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宮野 直樹 議員
第4回定例会 12月11日(水) 本会議(一般質問2日目)
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内容
会議録
第4回定例会
12月11日(水) 本会議(一般質問2日目)
宮野 直樹 議員
1.AEDの使用環境の改善について
2.日常生活用具給付事業について
【下関市議会 本会議速報版】
・下関市議会では、本会議の正式な会議録が作成されるまでの間、速報版を掲載いたします。
この速報版は、会期終了後約1か月程度で掲載します。
・速報版の会議録は校正前原稿であり、今後修正されることがあります。
なお、音声で認識できなかった部分は一時的に「★」で表示しています。
・校正後の会議録が「会議録検索システム」に掲載された時点で、速報版の会議録は校正後の会議録に差し替えます。
△一般質問
○議長(香川昌則君)
日程第11 これより「一般質問」を行います。
本日は、御手元に配付の通告一覧表により、6番から10番までの通告者について行いたいと思います。
それでは、順次質問を許します。6番、宮野直樹議員。(拍手)
〔宮野直樹君登壇〕
○宮野直樹君
おはようございます。無所属の宮野直樹です。通告に従い一般質問をさせていただきます。
一つ目のテーマは、AEDの使用環境の改善についてです。
初めに、AEDの必要性について質問をさせていただきます。AEDは心臓がけいれんし、血液を流すポンプ機能を失った状態である心室細動になった心臓に対して電気ショックを与え、正常なリズムを取り戻すための医療機器です。
我が国では、平成16年、厚生労働省がAEDの一般市民による使用を認可しました。これにより、医療従事者ではない一般市民も緊急時のAED使用が可能になりました。総務省消防庁の「令和5年度版救急・救助の現況」によると、令和4年中に一般市民が心原性心肺機能停止の時点を目撃した傷病者は2万8,834人です。タブレットの資料を御覧ください。
〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○宮野直樹君
一般市民がAEDを使用し、除細動を実施した傷病者の1か月後の生存率は50.3%です。119番のみの傷病者の1か月後の生存率は6.6%のため、その差は約7倍となっています。119番に加えて、胸骨圧迫を実施した傷病者の1か月後の生存率は12.8%のため、その差は約4倍です。
次の資料を御覧ください。一般市民がAEDを使用し、除細動を実施した傷病者の1か月後の社会復帰率は42.6%です。119番のみの傷病者の1か月後の社会復帰率は3.3%のため、その差は約13倍となっています。119番に加えて胸骨圧迫を実施した傷病者の1か月後の社会復帰率は8.8%のため、その差は約5倍です。
このように、万が一のとき、AEDを使用し、早期に適切な処置を行うことで、救命率はもとより、社会復帰率も大きく向上することが分かります。
そこでお尋ねします。AEDの必要性について御見解をお示しください。
○保健部長(八角 誠君)
議員御紹介のデータに加えまして、消防庁の「令和5年度版救急・救助の現況」によりますと、救急車が現場に到着する所要時間、これは全国平均で約10.3分となっております。また、心臓が心室細動を起こすと1分経過するごとに約10%救命率が下がっていくと言われています。
このことから、救急車が到着する前に速やかにAEDを使用し適切な処置を行うことで、より多くの人命救助につなげていくことができると考えております。
○宮野直樹君
AEDの必要性について御説明をいただきました。本市における2023年中の救急出動件数は1万7,349件で、前年と比較し674件増加しています。救急車で医療機関へ搬送された方は1万5,341人で、前年と比較し2,292人増加しています。1日の平均出動件数は47.5件で、約30分に1回の割合で救急隊が出動したことになり、年間では、下関市民17人に1人の割合で救急隊に搬送されることになります。こうした状況からもAEDの必要性は今後ますます高まると私は考えています。
次に、設置の状況について質問をさせていただきます。本市のホームページを見ると、民間企業を含めた下関市内のAED設置情報は、日本救急医療財団の全国AEDマップで、設置情報が検索できるようになっています。また、下関市保健部がAEDを設置している公共施設については、山口県オープンデータカタログサイトで情報が閲覧できるようになっています。
そこでお尋ねします。本市が所管しているAEDの設置状況についてお示しください。
○保健部長(八角 誠君)
令和6年11月末時点における保健部所管のAEDの設置件数といたしましては、243台、236施設となってございます。また、主な設置施設といたしましては、厚生労働省の示す「AEDの適正配置に関するガイドライン」に従い、市庁舎、公民館、小中学校、スポーツ施設、集客施設、高齢者施設などに設置しているところでございます。
○宮野直樹君
AEDの設置状況について御説明をいただきました。冒頭に述べた総務省消防庁の「令和5年度版救急・救助の現況」では、全国で一般市民が心肺停止を目撃した傷病者は2万8,834人です。そのうち一般市民がAEDを使用し、除細動を実施した傷病者は1,229人となっています。その使用率は約4.3%となっており、低い状況です。
そこでお尋ねします。本市の一般市民におけるAEDの使用状況はどのようになっているのか、お示しください。
○保健部長(八角 誠君)
本市の一般市民のAEDの使用状況につきまして、御説明のあった一般市民が目撃した心原性心肺機能停止の傷病者数、そのうち、一般市民がAEDで電気ショックを実施した傷病者数及び使用率について、令和2年度以降の状況をお知らせします。
令和2年が54人目撃のうち、AED使用2人、使用率3.7%、令和3年が67人目撃のうち、AED使用1人、使用率1.5%、令和4年が66人目撃のうち、AED使用2人、使用率3%、令和5年が79人目撃のうち、AED使用1人、使用率1.3%、令和6年が78人目撃のうち、AED使用2人、使用率2.6%となってございます。
○宮野直樹君
市民の皆さんにより、AEDが救急・救助に使用されているということは分かりました。その一方、先ほど述べたとおり、全国的にも一般市民がAEDを実際に使用するケースはまだまだ少ないのが現状です。
そこでお尋ねします。AED使用につながらない要因としてどのようなことが課題と考えられるのか、御見解をお示しください。
○保健部長(八角 誠君)
心停止に対して、一般の方によるAED使用例が少ない理由は、現場付近にAEDが存在したものの、使用に至らなかった場合と、AEDが未設置であった場合が考えられます。
これまでのAEDの普及は、設置台数を増やすことに重点を置いてきましたが、今後の課題として、一般の方によるAED使用を進めるために、より効果的な配備を進め、設置場所の周知についても推進していく必要があると考えております。
○宮野直樹君
課題について御説明をいただきました。私はAEDの使用率が低い要因として、AED機器に関する要因と救助者の意識に関する要因、この二つが大きくあると考えています。AED講習の普及や設置の促進は、これは進んでいます。また、心肺蘇生を受ける人、AEDによる電気ショックを受ける人の数は年々増加しており、救われる命も増えています。AEDが一般市民に解禁されて20年がたった今、先ほど御答弁にもあったように、AEDの設置がゴールではなく、今後はより効果的かつ戦略的なAED配備と管理を進めていくことが重要です。特に公共施設においては、施設利用者のみならず、誰もがいつでもアクセスできる環境が求められます。
そこでお尋ねします。夜間など、施設の閉館中の場合は、AEDをどのように使用できるのか、また、24時間アクセスできる設置場所はあるのか、お示しください。
○保健部長(八角 誠君)
現在、保健部所管のAED設置施設においては、宿日直業務等により24時間職員が常駐している一部の施設はアクセスが可能ですが、原則として施設閉館中はAEDを使用することができないという状況でございます。
○宮野直樹君
閉館中のAEDの使用と、24時間アクセスできる設置場所について御説明をいただきました。現状として多くの施設が閉館時にはアクセスできない状況です。こうした閉館時のアクセス制限が市民の救命において大きな障壁となる可能性があります。
次に、AEDの使用環境の改善について質問をさせていただきます。
先日、市民の方より寄せられた事例を紹介します。御相談をいただいた方は医療従事者の資格を有しています。そうしたこともあって、ある日、御自宅にいたところ、知人より近所で人が倒れたと連絡がありました。瞬時に119番の通報の指示を出し、奥さんと小学生の娘さんとすぐに現場へ駆けつけたところ、倒れている方は呼吸がない状態でした。直ちに心肺蘇生を開始すると同時に、近くに学校があることから、奥さんと娘さんへ学校にAEDを取りに行くよう指示を出しました。しかしその日は土曜日の夕方でした。学校は閉まっているため、持ち出しが困難な状況です。奥さんと娘さんは、人命救助に対する強い思いから、校舎のガラスを割りました。その際、手を負傷したそうです。そして、ガラスを割った箇所から鍵を開け、学校内に入り、AEDを現場に届けました。奥さんと娘さんの勇気ある行動の結果、救急車到着前にAEDを作動させることができ、尊い命を救うことができました。
この事例からも分かるように、AEDは人命救助として大きな役割を果たしています。その一方、使用するための環境に課題があるのが現状です。
そこでお尋ねします。市民の命を守るためには、閉館中であっても、AEDを使用できる環境が必要であると考えますが、御見解をお示しください。
○保健部長(八角 誠君)
先ほども御答弁いたしましたとおり、現在、AEDは施設内部に設置しており、原則として、施設閉館中は使用することはできません。ただいま御紹介いただいた事例からも、人命救助の観点から、AEDを常に使用できる環境整備の必要性は認識しているところでございます。
○宮野直樹君
AEDの使用環境の改善について、その必要性を認識しているということを理解しました。
では次に、屋外の設置について質問をさせていただきます。他市の事例では、AED24時間対応事業として、公共施設内に設置されているAEDについて、順次、屋外に専用ボックスの設置を行うことで、施設の閉館時でも使用できるようにし、24時間365日使用可能な環境をつくることを進めている自治体があります。
例えば、AEDと企業広告を一体化させることにより、行政にとっては広告収入により保守メンテナンス費用を賄える効果があり、広告主にとっては企業イメージを高める効果に期待できます。他市の事例を参考に、順次、屋外へのAED設置を進めていくべきだと私は考えています。
そこでお尋ねします。屋外へのAED設置を検討すべきと考えますが、御見解をお示しください。
○保健部長(八角 誠君)
AEDの屋外設置につきましては、屋外に設置することによる盗難対策や、精密機器であるAEDの適切な管理手法など、課題もございますが、施設所管課と相談し、対応を検討してまいりたいと考えております。
○宮野直樹君
課題をクリアして、ぜひ前向きな御検討をお願いしたいと思います。
では次に、民間企業との連携について質問をさせていただきます。一般財団法人日本救急医療財団が作成したAEDの適正配置に関するガイドラインでは、コンビニエンスストアへの地方公共団体によるAEDの設置は、心停止後の救命率を向上させることを目的とした地域のPADプログラムの推進という点、また、危機管理も念頭に置いた各店舗と行政との連携という点において推奨されています。全国的にもコンビニエンスストアと協定を結んでいる自治体は多い状況です。
また、千葉県我孫子市では、誰でも24時間使える状態でAEDを設置する場合、購入費などの半額最大25万円を補助する制度を導入しています。
そこでお尋ねします。こうした事例を参考に、民間企業と連携を図り、24時間AEDを使用できる環境づくりが必要と考えますが、御見解をお示しください。
○保健部長(八角 誠君)
緊急時に24時間AEDを使用できる環境づくり、これを検討していく上で、コンビニエンスストアなど24時間営業の民間企業との連携を図っていくことは大変有用であると認識しております。
本市といたしましても、他団体の取組等を参考に研究してまいりたいと考えております。
○宮野直樹君
ぜひ民間企業ともしっかり連携をして前向きな御検討をしていただきたいと思います。
それでは最後に、今後の取組について質問をさせていただきます。本市では、これまでAEDの設置や普及啓発を進めてこられましたが、先述のとおり、一般市民による使用は少ない状況です。AEDが設置されているだけでは十分にその役割を果たせず、使用環境の改善や意識啓発など、さらなる取組が必要です。また、施設閉館時のアクセス制限や市民がAEDの設置場所や使用方法を知らないことが救命率向上の妨げとなる可能性があります。
以上を踏まえ、最後にお尋ねします。AEDの使用環境の改善に向けて、今後どのように取り組まれるのか、お示しください。
○保健部長(八角 誠君)
今後の取組といたしましては、先ほどの課題を解決していくため、救助者の意識向上やAEDマップを利用した設置場所の周知を図っていくとともに、御要望いただいた施設閉館時のアクセス制限等に対する取組につきましても、他団体の事例等を参考とし、本市のAED設置状況や施設の状況に応じた環境改善に取り組んでまいりたいと考えております。
○宮野直樹君
今後の取組について御説明をいただきました。市民の命を守るためAEDの使用環境の改善を進めていただけるよう強く要望して、この質問を終わります。
それでは二つ目のテーマは、日常生活用具給付事業についてです。
初めに、近年の見直し状況について質問をさせていただきます。日常生活用具給付事業は、障害者総合支援法第77条、地域生活支援事業のうち、市町村が行う必須事業の一つとして規定されており、事業の目的は、障害者等の日常生活がより円滑に行われるための用具を給付または貸与すること等により、福祉の増進に資することとされています。障害のある方が地域生活を営む上で大変重要な事業です。
一方で、新たな給付対象用具など、時代の変化に対応し切れていないといった課題があります。令和6年3月、障害保健福祉部主管課長会議資料において、「当事者団体等からは、一部の市町村においては、長期間にわたり種目や基準額等の見直しが行われていない状況にあるとの声も寄せられているところである。このため、各市町村においては、平成18年の障害者自立支援法以前に国が定めた基準額や実施方法にとらわれることなく、定期的に当事者の意見聴取によるニーズ把握や実勢価格の調査等、地域の実情に即した、適切な種目や基準額となるよう定期的な見直しに努められたい」と記載されています。
そこでお尋ねします。種目や基準額など近年の見直し状況についてお示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
近年の日常生活用具の種目の見直しのうち、新たな種目といたしましては、令和4年4月に、人工呼吸器の装着が可能な方が災害時に使用できるよう、人工呼吸器用非常用電源を、また、令和5年4月に、入浴時の介助者の負担が軽減できるよう、折り畳み式または空気式等により簡単に移動できる浴槽を追加したところでございます。
種目の内容変更といたしましては、令和4年4月に、情報・通信支援用具といたしまして、視覚障害のある方の音声読み上げソフトに、従来のDVD版ソフトに加えて、Web版ソフトも対象に含めました。
なお、基準額につきましては、近年見直した種目はございません。
○宮野直樹君
近年では、人口呼吸器のバッテリーとか非常用電源ですね。それと浴槽、また視覚障害者の方に対する給付の内容です。そうしたことを見直しているということが分かりました。
では次に、給付対象用具の見直しについて質問をさせていただきます。日常生活用具の種目については、厚生労働省告示第529号により6種目が定められており、種目ごとに日常生活用具参考例が示されています。これは平成18年に示されたものであり、当事者ニーズに即したアップデートをしていかなければならないと私は考えています。
そこでお尋ねします。給付対象用具の見直しの要件はあるのでしょうか、なければ、見直しの考え方についてお示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
ただいまの議員の御説明にもありました厚生労働省告示第529号には、日常生活用具の要件として次の3点が示されております。障害者等が安全かつ容易に使用できるもので、実用性が認められるもの、二つ目といたしまして、障害者等の日常生活上の困難を改善し、自立を支援し、かつ社会参加を促進すると認められるもの、三つ目といたしまして、用具の製作、改良または開発に当たって障害に関する専門的な知識や技術を要するもので、日常生活品として一般に普及していないものという3点でございます。したがいまして、この三つの要件に該当するものであれば見直しの対象になると考えております。
○宮野直樹君
本市における、給付対象用具の見直しの要件と考え方について御説明をいただきました。事業の目的である障害者等の日常生活がより円滑に行われるためには、常に利用者ニーズの把握と最先端技術に目を向けていく必要があると私は考えています。
このたびの定例会において、日常生活用具に関する陳情がありました。排泄予測支援機器――DFreeの追加認定を要望されています。このDFreeは尿のたまり具合を数字で可視化できるのが特徴です。例えば、重度の知的障害や自閉症のため、トイレでの排せつに課題のあるお子さんについて、尿意の表現が難しく、どのタイミングでトイレに連れていっていいか分からず、困っている保護者の方は多数おられます。
DFreeを使用することで、トイレ誘導が可能となり、トイレで排せつする経験を積むことで、お子さんが自信を持てるようになったという事例があります。また、お子さんのトイレのサインが分かるようになり、排せつが円滑にいくことにも期待できます。埼玉県行田市、東京都港区など、既に取り入れている自治体を参考に、導入に向けて検討いただくことを私からも要望したいと思います。
次に、暗所視支援眼鏡について質問をさせていただきます。暗所視支援眼鏡は、網膜色素変性症の夜盲や視野狭窄などの症状を補い、助ける機能を持った眼鏡です。網膜色素変性症は見るための重要な組織である網膜の細胞がダメージを受けるもので、視力低下、失明にもつながるおそれのある進行性の病気です。確立された治療法はないため、補助機器や、白杖などを使ってできるだけ影響を抑える対策が必要となります。我が国では、人口10万に対し、18.7人の患者がいると推定されています。
そこでお尋ねします。本市の網膜色素変性症の方の人数についてお示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
令和6年12月1日時点で、網膜色素変性症による、視覚障害の身体障害者手帳を保有されている方は146名いらっしゃいます。
○宮野直樹君
本市には、網膜色素変性症の方が146名いるということが分かりました。厚生労働省障害者総合福祉推進事業、令和3年3月、日常生活用具給付事業の実態把握報告書では、社会福祉法人日本視覚障害者団体連合会より、暗所視支援眼鏡など、視覚障害者にとって有益な製品は日常生活用具の対象に指定すべきとされています。
また、公益社団法人日本網膜色素変性症協会からも、暗所視支援眼鏡の給付を認めてほしい、就労を考えている子供や若者にも有効な機器である。また、災害時の自力移動、避難が可能となり、障害者の自立にもつながるとされています。両団体ともに約40万円という価格の機器であるため、給付対象となり、自己負担が減れば購入できるが、給付対象でない場合、全額自己負担で購入することが難しいといった課題も挙げられています。この暗所視支援眼鏡は九州大学病院と民間企業、公益社団法人日本網膜色素変性症協会が数年の研究を経て共同開発されました。
先日、この共同開発の際、臨床試験に携わっていた市内にお住まいの網膜色素変性症の当事者の方にお話を伺う機会がありました。その方は御自身で鍼灸マッサージを営んでおり、海響マラソンでマッサージのボランティアに取り組むなど、病気を抱えながらも精力的な活動をされています。しかし、病気の進行により視力の低下や視野が狭くなり、仕事や活動をいつまで続けられるのか不安を抱えていました。また、外で転倒したことをきっかけに、買物や余暇など、1人で外出することにも不安を抱えています。
臨床試験の際に、暗所視支援眼鏡を使用したところ、暗い場所でも見え方がよくなり、床にある障害物の認識もできたそうです。そして、現在は7度程度の視野が30度程度まで広げることもできたそうです。
30度とはどの程度かということを聞いてみたところ、ストローからのぞくようなイメージだということを教えていただきました。私たち(晴眼者)からすれば僅かのように感じますが、御本人いわく30度見えるようになれば、外出時の安心感が違うということを言われています。そこで、暗所視支援眼鏡の購入を検討したようですが、高額な価格が課題となり、なかなか購入に踏み切れないというのが現実です。もし暗所視支援眼鏡が日常生活用具の対象となれば、夕方まで仕事をして、近くのスーパーに1人でも行くことができる。また、私と同じ病気の方で、ほかにも助かる方はいると言われています。
日常生活用具の要件では、先ほど御答弁があったとおり、障害者等が安全かつ容易に使用できるもので、実用性が認められるもの、障害者等の日常生活上の困難を改善し、自立を支援し、かつ社会参加を促進すると認められるもの、用具の製作、改良または開発に当たって障害に関する専門的な知識や技術を要するもので、日常生活品として一般に普及していないものとされています。まさに本事業の目的に合致している用具ではないでしょうか。
そこでお尋ねします。暗所視支援眼鏡を日常生活用具の給付に追加するべきだと考えますが、その御見解をお示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
議員が今御説明されましたように、国が示しております三つの要件にも該当していると考えますので、今後、他市の事例なども確認いたしながら、検討していきたいと考えております。
○宮野直樹君
ぜひ、御検討のほうよろしくお願いいたします。
次に、紙おむつ等の対象者について質問をさせていただきます。日常生活用具給付事業の排泄管理支援用具の中に紙おむつ等の給付があります。本市において対象者は3歳以上で、高度の排便または排尿機能障害、脳原性運動機能障害を有し、かつ、意思表示が困難なものとされています。
そこでお尋ねします。高度の排便または排尿機能障害、また、脳原性運動機能障害を有し、かつ意思表示が困難な者とはどういう状態の方を指すのか、お示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
まず最初に、「高度の排便または排尿機能障害」というところでございますが、一つ目が、ストマ周辺に、軽快の見込みのない皮膚の著しいびらんがある、または、ストマの変形があって、ストマ装具を装着できない状態である。二つ目が、先天性鎖肛を除く先天性疾患に起因する神経障害によって、高度の排尿または排便の機能障害がある状態。三つ目が、先天性鎖肛に対する肛門形成術に起因する高度の排便排尿機能障害があるという状態を指しております。
また、「脳源性運動機能障害を有し、かつ意思表示が困難な者」とは、おおむね3歳未満で発症した脳性麻痺等により四肢機能障害や体幹機能障害があり、自力でトイレに行けない、または自力で便座に座ることができない、介助による定時排せつをすることができないという状況にある方を指します。
○宮野直樹君
対象者の状態像について御説明をいただきました。
先日、重度障害のあるお子さんがいるお母さんの声を伺いました。そのお子さんは染色体異常が原因で、重度の障害があるため、おむつの給付対象にはなりません。お子さんと同じ事業所を利用されている方は対象となっており、身体の状態、意思表示の困難さなど、ほぼ一緒の状態ですが、脳原生運動機能障害ではないため、対象となる制度のはざまに置かれています。
こうした中、おむつの給付対象者を拡大している自治体もあります。宮崎県延岡市では、令和4年3月より、紙おむつの支給要件を見直し、給付対象者を拡大しています。また、兵庫県神戸市も、令和5年4月支給分から紙おむつ対象者の拡大をしています。いずれも拡大のポイントは、脳原性運動機能障害に限定せず、排尿排便の意思表示が難しく、自力でトイレに行けず、自力で便座に座れず、介助による定時排せつもできない人が対象となることです。
そこでお尋ねします。他市の事例も参考に、紙おむつ等の対象拡大について検討が必要と考えますが、御見解をお示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
紙おむつ等の対象者拡大につきましては、他市の事例なども確認いたしながら、検討してまいりたいと考えております。
○宮野直樹君
対象者拡大についてぜひ、これも他市を参考に御検討のほうよろしくお願いいたします。
次に、基準額の見直しについて質問をさせていただきます。日常生活用具給付事業は、各自治体により基準額を定めることになっています。物価高騰による影響や基準額との差が大きい給付対象用具があるなど、基準額についても調査の上、見直しが必要だと私は考えています。
そこでお尋ねします。基準額の見直しの要件はあるのでしょうか。なければ、見直しの考え方についてお示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
議員の御説明にもございましたが、令和6年3月に開催された厚生労働省の障害保健福祉関係主管課長会議の資料には、見直しの考え方について、「各市町村においては、平成18年の障害者自立支援法以前に、国が定めた基準額や実施方法にとらわれることなく、定期的に当事者の意見を聴取によるニーズ把握や実勢価格の調査等、地域の実情に即した、適切な種目や基準額となるよう定期的な見直しに努められたい」とありますが、特に見直しの要件は示されておりませんので、各自治体において、実勢価格を勘案しながら、適切に判断していくものと考えております。
○宮野直樹君
国のほうでしっかりした基準というものが示されていないということで、各自治体で検討していくということで理解をしました。
タブレットの資料を御覧ください。
〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○宮野直樹君
この資料は、下関市自立支援協議会の相談部会が作成した「令和5年度日常生活用具・補装具調査について」から一部抜粋したものです。
令和5年9月から10月に市内相談支援事業所にアンケートを実施し、日常生活用具、補装具についての調査を行っています。その結果89件の回答がありました。この調査においては、日常生活用具の給付を受けたもの、また給付を検討したものとして、介護訓練支援用具、自立生活支援用具の合計が63%となっています。
次の資料を御覧ください。給付を受けた日常生活用具に対して基準額に収まらなかった用具は52%です。例えば、介護訓練支援用具の中に特殊マットという種目があります。その基準額は1万9,600円です。特殊マットの中に褥瘡を予防するためのエアマットという製品があります。しかし、空気圧調整装置を備えたエアマットは高額であり、その基準額を大きく上回ってしまいます。
例えば、宮城県仙台市では、空気圧調整装置の機能を備えていない体圧分散マットは2万5,300円、空気圧調整装置を備えているエアマットの基準額は12万200円と差を設けています。
また、福祉用具を取り扱っている事業者の方へ価格の状況を聞いたところ、コロナ前と比較すると、全体的に約2割程度上昇しているそうです。エアマットを含めて、ほかの用具もその基準額が、現状や実態に合っていないものについては見直す必要があると私は考えています。
そこでお尋ねします。基準額の見直しについて検討が必要と考えますが、御見解をお示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
基準額が実勢価格と乖離している種目であれば、今後、他市の事例も確認しながら見直しを研究していきたいと考えております。
○宮野直樹君
他市の状況を見ながらですけれども、なかなか対象も広いのでどこまでということが難しいと思います。今研究とありましたが、こうした調査も、実務者の皆さんもやっていますので、そうした皆さんとともに検討をして、実現に向けて進んでいただきたいと思います。
最後に、今後の取組について質問をさせていただきます。ここまで給付対象用具、給付対象者、基準額などについて拡充や見直しの議論を進めてきました。いずれにしても、障害のある方や御家族、支援者などの声を聞き、現場の実態を反映する取組が必要だと私は考えています。
そこでお尋ねします。日常生活用具給付事業の見直しなど、今後どのように取り組まれるのか、御見解をお示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
実勢価格の変動や当事者等の御意見等を参考にしながら、今後も適宜、適切な見直しに取り組んでまいりたいと考えております。
○宮野直樹君
日常生活用具給付事業の見直しを進め、より多くの方が公平に恩恵を受けられる制度となることを強く望みます。
障害のある方が地域で自立した生活を送り、社会に積極的に参加できる環境を整えることは、共生社会の実現に向けた重要な一歩となるはずです。ぜひ、本日の議論を基に、今後の施策に反映していただくことを強く要望して、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
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