録画中継

第3回定例会
9月20日(水) 本会議(一般質問2日目)

本池 涼子 議員
1.議会費の支出に伴う「税金使用に係る行政の説明責任」
2.難聴児の教育環境について
【下関市議会 本会議確定版】

△一般質問
○副議長(安岡克昌君)
休憩前に引き続き、会議を開きます。
一般質問を継続いたします。10番、本池涼子議員。
  〔本池涼子君登壇〕
○本池涼子君
無所属の本池です。初めに、議会費の支出に伴う税金使用に係る行政の説明責任について、質問いたします。
この問題の発端は、平成30年1月から令和元年8月における市民有志の調査において、下関市議会の歴代正副議長たちが、私的な会合の帰りの夜遅い時間に、唐戸や豊前田から公用タクシーチケットを使って、帰宅していたことが明らかになった問題です。
この問題に関し、これまでも様々な角度から質問をしてきたわけですが、今回は、幾つか確認したい点についてお聞きしたいと思います。後に大事な質問も控えていますので、質問には的確に簡潔に答えていただけますよう、よろしくお願いいたします。
まず、下関市の公金の管理及び支出の最高責任者は市長で間違いないでしょうか。
○総合政策部長(前田一城君)
予算の執行が市長の権限に属しておりますので、その責任者は市長であると認識しております。
○本池涼子君
次に、公金を支出した場合の市民への説明責任についてです。公金を支出した場合、市民への説明責任があるでしょうか。あるか、ないかでお答えください。
○総合政策部長(前田一城君)
先ほどお答えしたとおり、予算の執行が支出までのことを含む公金の支出ということでございますので、市長に責任があると認識しております。
○本池涼子君
議会費を使った場合にも、市民への説明責任があるでしょうか。あるか、ないかでお答えください。
○総合政策部長(前田一城君)
費目にかかわらず、予算の執行は全て市長の権限でございますので、同様に、市長に責任があると認識しております。
○本池涼子君
この市民への説明責任、これがいわゆる税金の使途に係る行政の説明責任になるのですけど、この最終の責任者は市長で間違いないですよね。簡潔にお願いいたします。
○総合政策部長(前田一城君)
そのとおりでございます。
○本池涼子君
議会費についても、説明責任の最終責任者は、市長で間違いないですよね。はいか、いいえでお願いします。
○総合政策部長(前田一城君)
予算の執行という観点については、そうでございます。
○本池涼子君
ただいまの答弁によって公金支出の最終責任者は市長であり、議会費に関しても、市民に対して説明責任を負っているのは市長であることが明確になったわけですが、問題となっている市議会の公用タクシーチケットの使用問題について、この3年以上もの間、説明責任を果たされていません。
説明責任の所在も明らかになったところで、前田市長に改めてお聞きしますが、問題となっている公用タクシーチケットの使用について、例えば、私的な会合の飲み会の帰りですとか、それが夜中の豊前田や唐戸の帰りですとか、知人を乗せて大回りして帰るですとか、そういった税金の使い方が適正な使用なのかどうか、お答えください。
○総合政策部長(前田一城君)
予算の執行についての説明責任は市長にあると考えております。ですので、タクシーチケットの使用の取扱いについては、議会のほうで決められることであると認識しておりますので、そこについては議会のほうに説明責任があると考えております。
○本池涼子君
今の内容について、もう少し詳しくお願いします。
○総合政策部長(前田一城君)
12月のときの一般質問のときにもありましたけれども、予算の執行ということで、支出負担行為から支出命令に係る一連の行為、これが予算執行ということになると考えておりますので、支出負担行為は、タクシーチケットの請求があったところで、支出負担行為兼支出命令を切りますので、そこからが、予算執行ということになると思います。
なので、そのタクシーチケットの使用の仕方は、議会のほうで決められていることなので、そこについては、説明責任は議会のほうにあると考えております。
○本池涼子君
これは12月議会でもやった話だと思うのですけど、議会で答えるべきという内容が、公金の管理とか、支出に関して議会は権限を持っていないです。何回も言っていますけど。それは、議会か、市長の権限かでいうと、市長の権限になります。支出命令書を切った段階のタクシーチケットではそうなるみたいなのですけど、それ以前の話は、議会の話だから市長部局では答えられないということですか。
○総合政策部長(前田一城君)
おっしゃるとおりで、支出負担行為の段階で、正当な請求に基づいて、支払いをしていますので、予算執行という点については、適正に行っていると認識しております。
○本池涼子君
12月もそう言われたのですけど、しかしその議会事務局というのは併任をされている。財務事務に関しては、執行機関です。補助執行している。つまり議事機関として、そこの事務をしているわけではないので、これは市の一般事務に入ると思うのですけど、一般事務なのかどうなのか、違うのか、はいか、いいえで答えてください。
○総合政策部長(前田一城君)
予算執行ということでは、先ほどから繰り返しになりますけども、支出負担行為から支出命令にかけての流れということになりますので、財務事務について、議会事務局の職員は併任されたものとみなして、そこに権限を与えられているという形式になっていますから、そこの予算執行というところについては、市長部局の職員として、執行しているという位置づけになろうかと思います。
○本池涼子君
でしたら、議会事務局が補助執行している、いわゆる議事機関としてでない、議決機関としてでない部分でやっている事務だと思うのですけど、そこについて答えないのはなぜですか。
○総合政策部長(前田一城君)
議会事務局が答えないのはなぜかという問いについて、私はお答えする立場にないかなと思います。
○本池涼子君
この件につきましては、市長に直接再三にわたって申入れを行ってきました。先ほどから明らかなように、議会費の執行に関して最終的な説明責任を負っているのは市長であります。
この点において、市長は私の申入れへの回答として、市民への説明責任は議会において果たされるべきであるとされたのですが、そうであれば議会事務局が答えなければならないし、説明責任の最高責任者である市長が、議会事務局に説明責任を果たすよう指示命令をきちんとしてください。そういう申入れを行ったのが5月26日です。
ここでお聞きしますが、要望書に対して、どのような処理をされたのか、お答えください。
○総合政策部長(前田一城君)
議員から提出されました文書につきましては、写しを議会事務局のほうに渡して、その趣旨を説明しているところでございます。
○本池涼子君
その趣旨というのは何ですか。
○総合政策部長(前田一城君)
議員が文書で書かれている、説明責任のことについて、議会事務局のほうに、説明したということです。
○本池涼子君
市長としては、その説明責任をきちんと議会のほうで果たしてください、議会事務局は答えてくださいという玉を投げていますという理解ですか。
○総合政策部長(前田一城君)
市長の権限内で指示とか命令はできると考えていますので、予算の執行に係る部分についてのみ、市長が、併任となっている議会事務局の職員に、その指示なり何なりができると思っています。
ただ、令和2年6月の監査結果の中でもありましたけども、財務会計上の違法とか無効なものは見受けられないという監査結果も出ておりますので、予算の執行という観点については、特に市長から何らかを指示するというようなものはないと認識しております。
○本池涼子君
よく分かりませんけど、説明責任を果たすのはとにかく市長の側です。それは今明らかになったのですから、議会事務局が補助執行しているのは執行部の権限でやっているのですから、そこはきちんとその答えていただくまで市長としても、指示・命令していただかないと困るのですが、それは今後もきちんとやっていただけるということですか。
○総合政策部長(前田一城君)
予算執行については、市長権限ですけども、先ほどのタクシーチケットの使用の取扱いは、市長権限ではないと認識しております。
それは議会のほうで決められていると思いますので、そこについては、市長のほうの説明責任はないという認識でおります。
○本池涼子君
議会のほうという議会というのは誰ですか。
○総合政策部長(前田一城君)
その取扱いを、どういうふうに決められているかを、私は今承知しておりませんけども、タクシーチケットの取扱いを決められたところということで、議会事務局になるか議会になるか分かりませんけども、そういう認識でおります。
○本池涼子君
議会といっても、この議会の中で、タクシーチケットの使用基準とか、話し合ったりとかしていないので、それは議会が決めた、いわゆる議長をトップとする議事機関としての議会が決めたものではないと思うのです。言われている議会というのがどこかと言われると、議会事務局の庶務課であって、だからこそ住民監査請求では、市長側として議会事務局庶務課が呼ばれて、意見の陳述ですとか、ああいうことをしているわけです。だから、それは市長の権限の側にあるものだからきちんと言っていただかないと困るのです。それを今後、きちんとしていただけますか。
○総合政策部長(前田一城君)
繰り返しになりますが、予算の執行という市長の権限内での指示は、市長からすべきというところは認識しています。先ほどから言うタクシーチケットの使用については、市長部局の職員として、議会事務局が定めたものではないと認識しております。
○本池涼子君
でしたら、この予算の執行、支出負担行為の前の段階は、市の一般事務になりますか。もう一回聞きます。
○総合政策部長(前田一城君)
議会でのことを取り決められたのではないかなと思っています。
○本池涼子君
令和2年6月5日の議会運営委員会で、議会費の執行に関してとか、その事務に関しては、一般事務に含まれると議会事務局が説明しているのですけど、それは違うのですか。
○総合政策部長(前田一城君)
議会における一般事務という意味ではないでしょうか。市長部局の一般事務という意味ではないのではないかと。
○本池涼子君
一般事務になるから、一般質問の対象になり得ると言っているのです。それは違うのですか。
○総合政策部長(前田一城君)
一般質問の対象になるかどうかというのは、こちらから言う問題ではないかなと思うのです。議会のほうで、いろいろ決められていると思いますので、こちらではお答えができない。
○本池涼子君
ちょっとこのやり取りでは、らちが明かないので、また今後に引き継がせていただきますので、私の元にはタクシーチケット問題はどうなったのか、一生懸命税金を納めているのに、あのような使い方があるのか、最後まで追及してほしいとの声が寄せられています。いつまで言っているのか、もういいじゃないか、こういった市民はいません。市民の納めた大事な税金を使っておきながら、謝罪も返金もない、説明責任を果たさないなどあってはならないことです。
市民から税金をいただき、それを使う市役所が、議会費については闇の中のような扱いをしていいのでしょうか。説明責任が果たされるまで、これからも追及していきますし、市民の税金を使っておきながら、このような曖昧な答弁については、今後も強く抗議していくことを申し上げて、次の質問に移ります。
続いて、難聴児の支援について質問いたします。聞こえにくい、聞こえない状態を持った子供たち、以下難聴児とまとめて言わせていただきますが、こうした子供たちにとって、専門的な知見に基づいた支援がいかに大事であるかは言うまでもなく、特に先天性難聴の子供たちは、出生直後から多くの専門家が関わって、本人や保護者の支援に当たっておられます。
国も近年、難聴児の早期発見、早期療育推進に力を入れており、令和4年に作成された難聴児の早期発見・早期療育推進のための基本方針には、その目的として、早期に発見し、適切な支援を受けることにより、自立した生活を送るために必要な言語、コミュニケーション手段の獲得につなげることが望ましいと必要性を強調しているところです。
この方針と足並みをそろえて、全国で新たな支援も行われるようになっているのですが、まず難聴児やその家族の支援について、下関市としてどのような考えを持って関わっているのか、簡単にお示しください。
○福祉部長(冨本幸治郎君)
難聴のお子さんやその御家族への支援に対する、市としての考えや関わりについて、お答えいたします。
本市は、下関市障害者計画において、「「ノーマライゼーション」と「リハビリテーション」の理念のもと、障害のあるなしにかかわらず、誰もが地域から必要な支援を受けながら、地域との関わりの中で、自分らしく暮らすことのできるまち」を基本理念としております。
難聴のお子さんやその御家族につきましても、この基本理念の下に、支援を行ってまいります。
○本池涼子君
難聴といっても程度はそれぞれで、その子一人一人に合った支援や教育が重要です。なので、難聴確定後も検査を繰り返し、その子の難聴の度合いや性格に合った指導支援が行われ、成長段階に合わせて、言語の取得はもちろん、今後社会で生きていくために必要な力をつけていく教育が行われていきます。
当然市内の学校や就学前施設でも、そうした関わりがなされているのですが、難聴児の家族や支援者からの相談に応じたり、アドバイスをする役割を中心的に担っているのが、下関南総合支援学校に山口県が設置している聴覚障害教育センター――以下センターと言いますが、ここになります。
ここがゼロ歳から成人までの相談を受け付けておられ、特に未就学児に関しては、定期的な療育を行っておられます。ちなみに、南総合支援のセンターは、県西部全域を受け持っておられます。
しかし、昨年度末、療育を担ってこられた先生が定年退職を迎えられ、その後任がいないとの理由で、これまでの療育が途絶える事態になりました。こんなことは通常あり得ないことで、3月末の保護者への説明会では、不安の声が相当に出たそうです。これはセンターを設置している県の特別支援教育推進室が言っていました。
なぜこうなったのかということを、推進室に聞いても、3月15日に、学校から教育相談を担当する教員がいないとの連絡を受けて事実を把握されたということです。学校のことなのでとか、個人に頼り過ぎていたのでしょうという対応でした。来年度の体制については、学校のほうで検討中というお答えでした。このような対応を聞いて、どうでしょうか。
そして質問なのですけど、下関市の様々な部局がこちらのセンターと関わりがあると思います。この今の療育の、あえて縮小と言わせていただきますが、縮小の件について、連絡があったのか、お聞きします。
○教育長(磯部芳規君)
お尋ねの山口県立下関南総合支援学校、聴覚障害教育センターからの通知については、令和5年3月22日付、「きこえに関する教育相談の運営について」の文書、教育委員会では封書にて受け取っています。
令和5年度の乳幼児等の相談及び支援の実施について、運営体制が整っていない状況であり、今後の運営については、現在、関係機関等と業務等の見直しを含め協議している旨の通知です。
○福祉部長(冨本幸治郎君)
福祉部におきましては、同じく令和5年3月22日付で、同じ内容の通知のほうを受け取っております。
○本池涼子君
教育委員会と福祉部に来たということなのですけど、この連絡を受けて、なぜこのような事態になったのかという確認はされたのでしょうか。
○教育長(磯部芳規君)
通知文書を受け取る前に、山口県立下関南総合支援学校から、3月末で言語聴覚士の資格がある方が退職するため、相談体制の維持が難しい状況について、情報提供を受けておりましたことから、改めての問合せはしておりません。
○福祉部長(冨本幸治郎君)
福祉部のほうでは、窓口に直接いらっしゃって、同じような説明のほうを受けております。そのため、確認のほうはしておりません。
○本池涼子君
今のなぜの部分なのですけど、なぜというのが退職ということが答えになっているのですけど、そうではなくて、公立学校ですから、なぜ後任がいないのかという確認をしていただきたかったのですが、それはしていないということでいいですか。
○福祉部長(冨本幸治郎君)
その後の体制を協議中とお聞きしておりましたので、特別こちらからお聞きしておりません。
○教育長(磯部芳規君)
通知の中で、きこえに関する教育相談につきましては中断し、実施方法等が決定次第、改めてお知らせいたしますとありますので、確認はしておりません。
○本池涼子君
ただ、このときに、もっと確認をされていたら、その後の対応というのも変わっていたのかなと私は思います。
人事については、確かに山口県の問題です。しかし、今実際に困っているのは下関の子供たちとその保護者です。これまで療育を受けていた未就学の子供たちに関しては、一時的に療育が受けられなくなっていましたが、定年退職された先生が非常勤で来てくださったことで、5月から再開しました。ただ勤務時間が週2日の10時間となったことで、これまで月2回受けることができていた療育は月1回になりまして、教育の機会が半減しています。
また、新規の受付ができていないため、令和4年度の後半から令和5年度の最初にかけて生まれた子供たちの中で、難聴と診断された子供さんはセンターで療育を受けることができていないようなのですけど、乳幼児健診を担当している保健部ではこうした状況について、何か把握はされていたでしょうか。
○保健部長(八角 誠君)
保健部としては把握しておりません。
○本池涼子君
このたびの件に関しては、下関市として、山口県に抗議してもいいような内容です。しかしこの間、このセンターと関わりがある部局に聞きに行ったところ、その件についてもちろん知りませんとか、うちでは分からないとか、そういった言葉を何度も聞きました。
最初に、基本理念を述べていただいたのですが、これも聞き取りのときに、福祉部と決まっただけであって、それについても答える人が分からない。この問題を通じて、市の中に、難聴児やその家族が相談をしたり、案内を受けたりするところがないのだと感じているところです。
そして、これまで難聴に関する情報提供や幅広い相談に乗ってくださっていたのがセンターであり、そこにいた先生だったということです。
保護者からしたら、まさか自分の子供が難聴など思いもせず、まず受け止めることから、大きな山を越えなければなりません。不安でたくさん涙も流されたでしょう。保護者の親だって経験もなく、分かりません。
そんな中で、相談に乗ってくれていた先生がいなくなり、後任がいないため療育も満足に受けることができない。これだったら、療育がしっかりと受けられる場所に引っ越そうと思うのは当然の話です。早期療育ができないなら、何のための早期発見なのかと、涙ながらに言われるお母さんにも会いました。今は各自治体の状況を簡単に知ることができますので、他の自治体と比べて、子供のためにどういう選択をするか、自分事として考えてみてください。
それで、今考えなければならないことは主に三つあります。一つは、今半減している療育の機会、未就学児の療育機会の確保を県と市で一緒に考えていただくということです。
二つ目は、来年度から後任の先生が来られない場合、教育は学校で、補聴器のメンテナンス等の医療に関しては、宇部医大で行うようになる可能性が高まっています。宇部医大の先生が受け入れてくださるので、それ自体はありがたいのですが、これまで療育は1か所で済んでいたのに、別々に行かなければならないということになり、その分仕事を休んだりする必要が出てきます。この負担の軽減を県と市で一緒に考えていただきたいと思います。
当然この1か所での療育というのが絶対条件ですけど、それができるまでの間の対応として、この2点について考えていただけるでしょうか。
○福祉部長(冨本幸治郎君)
まず、この事業に関連することにつきましては、山口県の責任の下に行われるべきものと考えておりますが、状況によりましては、本市の既存の事業などでカバーできるものも含めまして、対応を検討させていただきたいと考えております。
○本池涼子君
当然、山口県の責任なのですけど、こういう実態が起きた市としても、ぜひ深く関わっていただけたらと思います。
そして三つ目ですが、今述べた二つのことをしながら考えていかなければならないこととして、専門的な教員の確保と育成、これを考えなければなりません。これを山口県に対して問題提起をしていただきたいと思っています。
今回の問題に関して、なぜこのような事態が起きたのかを関係機関に聞いてまいりましたが、一番大事な部分についてが、曖昧で原因に目を向けることを避けているようにも見えました。県の推進室は、退職された先生のようなスキルを持った先生がほかにいない、定年退職された先生がいかに優れていたかということを強調されていました。
私も初めはそう思っていたのですが、そういったスキルを持った先生がなぜいなくなったのか、これを考えなければならないと思い調べていきますと、平成20年に聾学校、盲学校、養護学校を統合し、5障害に対応した総合支援学校に移行したことにより、障害種別に精通した教員が育たなくなっている問題が見えてきました。
例えば、聴覚障害専門の先生が、知的障害児を担当することもあるそうですし、当然異動も出てきます。障害を持つ子供たちにとってもプロが関わることで、獲得できるものがもっとあるかもしれないのに、その機会を摘んでしまうことにならないでしょうか。いいことがなかったとは言いませんが、少なくとも、先生が定年退職したから療育ができないという属人的な状況が生まれているのは事実です。
目の前の対応をしつつも、総合支援学校開校時から振り返って、専門性を持った教員の育成ができなくなっている実情に目を向けなければ、根本的な解決にはならず、保護者が一番必要としている1か所での療育というのも実現できません。
そういった意味で、現場を抱えている自治体の責任として県に実情を上げる、そういった能動的な動きをしていただきたいのですが、これはどうでしょうか。
○福祉部長(冨本幸治郎君)
まずは、今回の話を受けまして、下関南総合支援学校に、現状のほうを確認したいと思います。
その上で必要な場合は、山口県に対しても確認を行い、確認をした結果、難聴のお子さんや御家族の方の支援に関して必要な場合には、総合支援学校と山口県に対し何らかの働きかけを考えていきたいと思います。
○本池涼子君
よろしくお願いいたします。次に、早期発見に欠かせない新生児聴覚スクリーニング検査について質問いたします。この新生児検査ですが、出産後3日頃に行われるもので、産院によって違いはあるものの、3,000円から1万円ほどの範囲で全額自己負担となっています。はっきり言って負担感は大きいですが、生まれたばかりの赤ちゃんの健康状態はみんな不安ですし、万が一のことがあってはいけないと、ほとんどの方が検査を受けています。一方で負担の大きさから検査を受けられない方がおられるのも事実です。
国は、難聴児の早期発見・早期療育の観点から検査費用を出しておりまして、平成18年までは国庫補助をしていましたが、平成19年度からは地方交付税措置に切り替えており、令和4年度からは新生児聴覚検査費として交付しています。この費用が幾ら入ってきているのか、令和3年から令和5年の3か年についてお示しください。
○財政部長(塚本滉己君)
新生児聴覚検査に係る地方交付税措置につきましては、今議員から御案内あったとおり、令和3年度までは、少子化対策に関係する経費の内数であったため、正確な算定額が不明ではございましたけれども、令和4年度から、新生児聴覚検査費として個別に算定されており、本市におきましては、令和4年度は約238万円、令和5年度は約237万円が基準財政需要額に算入されているところです。
○本池涼子君
約240万円が公費助成のために入ってきているのですが、下関では実施をしていません。なぜそういう判断になるのか、お示しください。
○保健部長(八角 誠君)
まず、新生児に対する聴覚検査につきまして御説明いたします。この検査は、聴覚障害の早期発見、早期療育を図ることを目的として実施しており、市内の全ての産科医療機関で検査が受けられる体制となってございます。山口県においては、県下全域において、検査の実態把握やフォローアップ体制等を整備しており、令和3年度の県の実績報告では、本市医療機関で出生した新生児の受検率は99.1%となってございます。
次に、御質問の検査の公費負担の件でございますが、地方交付税は使途を制限されない一般財源として自治体に交付されており、本市におきましても、様々な施策に要する一般財源の一部として活用しております。
新生児聴覚検査の経費が地方交付税措置されていることは承知しておりますが、現状の新生児聴覚検査の高い受検率に加え、他の事業との優先順位を考慮したものとなってございます。
○本池涼子君
受検率が高いからということになるかと思いますけど、この公費助成の目的は、国からどのように示されているのか、把握しておられたらお願いします。
○保健部長(八角 誠君)
公費助成の目的については把握しておりません。
○本池涼子君
先ほど、財政部長のほうから、地財措置については御案内があったのですけど、その時の同じ通知が保健部にも届いているかと思います。その前日に、国から、「新生児聴覚検査費に係る受検者の経済的負担の軽減について」という通知が届いているかと思うのですけど、それを御覧になっていないのかなというお答えなのですが、それには受検者の負担軽減とあるのです。
だから、これは受検率が高かろうが低かろうが関係ないのです。受検率が高くても、やはり実施しなくてはいけないし、地方交付税として来るものだから、ぜひやってくださいと保健部として言わなければいけないことなので、これはきちんと目を通していただきたいと思います。
〔説明資料を議場内ディスプレイに表示〕
○本池涼子君
モニターを見ていただきたいのですが、これは昨年公表された、国が行った令和2年度、3年度における新生児聴覚検査の実施状況についての調査の一部で、令和3年度の実施状況を記したグラフです。山口県の状況は、全国ワースト1位、これになりますが、令和2年度も同じくワースト1位でした。恥ずかしい話です。
その後は山口市などが実施を始めていますが、依然としてその実施率は低いままで、全国から非常に後れを取っています。下関市では10月からボートレース基金を財源にした子ども医療費無償化が始まります。保護者からすればありがたいことなのですが、新生児聴覚検査の公費助成分として、国が財源措置をしているのだから、それをきちんと子供たちのために使うことから始めてほしいと思います。
山口県の遅々とした状況には、産科を含む医療関係の方々からも批判の声が上がっているようです。こうした一つ一つの積み重ねが出生率に影響してきますし、経済的負担は、子育て世帯を追い詰めてしまう大きな要因にもなりかねません。
国の調査によりますと、既に令和3年度現在で、全国1,741市区町村のうち1,273市区町村で公費助成が行われています。下関市では来年度からどうされるのか、方針が決まっていれば教えてください。
○保健部長(八角 誠君)
新生児に対する聴覚検査の公費負担の導入は、子供が健やかに育つための環境づくりの一つとして重要なものと捉えております。
次年度以降につきましては、現時点で見通すことは困難でありますが、他の事業との優先順位を考慮しつつ検討しているところでございます。
○本池涼子君
検討の際には、初回検査のみならず、確認検査、精密検査の費用に関しても前向きに考えていただきますよう、お願いいたします。
保健部にお聞きしましたところ、令和3年に生まれた子供たちの中で、初回検査の結果、要再検査となった子供は7人です。決して、確認検査の助成ができない数字ではないはずですので、対応のほうをきちんと考えていただきたいと思います。
最後に、補聴器の補助について質問いたします。聴覚障害を持つ方にとって必要不可欠な補聴器ですが、特に難聴児の場合、これからの人生でずっと必要になるものです。下関市では補聴器の購入に対する補助を行っておられますが、補助内容や対象機器に関して幾つか課題が見受けられます。
〔説明資料を議場内ディスプレイに表示〕
○本池涼子君
まず、モニターを見ていただきたいのですが、補聴器本体と、補聴器装用のために必要な部品を集めた写真です。これは乳幼児のケースです。これほどの部品が必要ですし、ここに写真はありませんが、就学時には補聴器とつなぐマイクや受信機、マイクとかも10万円以上するものなのですが、これも購入する必要があるそうで、負担が大きいのが実際です。
まず、補聴器購入や修理費用の助成に関する制度内容について、簡単にお示しください。
○福祉部長(冨本幸治郎君)
補聴器の購入助成制度の助成内容についてお答えいたします。身体障害者手帳が交付されている方の場合、国の制度として、補装具費支給制度の対象となります。利用者は、厚生労働省の定めた基準額の1割の負担となりますが、生活保護世帯や市民税非課税世帯では負担はありません。
市民税課税世帯でも、一月の負担の上限額は3万7,200円ですが、同一世帯に市民税所得割が46万円以上の方がおられる場合は、支給対象外となります。
また、身体障害者手帳が交付されていない方でも、山口県の制度として、軽度・中等度難聴児補聴器購入費等助成制度がございます。この制度は、市内に居住している18歳未満の難聴児で、補聴器が必要であると医師が判断した方が対象となります。
利用者は、購入費の3分の1の負担となりますが、同一世帯に市民税所得割が46万円以上の方がおられる場合は、助成対象外となります。
○本池涼子君
続いてお聞きします。この映っている部品の中で、今御説明いただいた助成制度の対象になるものと、ならないものとがあると思いますので、それぞれお答えください。
○福祉部長(冨本幸治郎君)
今、お示しいただいている品目のうち、補聴器本体とイヤーモールドは助成の対象となりますが、そのほかは助成対象になっておりません。
なお、マイクにつきましては、学生が授業など集団の中で声や音を聞く必要があると認められた場合は、ワイヤレスマイクが助成の対象となっております。
○本池涼子君
これほど必要なものはあるけれども、助成の対象となるのはごく一部であることが分かると思います。特に一番私がお聞きするのは、交換頻度の高い電池です。この電池ですけど約2週間で交換になるため、年間にして結構な量が必要です。関係者のお話の中では、以前は電池も助成の対象となっていたそうなのですけど、近年はその対象から外れて自己負担になっているということです。この対象について、利用者の声も聞きながら、対応していただければ、いいかなと思いますので、よろしくお願いいたします。
さらに踏み込んで、軽度・中等度の難聴児についてお聞きします。先ほど御説明いただきました助成制度の内容について、簡単に基準価格や所得制限、所得条件などの細かいことは除いて、まとめて表にしたものが、こちらになります。
〔説明資料を議場内ディスプレイに表示〕
○本池涼子君
例えば、マイクが先ほど必要と認められる場合は、助成があるということなのですけど、一般的にマイクと受信機と補聴器を同時に購入した場合、これで考えると、合計金額は約40万円ほどになります。これが、手帳があれば自己負担は約4万円、さらに上限が設定されていますので、4万円以下になるということです。
片や手帳なしでは、これの約3分の1になりますので、13万円ほどで、これは自己負担になります。難聴の程度が違っても、同じように補装具を必要とするのに、軽度・中等度の子供さんに関しては、自己負担が大き過ぎとは思わないでしょうか。そして、軽度・中等度難聴児は、特別児童扶養手当の対象にもなりません。
特別児童扶養手当の要件には、手帳がなくても対象となることがあるとはっきり書いてあるのですが、難聴の条件が90デシベル以上になっています。90デシベル以上というのは、手帳交付のレベルであって、他の障害との重複がないなどの難聴のみの障害を持った軽度・中等度難聴児は対象から漏れてしまうということになります。つまり、軽度・中等度の難聴児に関しては、購入費の負担も大きく、手当てもないということになります。
この軽度・中等度難聴児補聴器購入費等補助事業、そして特別児童扶養手当の内容についても、いま一度確認していただくとともに、せめてこれらの子供たちに、自己負担の上限を設けてほしいというのが、難聴児やその家族に関わる支援者の方々の願いです。
この件について検討をお願いしたいのですが、福祉部長、何かあったらお願いいたします。
○福祉部長(冨本幸治郎君)
今、議員さんからお話があった件については、中途失聴で難聴になられた方からも、同様の御要望をいただいております。現在こちらのほうでも、今後の検討課題ということで、今、検討を進めているところでございます。
○本池涼子君
検討のほう、よろしくお願いいたします。今回、難聴児の教育環境について質問しましたが、子供たち一人一人が幸せに生きる権利を持っています。その達成のために、行政のみならず、様々な場所で子供たちに献身的に関わっている方がおられ、社会で少しでもその子らしく生きていくために、必要な力を身につけさせたり、保護者や支援者を支えています。こうした体制の中身を充実させていくことが何よりの障害者支援であり、ここが抜け落ちたまま、形ばかり寄り添う格好をしても、それは誰のためにもなりません。
子供たちの幸せに生きる権利を、大人の事情で侵してはいけない。これは、障害児に、市内で関わっておられる関係者の方の言葉です。
最初にお聞きし、福祉部長に答えていただきました基本理念から見て、今私が述べてきた療育体制、スクリーニング検査、補聴器助成、これらの在り方はどうでしょうか。
下関市では、令和3年に、手話言語条例が制定されましたが、その目的には、「手話及びろう者に対する理解を広げ、相互に地域で支え合い、安心して暮らすことのできる下関市を目指す」とあります。こうしたことも、もちろん大事なのですが、具体的な中身が伴っていなければ、厳しいことを言うようですが、ただの美辞麗句にすぎません。
今回は難聴児ですが、その他の障害についても、一人一人の子供たちが尊厳を持って生きていくために、行政がしなければならないことは何か、困っている人はいないか、常にそうした視点で市民に関わっていただきたい、そのことをお願いしまして、私の質問を終わります。(拍手)
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