しているのですか。
○教育部長(藤田信夫君)
 そこの判断につきましては言及するのは控えさせていただきますが、先ほどの使用許可に関しましては、判例に基づきまして、あくまでその集会に対する内容に関するものでございますので、先ほど申し上げました判例等でも示されておりますように、団体の性格そのものを理由にしてはならないとなっております。
議員御指摘の団体、社会的に問題があるであろうと思われる団体というのは、令和4年9月の本議会においても答弁しておりますので、その認識について変更はございません。
○片山房一君
 今最後におっしゃったような認識をしながら、貸し出すことは問題がない。とても私には理解できない結論ではあります。
別の角度から市長に質問します。2022年令和4年第3回定例市議会、この場の一般質問で、私は前田市長に世界平和統一家庭連合、旧統一教会の会合に出席していたことに関して、その会との今後の関係をどのようにするつもりか質問しました。市長は「会合には出ない。今後出席しない」と「今後関係を持たないということはイコールだと思っています」と答えられました。会合に出席したときは、過去のいろいろなことを改めて世の中に出てきた団体だと思っていたが、安倍元首相の事件があり、改めて反社会的な活動をしている団体と認識して、今後関係を持たない判断をしたと私は想像します。このときの市長の認識、判断は正しいものだと私も思います。
それなのに、この団体に施設を貸し出すというのは、あの時の市長の認識がその後変わったのですか。安倍元首相の悲劇を生んだ原因を有する反社会的な団体であるという市長の認識は変わっていないと思うのですが、どうですか。国も時間をかけて調査し、解散命令請求を出した。施設貸出しで新たな被害を生む可能性もある。それなのに、市長は貸出しを是とする、その結論を共有している。これはどうしてなのでしょうか。市長お答えください。
  〔笹野総務部長挙手〕
○片山房一君
 今、笹野総務部長が答えようとしておりますが、私は市長自身の心情や判断の理由を聞いています。部長は市長のそういう個人的な心情、それが分かるのですか。市長にぜひ答えていただきたいと思います。
○総務部長(笹野修一君)
 今、御質問いただきました市長の発言についてということでございます。令和4年第3回の定例会での発言ということで御説明もいただきました。私のほうは、使用許可のことについてお伝えをしようと思います。
大前提といたしまして、使用許可を代表とする行政処分、こちらについては、法令、条例等に従って行われるべきものでございます。先ほどからの教育部長の答弁のとおりでございます。
こういった公の施設などの公共施設の使用許可は、個別の設置条例等の規定により、時には判例も踏まえつつ、恣意的にならないよう可否を決定しております。このため、市長の発言と今回の使用許可等に関連性はございません。矛盾は生じていないと考えております。
なお、市が使用許可を行うことにより、当該団体と特段の関係性があるというものではないと考えております。
○片山房一君
 今の答弁ですと、貸すことは、法令などに基づいて差し支えないということにしたということで、では、水戸市とか福岡市、これは法令に違反しているような市政を行っていると聞こえるのですが、他市のことは言わないとおっしゃりながらも、今の発言だと、他市は問題がある結論を出していると聞こえますが、いかがですか。
○総務部長(笹野修一君)
 教育部長の答弁と全く同じ内容になりますけれども、他市の判断、こちらについての現況もそれぞれの自治体で判断されたものと理解しております。本市においては、先ほどの繰り返しでありますが、法令等に基づき使用許可を行ったということでございます。
○片山房一君
 市長、私は市長に対して質問しております。市長はそういう認識である団体にもかかわらず、市としてその団体に施設を貸し出す。そのことについて市長自身はどう考えていらっしゃるのですか。是としているのですか。
○総務部長(笹野修一君)
 貸し出す内容については、あくまでも利用の目的に照らしてということであろうと思います。ですから、先ほどから繰り返しておりますとおり、地方自治法であったり、設置条例こういったものに照らして適切に判断しているということで理解しております。
○片山房一君
 どうしても市長は答えない。腕組みをしてそのままの姿勢です。
前田市長は、福岡市の高島市長と気心の通じた仲だと聞いております。高島市長は、市民に不利益が及ばないように頑張っています。ぜひこの問題でもタッグを組んで、市民のために奮闘することをお願いいたします。
この問題に関して最後の質問です。来年も世界平和統一家庭連合、旧統一教会の式典、日臨節記念大会が開かれることが予想されます。来年の貸出しについても、今の答弁の姿勢だと再検討する姿勢が見えません。貸出しの申請があれば、来年も貸出しをするのですか。貸出しの判断の基準は、教育委員会や下関市が教団の側に立つ判断をするのか。市民の側に立つ判断をするのか。その二つの判断だと思います。申請があれば、来年も貸し出すのか、明確にお答えください。
○教育部長(藤田信夫君)
 行政が市民のために業務、事務、これを行っていくのは当然のことではございます。ただ、議員御質問の施設の使用許可・不許可に関しましては、これは集会の自由に関わることでもございますので、厳格な基準をもって臨むべきであると考えております。
そういった意味からすると、判断に当たっては、やはり法令等に基づき、適切に判断すべきでありますので、どちら側の立場に立つという性質のものではないと考えております。そういった意味から、当該団体から同様の使用申請があった場合におきましても、法令等に基づいて適切に対応すべきものであると考えております。
○片山房一君
 最後まで市民の安心・安全を守る姿勢、責任を持った答弁がありませんでした。公共施設は広く市民に開かれるものであることは当然です。利用を不当に制限することはあってはならないことです。しかし、公共施設で開かれる催しは、市民に安心感を持って受け止められる側面があるのも確かです。被害の訴えが多く寄せられている団体の活動に、会場を提供することは、行政がその活動を後押しすることになってしまう可能性があります。名義後援も同様です。これ以上の被害者を生まないためにも、市のこの団体に対する姿勢が疑われないためにも、旧統一教会関連団体に対して、市の施設を当面貸し出さない方向で再検討するよう改めて要望し、この件についての質問を終わります。
さて次の質問、下関市立大学の現状と課題です。5月下旬、NHKで「ザ・ライフ検証大学改革 光と影 最高学府で何が」という番組が放送されました。市長はじめ関係部局の皆さん、そして多くの議員の皆さんも視聴されたと思います。下関市立大学の改革を検証し、光と影という表現で表したものです。私が今まで市議会で質問を繰り返してきたことと重なることが多く、興味深く視聴しました。
大学を辞めた教員のアンケートなどで新たに明らかになった事実もありました。5年間で62人いた教員のうち39人が辞めていた。半数を超える教員が大学を辞めた原因を今までの私の質問に対しては、「自己都合などそれぞれの理由があり把握していない」という答弁でした。教員の半数以上が大学を去っている重大な問題です。今も原因を調査していないのですか。もし、この庁舎のある部局でこうした事態が起こったら調査するはずです。なぜ調査をするのか。それはあってはならないことが起きたからです。教員の半数以上が大学を去った異常事態を調査しないというのは、このことを大したことではないという認識なのですか。調査をしているのであれば、調査結果をお答えください。
○総務部長(笹野修一君)
 今おっしゃった番組については私も視聴をいたしました。あわせて、今御質問のあった件で、大学に確認をいたしましたところ、個々の退職の理由については承知をしておりませんということでございました。なお、現在は公募により必要となる教員を確保しており、充足している状況にあると聞いております。
○片山房一君
 きちんと調査をしない。その理由としては、不都合な現実が明らかになることを想定して、原因を調査しない。そういう対応だったのではないかと私は思います。
NHKの報道では、多くの教員が市立大学を辞めた原因は、大学の運営の在り方にあるとしていました。大学を辞めた全教員にアンケート調査をNHKではしたそうです。まず「大学の変化が退職に影響があったか」の質問に対して、定年退職者を除く方の回答は「大いにある」が74%、「少しある」が17%、「ない」は9%と退職者の9割が退職の原因が大学の変化を挙げています。
次に「改革による教育研究への影響があったか」の質問に対しては「大いにある」が71%、「少しある」が7%、「あまりない」が14%、「ない」が4%、「無回答」が4%で、改革という名前の教員の同意なき改変が教育研究に大きな影響をもたらしたことが分かります。
また「教員への不適切な処分や圧力があったか」の質問に対しては「あった」が86%、「無回答」が11%、「分からない」が3%です。
これらのアンケート結果から、教員の異常な大量流出は、大学改革という名前の教員の合意なき独断的組織改編、物言う教員への圧力が大きい原因だったと考えられます。この結果を下関市としてはどう受け止めていますか。
○総務部長(笹野修一君)
 市としての公式な見解は控えますけれども、テレビ番組を見た視聴者によって様々な捉え方があるだろうと思います。市立大学のほうにもこの点を確認いたしましたけれども、同様な意見でございました。
○片山房一君
 結果をきちんと受け止めない、そういう姿勢であることが分かります。
次に、学生の学ぶ条件の悪化です。私は、多くの先生が去っていく中で、学生の学ぶ条件は悪化しているのではないかと何度も指摘しました。しかし、そのたびに「様々な手だてを取っているので、学ぶ条件の悪化はない」と答弁を受けてきました。
しかし、番組で紹介された卒業生はこう語っていました。「履修登録をするときに、先生の名前と授業で検索をかけて調べていったら、ないというのが何回かあったので、それでおかしいなと、結構大学にも問合せはしてみましたけれど、先生がいませんというのがどんどん増えていったので、取りたい授業が次々なくなり、ゼミの数も2割減ったという。学びたいことが学べない大学、先生がいなくなって授業もなくなって卒業ですとなったので、置いてきぼり感もすごいですね」
この学生の声をもってしても、学生の学ぶ条件の悪化はなかったとする見解ですか。
○総務部長(笹野修一君)
 大学に確認をいたしました。今大学では、教育改善に活用するということを目的に、毎年度の卒業予定者に対して、アンケートを実施しております。
この経年変化をちょっと見ていきますと、大学によりますと、このアンケートの結果では、学生の教育の満足度、教育への満足度は、2019年3月――平成31年3月の卒業生が53.4%ということで過半数を超えておりますけれども、2024年3月、今年の令和6年3月の卒業生が83.6%ということで改善をしておりますことから、学ぶ条件や環境がより良くなっている、大幅に改善していると考えておりますということでございました。市といたしましても、大学における改革の成果が現れていると認識をしております。
○片山房一君
 卒業間近の学生に4年間の学生生活を振り返ってもらって、否定的な答えが出るとは思いません。「良い大学でした」こう答えるのが普通だと思います。これをもって、学生の学ぶ条件の悪化はなかったとする学生の学びに対する無責任な姿勢を改めるべきです。教員が減っている。開講予定の授業がなくなっていた。ゼミの数が減っていた。これらの事実があります。都合のよい情報の切り取りで答えないでください。大学設置者としての責任を持った答弁をお願いします。
続きまして、総合大学化に伴う大学の財政計画と下関市の負担について質問します。
全国的に、私立の大学を公立大学化している例がたくさん見られます。県内でも2016年――平成28年、山陽小野田市立山口東京理科大学、2022年――令和4年に周南公立大学と公立大学化が進められています。いずれも新しい学部を次々に開設しています。少子化で大学経営の将来性が懸念される中、下関市の総合大学化が将来にわたって学生を確保できるとする根拠はどこにあるのでしょうか。
この6月定例市議会にも看護学部棟建設事業費が19億7,000万円から21億1,500万円の増額補正が出されています。新学部設置に関する有識者会議でも、初期経費だけでなく、安定的な運営のため、市からの運営交付金として、収入の不足分を確保する必要が語られていました。
総合大学化に伴う大学の財政計画と下関市の負担、これを短期的と長期的に分けて質問します。まずは短期的な計画です。
二つの新学部設置で施設の新設、教員採用はしても、学生は新入生しかいない状態。収入は、授業料や交付金は在学している学生の人数分しかない状態が続きます。この間の短期的な大学の財政計画と下関市の負担を示してください。
○財政部長(塚本滉己君)
 まず下関市立大学に係る本市の財政負担といたしましては、今御説明があったとおり、運営経費と授業料等の収支差額を運営費交付金という形で交付しております。
御質問の新学部設置に伴い、学生数が充足しない間につきましても、収支差額分を運営費交付金として交付することを予定しており、特に学生数が充足しない間に生じる増加額につきましては、財源にボートレース未来基金等の活用を予定しているところです。
なお、毎年度作成しております中期財政見通しにつきましても、学生数が充足しない間の運営費交付金の増額を反映しており、財政計画上も想定しているところでございます。
○片山房一君
 市としては、運営費交付金を予定しているので大丈夫だという答弁でした。
では、中長期的な財政計画と下関市の負担、これについて質問します。
今年のデータサイエンス学部の応募者数が多かったことを根拠に、総合大学化がすばらしいスタートを切ったと言われています。しかし、データサイエンス学部の推薦入試が定員割れであり、応募者は全員合格だった。中後期日程の入試の応募者は多かったけれど、現実的には追加合格の措置を取ったという事実もあります。
中長期的な財政計画と少子化の中で、将来にわたって学生を確保できる見通しと根拠をお聞きします。
○総務部長(笹野修一君)
 まず、先の総務委員会で御説明しましたデータサイエンス学部の入試状況、経済学部のほうもそうなのですけれども、そうした中で推薦入試のほうのことを今おっしゃいましたけれども、これは当然基準に照らして、採用に合格に足るという学生を合格としたわけでございまして、決してその定員割れがどうとかいうような話ではございません。
それから、後段の質問のほうでございますけれども、中長期的に考えた場合、少子化の中で定員割れの可能性もあるかどうかという御質問です。確かに少子高齢化の進展によりまして、大学への進学者、こちらが減少しており、地方の大学におきましては、存続自体が危ぶまれるという状況が懸念されております。
将来にわたり大学が存続するためにも、大学の魅力向上を図り、経営の安定化を図る必要があるということは下関市立大学においても例外ではございません。そのため、市と下関市立大学におきましては、総合大学化を図ることで、魅力向上には有効な方策と考えて、議員御承知のとおり、令和6年4月にデータサイエンス学部を開設し、来年令和7年4月には看護学部(仮称)でございますが、こちらを開設できるよう現在準備を進めているところであります。
総合大学となった後も、選ばれ続ける大学となるよう、引き続き、市と下関市立大学が協力をしていきたいと考えております。
○片山房一君
 大学改革という名の下に、一部の人のトップダウンで大学の仕組みが改悪されております。その過程で、市立大学の経済学部長、理事であった飯塚先生の理事解任事件がありました。大学改革の名の下に民主的な大学が脅かされている意見を表明したためです。
この6月13日、広島高等裁判所で理事解任無効訴訟が和解となりました。2023年7月の山口地裁下関支部判決、理事解任無効、未払報酬55万円余の支払い、これにとどまらず、広島高裁和解は約5万円を上積みした合計60万円の解決金支払いを下関市立大学法人に義務づけました。事実上、理事解任無効が法的に確定しました。
今後、理事解任を容認した設置者としての下関市の責任、大学による地方独立行政法人法に基づく理事解任は誤りであり、無効であることの公表。誤った理事解任を押し進めた関係者の責任が問われなければなりません。そのことなしには、長期的に見て、少子化の中で選ばれる大学どころか、大学の存続が危ぶまれる大学になる可能性があります。大学の自治を取り戻す改革をすることが、市立大学にとって緊急の課題だという意見を述べまして、次の質問に移ります。
次は、会計年度任用職員の現状と課題です。今、市役所や様々な施設などで市役所の職員として働く人の約4割、2,000人が非正規の会計年度任用職員です。市民サービスを担う重要な働き手です。しかし、その勤務条件は正規職員との格差があり過ぎです。昨年度の報酬改定は、この市議会全員一致で、正規職員の給与改定が4月に遡って改定したのと同様に、何らかの対応を取るよう附帯決議をしたにもかかわらず、非正規職員である会計年度任用職員は、1月からの報酬改定にとどまりました。議会軽視であり、許されない対応であったことをまず指摘しておきます。
さて、今年度以降の会計年度任用職員の報酬改定について質問します。報酬額改定は人勧に沿った正規職員の給与改定に準じたものになるのか、確認をさせてください。
○総務部長(笹野修一君)
 今御質問のございました、今後の報酬額の改定、こちらが人勧に沿ったものになるのかという御質問でございます。今、令和6年度以降、今年度以降の給与改定時につきましては、常勤職員に準じた適切な措置ということで、遡及対応ができるように、現在準備を進めております。関係課との協議であったり、あるいはシステムのほうの改修、システムの話だけしてはいけませんけれども、システムのベンダーのほうとも協議をしている途中でございます。
具体的にはまだちょっとお示しできるような状態ではありませんが、一般的にシステムの改修・開発というのは、使用要件定義から始まりまして、実際にプログラムの改造、それから単体テスト、結合テストといった流れを組みますので、こういった流れでできるように進めていきたいと考えております。
○片山房一君
 今年は準備をしているし、そうなるであろうという答弁だったと思います。
私たち日本共産党下関市議団は、報酬の問題だけではなく、会計年度任用職員の働き方についてアンケート調査や聞き取り調査を今年1月から2月に実施しました。
約2,000人の会計年度任用職員のうち、約300人に調査票を配布し、49人の方から回答をいただきました。その結果は、既に担当の職員課にも渡しています。
このアンケート調査で明らかになった課題と対応策について、5点に絞って質問します。まず1点目です。非正規職員である会計年度任用職員は、様々な職種に及び、勤務日数も勤務時間もばらばらです。勤務状況の実態はどのように把握していますか、お答えください。
○総務部長(笹野修一君)
 会計年度任用職員の勤務状況の実態ということでございます。まず任用の手続、こちらは各課所室で行っております。任用に当たっては、当然勤務条件こういったものを整理した上で、予算査定を踏まえて実際に募集をしますので、任用はそれを受けて、任用の手続は各課所で行っているところであります。
そうしたことから、勤務実態につきましても各任用課所で把握していると承知をしております。
一方で、各課所室から職員課に相談があれば、その都度必要な対応を取っていくとしております。
○片山房一君
 2点目です。問題が起こったときに相談をする仕組みです。アンケートでは、困っていることがびっしり書き込まれているものがたくさんありました。しかし、相談する仕組みが不明確です。アンケートの問いとして「相談や問合せをしたことがありますか」の質問に対して、約25%の人が「問題を感じたが、どこにも相談しなかった」との回答です。上司のパワハラなどは職場では相談できない。毎年の任期更新の仕組みで、相談することによって、不利益を受けるのではないかと考えてしまう働き方です。職場での困り事はどこに相談することになっていますか。お答えください。
○総務部長(笹野修一君)
 職場での問題、困り事についてどこに相談するかということですが、まずは所属長に相談していただきたいと思いますけれども、今おっしゃいましたとおり、職場では相談しづらいということであれば、職員課が相談窓口として相談を受け付けております。また、任命権者を異とした執行機関といたしまして、公平委員会がございます。こちらでも相談の受付が可能でございます。なおこれらの相談窓口につきましては、引き続き、周知に努めたいと考えております。
○片山房一君
 周知に努めるということですけれども、実態としては、そのことが知られていません。本当にきちんと雇われている人に周知を徹底していただきたいと思います。
3点目です。下関市の場合、会計年度任用職員の制度として、フルタイムとパートタイムがありながら、全職員をパートタイム雇用しています。私は今まで、職種によってはフルタイムの導入が必要ではないかと質問しましたが、フルタイムで働く人が必要な場合は、正規の職員の採用で対応するとの回答を受けてまいりました。
しかし、正規職員の定員削減の中で、現実は正規職員削減を補うために、会計年度任用職員を雇用しているのが実態です。この実態を前提にした3年ごとの勤務先変更の是正、パートタイムでだけではなく、フルタイム勤務の導入を図る必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○総務部長(笹野修一君)
 3年ごとの勤務先変更の是正それからフルタイム勤務の導入という大きく2点でございます。まず、3年ごとの勤務先変更についてでございますが、同一の課で引き続き任用できる条件を原則として3会計年度としておりますのは、地方公務員の任用における平等取扱いの原則、あるいは再度任用における成績主義、こういったものを踏まえ、幅広く公平に人材を確保するための取扱いであり、国の非常勤職員、期間業務職員に準じた取扱いとなっております。
ただし、特定の専門分野におきまして、人材の確保が難しい、公募しても人が集まらないといったような場合には、3年ごとの勤務先変更が適しないという等の事由が認められるような場合、こういったときには例外的に3会計年度を越えて任用できるものとしております。ここの部分については、それぞれの任用課所室と職員課のほうで協議をしっかりやっております。
次に、フルタイム制度の導入についてでございます。こちらは今、片山議員がおっしゃったとおり、職務の内容、責任度合いから、フルタイム勤務で行う職員が必要となる場合には、常勤職員あるいは任期付職員、こういった職種の職員を採用するということをしておりますので、現行、フルタイム会計年度任用職員を任用するということは考えておりません。
○片山房一君
 4点目です。先ほども、そういう職場があるということをおっしゃっていましたが、資格や経験が正当に評価されていない、こういうことがあります。専門的な資格を持った条件で勤務し、3年を超えて勤務をしている人もたくさんいます。しかし、原則として3年以上勤務では昇給がない。給料が上がりません。3年間は昇給しても、その後は頭打ちです。改善の必要があるとは思いませんか。
○総務部長(笹野修一君)
 会計年度任用職員の給与水準の決定ということでの御質問と理解いたします。こちらの給与水準の決定に当たりましては、職務の内容や責任、職務遂行上必要となる知識、技術及び職務経験の要素を考慮して定めております。保健師、看護師、保育士などの専門職につきましては、事務補助の職種よりも高い水準となっております。
次に、経験年数による給料報酬額の上限を原則3年としていることについてでございますけれども、会計年度任用職員は非常勤の職であり、任期が1会計年度内に限られるということ。任期の定めのない常勤職員と、その職務内容や責任程度は当然異なるものと考えております。総務省からも、給与水準に一定の上限を設けることは適当である旨が示されておりますので、現時点におきましては、上限を変更するということは考えておりません。
○片山房一君
改善の必要はないという冷たい答弁。2,000人の会計年度任用職員、今総務部長がそうおっしゃっている。自分たちのことをそう見ているということを感じています。このことだけでも改善する方向をどうか考えるというような答弁ができないのかと私は思います。
5点目です。先ほどの問題とも共通しますが、同じ仕事をしているのに、大きい給与格差があることです。僅かな勤務時間の差をつけて、正規職員は給与、非正規職員である会計年度任用職員は報酬と言われていることに象徴されるように、大きい給与格差があります。この事実は認めますか。
○総務部長(笹野修一君)
 会計年度任用職員、こちらにつきましては、正規職員との当然業務のすみ分けを行いながら、各種の施策、市民サービスを進めていくために必要な職として任用し、配置をしているところでございます。
今給料と報酬の話をされましたけれども、こちらは地方公務員法の規定あるいは地方自治法の規定に従って定義をしているところでございまして、条例にその旨を定めております。
また給与面につきましては、総務省の示す給与水準の考え方に準じておりますので、会計年度任用職員の職務と類似する職務に従事する常勤職員の属する職務の級の初号級、こちらの給料月額を基礎としまして、職務の内容や責任、職務遂行上必要となる知識、技術及び職務経験等の要素を考慮しまして、報酬の水準を決定しているところであります。
○片山房一君
 ほかにもまだ質問する項目を用意していたのですけれども、時間がありません。今お答えになったようなこと、アンケートの中でこのような書き込みがありました。「正規職員との責任の重さが違うと言われますが、私たちだってミスをすれば責任は取れますし、クレーマーの対応だって、私たちがずっと対応し、がなられています」これが働いている人の現実です。
制度導入から一定の年数がたちました。課題を整理して、改善の方向を考えていく、その方向で考えていく、このことが必要だと思います。
ここ何十年も、公務員に対するバッシングがなされ、非正規化が進み、人員削減による財政改革が世の中の主流になってきました。この結果、私たちの生活は本当に豊かで便利になったのでしょうか。人員削減により浮いたお金は、市の一部地域のための観光施設や一部業種の補助などに使われ、多くの人が住み、多様な下関を構成する、下関の広範な地域は、その恩恵にあずかることもなく衰退し、格差は広がるばかりです。
このたび、東京都知事選挙に立候補を表明した蓮舫氏がこう述べていました。「人件費を削って行革を行ったと胸を張るような考え方はそろそろ終わりにしたいと思います。少子化、労働力が減っていく中で、特に専門性の高い職員の継続雇用は、安心した安定の住民サービスにつながります。官民ともに、若い人たちの働く環境を改善します。不安定な立場で働く人たちの不安を取り除けば、それは安心感につながります。生活の安定につながります。それは消費につながります。そしてそれは経済の好循環につながります」私はその意見に大いに賛成します。
全国に先駆けて、下関市が公務員の正規雇用拡大を実施すれば、また非正規の会計年度任用職員と正規職員の格差解消をすれば、それだけで、全国から若い人を集めることができます。
自然環境に恵まれ、農林水産業、観光において多くの人を受け入れる可能性、能力のある下関市です。今ともに歩み出すことを期待し、私の一般質問を終わります。(拍手)
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