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第3回定例会 9月20日(水) 本会議(一般質問2日目)
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内容
会議録
第3回定例会
9月20日(水) 本会議(一般質問2日目)
日本共産党 下関市議団
片山 房一 議員
1.「パートナーシップ制度」(LGBTQなど性的少数者のカップルを公的に認める制度)の導入について
2.「長府苑」の購入について
3.市立大学の運営に関して設置者としての下関市の責務について
【下関市議会 本会議確定版】
○議長(香川昌則君)
8番、片山房一議員。(拍手)
〔片山房一君登壇〕
○片山房一君
日本共産党市議団の片山房一です。今日は、三つの項目について質問いたします。よろしくお願いします。
LGBTQなど性的少数者のカップルを公的に認める制度、パートナーシップ制度を下関市でも早期に導入すべきとの立場で質問をします。
LGBTQとは、性的少数者の総称でレズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、クィアなどの人々を指します。
LGBTQに該当する方は、社会的な偏見や差別にさらされることが多く、生活や就労などで様々な困難に直面しています。世界的なLGBTQに対する動きについては、近年、理解が進んでおり、多くの国や企業でLGBTへの取組が行われています。
また、同性婚などの法整備や学校教育も盛んになっています。我が国においてもLGBT理解増進法が、内容が不十分との指摘を受けながらも、6月23日から施行されました。
まず、パートナーシップ制度の全国的な動向を質問いたします。
○市民部長(渡部英樹君)
現在、多くの自治体で、この制度の導入が進んでいることは承知しているところでございます。
全国的な導入状況についてでございますが、東京都渋谷区が認定特定非営利活動法人と共同で行いました全国パートナーシップ制度共同調査によりますと、令和5年6月28日時点で、県・市・町を含めた導入自治体は328団体ございまして、人口カバー率で言いますと70.9%となっております。
○片山房一君
それでは、山口県や県内の各自治体についての動向はどうなっていますでしょうか、御紹介ください。
○市民部長(渡部英樹君)
まず、山口県の状況でございますが、本年7月に庁内ワーキンググループを立ち上げまして、性の多様性の理解促進に向けた新たな取組を検討しているところで、その中の取組の一つとして、パートナーシップ宣誓制度を取り上げており、制度の導入について検討中と聞いております。
また、県内自治体の導入状況につきましては、宇部市が令和3年9月に導入済みでございます。山口市は令和6年4月の導入を目指しており、11月にパブリックコメントを実施する予定とのことでございます。
なお、その他の県内市町の多くは、現在のところ当該制度の導入予定はないと聞いております。
○片山房一君
では、ここ下関市での取組の状況はどうなっているか、お願いします。
○市民部長(渡部英樹君)
パートナーシップ宣誓制度の導入につきましては、まず、市民の理解が必要だと考えております。性の多様性への理解を深めるための講座の開催ですとか、リーフレットの配布を実施してきているところでございます。
また、先行自治体への視察等を行うとともに、本市の人権施策推進審議会及び男女共同参画協議会におきまして、当該制度の状況を報告したところでございます。
引き続き、国や県の動向を注視し、他の自治体の情報収集に努め、本市に求められる制度をしっかりと研究してまいりたいと考えております。
○片山房一君
この問題では、9年前のこの議場で、今は県議会議員になっている当時の酒本市議が質問したことを鮮明に覚えています。全国的にも取組がほとんどなかったときの質問でした。
質問に対して、そのような相談は市には1件もない、そういう取りつく島もない答弁だったことを記憶しています。しかし、その後、平成28年7月から相談窓口が市のホームページに開設され、以来相談が寄せられるようになったと聞いております。
現在は、先ほどの答弁では、講座の開催、パンフレットの配布などの意識啓発に取り組みつつ、審議会などで、そういう状況を報告しているとの答弁でした。
しかし、まだまだ、全く不十分です。昨日、この議場で、市長はデジタル化が日本、下関市で驚くほど遅れていると発言されました。下関市は、この分野でも驚くほど遅れていることを自覚していただきたいと思います。他の自治体に遅れを取っているとはいえ、山口県内唯一の中核市である下関市でのパートナーシップ制度の導入の取組が始まれば、周辺自治体にも影響が及ぶと思います。検討にとどまらず、早期の実現を求めて、次の質問に移ります。
長府苑の購入についてです。今議会に、三菱重工業株式会社から3億1,310万円で購入の議案が出されています。私は、まだ不鮮明な部分が多い購入案だと思っています。購入目的、今後の経費負担、市の従来計画と相反することなどを質問します。
まず、購入目的です。3月定例市議会での予算説明は、4億円の予算にもかかわらず、1枚の資料もなく口頭説明だけでした。その主なものは、町並み・景観保全でした。その後、文書で示された長府苑の都市公園化についてでは、文化的価値を有する可能性のある貴重な財産をできる限り現状のまま保存し、あわせて、広く市民に開放するための都市公園化が言われています。
そして、今回の9月定例市議会では、新たに国際友好や地域発展に貢献した財界人、田中隆氏を顕彰する場の創出が目的に加わっています。
相変わらず、購入後、どう活用するのか不明瞭です。購入目的を改めて伺います。
○都市整備部長(清水 悟君)
長府苑(旧田中隆邸)の取得目的といたしましては、「城下町長府の歴史・文化と調和した緑・街並みの保全」、併せて、利用形態を想定して、「国際友好や地域発展に貢献した財界人を顕彰する場の創出」、また、「都市公園や観光施設としての活用」を挙げております。
このたび、議案として上程するに当たり、いま一度、なぜ、この取得目的を挙げているかということについて御説明いたします。まず「長府の歴史・文化と調和した緑・街並み」についてですが、長府地区は、古くは長門国府や守護所の所在地、長門二宮、現在の忌宮神社の門前町として発展し、その後、長府藩の城下町として栄え、今に至る千年以上の歴史を持つ地区でございます。
今でも城下町の町割りや道筋がそのまま残されており、武家屋敷の土塀も門、寺院などと緑が一体となった、趣ある歴史的な町並み景観が形成されております。
市内の様々な地域で、例えば、勝山御殿跡や豊浦の青龍伝説などもそうですが、地域の方はその地の歴史をとても大切にされていて、それをベースとして、まちづくりが行われていることは御存じのとおりでございます。
長府地区も同様で、平成の初期、住宅開発の急速な増加により、町並みが崩れることに危機感を抱いた地域住民の思いから、市もこれに応え、平成7年に地域住民と市の間に、まちづくり協定が締結されました。
これによりまして、建物の意匠や色などについてルールを定め、市の助成事業なども活用しながら、建物等の修景が進められました。
また、平成8年の用途地域見直しの際には、地域住民からの景観配慮の声もあり、低層住宅の良好な景観を保護する第2種低層住居専用地域に指定し、10メートル以下の建築物の高さ規制を、地元が受け入れたという経緯もございます。
このように、長府地区は歴史景観に対しての意識が大変高く、長い年月をかけて景観の形成保全に取り組み、どうにか今の町並みが保たれてきた地区でございます。
長府苑は、その一角、長府藩の身分の高い家臣の屋敷が並んでいた古くからの通りに面しており、周辺には長府庭園や下関市立美術館のほか、低層の住宅が建ち並ぶ閑静な地域に、約1万6,600平米という広大な敷地を有しております。
入り口には、一対の御影石で作られた大手門があり、左右には堀と城郭風の石垣、また、樹齢100年に達する樹木が周りを囲んでおります。あわせて、著名な建築家により計画された西洋館跡など、明治・大正の日本近代化の時代に隆盛を極めた田中隆氏の存在と、その面影を残す長府の町が一体となって、歴史が感じられる場所です。
この長府苑が、昨年末に民間売却される動きとなりました。現所有者の三菱重工業株式会社が、当初、長府苑を宅地として売却する意向であったことは把握しており、市では売却された場合、宅地として開発される可能性が高いと想定しました。
過去に、同じ長府にあった貝島邸跡が宅地として開発されたことについて、長府の町並みが守れなかったと、今でも悔やまれる声をお聞きすることがあります。長府苑は前面の市道との高低差が7メートルもあり、宅地分譲するには敷地内の道路も造成しなければなりません。したがって、民間売却された場合、現在の町並みに沿って、緑地を残したまま開発することは難しく、現状をとどめず、緑地は失われます。
また、長府苑は約1万6,600平米と規模も大きく、失われた場合、歴史的な町並み景観への影響は甚大です。
総務委員会の視察の際に御覧のとおり、園内の大きな杉の木、ヤマザクラの木など、時の流れを感じられたと思います。
長府苑は単なる緑地ではなく、この景観は田中隆氏の残したものと、長い年月によって形成されたものであり、ほかには代えられない長府の歴史の一部と考えております。
通常、予期しない突然の売却に公共が対応するのは、予算措置もなく非常に難しいものです。しかし、このたびは、長府苑を長府にとって失ってはならない、本市の重要な財産と考え、長府の歴史・文化と調和した緑・町並みを保全することを目的として取得を目指し、厳しい御意見をいただきながらも進めてまいりました。
また、長府苑を残し、ひいては緑・町並みを保全しつつ、市民や観光客の皆様に開放して楽しんでいただく、その手段として、この緑地を都市公園に移行することが最もふさわしいと考えました。
目的の3番目に挙げた、都市公園や観光施設として活用することについても、これまでの議会や総務委員会の場で御説明してきたとおりでございます。
最後に、国際友好や地域発展に貢献した財界人を顕彰する場の創出についてです。長府苑の歴史や景観は、田中隆氏の存在と密接に関係しているものですので、当初から、長府苑において田中隆氏にスポットライトを当てることを考えておりました。7月の総務委員会で提出した資料にもあるとおりでございますが、ただ、分からない点も多くあり、調査を進めたところ、地域への貢献のみならず日中の国際友好につながる功績も分かりました。
また、何より、田中隆氏がおよそ100年前に現在の場所に築造し、現在まであり続けた長府苑は、歴史の深さを物語っており、田中隆氏の顕彰の場としては最もふさわしい場所と考えられ、議案提出に当たり、取得目的としてお示ししたところです。
このような理由で、議案上程に当たり、三つの取得目的を挙げさせていただきました。
○片山房一君
実に丁寧な説明ありがとうございました。何かちょっと、私の予定時間が狂ってしまいましたけれど、次の質問をします。
今後の経費負担の質問です。都市公園として整備するとして、整備の経費は幾らかかると想定しているのでしょうか。
最近示された資料では、日本家屋・西洋館跡の補修、園路・屋外トイレ・駐車場の設置等を想定した場合、数億円規模(現時点では未定)となっています。
3億1,310万円で土地を買う、その先、何億円の投資になるか不明では、あまりにも無計画ではないでしょうか。取得金額と合計すると、10億円を超える可能性もあるのでしょうか。
また、その後の維持管理費でも隣接する長府庭園が年間約3,000万円という金額しか示されていません。目的が不明確だから、今後の経費負担が明らかにできないと考えます。目的や今後の経費負担を含む計画を、広く市民に情報提供し理解を得ることが、土地購入の前に必要なことだと思います。
今後の経費負担について明らかにしてください。
○都市整備部長(清水 悟君)
長府苑の取得価格につきましては、不動産鑑定士2者から鑑定評価を徴取し、このうち低いほうの価格である3億1,310万円をもって、取得価格としております。
その後、交渉を経て、市が示す価格で合意に至り、併せて、老朽化が激しい倉庫や納屋などについても三菱重工業株式会社にて解体撤去されております。
取得目的として、緑・町並みの保存を挙げているとおり、取得後の整備の方向性としては、現状をできるだけ生かしたいと考えております。大きく改造することなどはございません。取得し、維持することで保全する目的は達成されます。
現時点で、整備費用として想定しているのは、屋外トイレ、園路、駐車場、入り口の受付などの整備に加え、日本家屋、西洋館跡の補修費用でございます。これらは、取得した敷地の建物を市民や観光客に開放し、楽しんでいただくための公園・観光施設として最低限必要と想定されるメニューです。
仮に、これらを整備すると、少なくとも1億円は上回るのではという見立てから、総務委員会では幅を持たせて、数億円規模と御説明させていただきました。
必要な整備費は、今後検討する計画の内容や、利活用の仕方によって変動いたします。長府苑を取得した後は、調査や計画検討を進められるようになり、計画の内容によっては、国費補助や民間活力導入の可能性もあり、市の負担が軽減できる可能性もございます。
取得に際し、整備費用について何も示さないのはいかがなものかという御意見もいただきましたので、現時点で、議会に御説明できる整備費用の規模感としてお示しいたしました。
また、維持管理費につきましては、三菱重工業株式会社運営下において、年間1,000万円から2,000万円と聞いております。敷地面積が長府苑の2倍ほどある、お隣の長府庭園の維持管理費は年間約3,000万円となっており、長府苑の維持管理費の規模感としては、これら程度を想定しております。
今後、長府苑の整備や利活用について検討するに当たっては、周辺一帯エリアのさらなる魅力向上を目指し、観光客の周遊・滞在の促進や、市民利活用につなげてまいりたいと考えております。
整備費用につきましても、国費補助や民間活力導入の可能性も含め、引き続き検討し、まとまり次第、議会にお諮りしながら進めてまいります。
○片山房一君
市の今までの、従来の計画との整合性について伺います。今まで、議会でも質問をしてまいりました。新たに提出された資料に、下関市の緑の基本計画からの引用で、新たに都市公園を整備することが、従来からの計画にあるかのように説明されていました。
赤色のアンダーラインを引いて紹介した部分にはこう書かれています。歴史・文化の拠点で、長府は、城下町の歴史を活かした歴史的まちづくりが進められている場所であり、歴史・文化の拠点として、歴史・文化と調和した緑の保全・創出、良好な観光資源としての一層の発展に取り組みます、確かにこの部分にはそう書いてあります。しかし、この部分は緑の基本計画の第3章の計画の基本方針です。
それをより具体化した、第4章基本計画では「長府や唐戸地区など歴史的まちなみの保全並びに、まちなみに調和した緑化の形成に努めます。土塀(長府)、レンガ(唐戸)など、歴史を感じる素材を用い、あるいはそれらを活かす樹木や花の植栽により、歴史を感じるデザインによる公共施設等の整備を図ります」と書かれ、さらに、地域ごとにより具体化した計画―――第5章地域別方針、これは下関市を7区分して、地域別の方針、それぞれ地域別の施策を記載したものですけれど、長府地区を含む地域の施策では「施設緑地の数が最も多い地域ですが、その一方で既存の公園・街路樹の維持管理など質の向上を望む意見が多く、緑の新規整備から質の向上の方針転換を進めます」としています。
つまり、今回、3億1,310万円で三菱重工業株式会社から長府苑を購入しようとする長府地区は、新規整備をせず、今ある施設の質の向上をするとしているのが従来の市の計画です。
改めて、市の従来計画との整合性を伺います。
○都市整備部長(清水 悟君)
緑の基本計画の、その根幹の方針の部分ですが、計画を樹木に例えますと、計画の幹となる第3章計画の基本方針、枝となる第4章基本計画、そして葉となる第5章地域別方針で構成されております。
御存じのとおり、長府は本市のまちづくりにおいて、特別特色のある地域で、まちづくりの最上位計画にある都市計画マスタープランにおいても、歴史の拠点として位置づけております。
この緑の基本計画においても、先ほどの三つの章いずれにも、長府という地区名を特出しし、他の地域とは個別に長府での方針を定めております。なお、計画の幹となる第3章計画の基本方針における都市公園面積などの目標水準からも計画上、今後、公園を整備しないということではございません。
今回、長府苑は下関市緑の基本計画に基づき、都市公園法上の特殊公園として位置づける予定としております。
緑の基本計画では、基本方針の一つとして緑の保全があり、長府は、城下町の歴史を活かした歴史的まちづくりが進められている場所であり、歴史・文化の拠点として、歴史・文化と調和した緑の保全・創出、良好な観光資源としての一層の発展に取り組みます、としております。また市街地内や周辺には、緑豊かな住宅地や歴史資産と一体となった緑など、身近な緑が存在しています。これらの保全に取り組みますとしております。
続いて、緑の基本方針に基づく施策として、歴史資産を活用した公園・緑地の整備、緑と一体となった歴史的まちなみの保全・形成を示しており、長府など歴史的まちなみの保全、並びにまちなみに調和した緑化の形成に努めますとしております。
さらに、具体の地域別方針では、長府地区の歴史的まちなみに調和した緑化に取り組みます、長府など市街地を中心に、民有地の緑化を促進しますとしております。
このたびは、既に地域の中に緑として存在している長府苑を市が取得し、公園化するもので、長府苑の保全は、これらの緑の基本計画に示している内容に沿ったものでございます。
なお、議員御案内の第5章地域別方針ですが、その(3)地域の施策において、本市を7地域に分けて、第3章計画の基本方針で定めている緑の質の向上・改善、緑の保全、身近な緑、緑を支える四つの方針別に、様々な具体施策を列挙しております。
また、計画書上では、(3)地域の施策のタイトルのすぐ下に、具体的な施策を統括した内容を四角で囲い、トピックス的に表示しております。
御指摘は、この四角で囲った中の記述に対してでございます。ここでは、市街地中心地域について「施設緑地の数が最も多い地域ですが、その一方で既存の公園・街路樹の維持管理などの質の向上を望む意見が多く、緑の新規整備からの質の向上の方針転換を進めます」と記載しております。ここでいう緑の新規整備というのは、先ほど御説明した四つの方針別の具体的施策として、その後に記載のある未供用の長期未整備公園の整備を示したものでございます。
この長期未整備公園とは、過去30年以上前に都市計画決定を行い、地権者の権利を制限し続けているものです。その公園が必要だという計画決定を過去にしている以上、事業着手を目指してきたところですが、時間がたち、当時とは社会情勢が変化している部分も考慮して、方針転換をして、計画廃止を含めた見直しを進めていこうとしております。
一方、既に整備した公園については、その後に記載のある具体的施策において、既存の公園について、施策の充実、利便性の向上とあるとおり、市民のニーズや利用形態に合わせてリニューアルする。また、民間活力を導入するなど、公園としての価値を高め、質を向上させていくことに、今後しっかり目を向けていきたいと考えております。
これらを合わせて、緑の新規整備からの質の向上の方針転換と表現し、(3)地域の施策の様々な具体施策を統括した内容として、トピックス的に表示しております。
また、同じく第5章地域別方針には、(「まだ続くのですか」の声あり)もう少し。
長府については特出しで、具体的施策として、長府や唐戸地区の歴史的まちなみに調和した緑化に取り組みますとあります。先ほども申しましたが、緑の基本方針には、長府個別の方針は何度も登場いたします。長府苑の保全はこれらに基づき行ったものでございます。
○片山房一君
あくまで、市の計画に沿ったものだという趣旨の答弁です。ですけれど、この長府苑の購入、市の公共施設面積を3割減らす公共施設総合管理計画にも逆行しますし、私の読み方が悪いから、それは違うんだという今の指摘だったのだと思いますが、緑の基本計画にも反していると思います。
あっさり市の計画には反するが、例外的に土地を購入し、都市公園として整備する、そういうふうに言ってしまったほうが私にとっては分かりやすいし、市民にとって分かりやすいと思います。
まず、すべきことは、活用方法や経費負担を明確にして、市民の理解を得ることだと考えます。それまで土地購入は凍結すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
○都市整備部長(清水 悟君)
取得の目的につきましては、先ほど申し上げたとおりの3点でございます。
整備費用につきましては、計画は今後の検討になりますので、現時点でお示しできる規模感としては先ほど申し上げたとおりでございます。
今後、調査や計画検討を進め、整備費用についても国費補助や民間活力導入の可能性を含め、引き続き検討し、まとまり次第、議会にお諮りしながら進めてまいります。
もし購入を凍結すれば、民間売却が進められ、民間売却された場合、現在の町並みに沿った、緑地を残したまま開発することは難しく、現況をとどめず、緑地は失われてしまいます。また、約1万6,600平米と規模も大きく、長府苑が失われた場合、長府の歴史的な町並み景観への影響は甚大でございます。
長府地区は、歴史や景観に対しての意識が大変高く、過去に地域住民の思いから、まちづくり協定の締結に至ったのは、先ほど申し上げたとおりで、長い年月をかけて、景観の形成、保全に取り組み、どうにか今の町並みが保たれてきた地区です。市といたしましては、(「何回も同じことを言わなくても大丈夫です。分かっています」の声あり)
長府苑は長府にとって失ってはならない本市の重要な財産と考えており、取得すべきと考えております。
○片山房一君
予算は、今年度予算です。来年の3月までに執行すれば済むことではないですか。今、売買は止まっているわけではないですか。市が買うぞという意思を示したことで、もう少しきちんと丁寧に説明をして、その実行ができるのではないかという意味で、凍結をできないかという提案です。
市長に伺います。長府苑購入に関しては、一部の週刊誌で安倍晋三記念館の報道がありました。最近もこのような形で、市内の地方紙が取り上げています。
〔地方紙を掲げながら〕
○片山房一君
長府苑に安倍晋三記念館、こういう見出しが躍っています。
公園整備に当たって、このような情報が流れることは、市としても迷惑なことだと思います。
この場で、長府苑内に安倍晋三記念館を設置することはない、このように断言し、このようなうわさを一掃することが必要だと考えます。市長、いかがでしょうか。
○都市整備部長(清水 悟君)
議員御提案の施設でございますが、そのような計画はございません。
○片山房一君
私が提案している施設ではありません。誤解のないようにお願いします。そういううわさがある、それに基づいてこういう報道もある。それは市としては非常に迷惑なことではないかと。
であれば、市長自身が、この場で、そういう計画は絶対ないのだということを、きちんと言っていただければ市民も安心しますし、今後、こういう報道もなくなるのではないかと思います。ぜひ市長、明確にお願いしたいと思います。
○市長(前田晋太郎君)
今回、市が民間の土地を買い取るという話になった段階で、安倍晋三記念館ができるわけないでしょう。安倍晋三記念館をやるのだったら民間の土地で、民間施設でやったほうがいいじゃないですか、できるわけないじゃないですか。週刊誌の読み過ぎですよ。
○片山房一君
ありがとうございます。週刊誌の読み過ぎというわけではなく、これは週刊誌ではないやつを紹介させていただきましたけれど、このようなことは絶対ないのだということで、市長自身もあり得ないという答弁をいただいたということで、このことについては終わりにしたいと思います。
次に、下関市立大学の運営に関して、設置者としての下関市の責務について質問をいたします。
4年前、前田市長が下関市立大学の経営理事・管理職教員を市長応接室に招き、当時、琉球大学教授だった韓昌完氏を推薦し、その1か月後には大学が当時の大学の教員採用規定を無視して採用内示を出し、翌年4月に市立大学に着任しました。そして、その韓昌完さんは、現在、下関市立大学の学長です。
それを契機として様々な問題が発生していますが、今回は大学理事解任無効判決と、県労働委員会が大学に対して行った不当労働行為救済命令について、設置者としての下関市の認識を問うとともに、大学の運営を客観的に評価すべき下関市公立大学法人評価委員会が、大学の現状を適正に評価しているのかを質問します。
最初に、市立大学理事解任無効判決です。山口地裁下関支部は、令和5年――2023年7月11日付で、原告の飯塚元理事に対して行った理事の解任は無効であるとの判決を行いました。理事解任は、下関市に直ちに報告されています。不当な理事解任の報告を受けた下関市はどのような対応をしたのか。あるいは、不当な解任を追認・放置した責任はないのか。飯塚元理事に対して謝罪する意思はあるのか、伺います。
○総務部長(笹野修一君)
ただいま御質問いただいた件でございます。公立大学法人理事解任無効確認等請求事件、こちらにつきましては、令和5年7月11日付の下関地裁の判決に対し、判決内容を不服としまして、公立大学法人下関市立大学が、令和5年7月26日付で広島高裁へ控訴をしております。
本件に関しましては、法人内部の問題でございまして、係争中であることから、現時点での考えを述べることは一切控えさせていただきたいと考えております。
○片山房一君
大学内部の問題であるから、市としては発言を差し控える。設置しているのは、下関市ですよね。それなのに、大学内部の問題だから、市は関係ないのだ、そういう発言はあり得ないと思います。
大学が上告し、係争中とはいえ、地裁で出された判決に対して、その時点で、下関市としてはどう受け止めているのか。大学が上告したことをどのように評価しているのか、お答えください。
○総務部長(笹野修一君)
繰り返しになりますけれども、法人の内部の問題ということと、係争中でございますから、現時点で評価することはございません。
○片山房一君
内部の問題であるというのを何度もおっしゃっていますが、私が言ったように、設置者としての責任はないのですか。
判決文では、下関市は、文部科学省の職員の見解が示されてから1か月程度の時点で、教育研究審議会から、重要な規程の制定及び改廃に関する事項のうち、教育研究に関する事項や教員の採用等に関する事項等について、審議する権限を失わせる内容の本件定款変更案を可決したものである。そうすると、教員側はこのような運営側及び下関市の対応は、教員側から教育研究や教員の採用に関する権限を剥奪し、大学の自治を揺るがす行為であると受け止めたとしても、やむを得ない面があるといえると認定しています。市が行った定款変更が、教員側から教育研究や教員の採用に関する権限を剥奪し、大学の自治を揺るがす行為であるという認定をしています。
定款変更が誤りであったことを認め、定款再変更の検討をする意思はあるのか、お答えください。
○総務部長(笹野修一君)
係争中でございますので詳細は控えさせていただきますけれども、定款に誤りがあるとは考えておりません。
○片山房一君
係争中であるということはあっても、地裁での判決があったという事実はあるのです。その中で、やはり定款変更にいろいろな原因があったという指摘が認定されているわけです。そのことはもちろん、詳しく読まれて、様々な判断をされていると思うのです。そのことについての見解は述べられないのですか。
○総務部長(笹野修一君)
繰り返しになりますけども、詳細は控えさせていただこうと思います。
○片山房一君
詳細は控えさせていただく。大学内部のことだから、そういう言い方で設置者の責任があるという自覚がないのではないかという答弁が続いているように思います。
この裁判に係る経費について質問します。先日の市出資法人調査で、弁護士費用だけで、地裁での弁護士の着手金が弁護士2人分で110万円、高裁の着手金が弁護士2名分で66万円、合計176万円が、既に弁護士費用として支払われているということが明らかになりました。間違いないかの確認と、これらの経費は大学の予算の何の名目で支出されているかもお答えください。
○総務部長(笹野修一君)
今、議員御案内のとおりでございます。市立大学に確認をしましたところ、現時点で確定しているものといたしますと、初審に要した着手金が110万円、それから、控訴に要した着手金が66万円とのことでございます。
また、予算の費目につきましては、一般管理費と伺っております。
○片山房一君
大学の主要な財源は、市からの交付金、すなわち税金です。それと、授業料や入学金など、学生の納付金です。この裁判費用もこれら市の交付金・税金と学生からの納付金、これが使われたと考えて間違いありませんか、お答えください。
○総務部長(笹野修一君)
裁判に要する経費の財源、こちらについてのお尋ねでございますが、これにつきましては法人において整理するものだと考えております。
○片山房一君
それは、法人において処理するものだと分かります。財源としては何なのかということを、市としてはどう見ているかということを聞いています。
○総務部長(笹野修一君)
財源については、法人において整理するものというのは当然ごもっともだと思います。その上で、何の費目で、どう充当させたかというところにつきましては、こちらとしても、正直確認はしておりませんけれども、法人のほうで適切に処理されたものと理解しております。
○片山房一君
法人で適正に処理されているという認識だということですね。大学法人の運営のミスを市からの交付金、いわゆる税金、それと学生の納付金で対応することは許されないと思います。
これ以上の裁判の継続はやめるべきだと、私の意見を述べまして、次の質問、市立大学の不当労働行為が労働委員会に認定されたことについて質問します。
2022年1月27日に、山口県労働委員会が不当労働行為を認定しました。もっとも、2月16日に山村理事長は、中央労働委員会に再審査申立書を提出し、現在、再審査中です。
私は、昨年2度にわたって、設置者として市がどのような対応をしているのかを質問しました。そのときの答弁は、大学法人が組合と団体交渉を丁寧に行っているとの説明を受け、対応を見守っているとのことでしたが、その後の状況はどうなっているでしょうか。
○総務部長(笹野修一君)
現在、中央労働委員会、こちらが再審査に係る調査を実施しているところでございます。回答のほうは控えさせていただこうと思います。
○片山房一君
再審査中だから控えさせていただくという、また同じような答弁ですけれど、この中身、当然読んでいらっしゃると思うのです。山口県労働委員会の命令の中の主文のうち3、これは「被申立人は、住居手当及び通勤手当並びに外国研修担当教員に対する調査に関して、本命令書受領後2週間以内に、申立人と誠実に団体交渉を行うこと」と明記しています。
今読み上げましたこの部分については、大学法人は中央労働委員会に再審査を申立てしておりません。これから外れています。要するに、住居手当、通勤手当を誠実な団体交渉なしに改悪したことは、労働組合法違反が確定しているのです。
そうであるにもかかわらず、大学法人は改悪された住居手当、通勤手当を改悪前の状態に戻さない違法状態を継続しています。設置者の下関市として、違法状態が続いていることに対して、どのような指導や対応、これをしているのかをお聞きします。
○総務部長(笹野修一君)
山口県労働委員会の命令を真摯に受け止め、組合交渉のほうは丁寧に対応していると伺っております。市といたしましては、引き続き法人の対応を見守っていきたいと考えております。
○片山房一君
団体交渉をしろと言われて、1年半がたっているのですよ。それで、勝手に変えたことは違法の状態だという認定がされているのです。違法な状態が大学の中で続いているのを、市としてはどう見ているのかということを私は聞いています。そのことを的確に答えてください。
○総務部長(笹野修一君)
繰り返しになりますけれども、法人の対応を見守っていきたいと考えております。
○片山房一君
対応を見守っていくと。1年半も見守っていて、大学がちゃんとしていない。その状態を市が放置している、違法状態を放置しているのですよ。市としてあり得ないではないですか。本当に見守っていくという回答だけなのですか。
○総務部長(笹野修一君)
繰り返しになりますけども、法人のほうの対応を見守っていきたいと考えております。
○片山房一君
設置者としての市の責任をまるで放棄したような答弁が続いています。しかし、これだけだと……、もう後6分しかありません。
大学のこのような状態、いわゆる大学の事業実績を評価する機関として、下関市公立大学法人評価委員会、これが設置されています。事務局は下関市です。この評価委員会が大学の現状を適正に評価しているかについて、質問を詳しくする予定でしたが、時間の関係で省略せざるを得ません。概略だけ言います。
この評価委員会が、大学の管理運営に関する評価をしています。管理運営に関する評価はB評価、おおむね順調に実施している。あるいは中期目標期間、令和元年から令和6年度の見込みではA評価、順調に実施しているとなっています。管理運営に関する評価が、評価委員会でこういう評価なのです。
今、私がいろいろ質問しました、様々な管理運営について、様々な問題が起こっている。しかし、評価としては順調に実施しているとか、おおむね順調に実施しているとなっています。
小項目でも業務運営・法令遵守の徹底という項目があります。これもⅢ評価です。おおむね順調に実施しているという評価です。私は、法令遵守の徹底などがおおむね順調に実施している状態だとは思えません。大学が提出する自己評価を、ほぼそのまま評価委員会の評価としているのではないかと懸念しています。
事務局を担当している市が評価委員会の皆さんに、本当に公正で公平な判断ができるような資料を提示しているのか、こういう疑問が残ります。ぜひ、公正な事業評価実績ができるように事務局としての役割を果たしていただきたい、このように思います。そのことについて何か見解がございますか。
○総務部長(笹野修一君)
公立大学法人理事解任無効確認請求等事件に係る地裁の判決内容、あるいは不当労働行為に係る山口県労働委員会の命令内容につきましては、法人評価委員会として、評価に反映すべきと判断、あるいは特筆すべき事項があると判断した場合、評価結果書に反映すること自体は、特に問題ないと考えておりますが、法人評価委員会ではそのような判断はなされませんでした。
また、今年度は、先ほどありましたとおり、法人の2022年度業務実績及び第3期中期目標期間終了時に見込まれる業務実績に対し、法人評価委員会において評価が行われておりますが、法人自らが評価を行った結果を明らかにした業務実績を、そのまま承認しているわけではございませんで、丁寧な検証及び法人に対するヒアリングを実施し、結果的に法人自らが行った評価より低く評価した項目もございまして、管理運営に関する目標の項目について、該当がございました。
市は、事務局として3回にわたり法人評価委員会に出席しておりましたけれども、法人評価委員会は自由闊達な質疑応答、あるいは意見交換がなされる中で運営をされまして、適切な評価がなされたものと理解しております。
○片山房一君
私は、自由濶達な議論が行われた中で今の大学の運営に関しての状況が、こういう評価が出てくるということは非常に遺憾です。
それは独立した機関の評価ですから、それはそれとして、現実にあるということは理解をします。
時間がありません。大学法人は常々2014年の学校教育法改正により「教授会は意見聴取機関に過ぎず、大学運営における学長の広範な裁量権、強いリーダーシップが認められている」と主張しています。
しかし、現在、市長や学長の独善的な大学運営は、裁判や労働委員会の場で、次々と違法・不当と判断されています。当然のこととして、強いリーダーシップは大きな責任を伴います。教職員の身分に関わる重大な失敗が明らかに確定すれば、市民や学生、市立大学教職員が納得できる責任を取ることを、市長、市立大学理事長、学長に強く求めて、私の一般質問を終わります。(拍手)
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