録画中継

第3回定例会
9月24日(水) 本会議(一般質問4日目)
日本共産党 下関市議団
桂 誠 議員
1.豊北地域リノベーションのまちづくり
2.下関市の農業振興【21分30秒から】
3.下関市内における民間の再生可能エネルギー事業【40分59秒から】
【下関市議会 本会議速報版】
・下関市議会では、本会議の正式な会議録が作成されるまでの間、速報版を掲載いたします。
この速報版は、会期終了後約1か月程度で掲載します。
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○議長(林真一郎君)
 18番、桂誠議員。(拍手)
 〔桂誠君登壇〕
○桂誠君
 日本共産党下関市議団の桂です。
 まず初めに、豊北地域リノベーションのまちづくりについてです。
 令和5年度から始まった豊北地域リノベーションのまちづくり事業も、3年目の本年度が最終年度となりました。
 そこで、この事業の成果と課題についてお尋ねします。
 この事業が始まったとき、リノベーション、この豊北町で何を再生するんじゃ、豊北町には何もありゃあせんとか、今さら再生というてももう手後れやとか、大金かけて何もできりゃあせん、地域活性化起業人はパソナってや、東京から来て田舎を食い物にして一もうけするんじゃろなど、悲観的な言葉や否定的な言葉ばかり聞こえてきました。それほどに、私たちの住んでいる豊北町に対して期待も希望もなかったのです。
 少子・高齢化が進み、高齢化率58%、右を見ても左を見ても高齢者ばかりです。子供も年間10人前後しか生まれません。基幹産業である農業、漁業も衰退が激しく、後継者がいません。基盤整備した田は荒れ放題。イノシシ、鹿、猿が我が物顔で作物を食い荒らします。明るい話題のない豊北町ですので、何を考えても悲観的になるのも無理はありません。何やっても駄目や、今さら手後れやという諦めの気分が大勢を占めていました。豊北町の魅力、ポテンシャル、可能性が見えなくなっていました。豊北町に残り頑張っている若者がいても、目に入らなくなっていました。
 このような豊北町に、豊北地域リノベーションによるまちづくりが始まりました。最初に行われたのは、滝部地区再発見のための町歩きでした。思った以上の参加があり、びっくりしました。口では豊北町は駄目と言いながら、心の奥底では何とかしたいと思ってるのかなと感じました。
 町歩きの後の意見交換会と親睦会で、いろんな意見がどんどんと出てきました。そこでは、否定的、悲観的な意見ではなく、こうしたらいいのではないか、これは使えるなどなど、前向きな意見が出ました。心の中では、自分たちの住んでる豊北町を何とかしなければという思いを持っているのですが、もう駄目、手後れという雰囲気が大きくなっていたのです。前向きに考えていこうとする機会が、きっかけが必要だったのです。滝部地区再発見のための町歩きが、そのきっかけを与えました。
 事業の3年間が終わろうとする今、豊北町の雰囲気が大きく変わりました。大きな成果があったのではないでしょうか。
 豊北地域リノベーションのまちづくりは、多くのマスコミでも大きく取り上げられました。それほど注目され関心を持たれた事業だと言えます。
 そこで、今回は、3年間を振り返るとともに、この成果を継続するためにはこれからどのような取組が必要なのかを考えるために質問します。
 4町本気の再生の下、地域再生計画などがつくられました。再生しなければいけないほど落ち込んでいるわけですが、そこでお尋ねします。
 豊北地域リノベーションのまちづくりの事業に取り組む前の豊北町の状況について説明してください。
○豊北総合支所長(熊井一雄君)
 豊北地域のリノベーションのまちづくり事業に取り組む前の豊北町の状況についてお答えいたします。
 議員が今申されましたように、豊北町においては人口減少と高齢化が非常に進行しております。昭和30年に約2万8,000人いた人口は、現在、令和7年7月末現在でございますが、7,090人となっております。高齢化率は、先ほど申されたとおり58%を超え、空き家なども増えている状況が続いております。また、多くの若者の流出により、年間の出生数は10人程度、農業、漁業など第1次産業従事者も著しく減少し、耕作放棄地も散見されております。さらには、次世代につなぐ若者世代の極端な減少などから、地域コミュニティーの衰退、崩壊も危惧されており、悲観的な雰囲気が豊北地域内に広がっている状況であったものと認識しております。
 以上です。
○桂誠君
 ただいま説明がありましたように、人口減少が大きく進んだ豊北町は、高齢者が多く、空き家も多く、荒れた農地も多い状況でした。それゆえ、豊北町に対する思いも、今言われましたように、諦めしかありませんでした。このような状況の豊北町にとって、豊北地域リノベーションのまちづくりは待ちに待った事業でした。
 そこで、お尋ねします。
 この豊北地域リノベーションのまちづくり事業の概要と目的について、いま一度お示しください。
○豊北総合支所長(熊井一雄君)
 事業の概要と目的についてお答えいたします。
 本事業は、今あるもの、人を生かしつつ、民間主導の公民連携で地域再生を図るものでございます。建物・空間、産業、働き方、地域住民といった4つのリノベーションを柱に取り組むもので、まずは豊北地域の中心に位置する滝部地区において、生活や交流の拠点化を図っています。また、地域活性化起業人や地域おこし協力隊など外部人材の活用にも力を入れ、遊休公共施設や空間、空き家の再生、地元担い手の支援や育成、まちづくりワークショップ等に取り組み、移住・定住を促進しておるところでございます。
 以上です。
○桂誠君
 ありがとうございました。
 行政的には、確かにこの事業の目的はそうでしょう。しかし、住民にとって、この事業でひょっとしたら豊北町がよくなるかもしれないという期待を生みました。この思いを大切にしていったのもこの事業ではなかったかと思っています。
 移住・定住の促進ということで、建物や空間のリノベーションが行われました。旧教職員住宅を改装して住めるようにしました。
 スライドを見てください。
 〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○桂誠君
 これは、公共施設跡地を利用したシェアビレッジです。人々が集まり憩うことを目的にしたものです。大変すばらしい施設ができております。
 そこで、お尋ねします。
 建物・空間のリノベーションということで、どのような取組が行われましたか、お答えください。
○豊北総合支所長(熊井一雄君)
 建物・空間のリノベーションの取組についてお答えいたします。
 これまで、公共未利用空間や旧教職員住宅等を活用し、地域交流や移住・定住に向けた拠点を整備いたしました。旧教職員住宅は●住居●として再生し、管理運営を地域のまちづくり団体に任せております。また、滝部地区の中心エリアにおいて、まちづくり団体がリノベーションを行っている民間の空き家3軒に囲まれた空き地、先ほど議員がスライドでお示しされたところでございますが、その空き地も、地域内外の人が集い交流できる空間へと再生してきました。令和6年度、7年度には、旧消防署待機宿舎を、短期から長期滞在に対応した、交流できる居住施設として再生しているところでございます。
 このように、市としても、地域の本気の再生へ取り組む姿勢を示し、移住・定住に向けた環境整備を進めてきたことで、地域住民の方も、何かまちづくりに関わりたいと考え、行動する人たちが増えてきたように感じております。
 以上です。
○桂誠君
 このように、空き公共施設の活用だけでなく、民間の空き家の活用も大切です。そういう活動も生まれてきております。
 当時、豊北小学校の校長先生が、児童を増やすために、民間の空き家を探し、紹介することで、移住を促進することに取り組まれました。そのことに地域も賛同し、提供できそうな空き家探しに協力する動きも現れ、豊北町に移住しようという人も徐々に増えてきました。
 移住者については、数も大切ですが、移住する人がいるという事実が大切です。豊北町は若い世代の人が移住するほど魅力のある町なんだと再認識させてくれました。
 そこで、お尋ねします。
 豊北町へのUターンを含め、どのような方が移住されていますか。把握されている範囲で結構ですので、お示しください。
○豊北総合支所長(熊井一雄君)
 豊北町へどのような方が移住されたかについてでございますが、カフェなどの起業や地域活動に意欲のある若者や中高年層の方、また都市部から豊北町の魅力に引かれて来られた方、豊かな自然の中での生活を求めた子育て世代や、また地域内での二拠点生活を始めた方など、様々な方が現在豊北町に移り住んできております。
 以上です。
○桂誠君
 思った以上の方が豊北町の魅力を感じ、移住してきておられます。二拠点生活をされた方って、私の前におられる方かな。どう、大変よろしいでしょう、豊北町。そういう大変魅力のあるとこなんです。
 これからは、豊北町の魅力を発信し、移住者を増やしていく必要があります。移住者の存在は、地域にとって大きな刺激になります。
 また、産業や働き方のリノベーションについても取り組まれました。その一環で行われた令和6年11月16日のリノベーターズサミットでは、実に550人もの人が集まりました。会場だった太翔館がいっぱいになりました。一日あったのですが、あっという間に過ぎました。内容も盛りだくさんで、一つ一つが考えさせられるものでした。産業が衰退している豊北町にとって、いま一度産業について考えるチャンスをもらえました。
 豊北町は働くところがないけえ若者が残らんほいやとよく言われています。確かにそのとおりだと思います。この働くことについても、豊北地域リノベーションのまちづくりで取り組まれました。まさに豊北町が一番欲していることではないでしょうか。
 働き方のリノベーションとしてということで、地域テレワーカー育成実証事業が取り組まれました。びっくりしたのは、若い人の参加が多かったことです。成果の発表会に出席したのですが、豊北町にこんなやる気のある若者がいるのかと再認識しました。若者が働き場所を求めている豊北町にぴったりの事業でした。参加者の熱気もすばらしいものでした。
 そこで、お尋ねします。
 産業や働き方のリノベーションとして取り組まれたことをお示しください。
○豊北総合支所長(熊井一雄君)
 産業や働き方のリノベーションの取組についてお答えいたします。
 地元事業者や若者、移住者による新事業創出の支援や、事業共創型ワーケーションツアーの開催、地域テレワーカー育成事業、下関北高校との連携によるデジタル人材育成などを実施してきております。
 議員も先ほど申されましたように、特に令和6年11月に開催したリノベーターズサミットでは、550人の参加者が地域内外から集い、豊北地域の未来をそれぞれの立場で考えるいい機会となりました。地域と都市部の企業などが交流することで、新たな事業共創や起業につながっていくものと期待しているところでございます。
 また、テレワーク人材育成では、女性や若者の参加が多く、新たな働き方、雇用形態の多様化にも一定の成果が見られております。
 このような交流の機会が増えたことにより、地域内でも外部の人たちを受け入れる力を少しずつではございますが身につけているように感じております。
 以上です。
○桂誠君
 ありがとうございました。
 豊北町の一番の課題は、最初でも申し上げたように、何をやっても駄目やと、もう手後れやという悲観的な否定的な雰囲気が大きなことです。意識を変えなければいけないということで、意識啓発事業も行われました。
 そこで、お尋ねします。
 地域住民のリノベーションで取り組まれたことをお示しください。
○豊北総合支所長(熊井一雄君)
 地域住民のリノベーションの取組についてお答えいたします。
 豊北地区まちづくり協議会や、豊北町内にある各地区の振興協議会、地域おこし協力隊等と連携いたしまして、リノベーションまちづくりに関する各種セミナーやワークショップを開催してきました。また、意識啓発や、リノベーションまちづくりの担い手発掘伴走支援にも力を入れ、民間まちづくり団体の設立へとつながっています。具体的には、うみまちスタイルやたきびれっじなどのまちづくり団体が組織されまして、空き家管理、買物支援、宿泊事業等に取り組むほか、協力し合いながら新しい地域価値の創出へつなげておるとこでございます。
 このような地域住民等の意識の変化や前向きなチャレンジの広がりが、大きな成果の一つであると考えております。
 以上です。
○桂誠君
 ありがとうございました。意識の変化は大きなものだったと私は思っております。
 このように、多くの取組の中から確実な成果が生まれてきました。今紹介がありましたように、特牛のうみまちスタイル株式会社とたきびれっじが生まれたことは大きな成果の一つではないかと考えています。
 うみまちスタイル株式会社は、空き家の管理、空き家を利用した宿泊事業、地域住民の買物の利便性向上のためのYショップ特牛うみまち店の運営などをしておられます。また、豊北町でお店を開く人も増えております。
 私は、この豊北地域リノベーションのまちづくりの一番の成果は、やはり豊北町住民の意識の変化、そしてこのように動き出す地域住民が現れてきたことではないかと思っています。豊北町の人たちと話していても、以前のように悲観的な言葉が少なくなりました。町のいろんなことに興味を持った会話も多く聞かれるようになりました。あそこに新しい店ができたげな、今度行ってみようなど、気持ちが前向きになったように思います。
 また、9月21日に阿川で、空き家管理などを含めた、阿川の暮らしについて考える会が開かれました。これは滝部で行われ、特牛で行われ、そして広がりを持ち、阿川で行われたものです。多くの方が参加されました。思った以上の参加で、びっくりしました。高齢化の進んだ豊北町ですが、それなりのやり方があるのではないかと思っています。
 豊北地域リノベーションのまちづくり事業は本年度で終わりますが、多くの成果を上げました。この成果をさらに伸ばしていくのはこれからの仕事です。事業が終わったので後は知りませんとはなりません。この事業をきっかけとして、さらに発展させていく必要があります。
 そこで、お尋ねします。
 この事業の成果を継続していくためのこれからの取組についてどのように考えておられるのか、お示しください。
○豊北総合支所長(熊井一雄君)
 この事業の成果を今後継続していくために、これからの取組についてお答えいたします。
 リノベーションまちづくり事業の成果を長期的に継続発展させるため、滝部地区で得たモデルやノウハウを豊北町内各地へ広げていくことが非常に重要であると考えております。それぞれの地区が持つ特徴や強みを生かしながら独自のリノベーションまちづくりを展開できるよう、引き続き取組を進めてまいりたいと考えております。
 もう既に、先ほど議員のほうから御紹介もありましたが、阿川地区や、また角島地区でも空き家管理や暮らしを考える会を開催するなど、他の地区へも波及し始めております。現在の取組の成果は着実に根づきつつあるものと考えております。
 これからも、住民が主体となった本気の再生に向けて、伴走支援や情報発信の充実を図りながら、地域と共に今後も取り組んでまいりたいと考えております。
 以上です。
○桂誠君
 ありがとうございました。
 当初は、行政主導になってリノベーションが行われました。その事業の中から民間の動きが出てきました。今言われたとおりです。豊北町の再生を考えるなら、住民が主体的に活動しなければ真の再生はないと思っています。住民の主体性を生かせるように、行政の後押しが必要だと思っています。
 次に移ります。下関市の農業振興についてです。
 豊北町滝部の駅前に楽天農業の事務所がありました。かつては豊北物産販売の店があったわけですが、楽天農業に貸していました。令和5年から2年間は、従業員の車や人が見られましたが、現在はこのように看板も外され、人も車も見えません。楽天グループ株式会社が楽天農業を株式会社PEACEに譲渡したため、楽天農業株式会社は株式会社Revegeに社名変更したとのことでした。
 楽天農業は、令和5年より、豊北町の耕作放棄地を30ヘクタール借り受け、耕作していました。主に国営農地で利用されていないところでしたが、阿川の休耕田も借り受けておられました。有機野菜を栽培するとして、初年度は主にサツマイモを栽培しておられました。次の年は、ブロッコリーやカリフラワーも栽培しておられました。
 楽天農業の事業は有機野菜の栽培だけが目的ではないと社長は言っておられました。最初は従業員として働き、農業を覚えてもらい、その後、独立して、一家の農家を育てるそうです。その独立した農家と契約栽培をしてもらい、安定した収入を確保するとのことでした。また、楽天農業が加工工場を運営し、規格外野菜を含めて加工販売する事業を展開して、農業の6次産業化を目指すと言われていました。
 また、豊北町に進出するに当たり、楽天農業は下関市と次のような農業連携協定を結びました。オーガニック農業の推進、新規農業者の育成と移住、6次産業化の推進、ICT活用の支援、農業と福祉の連携、学校等と連携した農業指導や食育等などでした。
 そこで、お尋ねです。
 旧楽天農業と下関市と結んだ連携協定はどの程度進んだのでしょうか、お答えください。
○農林水産振興部長(三木正之君)
 令和4年3月に締結しました下関市、楽天グループ株式会社、楽天農業株式会社の農業連携協定につきましては、3者それぞれが有する情報、ネットワーク、ノウハウなどの経営資源を有効に活用し、相互に連携して取組を進めることにより、下関市内の農業の振興及び地域の活性化を図ることを目的として締結し、議員御説明ございました連携●事項●に取り組むこととしておりました。
 これまでの実績といたしましては、楽天農業株式会社は下関市内において令和4年度から遊休農地等の借入れを開始し、有機JAS認証を取得して有機農業に取り組まれており、令和7年9月現在、約35ヘクタールの遊休農地等が再生され、楽天農業株式会社から社名変更いたしました株式会社Revegeに引き継がれております。
 また、新規就農者の育成の取組につきましては、楽天農業株式会社が農業体験チャレンジ事業にて、就農希望者の7名の短期の農業体験を受け入れるとともに、同社に雇われ農業技術を習得した県外出身者1名が市内で独立自営就農を開始しており、就農前の就農計画の作成から就農後の定着まで、関係機関と連携し、支援を行っております。
 さらに、学校と連携した食育に関する取組として、豊北小学校の児童を対象に、楽天農業株式会社出身者が栽培いたしましたサツマイモの収穫体験を行い、収穫物を豊北小学校及び豊北中学校の給食で使用いたしました。
 株式会社Revegeからは、今後も積極的に新規採用していきたいとの意向を伺っておりますので、本市といたしましても、関係機関と連携し、新規就農希望者の雇用及び独立自営就農の支援を行ってまいります。
○桂誠君
 ある一定の成果はあったんではないかと思います。ぜひともその成果を継続できるようにしていただきたいなと考えております。
 楽天農業の社長は、開発の当初から、イノシシの害のひどさを話されておられました。植えたサツマイモをほじくり返して食べる、農地を掘って荒らす、害獣柵を造っても突進して破ってしまう。長門市にも楽天農場があったわけですが、イノシシが出ることに対して、社長は、豊北町のイノシシはたちが悪いと嘆いておられました。確かに豊北町のイノシシは年季が入っていますが、そう言われてもなと思いました。
 また、新規農業者も育っていますが、イノシシの少ない美祢で就農すると言われています。今、市内で就農すると言われてましたので、ちょっと情報が錯綜しております。
 しかし、あの楽天グループ株式会社は豊北町から撤退してしまいました。また、農業連携協定も、楽天農業からの解約希望を受けて、今年3月31日をもって解約するとしています。従業員については、株式会社Revegeがこれまでどおり継続するとしています。
 そこで、お尋ねします。
 楽天農業が株式会社Revegeに社名変更して、事業の継続はどのようになるのか、また地元農業に与える影響はどのようなものと考えておられますか、御説明ください。
○農林水産振興部長(三木正之君)
 株式会社Revegeへ社名変更いたしましたが、楽天農業株式会社が下関市で実施していた取組について、事業方針等に大きな変更はなく、今までどおり継続するとされております。現状では、新規就農者の確保育成が喫緊の課題であるため、採用活動を行い、人員の確保に取り組むと聞いておりますので、市としても引き続き支援を行ってまいります。
 また、本市では、令和7年度新規事業として、有機農業を実践している農業法人等に雇用された方を支援する有機農業推進事業を創設いたしましたので、当事業も活用して、新規就農者の育成を支援してまいります。
 本市といたしましては、株式会社Revegeと引き続き連携し、これまでと同様に地域農業の活性化に取り組んでまいりたいと考えております。
○桂誠君
 楽天農業の影響は、やっぱり新しい農業を模索していくということで、大変いいことだと思いますが、旧楽天農業の親会社である楽天グループは、株式会社が撤退していったわけですが、撤退した理由を私なりに考えてみました。
 旧楽天農業は、有機野菜を主に栽培することにより収益を上げようとしました。東南アジアに輸出し、富裕層に買ってもらうという構想を持っておられました。
 有機野菜は、有機JAS規格に沿うためには農薬や化学肥料を抜くために1年から2年の期間が必要なので、すぐには有機野菜として作付できません。ですから、有機栽培が軌道に乗るためにはそれなりの時間がかかります。その期間が、企業にとって収益の上がらない期間になったのではないでしょうか。
 また、農業というのは食料を生産します。食料は、誰もが生命を維持するために必要なものです。その食料を、市場原理に乗って価格をつり上げたらどうなるでしょう。食料が買えない人が出てきてしまいます。ですから、食料は誰もが買える価格が適正価格となるのです。ほかの商品とは性格が違います。その適正価格は、企業にとっては収益の出にくい価格なのではないでしょうか。
 収益を追求する企業がもうからなければ、撤退するのは当たり前です。ですので、農業振興を企業に頼るのには無理があります。下関市の農業振興を考えるなら、今ある農家を元気にすることを考えなくてはいけないのではないでしょうか。
 さて、その下関市の農家は、大部分が零細農家です。中でも大部分を占めるのが稲作農家です。しかし、高齢化が進み、後継者がいません。それでも日本の食料生産を担っています。
 このようなとき、政府は米の増産にかじを切りました。米不足の原因はここでは追及しませんが、米不足を解消するのは喫緊の課題です。
 そこでお尋ねですが、政府が米増産へとかじを切ったことに対して下関市はどのように考えているのか、お示しください。
○農林水産振興部長(三木正之君)
 8月5日に開催された米の安定供給等実現関係閣僚会議におきまして、総理は、米の生産量に不足があったことを真摯に受け止めるとし、増産にかじを切ること、耕作放棄地の拡大を食い止め、農地を次の世代へつないでいく等の考えが示されたことは承知しております。
 市といたしましては、米生産におけるこのような状況を踏まえ、令和9年度以降に水田政策の転換を図るとしております国の動向について、引き続き注視をしてまいります。
○桂誠君
 下関市で米の増産を考えるならばどのような課題があるのか、私なりに考えてみました。
 まず、水田面積を増やす必要があります。作りにくい山あいの田や小さな田は、もう随分前に耕作放棄していますので、復活は無理です。しかし、基盤整備をして害獣柵を設置した田で放棄された田はかなりあります。これらの田は、手を入れればまだまだ復活させることができます。復活を奨励するために、次のようなことを考えてはどうでしょうか、お尋ねします。
 米増産のために、耕作放棄している田を復活させた農家に対して、面積に応じて奨励金を出すというのはどうでしょうか。
○農林水産振興部長(三木正之君)
 耕作放棄地の解消に対する支援につきましては、既存事業として、やまぐち農林振興公社事業に遊休農地解消対策事業、本市事業に遊休農地等有効活用促進事業がございます。
 議員御提案の、米の作付自体に対する助成というのはございませんけれども、国の経営安定対策等の中にある、米等の価格が下落した際の農業収入全体の減少による影響を緩和する米・畑作物の収入減少影響緩和交付金事業を活用し、米農家への支援を行っているというとこでございます。
○桂誠君
 いろいろな制度を活用して、ぜひとも米の増産に取り組んでもらいたいと思います。
 次に、設備の問題があります。古い機械を使ってる農家は、この機械が壊れたら田を作るのをやめると言います。機械が壊れても、高額の機械を買うぐらいなら、農業をやめることを選択します。私のコンバインも、片側のクローラーが破けて、13万円かかりました。しかし、片一方のクローラーが残っていましたので、修繕しまして続けております。
 農業をやる上での支出の大部分を占めるのが、農機具の購入です。現在、下関市は、スマート農機の購入には補助金を出しています。農機具が壊れたら農業をやめようとする農家が、スマート●農機●を買おうとは思いません。買っても、普通の農機具か中古の農機具です。
 そこで、お尋ねします。
 スマート農機ではない普通の農機具や中古の農機具を購入した農家に対して購入補助金を出してはどうでしょうか。
○農林水産振興部長(三木正之君)
 スマート農業機械でない従来の農機具や中古の農機具については、購入費用が安価なため、規模の小さい農業者にも導入しやすい面はございますが、特に中古の農機具は、同じ型式でも価格や品質に大きなばらつきがあること、新品と異なり故障リスクが高く、継続的な利用が担保されにくいことなどから、補助事業として採用するには難しい面もございます。
 一方で、スマート農業機械は、従来の農機具に比べて初期投資が高額となるものの、経験の浅い農業者でもベテランと同様に作業の効率化や省力化を実現できるため、安定した農業経営や生産技術の継承にも大きく役立つものと考えており、経費の一部を支援することで導入の促進を図っております。
 市におきましては、引き続き農業者の御意見を伺いながら、皆様の負担軽減に向けた施策を検討してまいりたいと考えております。
○桂誠君
 ありがとうございました。確かに、中古の農機具は危険がありますね。私も13万円でコンバインを買ったんですが、2年間しか使えませんでした。
 次に大きな問題は、害獣対策です。
 下関市の稲作にとって、イノシシ、鹿の害は大きな課題です。何しろ年季が入っていますので、楽天農業の社長が嫌がるぐらいですので。この点については、下関市も理解しておられ、猟師を増やすことや害獣柵の設備補助など、かなりきめ細かい対策をしていると思っています。ありがたいことです。助かっている農家も多くいるのではないでしょうか。しかし、なかなか害獣被害が減らないのが現状です。
 このような中、豊北町田耕朝生地区で取り組んだ害獣対策が農林水産大臣賞を受けました。これは、地域を挙げてイノシシ、鹿の潜みそうな場所をなくしていこうという生息地管理というものです。
 私も、どのくらい効果があるのか、私の田近くのイノシシが潜みそうなところの草刈りをしました。近くの農家2人を誘って刈ったのですが、効果がありました。何と今年は私の田のイノシシの害がないので、びっくりしている状況です。イノシシの害がないのは実に10年ぶりなのです。毎年毎年、2割、3割がイノシシの被害を受けておりました。
 そこで、お尋ねします。
 地域を挙げてのイノシシ対策を、効果があるということで奨励し、実施した農家に奨励金を出すことはできないでしょうか。
○農林水産振興部長(三木正之君)
 本市では、イノシシを含めた鳥獣被害対策の3つの柱である防護、捕獲、そして議員お示しのありました生息地管理について、地域の皆さんが集落の課題等を把握し、自ら取り組む地域ぐるみの鳥獣被害対策を県と共に推進をしております。
 これまで、議員御案内の豊北町田耕朝生地区のほか、吉田足河内地区でこの取組がなされており、奨励金という形ではございませんけれども、地域で作成した活動対策プランに沿った防護柵の設置や、集落と山林の境界付近における樹木等の伐採除去による緩衝帯の整備に対しての支援を行ってきたところでございます。
 今後も、県とも連携し、地域ぐるみの鳥獣被害対策の推進普及に努め、実施した地域に対して必要な支援を行ってまいりたいと考えております。
○桂誠君
 ありがとうございます。この生息地管理はかなり効果があるんじゃないかと僕は思っています。ですから、奨励金も何もですが、こういうことのほうがいいんではないかという、みんなに知らせていき、そして生息地をきれいにしていくということを援助していただければ、啓蒙していただければなと考えております。
 最後の課題は、農家のやる気を引き出すということです。
 今年の農協の米の買取り価格は4月に発表され、去年よりもかなり高い金額でした。それでも、今年は増産しようという農家は、私の周りにはなかなかいません。買取り価格が上がっても、農業経営の赤字は改善しないからです。
 さきにも述べましたように、農産物は食料であり、誰もが買える価格が適正価格なのです。これは決して農家の経営を安定させる価格ではないのです。何らかの補助金を投入しなければ経営が安定しません。
 稲作農家のやる気を引き出すために、お尋ねします。
 稲作農家の経営を安定させるための補助金の新設は考えられないでしょうか。
○農林水産振興部長(三木正之君)
 農業者への経営安定に関する支援につきましては、先ほど御紹介いたしました米・畑作物の収入減少影響緩和交付金に加えまして、既存事業として、農業共済組合に、自然災害や価格低下など農業者の経営努力では避けられない収入減少を広く補償する収入保険や農作物共済などがございます。
 また、本市では、物価高騰への緊急的な対策として、国の重点支援交付金を活用して、令和6年度2月補正予算により、肥料等高騰対策農業者支援事業を措置して、農業継続のための支援を実施しているとこでございます。
 市といたしましては、水田政策に大きく転換を図るとした国の動向、先ほども申しましたが、こちらの動向を注視しながら、農業者の経営安定に必要な施策を適宜検討してまいります。
○桂誠君
 既存の政策でもかなり効果はあると思うけど、知ってないというのがありますので、ぜひともその辺の広報に努めていただきたいと思っています。
 農業政策は、国がきちんと方針を出すべきです。今回の米の増産のように、米不足だから増産ではなく、日本の将来を見詰め、食料はどうあるべきか考え、方針を出すべきではないでしょうか。下関市も、長期的な見通しを持った農業政策に取り組む必要があると私は考えております。
 次に移ります。下関市内における民間の再生エネルギー事業についてです。
 まず、現在下関市で計画されている風力発電は2つあります。1つは、豊北町と長門市にまたがる白滝山の風力発電事業計画と、豊浦沖の大規模風力発電計画です。この2つの風力発電計画についてお尋ねします。
 白滝山での風力発電事業計画は、JR東日本株式会社ときんでん株式会社が共同で計画していました。高さ150メートルの風力発電機を18基建てるものです。地元では、大切な自然が破壊されるのではないかや、粟野川や海の水質悪化や白滝山の環境悪化が心配されています。住民は、計画撤回を求めて、昨年6月から撤回を求める署名活動に取り組んでおり、現在も継続中です。
 このような中、7月に入り、JR東日本の事業撤退ときんでんの事業継承を説明して回っておりました。JR東日本の撤退を受け、きんでんが単独事業としてやっていくとのことです。住民の間では、採算が合わないのだろうとか署名活動が影響したのだろうと臆測が流れています。環境アセス途中での撤退となり、2社の事業から単独1社の事業になるのですが、お尋ねします。
 環境アセスメントの取扱いはどうなるのでしょうか。経営条件が違うので、最初からなのでしょうか。それとも、一緒にやってきた1社が継続するので、環境アセスメントも継続なのでしょうか、お答えください。
○環境部長(吉田誠君)
 事業の引継ぎにつきましては、環境影響評価法第30条にその規定がございまして、当該事業につきましても、法令に基づき引継ぎの手続を踏めば、環境アセスメントは継続となります。
○桂誠君
 ありがとうございました。継続ということですね。
 地域住民たちは、たとえ事業が1社になろうとも白滝山風力発電事業は継続するので、環境破壊、自然破壊の懸念は残ると言っております。下関市の自然を守っていく責任があると思います、下関市は。
 そこで、お尋ねします。
 下関市として、自然を守ってくれという住民の声をどのように受け止め、どう対処するのでしょうか。
○環境部長(吉田誠君)
 当該事業の環境影響評価方法書につきましては、一般の方から多くの意見書が事業者に提出をされており、本市環境審議会において、それらの意見に対する事業者見解についても御審議をいただき、審議会委員の御意見を踏まえた答申に基づき、山口県知事に市長意見を提出したところでございます。
 なお、市長意見においては、環境影響評価の結果、新風力発電所の建設、稼働に伴い、自然環境や生活環境に著しい影響を及ぼす可能性が明らかになった場合は、事業規模の縮小、中止等も含めた環境保全措置等を検討し、事業計画に反映されたいとの意見を山口県知事に対して述べております。
○桂誠君
 ぜひとも住民意見を反映させていただきたいと、そのように思っています。
 豊浦沖の大規模風力発電計画は、今までもいろんな企業が計画してきました。今回、ドイツの再エネ企業RWEの日本法人RWE Renewables Japanが計画しているものです。
 お尋ねします。
 今回の事業はどのようなものか、お示しください。
○産業振興部長(津野貴史君)
 現在、一般海域において洋上風力発電事業を行う際には、平成31年に制定された海洋再生可能エネルギー発電設備の整備に係る海域の利用に関する法律、いわゆる再エネ海域利用法に基づき、国が主体となり事業を推進することとなっております。
 議員お示しの豊浦沖において洋上風力発電を行いたいと考えている事業者の計画につきましては、市でも承知してるところでございますが、内容につきましてはあくまでも事業者によるものでございますので、お答えは差し控えさせていただきます。
○桂誠君
 分かりました。ありがとうございました。
 この大規模風力発電エリアの周りはサワラやイワシの好漁場となっておるわけですが、これについて豊浦沖の大規模洋上風力発電の漁業への影響をどのように認識しておられるのか、答えられるところでお願いします。
○産業振興部長(津野貴史君)
 先ほど申し上げましたとおり、事業者の計画につきましては本市としての見解を述べるものではないと考えますけども、仮に洋上風力発電事業を実施する場合においては、何かしら漁業に対しての影響はあるものと想定されます。
○桂誠君
 ありがとうございました。
 計画によると、風力発電機は陸地から2キロのところに設置されているものもあります。住民は、冬の西の風、北西の風が吹いたら騒音や低周波の体への影響が考えられると言っております。
 そこで、お尋ねします。
 豊浦沖大規模洋上風力発電は健康への影響はないのでしょうか、お答えください。
○産業振興部長(津野貴史君)
 洋上風力発電事業に関する騒音等の健康への影響につきましては、事業主体により十分検証され、環境アセスメントの過程においても丁寧に説明されるものと認識しております。
 以上でございます。
○桂誠君
 かつて安岡沖にも洋上風力発電が計画されていました。住民の低周波騒音の健康への影響から、強い反対運動が起こりました。今でも、洋上風力発電は10キロ沖に造れという看板が残っています。下関市は、住民の反対運動を受け、安岡沖の風力発電に反対しました。
 そこで、お尋ねします。
 豊浦沖の大規模洋上風力計画は、安岡沖洋上風力発電と同じように、住民が健康被害や漁業への影響を心配しております。下関市は、安岡沖洋上風力発電と同じように、豊浦沖の大規模洋上風力発電計画に対して反対の立場を取るべきではないでしょうか、お答えください。
○産業振興部長(津野貴史君)
 先ほど御説明いたしましたとおり、安岡沖の場合はまだ一般海域での洋上風力発電の実施スキームが確立していなかったため、事業者主体で事業が進んでおりましたが、平成31年に再エネ海域利用法が制定され、国により事業が進められることになりましたので、現在計画している事業者により一方的に事業が進むことはございません。
 以上でございます。
○桂誠君
 一方的に進められないという言葉を信じます。
 三菱商事が秋田県と千葉県沖で進めようとしていた洋上風力発電事業から、採算が見込めないということで撤退しました。再生可能エネルギーは、自然の中にある太陽光や風力など、薄くあるエネルギーを集めるものです。ですから、火力発電などと違って効率が悪いという宿命があります。なかなか採算ベースに持っていくのは難しいものがあるようです。
 また、健康被害など、まだ明らかになってない被害もあるのではないでしょうか。さらに、利益は都会へ、リスクは田舎へという構図も見えます。これからも注意して見ていきたいと考えております。
 以上をもちまして質問を終わります。(拍手)
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