録画放映

第3回定例会
9月13日(金) 本会議(一般質問1日目)

宮野 直樹 議員
1.仕事と介護の両立支援について
2.児童クラブの長期休暇中の昼食提供について
【下関市議会 本会議速報版】
・下関市議会では、本会議の正式な会議録が作成されるまでの間、速報版を掲載いたします。
この速報版は、会期終了後約1か月程度で掲載します。
・速報版の会議録は校正前原稿であり、今後修正されることがあります。
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・校正後の会議録が「会議録検索システム」に掲載された時点で、速報版の会議録は校正後の会議録に差し替えます。

○議長(香川昌則君)
 3番、宮野直樹議員。(拍手)
  〔宮野直樹君登壇〕
○宮野直樹君
 無所属の宮野直樹です。通告に従い一般質問をさせていただきます。
 一つ目のテーマは、仕事と介護の両立支援についてです。初めに、ビジネスケアラーについて質問をさせていただきます。
 ビジネスケアラーとは、主に企業等で仕事をしながら、家族などの介護する人を指しています。少子高齢化が進む中、ビジネスケアラーに対する支援は喫緊の課題です。総務省の令和4年就業構造基本調査では、ビジネスケアラーの数は、2022年時点で約274万人とされています。また、直近1年間で介護等を理由とした離職者は約11万人、うち女性は約8万人となっており、約1万人増加をしています。
 タブレットの資料を御覧ください。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○宮野直樹君
 この資料は、ビジネスケアラーに関する指標の推移です。2023年に経済産業省が発表した試算では、2030年には約318万人に達しています。家族介護者833万人のうち、約4割がビジネスケアラーになる見込みです。
 次の資料を御覧ください。この資料は、都道府県別ビジネスケアラーに関する各種データです。山口県のビジネスケアラーの人数は2022年で約3万人とされています。高齢化率が高い本市においても、仕事をしながら家族などの介護するビジネスケアラーの数は多いと考えられます。
 そこでお尋ねします。ビジネスケアラーの数など、本市の現状についてお示しください。
○産業振興部長(津野貴史君)
 本市のビジネスケアラーに関する人数等の統計情報はございませんが、先ほど議員から示されました経済産業省が発表しているビジネスケアラーに関するデータを基に試算いたしますと、本市の2022年のビジネスケアラーの人数は、約5,500人程度であろうと推計されます。
○宮野直樹君
 正確なデータはないけれども、5,500人程度おられるという推計があるということが分かりました。2030年には8.1%の増加が見込まれており、高齢者の雇用促進や女性の社会進出がさらに進めば、数が増える可能性も考えられます。
 経済産業省によると、仕事をしながら、家族などの介護する人の労働生産性について、介護していない人と比べて、3割ほど低くなると推計されており、仕事のパフォーマンスが落ちることは、経済に対する影響も及ぼします。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○宮野直樹君
 タブレットの資料を御覧ください。2023年に経済産業省が発表した試算では、仕事と介護の両立困難による労働生産性や介護離職などによる損失額を合計すると、その経済損失は約9.2兆円と試算がされています。このように、ビジネスケアラーが増加することは、介護を担う方の仕事や生活への影響に加えて、社会経済にも大きなダメージを与えてしまいます。
 そこでお尋ねします。ビジネスケアラーに対する課題の認識についてお示しください。
○産業振興部長(津野貴史君)
 ビジネスケアラーの方は仕事に従事しながら、介護との両立を図っておられ、介護に伴う肉体的かつ精神的な負担を抱えて仕事に従事している状況です。ビジネスケアラーの介護の負担に伴うパフォーマンスの低下は、企業にとりまして、生産性の低下につながります。また、厚生労働省の雇用動向調査によると、令和5年に離職をした常用労働者約798万1,000人のうち、0.9%が介護・看護を理由として離職をしております。仕事と介護の両立がままならず、介護離職に至ってしまうことは、労働者の生活のみならず、企業の人材不足が顕著となっている現在では、企業経営においても大きな課題になるものと認識しております。
○宮野直樹君
 企業の経営についても影響があるということで、課題について御説明をいただきました。
 タブレットの資料を御覧ください。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○宮野直樹君
 この資料は年代別の介護発生状況です。ビジネスケアラーは、家族の介護問題が本格化する可能性が高くなる45歳以上の世代が高い割合を占めています。働き手の多様化が広がっていますが、40代から50代の正規雇用者が組織を支えているという企業は多く、この課題は看過できません。
 また、少子高齢化が進む中、これまで介護を担うと想定されていた世代だけでは足りず、若手にも影響が広がってくることが予測されます。既に仕事と介護の両立をしているビジネスケアラーへの支援だけではなく、家族の介護が発生する前のビジネスケアラー予備軍の人たちへ、早く働きかけることも重要となります。
 こうしたことは個人の課題ではなく、民間企業、医療・福祉事業者、行政機関などを含めた社会全体の課題として、ビジネスケアラーに対する支援を進めていくことが重要であり、そのためには企業の方々の理解と協力を得ることが必要不可欠です。
 そこで、経営者向けガイドラインについて質問をさせていただきます。2024年3月、経済産業省は仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドラインを策定しました。このガイドラインは、ビジネスケアラーを取り巻く諸課題への対応として、より幅広い企業が仕事と介護の両立支援に取り組むことを促すため、企業経営における仕事と介護の両立支援が必要となる背景、意義や進め方などがまとめられています。このガイドラインの活用は、市内の企業に対して、ビジネスケアラーに係る支援の重要性や諸課題に向けた理解や協力を得る上で有効な手段の一つだと考えられます。
 そこでお尋ねします。ガイドラインの周知をどのようにされているのか、お示しください。
○産業振興部長(津野貴史君)
 昨年11月に、経済産業省がビジネスケアラー発生に伴う諸課題への対応として、企業経営と介護両立支援に関する検討会を立ち上げ、本年3月に、仕事と介護の両立支援に関する経営者向けガイドラインを策定いたしました。このガイドラインは、企業として従業員の仕事と介護の両立支援に取り組む意義について解説し、現状の課題と企業として取り組むアクションを示しております。
 本市といたしましては、現在のところ特段の周知は行っておりませんが、今後は国の周知啓発の取組を注視しつつ、商工会議所等の関係機関と連携し、市内企業への情報発信等を行ってまいりたいと考えております。
○宮野直樹君
 各団体あるいは国や県とも連携して周知のほうをぜひよろしくお願いしたいと思います。
 ガイドラインによると、既に企業に義務づけられている介護休業の整備状況は、従業員数によって異なりますが、全体では74%の企業で整備されており、従業員数が500名を超える企業では99.6%が整備されています。
 一方で、厚生労働省の令和4年度雇用均等基本調査によると、介護休業を取得した人がいた事業所の割合は1.4%となっています。かなり少ないというのが率直な印象です。育児と仕事の両立に比べて、仕事と介護の両立は、まだまだ社会的な認知度が低く、問題を抱えていたとしても表面化しづらいことが考えられます。そのような中、令和6年5月31日に公布された育児介護休業法の改正では、介護離職のための仕事と介護の両立支援制度の強化等がされています。
 そこでお尋ねします。仕事と介護の両立支援制度の強化等の概要についてお示しください。
○産業振興部長(津野貴史君)
 令和6年5月31日に公布された「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」、いわゆる育児・介護休業法の改正における仕事と介護の両立支援制度の強化等の概要について御説明いたします。
 仕事と介護の両立支援制度を十分活用できないまま介護離職に至ることを防止するため、事業主に対し、「介護に直面した労働者が申し出た場合の両立支援制度に関する情報の個別周知・意向確認」、「介護に直面する早い段階の両立支援制度等に関する情報提供」、「研修や相談窓口の設置等の雇用環境の整備」といった措置義務が課せられることになりました。また、介護期の働き方について、テレワークを選択できるよう、事業主に努力義務が課されております。さらに、介護休暇について、勤続6か月未満の労働者を除外する仕組みが廃止されました。
 以上が、仕事と介護の両立支援制度の強化等の概要であり、令和7年4月1日に施行される予定でございます。
○宮野直樹君
 個別の周知や意向確認、そして制度に関する情報提供、研修や相談窓口の設置等が企業の義務になるということが分かりました。
 ガイドラインによると、従業員向けの介護セミナーの実施や、社内外の専門窓口を設置している企業は約1割程度にとどまっています。義務化に伴う体制整備は十分とは言えず、今後、企業にとっては様々な負担が生じることが予測されます。義務だからやってくださいというだけではなく、企業に対する支援が必要ではないかと考えています。
 そこでお尋ねします。企業に対する支援の必要性についてお示しください。また既に取り組んでいることがあれば併せてお願いいたします。
○産業振興部長(津野貴史君)
 仕事と介護の両立支援に取り組む中小企業等に対しては、何らかの支援があることがやはり望ましいと考えます。そのため、国が両立支援等助成金の介護離職防止支援コースにおいて、介護を行う労働者の雇用の継続を図るための就業環境整備等に対して助成金を支給しております。
 本市といたしましては、山口労働局等と連携して、まずはこの制度の周知を図ることが大切であると考えております。また、本市はこれまでも人材確保のための企業への要請活動など、各種施策を実施しており、この中で育児休業の取得のみならず、介護休業の取得に向けた働きかけも進めてまいります。
○宮野直樹君
 支援の必要性は望ましいということであるということで、これまでも労働局やあるいは国の制度、そうしたものの周知等を含めて支援をされてきたということで御説明をいただきました。
 あるビジネスケアラーの方は、仕事を終えて帰宅してから介護が始まる、休む暇もなく、体力も気力も限界に近いと述べています。このような声は、仕事と介護の両立がいかに困難であるかを物語っています。こうした方が増えていくことは避けては通れず、課題に向き合っていかなければなりません。
 ガイドラインでは、企業が取り組むべき事項をステップとして、1.経営者層のコミットメント、2.実態の把握と対応、3.情報発信と示しています。こうしたことを踏まえ、企業を支援するという観点から、先ほど御答弁があったことに加えて、経営者に向けたセミナーの開催、実態把握のアンケート調査の実施、相談窓口の設置などについて、市が率先して取組を進めながら、官民協働で仕事と介護の両立支援に取り組んでいただくようお願いをいたします。
 次に、家族介護者に対する支援について質問をさせていただきます。仕事と介護の両立の定義は、休業や業務量の削減を行い、従業員が介護に携われる時間を増やすこと、これを意味しているわけではありません。家族介護者が家族などの介護に対応しつつ、希望に応じた働き方を選択し、家庭生活とキャリア形成を両立し続けられることを意味しています。また、介護休業制度は、介護の体制を構築するために、一定期間休業する場合に対応するものとなっています。そのことを踏まえると、仕事と介護の両立を行うためには、家族介護者が早い段階で専門職等へ相談し、介護保険など制度の利用を適切に進めることが重要です。
 そこでお尋ねします。家族介護者に対する支援について、どのような取組があるのか、お示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
 御家族の介護をされている方に対する市の相談窓口といたしましては、地域包括支援センターをはじめ、本庁では介護保険課、長寿支援課等で対応しているところでございます。
 相談窓口では、相談を拝聴し助言を行うとともに、介護保険制度の御利用が家族介護者の御負担の軽減につながる場合であれば、要介護認定の申請案内をし、サービス利用につなげるように対応しております。
 また、市のホームページにおきましても、働きながら介護を行う方の介護を理由とした離職防止等に向けて、介護保険の制度や介護休業制度をはじめ、厚生労働省作成の動画等や家族休業制度について掲載し、御案内しているところでございます。
○宮野直樹君
 相談窓口や各種制度の案内ということで、そうした支援をされているということについて御説明をいただきました。
 仕事と介護の両立支援を進める上で、今後ますます介護保険制度などを利用する重要性やニーズが高まります。需要に対して支援を供給するためには、介護人材の確保を進めていかなければなりません。
 そこで介護人材の確保について質問をさせていただきます。タブレットの資料を御覧ください。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○宮野直樹君
 この資料は、厚生労働省の第9期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数についてです。団塊ジュニアが65歳以上となる2040年には、約57万人の介護職員が不足されると推計されており、超高齢化社会を迎える我が国にとって大きな課題です。そのような中、本市においては、令和5年に介護人材実態調査を実施されています。
 そこでお尋ねします。介護人材実態調査の結果と課題をどのように認識されているのか示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
 この調査は、第9期介護保険事業計画の策定に向けて、介護人材の確保に必要な取組を検討するために、令和5年2月に市内の507介護事業所を対象として行い、315事業所から回答を得たものでございます。その中で求人が必要と回答した事業所の割合は全体で31.4%、種別ごとに言いますと、訪問系で40.1%、通所系で24.3%、施設・居住系で33.3%となっており、特に訪問系の人材が不足しているとの状況でございました。また、必要な介護職員数は、各事業所で平均2人となっております。
 本市におきましても、介護人材が不足している状況であることから、支援制度の周知やハローワークなどの関係機関と連携を図り、事業所の人材確保の取組を支援することが重要であると考えております。
○宮野直樹君
 507の介護事業所を対象にということで、不足数は平均したら2人ということで、それだけでも1,000人以上不足なのかなということが少し見えてきました。加えて、やはり訪問系が非常に厳しいというところで、在宅、地域で暮らすということを進める上では、やはり介護人材の確保が必要だと思っています。また、私も今、40代半ばになりますけれども、仮に親の介護が必要になったときに、やはりそうした福祉サービス、あるいは専門職の皆さんに頼っていかなければ、なかなか仕事と両立することは非常に困難になるということは、私も近い将来として考えているところです。こうした介護人材の確保に加えて、介護現場の生産性を向上させることも、課題解決に向けた重要な取組だと私は考えています。
 そこでお尋ねします。まず、介護人材の確保に対する現在の取組と成果についてお示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
 介護人材の確保に向けて実施しております介護人材確保支援事業について、令和5年度に実施いたしました六つの事業を御説明いたします。
 介護人材の確保と就労定着を目指し、市内・国外から転入して就職する外国人介護職員の転入旅費等の助成を11人に対して実施するとともに、介護職員として就職する新卒者・転職者・復職者の36人に対して、1人10万円または15万円の支援金の交付や、介護従事者の負担軽減や働きやすい職場環境の整備のための介護サービス事業所への業務改善費用を4事業所に対して助成いたしました。また、多様な人材の介護分野への参入促進のためのセミナーを2回開催し、12人の参加がございました。交流する機会の少ない他事業所の介護職員同士の意見交換会を開催し36人の参加、また、次世代を担う小中高生を対象とした介護に関する出前講座を6回開催いたしました。
 令和6年度は、新たに就職者への支援金について、対象者に非常勤の訪問介護員を加えることや、介護職員初任者研修の開催などを加えまして、介護人材の確保に向けて取り組んでおります。
○宮野直樹君
 それでは次に、介護現場の生産性向上に対する現在の取組と成果についてお示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
 介護現場の生産性向上は、業務の改善や効率化など、職員の業務負担の軽減や介護サービスの質の向上に重要であると考えております。そのため本市では、令和元年度からノーリフティングケアに取り組む事業所を支援しております。さらに、令和5年度からは、介護サービス事業所が業務の改善や効率化を図るためのコンサルティングや研修を受ける費用の助成を開始いたしました。令和5年度に助成した4事業所からは、従業員の安心と安全が利用者に好影響を与え、利用者の不穏行動が減少した。従業員や利用者の介護現場におけるICT機器に対する意識やイメージが改善され、気軽に活用するようになったなど、介護現場の生産性向上につながる報告を受けておりますので、一定の成果があったものと考えております。
 また、山口県におきましては、介護ロボットやICT機器の導入を支援しております。こうした取組もありまして、令和5年8月に本市が実施いたしました調査では、市内で24事業所が介護ロボット等を導入しておりました。具体的には、装着型サイボーグや、移乗アシストといった移乗介護、移動支援に係るもの、また眠りスキャンやカメラによるベッド見守りといった見守り支援に係るものなど、合計で674台が導入されておりました。導入している事業所からは、介護に係る肉体的負担の軽減につながった、また夜勤等での業務効率が向上したなどの声をお聞きしております。
 これらの取組は、介護現場の生産性向上に対する一定の成果が期待できますので、さらに推進してまいりたいと考えております。
○宮野直樹君
 介護人材の確保、また介護現場の生産性向上に対する現在の取組は、様々されているということと、効果も上がっている部分もあるということで、推進ということですけれども、これを引き続きお願いしたいと思います。
 そうした事業者や求職者に対しても様々な施策を実施されていますが、介護人材の不足は、高齢者の暮らしに影響を与えるだけではありません。先ほど取り上げたビジネスケアラーの増加による労働生産性の低下、介護離職によるキャリア形成、家族構成によっては育児とのダブルケア、またヤングケアラーになることによる学業への影響も考えられます。このように、若い世代の将来をも左右する重要な課題です。介護の課題を次世代へ残さず、仕事と介護の両立の視点からも、介護人材の確保について、さらなる取組の強化を要望いたします。
 最後に、今後の取組について質問をさせていただきます。ここまで仕事と介護の両立支援をテーマに、ビジネスケアラー等に係る課題、企業、家族介護者、介護人材確保に係る支援や取組など議論を進めてきました。これまでの取組のさらなる強化はもちろんですが、私はビジネスケアラーをはじめ、介護の問題を抱える方を孤立させないこと、またピンチをチャンスに変えていく発想が重要ではないかと考えています。
 例えば、経済産業省では、介護を個人の課題から、みんなの話題に変えていこうというオープンケアプロジェクトを実施しています。この取組は、介護事業者にとどまらず、幅広い主体の方々に、介護領域に関与してもらうため、介護当事者、福祉従事者、メディア、クリエイター、企業など、多様な主体を横断して介護に関する話題を議論し、課題解決に向けたアクションを推進しています。
 本市においても、こうした取組を参考に、関係部局と連携をしながら、介護に係る課題をみんなの話題へ転換し、抱え込まずオープンにできる社会の雰囲気を醸成すること。また中核市の中でも2番目に高齢化率が高いということを課題ではなく、強みとして捉え、本年4月、市立大学にデータサイエンス学部が開設されたこと、また来年4月より看護学部が開設されることも踏まえ、例えば、産・官・学連携により、常識や定説に捉われない発想によるイノベーションを創出し、ヘルスケア産業など社会課題解決の分野を、新たなビジネスチャンスに転換することも重要ではないかと私は考えています。そうした取組の結果として、仕事と介護の両立が円滑となり、市民の健康や安心につながればすばらしいのではないでしょうか。
 そこで最後にお尋ねします。仕事と介護の両立支援に今後どのように取り組まれるのか、お考えをお示しください。
○産業振興部長(津野貴史君)
 まず、企業経営の側面におきましてでございますけれども、仕事と介護の両立支援に取り組むことは、中長期的な企業価値の向上となり、また人材不足が加速する中、持続的な事業・組織運営にとって非常に有用であると考えます。
 そのため、両立支援に取り組む中小企業に対し、両立支援助成金の周知を図るとともに、関係機関と連携しながら、介護や育児と仕事の両立を含めた、働き方改革の促進に取り組んでまいります。
○福祉部長(野坂隆夫君)
 福祉といたしましては、今後も家族介護者の心のケアとして、相談体制の強化を図るとともに、介護に要する時間や身体的な負担軽減のため、介護を必要とされる方に適切な介護サービスを提供することによって、仕事と介護が両立できる一助となるよう努めてまいりたいと考えております。
○宮野直樹君
 まずは各部局でしっかりできることを取り組んでいくということで、御答弁があったと思います。今後は、企業や行政、地域住民、支援機関、大学など、様々な主体が世代や分野を超えてつながることで、家族などに介護が必要な状況になっても、仕事と介護の両立が可能となり、寛容で多様かつ柔軟な働き方ができる社会となり、本市がさらに発展することを切に願い、この質問については終わります。
 二つ目のテーマは、児童クラブの長期休暇中の昼食提供についてです。初めに、現状について質問をさせていただきます。
 総務省統計局の労働力調査によると、共働き世帯について、2023年は約1,278万世帯となっています。さきに触れた育児介護休業法の改正では、子供の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充や、育児休業の取得状況の公表義務づけなど、仕事と育児を両立させるための支援の強化がされました。現在の社会背景において、仕事と育児を両立させるために欠かせない児童クラブの需要は高まっています。
 そこでお尋ねします。本市の児童数に対する放課後児童クラブ利用者の割合についてお示しください。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 放課後児童クラブの利用割合についてお答えします。令和6年5月1日現在の小学校児童数1万898人のうち、児童クラブの入会者数は、同日現在2,476人であり、利用割合は22.7%となっております。
○宮野直樹君
 残念ながら少し児童数は年々減っているというところですけれども、この児童クラブのニーズは、これから減ることはなく、割合はどんどんこれから高まっていくのではないかと私は考えています。
 私自身も3人の子供が児童クラブで大変お世話になってきました。現在も一番下の娘が児童クラブを利用しており、そのおかげで安心して働けることに心から感謝をしているところです。
 非常に重要な役割を果たしている児童クラブについて、本市においては待機児童や支援員の確保と定着、処遇改善など、様々な課題に対して議論が進められていますが、このたびは家庭の負担軽減の観点から、児童クラブの長期休暇中の昼食提供に焦点を当てて質問をさせていただきます。
 こども家庭庁は、全国の自治体に、地域の実情に合わせて、長期休暇に伴う放課後児童クラブでの食事提供を検討するように促しています。令和5年5月1日時点の調査結果によると、長期休暇中の昼食提供の有無を把握している全国995の自治体、およそ1万3,097か所の放課後児童クラブのうち、長期休暇中に昼食を提供する児童クラブは2,990か所となっています。この数値から計算すると、提供率は22.8%です。
 そこでお尋ねします。本市の児童クラブにおいて、夏休みなど長期休暇中の昼食はどのようになっているのか、お示しください。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 本市の児童クラブの夏休みなど長期休業中の昼食についてですが、各家庭からお弁当を持たせることとしております。
○宮野直樹君
 私も子供が利用していますので、お弁当を今までも持たしていたということで、本市においてはお弁当を持たせているということで、御説明をいただきました。
 夏休み前に放課後児童クラブを利用している児童の保護者とお話をしたところ、口をそろえて言われるのが、お弁当づくりの大変さです。主な声として、朝の忙しい時間に仕事の準備、育児、家事に加えて、お弁当づくりをすることのプレッシャー、メニューや栄養のバランスを考えることへの負担、夕食の残り物など、使いたいこともあるけれども、季節として食中毒に対する不安でした。このように、仕事と家庭がある中で、朝早くから弁当を作る時間的な負担、栄養バランスを考えたメニューを考える精神的な負担に加えて、食中毒に対する不安などが課題となっています。家事の負担を少しでも軽減することは、子育てをしやすい環境へつながるのではないでしょうか。
 そこでお尋ねします。本市として、長期休暇中に昼食提供する施策の必要性をどのように認識されているのか、お示しください。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 長期休業中に昼食を提供する施策の必要性についてお答えします。夏休み期間中の毎日のお弁当づくりの保護者の方々の御負担を想像いたしますと、児童クラブにおいて昼食を提供するという施策が、子育て世帯への一助となることは確かであると考えております。
○宮野直樹君
 本当に一助になるということで、助かる方がたくさんいらっしゃるのではないかと私も思っています。必要性はあるということで理解をしました。お弁当を作らなければならないではなく、選択肢があることで、子供のために作ってあげたいと、そういう気持ちになれることがとても大切ではないかなと私は思っています。
 次に、ニーズ調査について質問をさせていただきます。私が聞いた範囲にはなりますが、児童クラブの昼食提供について尋ねたところ、すごく助かるという肯定的な意見をたくさん頂いたところです。この児童クラブの長期休暇中における昼食提供については、令和5年12月定例会において、桧垣徳雄議員からも質問がされています。そのときの答弁では、提供体制の研究を進めながら、保護者ニーズ調査の実施も踏まえて検討していきたいと思うといった答弁がありました。
 そこでお尋ねします。保護者ニーズ調査の検討状況についてお示しください。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 児童クラブでの昼食の提供に関するニーズの把握についてお答えします。長期休業中の昼食提供の実施に向けての利用者に対する調査は行っておりませんが、こども未来部において策定中の“ForKids”プラン2025に係る児童クラブ利用者を対象としますアンケート調査の中で、夏休み等の長期休暇中の利用については、弁当持参ではなく注文できるようにしてほしい、長期休暇中のお弁当づくりが負担になることがありますといった意見が寄せられております。また、様々なイベントを通して、子育て中のお父さんやお母さんと意見を交わす機会がある中で、児童クラブの昼食の提供を求める生の声を直接耳にすることもございました。
 こうしたことから、本市においても児童クラブでの昼食の提供に対しましては、相当のニーズが存在するものと考えております。
○宮野直樹君
 特段特化した調査はしていないということだったと思いますが、“ForKids”プランにおいて、そうした御意見、注文ができるようにしてほしいと、負担になると、またイベント等で直接いろいろな生の声を聞いているということで御説明いただきました。
 同じ中核市で私も調べてみたのですけれども、茨城県水戸市のアンケート結果では、昼食提供を実施する場合、利用すると答えた方は89.7%となっています。そのほかも、利用を希望する場合の料金や頻度についても調査をされていました。先ほど、数は多いだろうということはあったのですけれども、ぜひほかの自治体も参考に、保護者ニーズ調査の実施について御検討をお願いしたいと思います。
 次に、提供体制について質問をさせていただきます。こども家庭庁の調査結果によると、提供方法について複数回答で尋ねたアンケートでは、施設が外部に手配して提供しているが62.2%、次いで、施設内により自前で調理しているが18.5%、保護者会などが外部に手配して提供しているが12.5%、そのほかが7.5%となっています。
 加えて、放課後児童クラブの長期休暇期間などにおける食事提供事例集を作成しており、給食センターやこども食堂と連携した取組、また弁当事業者と連携した取組の事例を紹介しています。私も読んでみましたが、地域の実情により、提供方法など様々な違いがあります。
 そこでお尋ねします。特に本市として参考となる事例についてお示しください。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 児童クラブの長期休業中の昼食について、こども家庭庁の取りまとめた事例集では、地域の実情に応じた様々な先進的な取組が紹介されております。6事例ぐらいあったと思いますが、どの事例が特に本市の参考になるのかにつきましては、一概に申し上げることはできませんが、いずれも本市が昼食の提供を実施するとした場合においての大切なヒントを示していただいているものと考えております。
○宮野直樹君
 実際の運営状況や規模等によっても、どれがということはなかなか一概に言えないということは理解しています。そうした状況の中で、先ほども申し上げましたとおり、令和5年12月定例会で、提供体制の研究を進めるといった御答弁もありました。
 そこでお尋ねします。昼食提供体制の研究状況についてお示しください。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 こども家庭庁は、児童クラブにおいて食事の提供を行う場合は、食物アレルギーへの配慮や感染症、食中毒の発生防止や発生時の対応を定めることが必要と考えられると通知しております。現状の運営体制の中で、効率的かつ現場運営の負担が増加しない本市に適した取組について、引き続き研究してまいりたいと考えております。
○宮野直樹君
 アレルギーや食中毒、また効率や現場の職員さんの負担もかからないということも、大切な要素だと私も思っています。そうしたことで、具体的な研究はまだ進めていないけれども、また今後も研究を進めていくということで理解をしました。
 最後に、今後の取組について質問をさせていただきます。私の考えですが、公平性や選択肢をつくるといった観点に加えて、保護者の負担軽減を目的とすれば、安価でそれなりに栄養のバランスがあり、保護者がスマートフォンなどで簡単に弁当を注文できるシステムを導入することは可能ではないかと考えています。事前に予約をして、キャッシュレス決済ができれば、児童クラブの職員さんが現金を取り扱う、こうした手間も省けます。
 例えば、お隣の北九州市では、令和6年度から試験的にアプリで注文、決済したお弁当が児童クラブに届く事業が始まっています。こうした取組は、地元の民間事業者と連携した子育ての応援にもつながると私は思います。本市においても、民間事業者のサービスを調査するとともに、他市の事例を参考に、試験的に事業を実施されてはと考えています。
 そこでお尋ねします。児童クラブの長期休暇中の昼食提供の今後の取組についてお示しください。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 今後の取組についてお答えします。国も子育て当事者の負担感を軽減することが、子供の健やかな成長のために重要であるとしており、これまで御説明しましたとおり、本市としましても、児童クラブにおいて長期休業中の昼食提供が必要性の高い施策であることは承知しております。
 放課後児童クラブの運営につきましては、様々な課題解決が迫られている状況の中、何を優先して取り組む必要があるかをしっかりと見極めた上で、先進的に取り組まれている他市の事例も研究しながら、引き続き、検討してまいりたいと考えております。
○宮野直樹君
 本質的な児童クラブの目的からして、何を優先順位として考えていくかという、それは本当に大切だろうと思います。一方で、できることをやはりやっていくといったスピード感が、やはり子育て世代へ響いたり、あるいは信頼感につながるということもあるのではないかと私は考えています。これからも検討されるということで、しっかり検討していただきたいと思います。
 児童クラブで昼食を提供することが可能となれば、保護者の家事負担が大幅に軽減されることは明白です。お弁当づくりから解放されることで、朝の時間に余裕が生まれ、仕事や育児により集中できるようになります。実現すれば、保護者の皆さんは本当に喜ぶと思います。ぜひとも、実施するという視点に立って御検討いただくことを要望して、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
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