録画放映

第3回定例会
9月13日(金) 本会議(一般質問1日目)
創世下関
井川 典子 議員
1.市内企業の採用支援と市立大学の取組について
2.不登校の対策と支援について
【下関市議会 本会議速報版】
・下関市議会では、本会議の正式な会議録が作成されるまでの間、速報版を掲載いたします。
この速報版は、会期終了後約1か月程度で掲載します。
・速報版の会議録は校正前原稿であり、今後修正されることがあります。
なお、音声で認識できなかった部分は一時的に「★」で表示しています。
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○副議長(安岡克昌君)
 6番、井川典子議員。(拍手)
  〔井川典子君登壇〕
○井川典子君
 創世下関の井川です。通告に従いまして、質問をいたします。
  〔手話を交えながら発言〕
○井川典子君
 それではまず、市内企業の採用支援と市立大学の取組についてです。
 下関市の重要な課題には人口減少があります。その要因として、若者の流出があるのは言うまでもありません。その解決、歯止めのためにあらゆる分野で施策を立て、取り組んでおられるわけです。次期総合計画案には、若者の流出をゼロにする目標値が示されており、本気度を改めて感じたところでもあります。
 若い方が地元に定住していただくには、しっかりと働く場の確保がないといけません。企業の皆さんからは、新規採用に苦戦をしているという声は年々大きくなっているように感じております。
 このような背景の中、我が市は公立大学を有しています。若者定住の視点から、市と市大が連携をし、市内企業の採用を支援、応援し、市内就職の実績を上げることは、若者流出の歯止め、強いては、この町の活性化に大きな役割を果たすのではないかと考えます。
 まず、市内企業の採用状況や活動内容をどのように理解しておられますか。
○産業振興部長(津野貴史君)
 市内企業の対応状況や活動内容につきましては、本市が実施しております「若者の市内就職・採用支援事業」の中で企業の声をお聞きしております。また本年5月、県の人材確保促進月間に合わせ、市長をはじめ、産業振興部職員が市内企業を訪問した際にも、若者の市内就職をはじめ、人材確保の要請を行う中で情報交換をいたしております。
 こうした中、多くの市内企業から、採用計画の定員を満たしておらないこと、近年は、採用者が早期に退職してしまう傾向が強まっていることなどを伺っており、人材の確保に苦労していると理解しております。
○井川典子君
 企業は、このような人手不足、新卒の採用に苦戦している中で、どのような採用活動をしているのかを教えてください。
○産業振興部長(津野貴史君)
 近年は、大手を中心とした就職情報サイトの増加に加え、直接学生にアプローチするスカウト型や成果報酬型といった多種多様な手法により採用活動が展開されております。
 そのような中、市内中小企業では、全てに対応することは難しいものの、大手就職情報サイトへの掲載や合同説明会への参加のほか、学生との接点を求め、試行錯誤しながら、様々な場を利用した採用活動を行っている状況でございます。
○井川典子君
 産業振興部は、市内企業への就職に関しまして様々な取組をされています。その内容と取り組んで分かった課題というものを教えてください。
○産業振興部長(津野貴史君)
 本市の取組内容といたしましては、企業説明会、各種セミナー、企業見学バスツアーや企業との交流会などを行っております。その中で、従前行っておりました若者の地元就職支援事業において行っていたような、大規模な企業合同説明会への学生参加者は年々減少している状況です。
 そのため、令和4年度より、学生がより参加しやすいよう、市内企業との小規模な交流会等を数多く開催し、学生と市内企業の接点を数多く創出するよう、事業の手法を見直しておりますが、やはりイベントに参加する学生の数の確保、これが課題であると考えております。
○井川典子君
 学生についての課題というところが今結構出たと思うのですけれども、産業振興部は市内企業を今訪問した中で、そういった課題がある。その中で、市立大学への要望というのはどのようなものがあって、それに対応していることを教えてください。
○産業振興部長(津野貴史君)
 先ほども少し申しましたが、企業は採用活動において、学生との接点を少しでも多く確保できるよう望んでおりまして、特に市内企業にとっては、市立大学の学生との接点を持つことに大きな期待を持っていると感じております。
 市立大学には、資格取得、キャリア形成、就職活動全般の相談などを学生に対して行うキャリアセンターが設置されておりますので、本市の事業におけるイベント等を開催するに当たり、キャリアセンターに募集等の助言や協力をいただき、市大生が参加しやすいイベントになるよう取り組んでいるところでございます。
○井川典子君
 市立大学との橋渡しというものも、産業振興部がしっかりとやっているというところを聞いたわけですけれども、私は人口減少において、特に若者の流出を食い止める策の一つには、この市内企業への就職と働く場である企業誘致が必要だと考えております。
 今回は企業誘致に関しましては深くは言及しませんけれども、市内にはすばらしい企業が立地をしています。その中で、若者、特に女性が希望する事務系職種というのが、金融機関とか公務員とかに限られてしまっているのではないかと感じております。
 本市と同規模以上の人口がある地方都市でも同様の状況にありますけれども、その対策としては、人事、総務、経理などの企業のバックオフィスを担うBPO企業やコールセンターなどの誘致に取り組んでおられます。大手のBPO企業は、今、正社員率を上げて福利厚生の面でもとても充実を図っているようです。
 このような女性や若者が魅力的に思える職のリサーチや誘致については、どうお考えでしょうか。
○産業振興部長(津野貴史君)
 人手不足の状況下においても、一般事務従事者の有効求人倍率は依然低い水準で推移しております。直近の令和6年7月も0.38と求人募集に対し、求職者のほうが非常に多い状況であり、事務は人気の高い職種であると認識しております。
 本市といたしましては、課題である人口流出の食い止めには、若者や女性に人気が高い業種の立地による働く場の創出及び雇用の確保が重要であると考え、ICT、いわゆる情報通信技術の企業でありますとか、今御紹介のございました委託を受けて事務業務を行う、そういう企業の拠点となりますBPOセンター、こういった事務系のオフィスの誘致に向けて、活動を積極的に行っております。
○井川典子君
 今、企業誘致のことも、これを言い出したら、また長くなりますので、今回のこの企業誘致には、今深くは触れませんけれども、本当にそういったBPO企業の誘致だとか、そういったところをしっかりと結果を出していっていただきたいと思っております。
 それでは次に、市内企業の期待値が高い市立大学において、令和4年、5年の県内・市内入学者数と市内企業への就職人数と率を教えてください。
○総務部長(笹野修一君)
 まず、県内・市内からの入学者数、こちらについて御説明いたします。令和4年度でございます。県内からの入学者数は105名でございます。うち市内からの入学者数が58名、ちなみに令和5年度、こちらにつきましては、県内からの入学者数は106名、そのうち、市内からの入学者数は67名となっております。
 次に、市内企業への、団体、市役所も含めまして、就職人数とその率でございますけれども、令和4年度の卒業生につきましては20名、令和5年度につきましては22名ということになっております。率で言いますと、令和4年度のほうは3.9%、令和5年度のほうが5.1%となっております。
○井川典子君
 その現状をどう分析していますか。
○総務部長(笹野修一君)
 同一学年の入学と就職、こちらをちょっと比べたものが存在しないのですけれども、先ほどの説明のとおり、市内からの入学者数に比べますと、市内就職者数が少なく、多くの学生が市立大学を卒業した後、市外へ出ていると考えております。
 なお、令和2年度、3年度につきましては、市内就職率が8%前後でございました。令和4年度、こちらは3.9%ということでちょっと下がっております。令和5年度、先ほど5.1%と言いましたけれども、そういう実績となっております。
 これにつきまして、令和4年度、3.9%ですけれども、コロナ禍におきまして、企業説明会それから最終面接までをウェブで行うことができるということが定着をいたしまして、市立大学の学生も、関東圏や関西圏に本社がある企業への応募、こちらに対するハードルが下がって、実際にこの地域に本社がある企業へ就職した、就職率が高まったということが主な要因であると、市立大学のほうから聞いております。
○井川典子君
 コロナのせいというか、コロナが理由というところはオンラインの面接でも、県内でも皆同じ状況にあるので、そこをちょっと、背景はあるとは思いますけれども、そこを下がっているところの理由にするのはどうかと思います。
 県内他市の就職率を見ると、山口大学は、令和5年は26.2%。これは過去も大体30%弱で推移していると聞いております。それから県立大学は、令和4年は44.6%、令和5年は39.7%、周南公立大学は、令和4年は38.5%、令和5年は37.9%、これはどこも県内の学校は2桁を上げております。市立大学は、今さっき言われましたけれども、県内就職率は令和4年は4.1%、令和5年は6.5%、市内就職率は令和4年は3.9%、令和5年は5.1%でございます。
 それでは、市内企業の就職を増やす取組というものは、どのようなことをしておりますか。
○総務部長(笹野修一君)
 市内をはじめ、県内の企業の魅力発信、こういったものを一層充実させるため、大学リーグやまぐち、こちらが主催をいたします市内・県内企業と各大学の就職支援担当教職員との情報交換会、こちらに市立大学のほうも積極的に参加をしておりまして、そこで得られた情報を、関心のある学生に提供しているということでございます。
 また令和5年度、昨年度につきましては、下関商工会議所と市立大学が連携をいたしまして、デジタル人材の育成に向けた学生と地元企業との交流会、こちらを実施し、学生に市内企業を知ってもらい、意見交換を行う機会、こういったものを提供しております。
○井川典子君
 今ちょっと触れられましたけれども、産業振興部が市立大学と連携しているというところの取組についてはいかがでしょうか。
○産業振興部長(津野貴史君)
 まず、本市が実施する企業説明会において、学生が気軽に参加できるように、市立大学を会場とした学内説明会を昨年度から開催しており、本年度は6月26日に開催したところでございます。また、学生と市内企業の接点を増やすために、昨年度から実施しております市内企業訪問バスツアーでは、キャリアセンターと協力して、市立大学の学生に参加を募りました。令和5年度は全2回開催し、その際、バスが大学にも立ち寄るなど、市立大学の学生が参加しやすい行程としております。
○井川典子君
 10月に学内就職説明会というものを開催していると思いますけれども、この参加企業数と市内の企業はどのぐらい入っているでしょうか。
○総務部長(笹野修一君)
 毎年10月に市立大学が実施しております学内合同業界研究会、いわゆる就職説明会、こちらに参加している企業数でございますけれども、まず令和3年度、こちらは全体で146社ございます。うち市内に本社がある企業・団体は7社でございます。それから、次に令和4年度、こちらは全体で148社、うち市内に本社がある企業・団体は8社でございます。最後に令和5年度、こちらは全体で144社、うち市内に本社がある企業・団体は9社となっております。
○井川典子君
 市内企業というのがちょっと少ないように思うのですけれども、この参加企業の選考方法というのはどういったことでしょうか。
○総務部長(笹野修一君)
 こちら市立大学のほうに確認をいたしましたところ、まず採用予定求人数が一定数以上あり、過去に市立大学からの採用実績があること。それからまた、過去に合同業界研究会に参加した際に、一定程度の学生が当該企業のブースを訪れていることなど、こういったものを勘案して、市立大学が参加企業を選考し、各企業へ案内をしていると聞いております。
○井川典子君
 企業をやはりもっと増やさないといけないと思います。学生が選ぶのです。でも、学生が選ぶためのツールというか、選ぶための要素というものをしっかりと与えてあげるためにも、参加企業の選考方法をもう少しちょっと考えていただきたいと思います。
 周南公立大学は1年生から下松・光・周南3市の周南圏域の企業へキャリア形成活動として就職体験を必須として行っております。また、令和9年までにパートナー企業を100社以上にするという目標も立てているようです。
 市内就職を増やすためには、1年生から市内企業を知るという機会も必要だと思いますけれども、その辺のお考えはいかがでしょうか。
○総務部長(笹野修一君)
 今、知る機会はということでございます。市立大学におきましても、学年にかかわらず、履修可能な授業科目といたしまして、就業体験実習、こちらを設けまして、市内企業をはじめ、多くの企業やその業界を知り、視野を広げる機会、こういったものを提供しております。
○産業振興部長(津野貴史君)
 近年は、就職活動の早期化により、企業が大学4年生だけではなく、大学3年生以下へアプローチする必要に迫られており、各企業は様々な手法で取り組んでおります。
 本市といたしましても、学生と企業の接点をいかに早い時期から、そしていかに多く創出することができるかということを重視し「若者の市内就職・採用活動支援事業」において、大学1年生も含めた学生と市内企業が交流できる場を数多く設けることにより、市内企業の人材確保の支援に取り組んでまいります。
○井川典子君
 取り組んでまいりますということなので、取り組んでいってくれるという答えだったのでよかったと思いますけれども、本当に早期のときから、どんどん情報の提供というのはしてあげてください。そして、それがその結果に結びついているというところもあると思います。
 周南公立大学は、周南圏域での就職率の目標というものも立てています。私は、市立大学もその市内就職の数値目標は立てて、抜本的な取組助成ということをやっていくべきだと考えるのですけれども、その辺はいかがでしょうか。
○総務部長(笹野修一君)
 現在、令和7年度、来年度から始まります第4期中期目標、こちらを市において作成中でございます。その中で、従来の目標では定めておりませんでした「市内就職率向上に向けた取組を行う」ということを、市立大学のほうへ市立大学法人の規定に基づいて指示することを検討しております。
 その指示を受けまして、市立大学におきましては、中期計画、こちらに市内就職率向上に向けた具体的取組事項を定めるということとなります。
○井川典子君
 しっかりと具体的に、載せていただければと思います。
 市内就職を増やすには、入学者に下関市内の学生や下関市を準地元と捉えられる地域、例えば、宇部、美祢、長門などの県内近隣市、それと北九州市といった地域からの学生を増やすことが必要だと考えます。県内の国公立大学も積極的に県内高校を訪問しているようです。市立大学も訪問はしているとは思いますけれども、市内就職を見据えて、近隣からの入学者を増やすという取組はどうでしょうか。
○総務部長(笹野修一君)
 今議員御案内のとおり、知ってもらう、分かっていただくということが非常に重要かと思います。
 そうした中で、近隣からの入学者を増やす取組ということで、まず市立大学の担当職員が各高等学校等を訪問いたしまして、市立大学の受験を促すというようなことを担当教諭と緊密に情報交換を行っていると聞いております。これが大きく1点目でございます。
 それから次に、令和5年度、昨年度と今年度につきましては、下関駅や小倉駅の中でデジタルサイネージを活用いたしまして、市立大学の広告、これを掲出しております。御覧になられた方もいらっしゃるかもしれません。
 それからもう一つ、最後に、募集に関しましては、令和7年度開設の看護学部、こちらにつきましては、地域推薦の出願要件であります出願者の在籍する高等学校等の所在地を従来の下関市と山陽小野田市にしておりましたけれども、こちらに加えまして、北九州市にも拡大をいたしまして、地域推薦の募集人員の割合を高めて、市内をはじめ、近隣からの入学者を増やすという取組を行っております。
○井川典子君
 私は、これからこの厳しい時代というか、そういう人口減少も、それを克服しなければいけないのですけれども、そういった人口減少とか大きい課題が乗ってきている中で、そしてその中で市が発展していくというところは、このあらゆる取組があって、それが全てリンクをしていかなければ結果にはつながらないのではないかと思っております。その一翼を担うのが、この市立大学の役割というものは、とても私は大きいと思っているのです。すごく期待をしています。なので、今回市内企業への就職に積極的に関与していただきたいという思いで、この質問をしたのですけれども、市立大学の教育研究上の目的には「地元社会及び国際社会の発展に寄与することを目的とする」ということも挙げられています。国際社会の発展に寄与する、先日ですけれども、総務委員会で市出資法人の経営状況の調査を行った際に、世界に通用する大学に向けての意欲的な取組をするということで言われましたけれども、そこですごく私も大きな期待をしたわけでございます。
 一方、その地域社会の発展というのは、地域企業への就職であったり、共同研究であると思います。人材を企業に送る、そして企業も末永くその企業が発展をしていって潤う。そして税金を払っていただいて、行政はまちづくりを行っていく。このような地域経済の循環もよくなって町も活性する。こういった流れを考えていただきまして、ぜひ来年度からこの成果というものが出るように、産業振興部さんも予算もしっかり上げてください、活動するのに予算が要る。そのための予算をしっかりと上げて、それをきっちり取って活動していただきたいと思います。そういったところをお願いし、市立大学はいらっしゃらないですけれども、市立大学と総務部、そして産業振興部がしっかりと連携を取って、取り組んでいただきますことをお願いいたしまして、この質問の項目は終わります。
 それでは、次の項目、不登校の対策と支援についてお伺いをいたします。
 この問題は、長年にわたり多くの議員が質問を重ね、行政もいろいろな部局でいろいろな改善策を立てています。しかし、不登校児童生徒は増え続けています。山口県を見ても、全国平均を上回っているのが現状です。国も全国の状況調査を行い、要因の分析や誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策である「COCOLOプラン」を立て、改善策の提示も行っています。
 このような背景の中で、下関市の現状を分析し、早期発見、未然防止や親への支援の在り方を、いま一度見返して、改善につながるためにこの質問をいたします。
 それではまず、令和5年度を含む過去3年間の小・中学校別の人数の推移と、令和5年度の学年別の状況を教えてください。
○教育長(磯部芳規君)
 それでは、本市の不登校児童生徒の状況をお答えいたします。令和3年度から令和5年度までの3年間の推移でございますが、小学校では令和3年度から218人、224人、295人、中学校では令和3年度から384人、454人、501人となっております。小学校、中学校とも増加傾向が続いております。
 次に、令和5年度の学年別の不登校児童生徒数についてお答えいたします。小学校の1年生では20人程度であったものが、小学校の6年生では70人程度となっております。また、中学校の1年生では140人程度だったものが、その後、中学校3年生では190人程度となっております。小学校、中学校とも、学年が上がるにつれて増加していく傾向が見られます。
○井川典子君
 年々増加している。そして、学年が上がるほど大きくなっているという傾向が出ている。それでは、この現状をどう分析して認識をされていますか。
○教育長(磯部芳規君)
 現状と分析、課題認識でございます。お答えいたします。
 不登校児童生徒数が増加している現状につきましては、教育委員会では、不登校の背景は近年ますます多様化・複雑化してきており、教育委員会としても、不登校の増加の要因について詳しく把握し、対策を講じることは喫緊の課題であると認識しております。
 不登校の要因を主たるものには、学校生活に対する意欲の減少、生活リズムの不調、学校生活に対する不安感などがあると捉えております。また、その他、学業の不振、友達などの人間関係、親子関係などが影響しているのでのはないかと考えております。
○井川典子君
 それでは、今のいろいろな要因がある中で、それを解決に結びつけるために、これまで学校における不登校児童生徒への対策として、教室以外で学習や相談ができる校内教育支援教室の設置、そしてまた、必要な生徒に対してのタブレットを活用してのリモート授業の配信、そして家庭訪問というものを行ってきていると思いますけれども、この現状と、そこの今見えている課題というものを教えてください。
○教育長(磯部芳規君)
 まず、学校における不登校の対策の現状と課題についてお答えいたします。学校における不登校対策の現状でございます。学校では、不登校児童生徒に対して、教員による様々な支援を行っておりますが、なかなか状況が改善されない児童生徒が一定数いることが課題であると捉えております。また、支援を行うには、児童生徒の不安感を払拭し、保護者とも連携した丁寧かつ長期的な対応が求められておりますが、一人一人に応じて対応するには、人員と時間が不足しております。また、それによって個々の不登校児童生徒が求める支援を、求めるタイミングで行うことが難しい課題があると考えております。
○井川典子君
 それでは、校内教育支援教室「COCOLOプラン」でも、設置を促していますけれども、聞き取りでは、本市では小学校が42校中26教室、中学校が23校中20教室と聞きました。
 しかし、学校の状況で、生徒が求めたときに、必ず対応できるとは限らないなどの課題というものが挙げられていますけれども、こういった課題の具体的な改善策、そして全小中学校にこの教室の設置を促進しますか。
○教育長(磯部芳規君)
 まず、学校における不登校対策の現状でございますが、課題の対策についてお答えいたします。
 教育委員会では、学校を支援するため、令和3年度まで問題行動への対応を行ってきたガイダンスアドバイザーを、不登校生徒の支援のために、令和4年度から3名、令和6年度から1名増員し、4名を配置しております。
 また、令和5年度から教育委員会の事業である「ステップアップルーム事業」によって、4中学校にそれぞれ1名の専任教員を配置して、配置された教員が別室での生徒の支援を専門で行うようにしております。
 これらの事業を通して、教室復帰や高校進学など、希望の進路を実現できた者もおり、効果があるものとして認識しております。
 そこで、教育委員会としては、自分の学校の自分の学級に入りづらい児童生徒が学校内の落ちついた空間で自分に合ったペースで学習・生活ができるよう、空き教室を利用して校内教室支援教室の設置を進めているところでございます。ここには、移動式のクーラーやWi-Fi環境を整えるとともに、学習生活支援を行う「こころのアシスタント」を今配置しているところでございます。
 これによって、不登校児童のそれぞれの状況に合った支援ができるようになっておりまして、教員では難しかった継続的な支援も行えるようになっております。
 本年度、1学期末時点でございますが、昨年度同時期と比べますと、不登校やその傾向が見られる児童生徒数は、少しずつでありますが減少している状況でございます。
 したがいまして、引き続き、全ての学校において、校内教育支援教室をますます環境整備に努めて増やしていく、そう考えております。
○井川典子君
 増やしていくというところですけれども、私が先ほど言ったのは、子供が行きたいと言ったときに、全て対応がオーケーということではないといった改善策等をちょっと踏み込んで聞きたかったのですけれども、それでアシスタントさんも置いて、対応に努力はしているというところが分かりましたので、その辺が答えかと思います。
 そして次に、新規の取組で聞こうと思っていた答えは、教育長が今言われましたので、教室の整備、子供たちが行ったときに、快適にそこで勉強ができる、話ができるといった整備は、Wi-Fiであったりクーラーであったりというところを、そこはそろえていますと言われましたので、次の質問に行かせていただきます。
 次は、学校外では不登校対策として「あきね」「かんせい」が挙げられます。不登校対策の質問をするときに、いつも「「あきね」「かんせい」がいい、ここでは成果が出ているから」とずっと教育委員会は言われてきたのですけれども「あきね」「かんせい」の成果も含めてですけれども、ここに挙げられる状況と課題を教えてください。
○教育長(磯部芳規君)
 学校以外での不登校対策ということで「あきね」「かんせい」の現状と課題についてお答えいたします。
 教育支援教室「かんせい」「あきね」では、不登校児童生徒の社会的自立を目指し、集団生活への適応、情緒の安定、基礎学力の補助、基本的生活習慣の改善のための支援を行っているところでございます。児童生徒の中には、学校に復帰できたり、自分のペースで学習を積み重ね、志望する高校に進学できたりするなど、支援に一定の効果があったものと考えております。
 その一方で、不登校児童生徒の抱える課題はますます多様化・複雑化しておりますので、これまで以上に丁寧な支援が必要となっております。
 また、不登校児童生徒の多い居住地によっては、交通の便や距離の問題で通うことが難しい児童生徒もおりますので、多様なニーズに応じた支援をいかに行っていくかが課題と捉えております。
○井川典子君
 地域連携教育というのは、本当にとても大切だと思います。籠るというのが長くならないように、年齢によって触れる社会というものは違うと思いますけれども、社会と触れるということはとても大事と思いますので、その観点から、いろいろな学びの場、居場所というものをつくっていただきたいと私は思います。
 学校外で足が向く、行ってみようとチャレンジができる環境は大切であります。居場所を増やす、それが「あきね」「かんせい」の2か所で、それで十分だと考えていますか。これがいいと昔から言いながら、一つも増えていない状況ですけれども、これは増やさなかった理由というのもあるのでしょうか。その辺をお答えください。
○教育長(磯部芳規君)
 教育支援教室等の増設等に関してのお尋ねに対してお答えいたします。
 まず、教育支援教室の増設についてお答えします。教育委員会では、「かんせい」「あきね」以外の不登校児童生徒を支援する場所の拡充については検討してまいりました。
 現在、学校現場におきましてでございますが、登校はできるけれども教室に入れないといった児童生徒が多く、まずは、こうした児童生徒に早急に支援を行き届かせる必要が高まっている状況にあると考えております。
 そこで、本年度より、学校内で支援を受けられる「校内教育支援教室」の拡充を進めて不登校傾向が見られる、また不登校から復帰しだした児童生徒が安心して登校できる環境を整備してまいりました。
 今後につきましては、学校に通うことが難しい、そういった児童生徒に対する支援を行う「教育支援教室」等の拡充についても、引き続き検討してまいりたいと考えております。
○井川典子君
 私は並列してやるべきなのではないかと思います。そこに、校内教室がいいと思う子とそうでない子というのが、個々で全部違いますし、やはりそれは並列してやっていく。それだけ大きくなるにつれて増えていますし、年々増えている状況で、昔から考えても「あきね」「かんせい」だけなわけです。そういったところは、やはり違う理由があるのかとしか私は考えられなかったのです。
 なので、私は、学校と学校外はやはり並列してやっていってほしいと思います。学校外で関わる居場所では、適切に対応するというところで専門的なスタッフも必要だと思うのですけれども、このスキルというのも、大変また重要になってくるかと。そのスキルアップの支援であったり、それから人の配置はどうでしょうか。
○教育長(磯部芳規君)
 学校以外での不登校児童生徒さんに対して支援をしていく、配置されていく人のスキルアップについてお答えをいたします。
 不登校児童生徒やその保護者を支援する際には、まず当事者の視点に立って寄り添い、共感的に理解することが大切だと考えております。
 現在、教育委員会では、教育支援教室の専門指導員やガイダンスアドバイザーには、教職員OBを任用しております。これまでの豊富な経験と知識を生かして、児童生徒やその保護者への支援を行っているところでございます。また、月1回の研修を通して、下関市の不登校の状況、適切な不登校児童生徒の支援の方法などについて情報交換を行っているところでございます。これらを使ってスキルアップにつなげております。
 また、こころのアシスタントについては、教員免許状を有していない者も採用しているため、指導主事による研修のほか、配置校の校長からの指導助言や教員との情報交換により、効果的な支援方法についてスキルアップを図っているところでございます。
○井川典子君
 それでは、不登校になる要因というのは、個々に違って、デリケートなことなので、その対応の難しさや解決の難しさが本当にあるということは理解しています。
 私も、いろいろなお母さん方、それからこの解決に至った親御さんの話もいろいろ聞いてまいりました。それから携わっている方々の御意見も聞く中で、子供への対応とともに、親への情報提供、相談の窓口であったり、場所の拡充というのは必要と感じたのですけれども、その点はいかがでしょうか。
○教育長(磯部芳規君)
 保護者への情報提供である相談と窓口等についてお答えいたします。
 教育委員会では、保護者をまず孤立させないための支援体制づくりが重要であると考えております。そこで、教育委員会内の相談窓口や教育支援教室「かんせい」「あきね」で、不登校に関する相談を受け付けております。また、これらの相談窓口については、学校を通じて家庭に情報提供するとともに、教育委員会のホームページで周知を図っております。
 さらに、保護者への情報提供とともに、保護者同士のつながりをつくることを目的として、教育支援教室「あきね」で毎週金曜日「親カフェあきね」や、学期に一、二回程度、休日に「保護者の集い」これは保護者研修会を兼ねておりますが、開催しております。
 教育委員会では、今後、コミュニティ・スクールの取組を生かしまして、家庭教育支援チームによる子育て学習会、親子参加型の行事などの活動支援をしていきたいと考えております。
 様々な人に支えられて、子育てをしているという保護者の安心感を醸成することなどをしながら、支援が途切れないように努めてまいりたいと考えております。
○井川典子君
 不登校児童生徒本人の支援というのは最重要だと思うのですけれども、その保護者への適切な対応のための情報提供や長期化する可能性があると予想される場合、地域内の様々な学びの場や居場所につながることができるような支援などの強化というものが必要だと思います。
 先ほどの情報の周知というものもあらゆる方法でやっていくことが大事かと思います。教育支援教室、学びの場につなげる居場所の体制、それからアウトリーチ機能などの強化というのが私は急務だと考えるのですけれども、その取組はいかがでしょうか。
○教育長(磯部芳規君)
 不登校児童生徒の中には、家から出られない者も一定数いますので、教育委員会としても、御指摘のとおり、アウトリーチによる不登校児童生徒への支援の強化は重要であると認知しております。
 そこで、教育委員会では、家庭訪問による学習支援等を行う訪問支援を実施したり、訪問という形だけでなく、保護者の集いや親カフェを開催したりするなどして、不登校児童生徒とその保護者への支援を行っており、今後も効果的な取組を進めてまいりたいと考えております。
 また、新たな学び場となる「学びの多様化学校」設置に向け、効果的なカリキュラムや安心して学べる環境づくりなどの検討を進めているところでございます。
 今後も、様々な状況下にある児童生徒の学び場の拡充を図るとともに、アウトリーチ型の支援についても検討を行い、下関市の不登校児童生徒の状況に合った総合的な不登校対策を進めたいと考えております。
○井川典子君
 総合的な支援というものを考えていただきたいので、質問しているのですけれども、アウトリーチ、もう少し強くやっていかないと私はいけないと思うのですけれども、以前やっていたけれども、支援の――お金の面で、それが恒久的に来るわけでもないので、一旦やめたというところも聞き取りの中で聞いたのですけれども、そういったところも踏まえて、アウトリーチ、もう一回しっかりと取り組んでいかれるのですか。
○教育長(磯部芳規君)
 アウトリーチについてでございますが、もちろん積極的に保護者、また児童生徒のほうへアウトリーチ、訪問することも考えますが、逆に、保護者が寄り添ってくれる場所、そういったものについてもつくっていきたい。保護者の方が集ってくる場所についても考えていきたい、そういうアウトリーチを考えていきたいと考えております。
○井川典子君
 お金の支援と人材の確保、この2点がどれにも当てはまる課題と私は受け取っているのですけれども、その辺は大丈夫でしょうか。
○教育長(磯部芳規君)
 まず現時点での一番の課題は、人的な確保が上がってくると思います。今後は、教員の経験者だけでなく、様々な経験をされた方も含めて、募集をしてまいりたい、確保してまいりたいと考えております。
○井川典子君
 ギガスクール構想でタブレット、1人1台のタブレットが渡っているわけですけれども、学習だけではなくて、生徒のメンタルヘルスの変化、小さなSOSを察知する効果もあると思います。不安が大きくならないために積極的に活用することも有効だと思います。
 プライベートな最重要情報を扱いますので、管理も大変とは思いますけれども、このタブレットを活用した生徒の心や体調の変化を把握しての早期発見、早期支援につなげる取組についてはいかがでしょうか。
○教育長(磯部芳規君)
 こころの健康観察実証事業についてお答えいたします。
 本年9月より、市内8校の小中学校で、1人1台タブレットを活用して、児童生徒が生活アンケートや悩み相談の申込み等を行える専用のアプリケーションを試験的に導入しているところでございます。これを活用し、児童生徒の状況把握と教職員間の情報共有を進めるとともに、児童生徒の変化への迅速な対応と深刻化を防ぐ体制づくりに取組を始めたところでございます。
 なお、児童生徒が安心してできるよう、子供と教職員一人一人にIDパスワードを設定するなど、個人データの管理には万全の体制を整えているところでございます。
○井川典子君
 よろしくお願いいたします。最後の質問でございます。親の相談が遅れる要因の一つといたしましては、親が行政と関わる機会が少ない場合が多いのかなと。相談をためらう、足踏みをするという傾向が見られるのは、そういったお母さん方の声が多かったように私は感じました。
 子供の幼児期から親と行政が触れる機会があるということは、話しやすい環境も生まれる。なので、幼児期からのケアも早期発見につながる場合もあるので、その辺も取り入れていただきたいと思います。
 ゼロ歳から18歳までの子育て応援から見ても、教育委員会とこども未来部、保健部の連携というものは大切であります。全ての子と親が必要なときにすぐに利用できる窓口であったり、ツールであったり、ちょっと話せる機会、こういうものが欲しいというところに関しては、それこそ、新しくこども家庭センターが導入されたので、そういうところでも対応ができるかと思います。
 そういう面も含めまして、今後の取組そして今各部が個々にやっている支援もあると思いますので、その辺も踏まえながら、今後につなげる取組としてのお答えをよろしくお願いします。連携も含めてお願いします。
○教育長(磯部芳規君)
 全ての子供たちの自立に向けては、一人一人の状況に応じた早い段階からの支援と継続的で途切れない支援が必要であると考えております。教育委員会では、小中学校の連携はもとより、小学校入学時においては、幼稚園、保育園、特定こども園等と中学校卒業時においては、高等学校との情報共有を行い、子供たちが安心して新しい生活を送られるよう努めております。
 特に、中学校卒業後は、中学校の教員との関わりがなくなることから、生徒の状況に応じて、卒業前にフリースクールや福祉、保健などの相談機関との面談を実施するようにしております。
 小学校に在籍しているときも、保護者とともに関係機関と連携した支援体制を進めているところでございます。
 今後も引き続き、子供の自立支援に向け、市こども未来部、保健部等との連携を進めてまいりたいと考えております。
○保健部長(八角 誠君)
 保健部では、不登校の中でもひきこもりに関して、御本人やその御家族を支援するために、保健師、精神保健福祉相談員などの専門職が相談を受ける体制を取っております。また、ひきこもり相談会であったり、ひきこもり家族教室などの開催をいたしております。これらの取組につきましては、教育委員会を通じて学校へも周知されておりますので、そこからの御相談を受けるということもございます。
 また、地域の窓口である保健センターでは、赤ちゃん訪問や育児相談の場面で、やはり不登校の御相談を受けることもありますので、その場合は、学校やこども家庭センターと連携して対応しているというところでございます。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 先ほど議員からも御紹介がありましたこども家庭センターにおいては、不登校等のほかに課題がある対応につきましては、関係機関とのケース会議の開催や支援が必要な家庭への訪問、各種サービスに関する情報提供、学校以外の居場所の紹介、養育支援訪問による専門的相談支援や子育て世帯家事・育児支援などを実施しております。
 今後の取組としましては、こども家庭センターの一層の周知に努めるとともに、市の関係部局や関係機関等との連携を強化し、引き続き適切に支援につなげてまいります。
○井川典子君
 不登校対策は、教育委員会をはじめ、地域の機関との連携、部局との連携といろいろな策を講じて取り組んでいることを理解いたしました。さらに力を入れていただきたいというところで申し上げたいのが、早期の対応の面からというのは、療育に本当に力を入れて充実させていただきたい。そして不登校児童生徒を持つ親への初期の対応、これをお願いしたいのです。
 先ほど言われた課題というのは、そこで大分改善ができるというところは必ずあると私は思っております。いろいろな話を聞く中で、子供が突然に学校に行かなくなったという、そういったところの親の動揺から、学校や担任の先生の伝達がうまくいかなくて、それを皮切りに、落ちていったりということもよく聞きます。カウンセラーに相談するまでには日数がかかる、その先生がずっと続いているわけではない。そして、その間に学校に行かせたいと焦ったりして、子供を叱ったりする。子供に対しては二次被害になってきたりする。そういったときに、やはり学校以外の場所で、親が不登校の子供のことであったり、子供の発達について学んだり、落ち着く場所というのが必要ではないかと思います。
 親の姿というのは子供にすごく影響を与えます。そして親の選択、これが子供の意思と関連するかどうかという、ここもすごく後々重要になってくると思いますので、この辺もしっかりと対応していただきたいと思います。
 未就学時に通っていた先生が、親のサポートをしてくれたりというところで、心がスパっと変わって、どんどん向き合えたという、これは信頼ですよね。ここにも、私は強化の大きなポイントのヒントがあるのではないかと思います。
 不登校になった一人一人の事情があるということを理解して、諦めず、根気強く、みんなで力を出し合って、知恵を出し合って、積極的にどんどんと施策を進めていくということをお願いして、そして1人でも不登校にならないために、不登校への理解と支援の輪を広げることをお願いいたしまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(安岡克昌君)
 以上で、本日予定された一般質問は終了いたしました。本日は、これにて散会いたします。
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