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9月25日(月) 本会議(一般質問5日目)
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内容
会議録
第3回定例会
9月25日(月) 本会議(一般質問5日目)
公明党市議団
河野 淳一 議員
1.最低賃金引上げについて
2.奨学金制度の拡充について
【下関市議会 本会議確定版】
○副議長(安岡克昌君)
29番、河野淳一議員。(拍手)
〔河野淳一君登壇〕
○河野淳一君
公明党の河野でございます。通告に従いまして、質問させていただきますが、手話をしないのは公明党で私だけでございます。いつも勉強を教えてくださる梶先生ごめんなさい。2か月ぐらい、ちょっとそういう勉強会に出席できませんでしたので、公の場をお借りして謝罪と、次回はちゃんと出席するようにいたしますので、どうか御勘弁のほどよろしくお願いいたします。
それでは質問に移らせていただきます。1問目は、最低賃金の引上げについて、質問させていただきたいと思います。
厚生労働省の中央最低賃金審議会は、7月末――2023年度の10月1日からですけれども、最低賃金の引上額の目安について、全国加重平均で過去最大の41円とすることで決着をしております。目安どおりに改定されれば、最低賃金の全国平均は時給1,002円となるということでございます。
最低賃金法により、企業は最低賃金を上回る賃金を支払う必要があり、違反すれば罰則がございます。厚生労働省の分析では、宿泊業や飲食サービス業、卸売業や小売業で、最低賃金に近い時給で働く人が多く、企業規模別で見ると、小規模の事業者ほど多い。
最低賃金は、2012年度より着実に引き上げられ、2012年度の749円と比較すると、この11年間で上昇率は33%に達する。
今回の最低賃金の引上率は、前年度と比較して4.3%となり、3%台で推移する物価上昇率を上回り、物価高が生活を直撃する中、引上幅は過去最大となり、働く人の賃金を底上げすると期待されるわけですが、これを各地域で着実な賃上げにつなげていくことが重要と考えます。
そこでお伺いいたします。最低賃金引上げ、これについては、国また県が主導するものと思いますが、本市の最低賃金引上げにおける本市の役割とこれまでどのような取組をされているか、お示しください。
○産業振興部長(山田 豊君)
役割と取組についての御質問ですが、このことに関連いたします最低賃金の引上げの流れをまず御説明をさせていただきますと、地域別最低賃金の引上げは最低賃金法に基づいて、公益代表、労働者代表、使用者代表で構成されます、議員のほうからも御紹介ございました中央最低賃金審議会から各都道府県の地方最低賃金審議会に対して、改正額の目安が示されます。
この目安を参考に、地方最低賃金審議会において、地域の実情に応じた最低賃金改正のための審議が行われ、最終的に各都道府県の労働局長が最低賃金を決定し、公表することとなっております。このような流れになっていることから、最低賃金の決定過程で本市が担う役割はございません。本市といたしましては、決定されました山口県の最低賃金が遵守されるよう、市民や市内の事業者に対して周知を図ることが役割と認識をしてございます。このため、取組といたしましては、例年、改正額の決定後、山口労働局からの依頼を受け、市ホームページや市報への掲載のほか、庁舎をはじめとした関係施設へのポスター掲示やチラシ配布等を行い、市民や事業者の皆様に対して情報提供を行っております。
○河野淳一君
本市の大きな役割として、周知ということで、今確認をさせていただきました。
それでは、先ほど全国では1,000円を超えるということでありましたが、山口県では、昨年度888円から10月1日より928円、これも40円上がると、最低賃金が引き上げられるということでございます。
そこでお伺いいたします。最低賃金引上げによる効果と課題についてお示しください。
○産業振興部長(山田 豊君)
最低賃金設定の目的は賃金の最低額の保障により、労働条件の改善や労働者の生活の安定を図り、経済の健全な発展を図ることにあります。最低賃金の引上げは、労働者にとりましては、使えるお金が増えるということから、生活の安定が最大の効果でございまして、また、勤労意欲の向上や、さらには働く場の選択肢の拡大にもつながるものと考えられます。一方、事業者にとりましては、優秀な労働者の雇用が可能となるとともに、労働生産性の向上につながるという効果が考えられるところです。
ただ、その反面で、固定費用である人件費の増加や、それに伴って雇用の継続が困難になるなど、事業者の経営面においてマイナスの影響も想定されます。
議員から先ほど少し御紹介いただきましたけれども、厚生労働省が実施した最低賃金に関する調査によりますと、小規模事業者ほど賃金引上げの影響を受けやすい傾向があるため、こうした事業者が円滑に対応し、安定して事業を継続していくことが課題であると認識しております。
○河野淳一君
要約すると、働く方は最低賃金が上がれば本当に助かるというか、物価高に対応できるということでございますけれども、事業者また経営者から見ると、最低賃金が上がることで、最低賃金付近で従業員を雇われている会社は、負担感があるということになると思います。
その上で、最近の傾向ですけれども、最低賃金の引上げ傾向は、近年ずっと30円程度で推移しております。最近では、最低賃金に近い時給で働く人、パートタイマーやアルバイトなどの方が増えているのが実情でございます。
今の時給が改定後の最低賃金を下回る労働者の割合、これを影響率というらしいのですが、前年度、22年度には19.2%、約2割の方がこの最低賃金にかかるというか、影響があるということでございます。過去最大の今年度引上げ幅となる23年度の影響率も2割を超えると言われております。
日本商工会議所と東京商工会議所が全国の中小企業に本年2月に実施した調査では、最低賃金引上げが「負担」と答えた企業は、半数以上の55.1%に上がっております。
足元では、中小企業庁が毎月発表している全国の倒産件数を見ると、これは全国ですが、月700件から800件の中小企業が倒産しております。これは前年同月比約50%増の倒産件数であります。
物価高や厳しいコロナ禍で利用したゼロゼロ融資の本格的な返済も始まったことなどを受けて、上半期の倒産も全業種にわたり増加し、傾向として、先ほど御答弁がありましたように、小規模企業の倒産が多い状況にあるという現状でございます。
また、小規模事業者の景況感は、中規模事業者と比べて回復が遅れているというような分析もございます。
関連で面白い記事がありましたので、ちょっと御紹介させていただきます。
皆さんラーメンが好きだと、嫌いな人はほとんどいないのではないかと思いますけれども、本年8月までに倒産したラーメン店の数が、前年同期の3.5倍となっているそうでございます。
これは、ラーメン店の倒産が年間最多ペースであることが、これも東京商工リサーチの調査で分かっております。新型コロナウイルス関連の支援事業終了に物価高が加わり、値上げに踏み切れないまま、倒産に追い込まれるケースが多いと見られております。
調査によりますと、今年1月から8月のラーメン店の倒産は全国で28件です。前年同期の8件から急増しております。既に前年1年間の21件を上回り、過去15年間で最多だった平成25年の42件を超える可能性もあると言われております。内訳を見ると、資本金1,000万円未満の店が倒産した割合が92.8%です。従業員5人未満の店は89.2%で、規模の小さい店が圧倒的多数を占めているということでございます。
皆様が愛するラーメン屋が、あしたなくなるかもしれないというのが現状でございまして、特にこれが西日本――東日本はそうでもないのですが、西日本で顕著だということであります。都道府県別では件数は少ないですが、広島県が最多の4件、次いで大阪と福岡が各3件、今年倒産した件数です。そして東京、京都、島根、山口が各2県、山口県もベストスリーというか入っております。博多ラーメンの本場福岡でも、ラーメン屋さんの倒産が増え、西日本を中心に倒産が発生している状況でございます。
自分の好きなラーメン店だけを救うわけではございませんけれども、本当に、コロナ禍で事業の継続支援金など、このような担保というか、支援を受けているところが現在厳しい状況にかなり陥っているということでございます。これは中小企業の価格転嫁対策や賃上げの原資の確保につなげる取組をさらに継続的に実施することが必要と考えます。
国では、中小企業への支援策として、賃上げと設備投資を行う企業に対する「業務改善助成金」などが今実施されているところでございますが、さらに本市独自の補助金制度の新設や税制優遇の支援が私は必要と考えますが、厳しい経営状況である中小企業へのさらなる支援について、お考えをお伺いいたします。
○産業振興部長(山田 豊君)
まず各事業者は、最低賃金の引上げによる影響に対処するためには、やはり生産性を高めるなどの事業内容の改善が必要だと考えてございます。
今、議員のほうからも御紹介がございました国のほうにおきましては、生産性向上のための設備投資等を通じた最低賃金の引上げを行う事業者を支援する「業務改善助成金」をはじめ、様々な助成制度を設けているほか、山口県もこの令和5年度の補正予算におきまして、賃金の引上げと合わせて、柔軟な働き方を実現する制度や従業員のキャリア形成を応援する制度の導入等を支援する「賃上げ環境整備応援奨励金」を創設しております。
また、微力ではございますけれども、本市におきましては、設備投資による生産性向上のための「先端設備等導入計画」に基づく固定資産税の軽減措置について、賃上げ方針を表明した場合には、3年間の措置を5年間に拡充しております。
議員のほうからは、補助制度等の拡充ができないかということでございますけれども、本市といたしましては、まずこれらの助成制度を周知するために、就業支援事業において、助成金に関する企業向けセミナーの開催や各種媒体による情報提供で情報発信をさせていただきたいと思っております。
○河野淳一君
国や県、また市のほうも独自でやっているということで確認をさせていただきました。
特に経営悪化した場合の機動的な本市の支援は準備をしておいていただきたいと思いますので、これは要望で挙げさせていただきます。
さて、コロナ禍のときに、中小企業の皆さんからいろいろ御相談を受けたのが、コロナ禍の事業継続支援金など、様々な国の支援制度がありましたが、その申請を行う上で私が実感したのは、中小企業の中でも小規模事業者にこの申請のサポートが必要ではないかということでございます。
今回の国の業務改善支援金もですが、申請内容がやはり複雑なのです。申請マニュアルが19ページ、記入例などが47ページ、Q&Aだけでも24ページと資料は膨大でございます。商工会や税理士、また公認会計士、社労士などと日常関係を持っていない企業が小規模事業者には多く、この申請内容をなかなか理解ができない、また、デジタル申請に対応できていないなどの声を小規模事業者からコロナ禍も多くお聞きいたしました。
小規模事業者の業務デジタル化は年々増加していますが、いまだに紙や口頭による業務が中心で、デジタル化が図られていない企業は全国で約23%と言われております。
その上で、先ほど言いました支援制度については、国・県・市も行っているということでございますが、私はこの申請サポート体制の強化が必要と考えますが、最低賃上げ支援策の申請サポート体制についてのお考えをお示しください。
○産業振興部長(山田 豊君)
議員がおっしゃられるとおり、国のほうの申請の内容というのは非常に複雑なものがあると理解をしてございます。
一方で、中小企業者の皆様方からすると、そういうところの部分はなかなかハードルがあるとも考えているところでございます。
私どもとすれば、国・県あるいは商工会議所など、関係先ともよく連携をして、そういうところにサポートができないかというところは、今後検討してまいりたいと思いますけれども、議員がおっしゃられるとおり、伴走型の支援を検討する必要があるということは理解をしております。
○河野淳一君
ぜひ、伴走型支援を中小企業、また特に小規模事業者の企業にしっかり寄り添ってやっていただきたいと思います。そういうことをやることで、皆さん、産業振興部さんが下関の中小企業の現状というのが、直接やることで、肌身で感じていただいて、いろいろな支援策とか具体的な支援策も、今後具体的に打っていけるかと私は思っておりますので、ぜひその辺り、取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
さて、最低賃金引上げを円滑に行うための本市ができる対策の必要性について、ただいま質問させていただきましたが、この平均賃金の引上げも、来年春闘があると思いますが、引上げを目指して、地元産業への支援や優良企業の誘致も私は必要と考えております。
本市においてはサテライトオフィス誘致事業など強力に推進しているところですが、現在の企業誘致の取組と進捗についてお示しください。
○産業振興部長(山田 豊君)
本市の企業誘致の取組につきましては、地理的優位性や災害リスクが低いことに加えて、充実した支援制度をセールスポイントとし、山口県とも連携して、企業訪問や展示会への出展などの活動を行っているところです。
進捗状況につきましては、事務系企業の立地を促進するため、JR下関駅前に建設されました新しいオフィスビルである「エストラスト下関センタービル」が本年8月に開業し、同月、市外から新規に入居する企業と立地等産業振興に関する協定の調印式を行いました。また、市内の企業による拡大投資に係る同調印式を、本年度に入りまして2件ほど行っているところでございます。
企業誘致における都市間競争は激化し、厳しい状況が続いておりますけれども、賃金水準の向上も期待できる企業誘致の活動を、引き続き積極的に行ってまいりたいと考えております。
○河野淳一君
企業誘致も、地元産業の支援というのも必要でございますし、優良企業の誘致というのも同時に必要になってくると思います。下関市の産業を発展させるためにも、しっかり企業誘致にトップセールスも含めてタイミングを見計らって、しっかりやっていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
また、下関市の企業立地のホームページも、この間ちょっと確認をさせていただきました。すばらしいのができております。下関の基本情報とか下関市の魅力、また立地企業へのインタビューなど、見て本当に喜ばれるようなホームページだったと思います。更新もこまめにしていただいた上で、本当に下関市に企業、事務所を構えたいという方が前向きに検討できるようなホームページを、今後も継続してやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
最後に、社会全体に行き渡る賃上げを確実な流れにするためにも、本市も中小企業への目配りをさらに注力していただき、支援強化に全力を注ぎ、持続的な本市の成長に産業の成長につなげていくことを要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
では2番目の質問です。奨学金制度の拡充について質問させていただきます。
本市においては、令和5年度最重要施策として、子育て強力支援、For Kids For Futereに取り組み、特に10月よりスタートする子ども医療費無償化をはじめとする子育て政策を実施していただいていることを大変に感謝申し上げます。
近年いろいろな声をお聞きいたします。タブレットをちょっと御覧になっていただけたらと思います。
〔説明資料を議場内ディスプレイに表示〕
○河野淳一君
若者の奨学金返済の負担が重いという声を大変多く聞いております。これは、今タブレットのほうは、私立の大学に都会で一人暮らしをする場合の、左側が支出で右側が収入というか支援の内容ということです。大体、一人暮らしを都会ですると、学費、授業料、住宅費また日用品などを入れると、年間250万円近くかかると言われております。
右側が収入でございます。これは例でございますけれども、家庭からの支援が250万円のうち、大体170万円ぐらい。もっと家庭からの収入が少ない場合は、今、奨学金が約42万9,200円となっていますけれども、この奨学金を年間たくさんお借りしなくてはならない。また、アルバイトで本人が働いたりという形で、生活、大学に通っているという現状でございます。多分、年間42万円の奨学金では現実足りない方が多いのではないかと、皆さん方も実感があるのではないかと思っております。
その上で、子ども医療費等、今年度本市も取り組んでいただいているところですけれども、子育て支援の中に大学生の支援ということで、この奨学金制度の拡充について質問させていただきたいと思います。
それでは、本市が行っているこの下関市奨学金並びに奨学金返還支援補助金それぞれの過去3年間の利用実績並びに返済状況についてお示しください。
○教育部長(藤田信夫君)
まず、下関市奨学金の概要から御説明をさせていただきたいと思います。
下関市奨学金は、下関市奨学基金を原資といたしまして、向学心があるにもかかわらず、経済的な理由により修学が困難な生徒・学生に対し、学資を貸し付け、有用な人材を育成することを目的としております。
貸付金額は、大学生が月額4万円、高校生が月額1万8,000円、貸付期間は在学する学校の正規の修業期間で、平成29年度からは、希望者には入学一時金を貸し付ける制度を開始したところでございます。
奨学金の返還につきましては、原則、学校の卒業後1年を経過したときから、貸付けを受けた月額奨学金の2分の1の額を毎月返還していただいております。
直近3年間の新規貸付者数でございますが、令和3年度が2名、令和4年度が5名、令和5年度は6名となっており、応募者全員に貸付決定を行っております。なお過去3年間の返還状況といたしましては、現年度分の滞納はほぼございません。計画的に返還していただいている状況でございます。
○産業振興部長(山田 豊君)
それでは、私のほうからは奨学金返還支援補助金について御説明させていただきます。
まずこの制度ですけれども、大学等に進学し、奨学金の貸与を受けた方が、卒業後に本市に居住し、市に認定された中小企業に正社員として就職するなど一定の要件を満たした場合、5年間で最大60万円を補助金として交付するものでございます。制度の利用希望者は、大学等在学中に交付申請候補者として、市の認定を受けておく必要がございます。
この制度の取組としては、まず令和元年度から交付申請候補者の受付を開始しておりまして、令和元年度が48人、令和2年度が41人、令和3年度が42人、令和4年度が35人、この4年間で合計166人の学生を認定しております。
補助金の交付につきましては、令和3年度から開始し、令和3年度は令和元年度に認定を受けた48人のうち25人に、令和4年度は、令和元年度と2年度の2年間に認定を受けた合計89人のうち40人に補助金を交付しております。また、就職の受入先となる市に認定された中小企業は、令和5年8月末現在で220社となっております。
制度の周知につきましては、県内及び近隣県の大学でのチラシ設置、市報やホームページへの掲載、就活アプリ「しものせきjob net」で発信するなど、新卒予定者を対象とした就業支援事業の参加者へのPRのほか、市内在住の家族の皆様のほうにもということで、チラシの全戸配布等を行っているところでございます。
○河野淳一君
国では、この奨学金制度の改正が来年度から行われます。かなりフレキシブルというか、給付型奨学金と授業料等の減免を合わせた就学支援新制度が拡大されることになります。特に子どもが3人以上で、負担軽減の必要性が高い多子世帯に対しての支援が、来年度より手厚くなる予定でございます。
現在、この奨学金なのですけれども、2017年度に高校卒業する世代の18歳人口は大体120万人いらっしゃいます。2017年度には大学入学者は63万人で、大学の進学率が52.6%ということです。直近の2022年度ですけれども、政府の予想では18歳人口が減るので、大学に行かれる方も減るだろうという想定だったのですが、実際、2022年度の18歳人口は、2017年度の120万人から比較して、112万人と減少したのですが、大学入学者数は64万人、2017年度の63万人より1万人増えたわけでございます。つまり、進学率がかなり高くなった。18歳の人口は減ったのだけれども、進学率が大幅に上がって、大学進学入学者数は増加傾向となっております。
また、日本学生支援機構の令和2年度学生生活調査によると、奨学金を受給している学生の割合は、大学のお昼の部で49.6%、短期大学で56.9%、大学院修士課程で49.5%、大学院博士課程で52.2%と、約半数の方がこの奨学金制度を利用しているということでございます。
そして一方、2019年度末の返還延滞者数、これは全国でございますけれども、この数が32万7,000人で、延滞債権は約5,400億円に上るということでございます。延滞の主な理由は、家計の収入減また支出増で、延滞が長引く背景には本人の低所得や延滞額の増加が指摘されております。
今、対応型奨学金を返済されている方がたくさんいらっしゃいます。若者の皆さんから、収入が少ないのに奨学金の返還が大変だという声を私も直接多く聞いております。
先日でございますが、下関市の20代の若い女性5名と懇談を行いました。全般的な政治に関する様々な御要望、御意見、また御指摘もいただいたのですが、その中で、私のほうから最後に1点質問をさせていただきました。5人とも独身の方だったのですけれども「結婚をためらう理由として何が挙げられるか」と質問を投げかけたのです。それで、女性5人とも挙げたのが、やはり経済的なところで、なかなか結婚をためらっているというのが本人も含めて多いと聞いています。皆さん、大学に行かれて卒業されていたのです。聞いたら、奨学金をお借りして、やはり返済がかなり厳しいというか、なかなか大変だと。先ほど言いましたように、まだ新入社員というか、まだ勤続年数が低いうちは、なかなか厳しいと聞いております。
再来月ぐらいに結婚される方もいらっしゃったのですが、その方は旦那さんも奨学金を借りて、まだ返済中で、女性本人も奨学金返済中で、それがやはり結婚するとき、結構どうやって返済していこうかということで、話し合って、何とか結婚できるだろうということで結婚に至ったということでございます。
先ほどお話しましたけれども、この奨学金を借りた大学生が就職して、お給料が少ない時期というのは当分続くと思います。タブレットを見ていただきたいと思います。
〔説明資料を議場内ディスプレイに表示〕
○河野淳一君
就職以後のライフイベントというのが、このようにちょっと表しているのですけれども、大学卒業して、就職活動費ということで、約10万円かかる。結構費用がこれはピンキリというか大小あると思うのですが、500万円近く結婚するに当たって必要であるということで、また結婚して、その後出産で50万円、また子供の教育費が1,000万円以上その後かかるという中で、なかなか奨学金の返済というのが、やはり一つ、結婚をちょっと遅らせるとか、結婚をためらう大きな理由になっているというのが実情でございます。
就職したてで、給料が少ない時期や結婚育児など、お金がかかる時期がこのようにあります。そういったライフイベントに合わせて、月々の返還額を柔軟に変えられる減額返還制度への見直しというか、運用をぜひやっていただきたいと思うのですが。
そこで質問させていただきます。まず、奨学金が利用できやすい制度で、先ほどありましたように、かなり本市の奨学金は借りやすい制度ということで確認させていただいたのですが、この奨学金を返済しやすい制度へのお考え、先ほど言いましたように、ライフイベントに応じた月々の返還額及びこの返還期間を柔軟に変更できる制度等に変更できないかお示しください。
○教育部長(藤田信夫君)
奨学金につきましては、貸付金の返還であるということで、市の債権管理という観点から適切な管理執行、これが求められるものであろうとは考えております。奨学金の貸付け・返還につきましては、条例・規則にのっとった制度でございます。また猶予等制度でございますが、これも特別な事情により、返還が困難になった際の特別な対応であるため、個々の経済状況の確認を適切に行って、厳格な運用が求められるものであると考えております。
ただ一方、こども未来戦略方針、また当該方針を踏まえた上で、経済財政運営と改革の基本方針、いわゆる骨太の方針におきまして、子育てに係る経済的支援の強化の取組の一つといたしまして、奨学金制度の充実など高等教育費の負担軽減、こちらが掲げられていることも承知をしております。
本市の奨学金制度につきまして、国県の制度の運用の動向、また他市の実施状況等も踏まえまして、利用する学生・生徒にとって、また卒業後の返還の在り方、こちらについても、適切な運用とともに、利用しやすい制度となるように見直しについては研究してまいりたいと考えております。
○河野淳一君
答弁がありましたように、その他特別な事情がある場合は、返還を猶予すると今御答弁があったと思うのですけれども、この特別な事情というのは、具体的にといいますか、もう一度ちょっと確認したいのですけれども、いろいろ捉え方があると思うのです。ここをもう少し緩和していただけないかというのが私の質問なのですが、その辺りをもう一度、特別な事情と具体的な例があれば教えていただきたいと思いますが、お願いいたします。
○教育部長(藤田信夫君)
例えばで申し上げれば、失業等による収入が大きく減、失業にかかわらず、大きく収入が減となったような場合、恐らく返還が困難というのがございますので、これが中心になろうかと思いますが、そういった事情も、個々で事情が違うと思いますので、そういった事をお聞きして対応することが可能であるということでございます。大きくは、収入の減になった場合というのが大きな例かとは思います。
○河野淳一君
私といたしましては、しっかりライフイベントもその事情の中にしっかり入れていただいて、返還金額もちょっとフレキシブルというか、御相談にしっかり乗っていただいて、返還期間が延びるような形も、柔軟な対応をしていただきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
聞き取りのときには、奨学金の運用資金が8,000万円で、お貸しするのと返還で足りなくならないように、8,000万円しかないとは言いませんけれども、8,000万円だと聞きました。その中で、また返却期間だけをまた延ばしたりするのであれば、もう少しちょっとそこの運用資金を積み増ししていただくのも財政部長にちょっとお願いをしておきたいと思います。
その他特別な事情を本当に有効に、このライフイベント等でしっかり変更できるような形でやっていただけるような施策を制度運用できることを要望として上げさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。
それでは、最後に奨学金の返還支援補助金の拡充も、先ほど、今後またこれから必要かと思っております。補助金額の拡充も行っていただきたいと思いますし、支援内容も年額12万円ということになっていると思います。ここも、もう少し金額を上げていただければ、申込者も多くなり、またUターン・Iターンで戻ってこられる方もいらっしゃるかと思いますし、卒業後の地元就職開始時期の緩和というのも一緒に考えていただければと、変更・拡充について思います。
例えば、卒業後すぐでなくて、また3年後、5年後でもこの奨学金返還支援補助金が活用できるような仕組みをつくっていただければ、先ほど言いましたUターンとかIターンで、一旦地元下関を離れた大学生で、奨学金を借りた方も地元に戻ってこようというような意欲というか、きっかけになるのではないかと思うのですが、答えを全部言ってしまった感もあるかもしれませんが、その辺りのお考えを山田部長、よろしくお願いいたします。
○産業振興部長(山田 豊君)
令和元年度に、この奨学金返還支援補助金の制度の運用を開始し、まず新卒予定者である交付申請候補者を確保するため、幅広く制度周知を図ってまいりましたけれども、令和4年度の補助金候補者に制度利用に関するアンケートを行いましたところ、就職活動中に制度を知らなかった学生が相当数いたことから、この制度のさらなる周知が課題として明らかになったところでございます。
現在、補助金の交付を開始して2年が経過し、交付実績も十分ではない状況から、課題への対応も含めて、現行の制度を見直す時期であると認識をしているところではございます。
今後は、制度の目的を踏まえつつ、補助対象者、補助金額、運用の仕組みなど、様々な面から現行制度を検証し、本制度が本市の企業を就職先として選定してもらうための強力なツールとなるよう、見直しを図ってまいりたいと考えております。
○河野淳一君
力強い御答弁だったと思います。しっかり取り組んでいただきたい。我々もしっかり応援していきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
最後に、本市は妊娠、子育てから小・中学校、高校まで幅広く子育て支援を行っておりますが、冒頭にも申しましたように、高校まででなく、大学までしっかり支援していると、支援を拡大していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
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