録画放映

第3回定例会
9月20日(金) 本会議(一般質問5日目)
日本共産党 下関市議団
桂 誠 議員
1.太陽光発電事業と地域環境との調和
2.買物困難者支援
3.海洋ごみ対策
※通告一覧表と発言の順番が異なります。
【下関市議会 本会議速報版】
・下関市議会では、本会議の正式な会議録が作成されるまでの間、速報版を掲載いたします。
この速報版は、会期終了後約1か月程度で掲載します。
・速報版の会議録は校正前原稿であり、今後修正されることがあります。
なお、音声で認識できなかった部分は一時的に「★」で表示しています。
・校正後の会議録が「会議録検索システム」に掲載された時点で、速報版の会議録は校正後の会議録に差し替えます。

○議長(香川昌則君)
 25番、桂誠議員。(拍手)
  〔桂誠君登壇〕
○桂 誠君
 日本共産党下関市議団の桂誠です。まず、太陽光発電について質問させてください。東日本大震災以降、自然エネルギーが見直されています。中でも太陽光発電は温室効果ガスを出さず、資源枯渇のおそれがない再生エネルギー源で、地球温暖化の防止や新たなエネルギー源として期待されています。特に、平成24年7月の電力固定買取制度がスタートして以来、再生可能エネルギーの普及が進み、太陽光発電施設は急増しています。この下関市でも、住宅の屋根に設置する太陽光発電や、空き地を利用した太陽光発電も増えています。しかし、太陽光発電施設の設置による自然破壊など、再生可能エネルギーの活用と自然環境を守ることには難しいものがあります。
 そこでお尋ねですが、下関市は、この太陽光発電についてどのように考えておられるのかお示しください。
○環境部長(吉田 誠君)
 本市は、「自然と歴史が共生する海峡都市しものせき」を将来世代に引き継ぐため、行政、市民、事業者等が一丸となり、2050年脱炭素社会の実現を目指して、令和3年5月24日に「ゼロカーボンシティしものせき」を宣言しております。
 その脱炭素社会の実現や本市から排出される温室効果ガス排出量削減の取組の一つとして、下関市地球温暖化対策実行計画の基本施策に、持続可能なエネルギーの利用促進を掲げており、太陽光発電は持続可能な再生可能エネルギーとして、エネルギーの地産地消などの観点からも、最大限の活用を進めていく必要があると考えてございます。
○桂 誠君
 再生可能エネルギーの活用は、私も進めていかなければならないものと考えています。しかし、それに伴いまして、トラブルが起きているのも事実です。以下、環境省が公開している太陽光発電に対する苦情について示します。基本的には、太陽光発電設置による周囲へ損害を与えることへの心配が結果に出ています。太陽光発電の持っている負の側面が示されています。
 一番苦情の多かったものが、地滑りや土砂崩れといった土砂災害です。家庭用以外では50%が山林で、かつ大部分が斜面に設置されています。こういった斜面に太陽光発電設備を設置する場合、適切な排水処置や土地造成が行われなければ地盤が弱くなり、大雨のときに土砂災害の原因になります。ですから、設置前に土砂災害の起きやすい土地でないかを確かめる必要があります。
 次に苦情の多かったのは、太陽光発電所の設置による景観の破壊です。太陽光発電は人工物なので、自然環境の中で設置されれば、異質な存在に見えてしまいます。また太陽光発電設備の周辺には電柱が立てられるために、これも同じく景観を損ねる原因となります。実際、山梨県の北杜市では、近隣住民の苦情により行政指導が行われる事態となりました。
 3番目に多かった苦情は、太陽光パネルの反射光です。太陽パネルの表面はガラス面で覆われているために、太陽光が照射されると反射光が発生します。これは太陽光発電特有の問題です。このため反射光が近隣住民の住居に差し込み、まぶしい、暑いといった問題に発展するリスクもあります。環境省の資料によると、距離が50メートル以上離れていても苦情は寄せられるケースがあるということです。特に、日の出・日の入り時刻は太陽が低い位置にあり、パネルに対して浅い角度で光が当たります。この結果、反射された角度が浅くなり、遠くまで光が届いてしまいます。特に、道路沿いに設置する場合、交通事故につながりかねません。
 4番目に多かった苦情は、太陽光発電設備の発する電磁波や騒音の問題です。静かなように見える太陽光発電ですが、やはり騒音などの問題があります。太陽光発電設備のうち、主にパワーコンディショナーは微弱ながら電磁波を出します。太陽光発電に限らず、家庭製品でもモーターを利用しているものであれば、基本的には電磁波を発生します。人によっては、この電磁波で体調を崩す人もいます。また、パワーコンディショナーからのキーンという高い音や、空調設備のモーター音などは、近隣住民とのトラブルや苦情の原因となることもあります。
 5番目の苦情は、災害による二次災害です。太陽光発電が台風、降雪などの災害に被災した場合、二次災害を引き起こすこともあります。例えば、台風の強風によって飛散したパネルや、降雪時にパネルから滑り落ちた雪によって、近隣住民や他者の財産を傷つけるなどの可能性があります。そのほか、土砂災害や浸水・冠水といった水害に見舞われた際にも、パネルやケーブルに誤って触れてしまうことで、第三者が感電するおそれもあります。
 また、太陽光発電の制度、社会上の問題もあります。まず、需給バランスと電力の出力抑制です。太陽光発電の設置が、急激に増えたことで、最初に問題になったのが、電力の需給バランスの乱れです。電気を消費する需要量に対して、過不足がないように、発電供給量を調整してバランスを取らなければ停電を起こしてしまいます。そのため、供給量が多くなるとネット回線を通じて、太陽光発電に制御をかけます。大変な仕組みがあるわけです。
 次の問題は、固定価格買取制度の変更による、売電価格の低下です。太陽光発電設備の数が増えたことにより、売電価格の水準が年々下がっています。制度が始まった2009年度は1キロワット当たり48円だったのが、2020年では17円に下がっています。
 さらに太陽光発電のパネルの大量廃棄の問題です。太陽光パネルの寿命は25年から30年と言われています。役目を終えた太陽光発電設備は、廃棄やリサイクルなどで処分しなくてはなりません。2030年から2040年にかけて、パネルの大量廃棄の時期が来ます。懸念されることは、パネルの不法投棄や放置です。また有害物質による環境汚染や、最終処分場の収容能力の問題もあります。これらの問題を踏まえて、環境省と経済産業省は、太陽光パネルリサイクル義務化の方針を決めました。
 以上のこと以外に、太陽光発電の大きな問題は、投機の対象になっているという現実です。全国的には、太陽光発電が不動産投機的な投資の対象とされ、メガソーラーとして設備し、賃貸・売却により分譲され、複数人が所有者となります。その結果、責任の所在が分からなくなるケースが多々生まれています。災害時や撤去、廃棄の際にトラブルとなることが多くあります。
 そこで次のことをお示しください。下関市に設置されている太陽光パネルの状況をお知らせください。
○環境部長(吉田 誠君)
 市内の太陽光発電設備の設置状況につきましては、資源エネルギー庁が公表しております、国の再生可能エネルギーの固定価格買取制度、いわゆるFITの認定を受けた太陽光発電設備の件数は、令和6年3月末の状況で8,484件、出力は17万630キロワットとなります。
○桂 誠君
 大変な数が下関市にあるわけなのですが、この太陽光パネルを基にした近隣住民とのトラブルの状況はどうでしょうか。もしあればお示しください。
○環境部長(吉田 誠君)
 令和元年度以降、太陽光発電設備に関する相談等の件数は6件ございます。相談内容は、太陽光パネルからの反射光に関するものが1件、太陽光パネルを設置した土地からの土砂の流出に関することが1件、設置工事の際に周辺住民への周知の方法が足りないという御意見に関するものが1件、残りの3件は、周辺に草が生い茂っているなど、維持管理に関するものでございます。
○桂 誠君
 結構な数のトラブルがあるということが分かりました。この写真は、市内に設置されている太陽光パネルです。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○桂 誠君
 四方を住宅が囲んだ中に設置されております。元は住宅の中にある田んぼでした。設置の前からあまりにも人家に近いということで、設置の取りやめを業者にお願いしたのですが、意見は聞き入れてもらえず、写真のように設置されました。設置の後に困ったことが起きたということで、私に相談がありました。
 一つは、太陽光パネルに反射し、家の窓から光が入りまぶしいということです。カーテンで太陽光の侵入を防いでいるが、やはり気になるということでした。二つ目は、反射した光に伴って、熱が反射され室内に入ってくるとのことでした。これはなかなかカーテンでも防ぐことができず困っています。これはさきに述べました3番目のトラブルに当たるわけです。日々そこで生活している住民にとってみれば耐え難いことです。何度も業者と交渉したのですが、解決に至っていないとのことでした。
 下関市では、このような太陽光発電事業に対する適正な運用を促すために、下関市太陽光発電事業と地域環境との調和に関する条例を定めています。その目的に、「太陽光発電事業の実施が生活環境、景観及び自然環境その他の地域環境に及ぼす影響に鑑み、太陽光発電設備の設置及び管理について基本的事項を定めることにより、太陽光発電事業と地域環境との調和を図り、もって下関市民の安全な生活及び下関市の環境の保全に寄与する」とあります。住民の生活と自然を守るという強い意思がこの条例から感じられます。また、この条例で感心したのは、施行日において、太陽光発電を設置済みでも、各種届出、標識の設置、維持管理などの規定が適用されるというところです。既に設置されていても、きちんと維持してくださいよということだと思います。さきの太陽光発電にもこの条例が適用されると思いますが、住民からトラブルの訴えがあるということは、適正に維持管理されていないことになります。
 そこで質問ですが、この条例を基に、太陽光発電事業者に対して、どのような対応ができるのか、お示しください。
○環境部長(吉田 誠君)
 議員から御紹介のございました下関市太陽光発電事業と地球環境との調和に関する条例の第11条では、「事業者は、太陽光発電事業を実施する間、災害の防止並びに生活環境、景観及び自然環境その他の地域環境の保全に係る支障が生じないよう、太陽光発電施設及び事業区域内を常時安全かつ良好な状態となるように維持管理しなければならない」と規定がされており、第15条においては、「この条例の施行に関し必要があると認めるときは、事業者に対して必要な措置を講じるよう指導または助言を行うことができる」としてございます。
○桂 誠君
 必要な指導・助言を行うことができるということは、大変強みだと思いますが、苦情があれば、そのような助言をしていただきたいなと考えております。
 このスライドの写真は、豊北町阿川と粟野の間に計画されている太陽光発電所の場所です。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○桂 誠君
 私が住んでおります阿川、そしてお隣の粟野との境にあります。開発面積は32ヘクタールです。阿川にこれだけの土地があるのかとびっくりしました。これは東京ドームが4.7ヘクタールですので、その約7個分の広さになります。パネルの設置面積が19.9ヘクタールです。この計画がどのようなものか知るために、阿川と粟野の住民と業者で話し合い、太陽光発電の説明を求めました。ここはもともと小倉山と言って、地域の住民が寄り合いでカヤを刈る山でした。開発では、今ここに生えている木を全部切ります。そして土地を整地していくということが言われております。驚きました。この辺りは、北長門海岸国定公園になっていますが、その中には入っていないのかということに対して、事業者は指定区域に入っていないと回答しております。しかし、住民からは、北長門の美しい海岸線に太陽光パネルが並ぶのは興ざめだという意見が出ました。また、保安林にも当たっていないということでした。漁師の方からは、この場所は海に近いが、開発のとき、泥水が海に流れ出ないか心配ということが言われました。それに対して、泥の沈殿地を五つつくるので問題ないとのことでした。しかしその漁師の方は、沈殿池で完全に泥水がなくなるのか疑問だと言われていました。さらに、パネル面積が19.9ヘクタールと、中途半端な面積になっているのはなぜなのかということを尋ねたところ、20ヘクタールを超えると、環境アセスメントに当たるからだという説明でした。大変巧妙な数字です。環境アセスメントがないと工事等が全て届出で済み、早くできるということでした。
 このように太陽光発電は下関市の下関市太陽光発電事業と地域環境との調和に関する条例に照らし合わせて見ても、疑問に思う点が多くあります。32ヘクタールの山を削ることは、美しい環境を破壊することにもなります。まして辺りは北長門海岸国定公園です。景観や自然環境への影響は大きなものがあります。また、泥水の海への流れ込みも心配されることを考えても、生活環境の影響があります。しかも、環境アセスメントを受けない事業でもあります。そうなると、太陽光発電事業に関する条例を持っている下関市の責任は重大です。この太陽光発電事業は、条例でいう下関市民の安全な生活及び環境の保全に寄与することに対して大きな問題があると言えます。
 そこでお尋ねですが、この阿川と粟野の境にあるメガソーラーに対して、下関市はどのように考えているのかお示しください。
○環境部長(吉田 誠君)
 太陽光発電事業の実施に当たっては、発電事業者が電気事業法にのっとることはもちろんのこと、その自然環境や周辺施設への影響、各種計画との整合を図るため、事業用地や発電設備の設置について、様々な許認可手続が必要となる場合がございます。
 具体的には、森林法や砂防法、そして宅地造成及び特定盛土等規制法、いわゆる盛土規制法です。などに基づく許可や届出などが挙げられます。
 発電事業者は、設置場所や規模等により、各種法令に基づき事業を進めることが大前提となりますが、本市の条例に基づく事前協議や、近隣関係者への説明、その意見を踏まえた必要な措置を講じるなど、地域住民等の理解を得ながら発電事業を進めるべきであると考えております。
○桂 誠君
 今のお答えの中で、地域住民との理解を進めながらと、大変な意見だと思います。地域住民の理解がなければ、たとえ再生可能エネルギーであっても設置できないと、私はそのように考えています。
 今この太陽光発電事業の進み具合は、不動産業者が土地を取得した段階です。この事業の説明に来たのは、発電事業者ではありません。この太陽光発電設備を設計・施工する業者です。出来上がった後に、発電事業者を募るとのことでした。
 2019年、首都から40キロ圏にある埼玉県日高市議会は、高麗本郷の山林約15ヘクタールに民間事業者が設置を計画している大規模な太陽光発電施設について議会として反対の意思を示す大規模太陽光発電施設の建設に反対する反対決議を賛成多数で可決しました。提案理由は、日高市の財産である日和田山や巾着田を含む高麗地方の景観や周辺の生活環境を守り、防災並びに自然保護及び自然調和に万全を期するためとありました。これは下関市の太陽光発電事業と、地域環境の調和に関する条例の目的と全く同じものです。以上で太陽光発電についての質問を終わらせていただきます。
 次に、海洋ごみについてお尋ねします。下関市は二方向を海に囲まれています。またその海を観光に利用しています。ウオーターフロント、火の山、角島など、下関市の観光は海がメインと言ってもよいでしょう。また下関市の重要な一次産業は漁業です。これらの観光や漁業が、海洋ごみの被害を受けていないか心配になります。
 この写真は、私が小学校教師をしていたとき、角島小学校でごみ拾いをしたときの海岸の様子です。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○桂 誠君
 神田小学校でも学校を挙げて、海岸の漂着ごみを拾い集めました。広い海岸を子供の手だけで集めるのは難しいため、保護者も一緒になって集めていました。せっかくきれいになったと思っても、一度海がしけるとまた大量のごみが漂着してしまいます。さいの河原と同じで、いつまでやっても減らないのがこの漂着ごみです。しかし減らないからといって、ほっておくわけにはいきません。多くの方がいろいろな方法で漂着ごみに取り組んでおられます。角島は全島民がごみ拾いをする日を決めています。またボランティアの方が週1回何人か集まり、活動しているのも聞きます。粟野でも自治会長が出て、海岸のごみを集めていると聞いています。このように、多くの人が海岸の漂着ごみに関心を示しておられます。
 今やこの漂着ごみをはじめ、海に浮かぶごみが世界的な問題となっています。海に捨てたごみだけが海のごみになるわけではありません。陸で捨てられた家庭ごみ、産業廃棄物などが川に入り、雨で流れて海に行きます。中でも問題なのはプラスチックごみです。海で暮らすヤドカリのすむ貝殻の6割がプラスチックの蓋やガラス瓶、電球と言われています。天然の貝を殻にするよりも多くなっているのが現状です。さらにこのプラスチックが太陽光線で細かく分解されて、空中に漂ったり海中に溶け込みます。これらが今問題となっているマイクロプラスチックとなります。海にすむ生物、動物だけでなく、人間の体にも入り込んでいるという研究結果もあります。この捨てられた海洋ごみが海流に乗り、風に運ばれて漂流し、やがては下関市の海岸に流れ着いています。とりわけ冬の北西の季節風が吹きつけるときは、大量の海洋ごみが流れてきます。下関市の海岸漂着ごみは日本から出たごみだけではありません。大体半分以上は外国からのものです。この日本の近隣にある外国から来たものがほとんどです。この海岸漂着ごみには様々なものがあります。家庭から出る容器の類は全てあります。しょうゆの入れ物、シャンプーの容器、プラスチックコップ、ペットボトルは本当に多くあります。中には中身の入ったものもあります。大型のごみになるとコンテナなどもあります。漁具も多く流れ着いています。中でもウキとして使われる発泡スチロールは、すぐに粉々になり、これはマイクロプラスチックの元だと理解できます。よく流れ着いているのが青い20リットルぐらいの容器です。ノリの養殖で網の消毒に使う塩酸が入っていたものです。子供たちに青色の容器に近づいてはいけないと指導していました。小さいものだけではありません。砂の中に埋まっている網を引きずり出そうとすると、幾ら引っ張ってもびくともしません。大きな漁網が埋まっているのです。これなどは人力でのけることはできません。大きな流木も珍しくありません。人の手では動かせません。ずっとそのままになっています。このように人の手で拾えるものから、人力ではどうにもならないものまで、実に様々なごみが漂着しているのが、この下関の海岸の現実です。海洋ごみの中には、海岸に漂着したものだけでなく、水面や水中に浮遊している漂流ごみがあります。また瓶や缶など質量の重いものは海底に沈み、海底ごみと言われています。
 そこで質問ですが、これら海岸の海洋ごみの統計はありますか、お示しください。
○議長(香川昌則君)
 桂議員、通告の順番を変えられるということでよろしいですね。
○桂 誠君
 はい、すみません。
○環境部長(吉田 誠君)
 議員から御案内がございましたが、海洋ごみは海岸漂着物、いわゆる漂着ごみのほか、漂流ごみ、海底ごみの3種類に区分されます。これら海洋ごみの量についての国際的に合意された統計や推計手法は確立されておらず、実態把握は各国共通の課題とされているところでございますが、環境省では、調査地点を定めて、平成22年度より漂着ごみ実態調査を、平成26年度より漂流、海底ごみの実態調査を行っており、調査結果については、環境省のホームページで紹介をされております。
 また、本市における漂着ごみの状況としましては、山口県が令和5年12月に実施した海岸漂着物実態調査によりますと、武久海岸において海岸線50メートル当たり2,814個で、重量は282キログラム。漂流ごみは、環境省が平成26年から平成27年に実施した調査によりますと、瀬戸内海区で1平方キロメートル当たり197個でございます。また、海底ごみは、山口県が令和2年8月から10月の2か月間で実施した調査によりますと、響灘側で1平方キロメートル当たり88個で、重量は19.2キログラムでございました。
○桂 誠君
 なかなか統計を取るのは難しいものがあると思います。そういうことは理解できます。しかし、私たちの理解の中には、漂流ごみも海底ごみも意識しておく必要があります。
 さてごみの回収ですが、人が行けるところの海岸は、地域の活動やボランティアの方により回収が進むと思います。しかし、ごみは海岸線全体に漂着しています。人の行けない海岸、山がじかに迫ったところなどは回収が大変困難となります。お隣、長門市では、地理的に回収が困難な場所に漂着したごみは、専門業者に委託して回収しているとのことでした。長い海岸線を持つ下関市ですから、海洋ごみの問題の解決は、かなり難しいものがあります。しかし市民憲章に、私たちは自然の恵みを大切にしますとあります。海岸を美しく保つのも自然の恵みを大切にすることではないでしょうか。
 そこで質問ですが、下関市はこの漂着ごみについてどのような取組をされているのでしょうか、お示しください。
○環境部長(吉田 誠君)
 漂着ごみ対策につきましては、県が令和3年3月に策定した「やまぐち海洋ごみアクションプラン」に沿って、海岸管理者・民間団体等、住民・ボランティア、行政機関が連携して実施をしてございます。
 本市では、県の補助制度を活用し、市の管理海岸においては、海岸管理者が海岸保全のために漂着ごみを処理しております。また、下関市連合自治会海ごみ清掃実行委員会の皆様が、県の清掃活動推進事業として、漂着ごみの回収を行っており、市がその後の処理を行っております。なお、その回収等には相当の費用負担が生じるため、必要な経費につきましては、県に対し補助金及び事業への財源確保を要望してございます。
○桂 誠君
 大変な量のごみがありますので、今までのように、地域の人やボランティアに頼るのには限界があると思います。予算もかかることです。多くの人に、海洋ごみ回収に参加してもらう必要があります。海岸を散歩している人、ちょっと海岸を見に来た人にごみを拾ってもらうことができれば、少しでも違うのではないでしょうか。そのためには、拾ったごみを気軽に置ける場所が必要です。
 そこで提案します。人が多く集まるような海岸に拾ったごみを入れるごみ箱を設置してはどうでしょうか。
○農林水産振興部長(三木正之君)
 海岸へのごみ箱の設置についてお答えいたします。近年、海洋ごみは、その種類が多岐にわたっており、一般的な家庭ごみに限定されず、例えばですが、劇薬や医療系廃棄物の混入など、回収に危険を及ぼすごみも確認されております。
 市民の方が善意でごみを拾う行為に事故やけがの発生が心配されることもございますし、家庭ごみ等の不法投棄も懸念されるため、本市が所管する漁港区域と港湾区域においては、管理等の問題から、不特定多数の方が利用されるごみ箱の設置は難しいと考えております。
○桂 誠君
 確かにごみ箱があれば、いろいろなごみが入れられるわけですけれども、難しいことは分かります。海洋ごみでない家庭ごみを入れるという人もいるわけですが、大変悲しい話です。しかし家庭ごみの投棄よりも、拾ったごみを入れてもらう確率のほうが高いのではないでしょうか。海洋ごみ専用との表示も必要でしょう。ぜひとも市としての取組をお願いしたいところです。
 海岸清掃のボランティアをしている方から話をよく聞くことがありますが、その中で一番困っているのが流木のことです。市の決まりでは150センチ以下に切れとなっていますが、それはできないということです。流木については、自然物ですので拾わないのが原則だとは思いますが、浜の景観を壊すことになります。お隣の長門市は、大きな流木は産業廃棄物として処理しているとのことでした。
 これは委員会でも2度質問しまして、できないということでしたが、改めて質問します。大きな流木は、そのまま回収できないものでしょうか。
○環境部長(吉田 誠君)
 本市では、回収された流木を市の職員が人力で積み下ろしを行います。奥山工場の焼却施設を保全するため、一旦吉母の管理場に持ち込み、そこで数週間、風雨にさらして塩分を抜きます。その後、破砕機に投入して細かく砕いてから、奥山工場へ運搬して焼却をしてございます。
 このような工程で処理をされるため、回収された流木については、人力で運搬可能な大きさであること、運搬車両の限られた積載スペースを有効に使用できること、破砕機に投入可能な大きさであることなどを勘案して、受入れの基準を長さ150センチ以内にさせていただいておりますので、ここは申し訳ありません、御理解・御協力をお願いいたします。
○桂 誠君
 聞き取りのときに、塩を抜かなければならないということを知りまして、なかなか困難なものがあるのだなということを初めて知りました。確かに言われるように、大変な費用と時間がかかるものだということを理解しました。どうにか折り合いがつけばという思いもあります。
 海洋ごみの取組は、今あるごみを回収することも大切ですが、市民の意識改革も必要です。どのようなごみが海洋ごみになるのか、生活の中で気をつけないといけないこととか、マイクロプラスチックの害とかを知らせる必要があると思います。小学校4年生の社会でごみを扱いますが、この中に海洋ごみは入っていません。
 そこで意識改革の方法として、大人とともに次世代を担う子供に対して、環境教育として海洋ごみの教室を開いてはどうでしょうか、お尋ねします。
○環境部長(吉田 誠君)
 海洋ごみに対する子供たちへの啓発につきましては、現在、環境保全に関する出前講座や市内小学生を対象にした漂着ごみ調査等を行ってございます。具体的には、公益財団法人環日本海環境協力センターが実施しております海岸漂着物実態調査において、小学生が漂着ごみの種類などを調査し、調査結果を同センターに報告しております。令和5年度につきましては、誠意小学校、川棚小学校の児童86名に御参加いただいております。
 そのほかにも環境教育として、身近な河川の水質を調べることにより、自然環境を保護しようとする心を育てる水辺の教室や、下関市リサイクルプラザに施設見学に訪れる小学生に、地球温暖化対策の講義などを行っております。引き続き、これらの機会を通じて、海洋ごみに対する内容につきましても随時啓発をしてまいります。
○桂 誠君
 子供を対象とするなら、出前授業の形もあると思います。ごみの出前授業がありますので、ぜひともその中に海洋ごみのことも含んでもらえたらと思っています。下関市は長い海岸を持っています。海洋ごみは観光、漁業に大きな影響を及ぼします。行政だけが取り組むのではなく、市民と行政が連携し、大切な自然を守っていくという意識の下、協力しながら取り組む必要があると考えます。確かに、どれだけやっても減らない現実もあります。しかし、取組をやめた途端に、海洋ごみの量が増え、自然が大きく破壊されるのは目に見えています。市民一人一人が自分のこととして取り組む必要もあります。
 次の質問に移ります。車社会と言われる状況の中、多くの市民が移動手段として自家用車を使っています。しかし、高齢者が増えたことで、免許の更新に認知症の検査を受けたとか、自動車学校に行ったとか、そのような話が私の身の回りで多く聞くようになりました。またそろそろ免許を返納しないといけないだろうという話もよく聞きます。高齢者になれば自家用車も運転できなくなります。自分で移動手段を持たなくなって、一番の問題は通院と買物です。今回は買物困難者支援に焦点を当てて質問していきます。
 私の家の隣に、10年前、同級生が奥さんと一緒に、60歳の定年を機に生まれ育った阿川に戻ってこられました。奥さんは運転免許を持っておられないので、買物に大変難儀をしておられました。買物のために、JRに乗って、2駅隣の滝部まで行き、帰りには重たい荷物を持って帰られていました。阿川には買物できるところはないからです。その一家も70歳を区切りとして、元おられた広島に戻られました。高齢になって不便でやれないこと、子供の近くが安心だからということでした。JRの不通も判断の一つになったのではないでしょうか。
 高齢の方にお話を聞くと、若いときは重たい荷物でもに二、三十分ぐらい持って歩けていたけれど、年を取ったらそんなわけにはいかんと言っておられました。重たい荷物を下げて帰ることはとても不可能です。どんどん買物困難者が増えているのが下関市周辺部の現実です。少子高齢化、人口の減少、過疎化はどんどん進んでいます。中心市街地以外の地域では、個人商店やスーパーマーケットなどの小売店が撤退・廃業し、食品や日用品など、日常の買物に大変不便な状況になっております。
 そこでお尋ねですが、市は中心市街地以外の買物に大変不便な状況をどのように認識しているのかお示しください。
○産業振興部長(津野貴史君)
 買物困難者の状況は、本市のみならず全国的な問題であるものと認識しております。特に、人口減少、少子高齢化の進展が著しい周辺部においては、個店の廃業やスーパーマーケットの撤退により、近隣での買物が難しくなっていることに加え、公共交通機関が十分でない地域もあることから、高齢者や車を持たない人にとって、厳しい買物環境にあると認識しております。
○桂 誠君
 この買物に不便な状況は、これからどんどん進んでいくのではないかと思います。先ほど言いましたように、高齢化、人口の減少、過疎化が大きな原因ではあります。しかしそれだけではないように思います。市中心部は公共交通が充実しており、さほど買物に不便を感じないでしょう。しかし、中心市街地以外は公共交通が不足しているという現実があります。
 そこでお尋ねですが、下関市の中心市街地以外で買物に不便を来している原因を、どのように認識しておられますか、お示しください。
○産業振興部長(津野貴史君)
 先ほどの答弁と少し重複いたしますが、周辺部において買物に不便を来している原因につきましては、人口減少に加え、通販やインターネットショッピングの普及等、買物形態の変容による個店の廃業やスーパーマーケットの撤退などにより、居住地近くの店舗が減少したことが挙げられます。さらに、車中心の社会による利用者の減少で、公共交通が不便になった上、高齢化に伴う運転免許の返納により、店舗までの交通手段が十分に確保できないことなども、その原因であるものと考えております。
○桂 誠君
 この高齢化、過疎化にしても、すぐに解決するものではありません。また公共交通の充実もなかなか進まないのが現実です。また、公共交通はなかなか解決の難しいものでもあります。他地域の民間を巻き込んだ交通手段の確保には、高齢化が進んだ僻地では限界があります。市として取り組まなくてはいけない課題ではありますが、解決が見えないのが現実です。かといって、高齢化が進む下関市では、買物困難者がどんどん増えていく現実があり、その解決は待ったなしです。
 私は一つの解決策として、移動販売の充実があると思います。私の友達ですが、ずっと一人で家にいる人がいます。買物にも行きません。一緒に遊びに行こうと誘っても嫌だと言います。彼が頼りにしているのが移動販売です。定期的に来てくれる移動販売を活用し、食料や生活に必要なものを購入しています。また、豊北町田耕の奥では、お年寄りが定期的に来てくれる移動販売の車を田のへりに道に座って待っておられます。
 このように、買物困難者にとって、移動販売は手軽に利用できる買物手段です。交通手段のない僻地山間部では多く利用されています。豊北町では、次の移動販売業者がおられます。普通車のトラックで販売されている「とこちゃん」と「コープ」があります。軽トラでは「リック山本」「おひさま号」「とくし丸」です。かつて、セブンイレブンも豊北町に入っておられましたが、今は撤退しております。このような移動販売が、買物困難者対策の一助になっています。
 お尋ねですが、下関市はこのような移動販売車の実態をつかんでおられますか、お示しください。
○産業振興部長(津野貴史君)
 買物先が少なくなった地域において、民間の小売事業者などが行っている移動販売や個別配送サービスは、日常の買物に困っておられる方々にとって、貴重な買物先となっております。例えば、生活協同組合コープやまぐちは、豊浦、豊田、豊北地域を中心にコープ「おひさま号」で移動販売を行っております。また、株式会社丸喜の移動販売車両である移動スーパー「とくし丸」は、8台の車両が、ほぼ市内全域を営業範囲として運行しており、利用されている市民の皆様から好評を得ていると伺っております。そのほか、先ほど委員から御紹介のございました、個人商店においても、幾つかの事業者が移動販売を行っていると聞いております。
○桂 誠君
 移動販売の方とお話をしました。その方はお客さんを約100件持っておられるとのことでした。物価高、コロナの影響などで、お客さんは減っているそうです。それでも待っておられるお客さんのことを思うと、続けていこうと思うそうです。移動販売でお金がかかるのは何かと尋ねたところ、それは車、燃料は高くなってこたえるけれど、タイヤは減るしオイルの交換もしないといけない、そうは言っても車がないと商売できないからねと言っておられました。さらに、半分ボランティアみたいなもの、私らが行かないと御飯をどうしようかと言われました。このように買物困難者の手助けになっているのが、移動販売の方々です。
 買物困難者の地域を移動販売が満遍なく行くことができるなら、かなりの解消になるのではないでしょうか。しかし、移動販売業者もボランティアではありません。家がまばらにあるところは効率が悪いので行くことはしないでしょう。ある程度、家が集中しているところで販売活動をするのは当たり前です。この販売地域を広げるためには行政の力が必要です。
 隣の長門市にも買物困難者が多くいます。それは下関市の山間部と同じ状況です。そこで長門市は、長門市買物支援実証事業費補助金交付という事業を始めました。以下その概略です。この事業の趣旨は、本市において身近な商店の減少や高齢化などにより、日常生活に必要な食料品、日用雑貨の買物が困難な状況に置かれている者の買物の機会の確保などの手法を検討することを目的として、買物困難者を主な対象者として移動販売による日常品生活物資の購入の支援を行う者には、当該移動販売に使用する車両の購入、その他運営に要する経費の一部を予算の範囲内で補助するというものですが、この下関市でも、このように買物困難者の解消のために、補助したらどうかと思います。
 このように買物困難者の解消には、行政の手を入れない限り解消できないと思われますが、そこでお尋ねですが、このような買物困難者の解消のために、具体的な施策を下関市は持っておられますでしょうか。
○産業振興部長(津野貴史君)
 買物困難者の解消には、地域の実情により様々なアプローチが必要ですが、産業振興の観点からは、店舗や移動販売が増えることへの支援、それと、今あるお店を継続するための既存事業者への支援が必要だと考えております。
 具体的には、前者においては、空き物件を活用して小売業や飲食業を行う際に、店舗賃料や改装費の一部を補助する空き物件活用ビジネス支援事業費補助金や、社会・地域課題解決事業を行う起業者に補助を行うふるさと起業家補助金がございます。また、後者につきましては、事業継続に向けた、制度融資でありますとか経営サポート、そういった各種経営支援を行ってまいりたいと考えております。
○桂 誠君
 いろいろな事業があるわけなのですが、支援をする店がないというのも現実問題としてあります。買物困難者の問題は下関市だけではありません。全国各地でいろいろな取組が試行錯誤されています。特に島とかでは島民挙げて様々な工夫がされているのがネット上でもたくさんあります。本市でも活用できるかなという事例もあります。しかしそれら一つ一つにハードルがありますが、行政だけではどうしてもできない部分もあるようです。行政が音頭を取りながら、地域住民を巻き込んで、事業者等の支援、関係者の協力を仰ぎながら仕組んでいく必要があるように思います。また行政サイドのリーダーシップが必要ではございますけれども、地域を挙げての地域課題として考えなくてはならない問題でもあります。買物困難者対策は、地域の実情に応じて市内の隅々まで行き渡ることが重要であると考えます。これからの市の取組をよろしくお願いしたいと思います。
 以上で質問を終わります。(拍手)
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