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桂 誠 議員
第2回定例会 6月24日(月) 本会議(一般質問4日目)
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内容
会議録
第2回定例会
6月24日(月) 本会議(一般質問4日目)
日本共産党 下関市議団
桂 誠 議員
1.再生可能エネルギーと風力発電事業における環境問題
2.下関市が生き残っていくための人口維持の取組
3.市営住宅の問題
【下関市議会 本会議確定版】
○議長(香川昌則君)
19番、桂誠議員。(拍手)
〔桂誠君登壇〕
○桂 誠君
日本共産党下関市議団の桂誠です。早速質問させていただきます。
再生可能エネルギーと風力発電事業における環境問題についてです。下関市の重点施策の中に、次世代エネルギー利活用推進業務があります。その中には、脱炭素先行地域計画を着実に推進するとあります。脱酸素が大きく言われている現在において、強く推進しなければなりません。そのために、再生可能エネルギーの地産地消の取組として、下関市では新電力会社の出資が行われようとしています。民間では、彦島のバイオマス発電がありますし、風力発電も、豊浦町、豊北町で行われています。住宅の屋上に設置する太陽光発電や空き地を利用した太陽光発電も増えています。しかし、安岡沖の洋上風力発電には住民の強い反対意思が示されています。次世代エネルギーの利活用と市民の命、生活、自然を守ることの折り合いは大変難しいものがあると思います。
そこでお尋ねします。市として、再生可能エネルギーについてどのように考えておられるでしょうか、お示しください。
○環境部長(吉田 誠君)
まず、国は2050年カーボンニュートラルを達成するためには、地域の脱炭素化の取組が欠かせないとした上で、地域資源である再生可能エネルギーを活用し、地域経済の活性化や災害に強い地域づくりなど、社会課題の解決に貢献する事業とすることが重要であるとし、地域共生型の再生可能エネルギーを推進しているところでございます。
本市におきましても、2050年ゼロカーボンシティしものせきを目指す取組の一つとして、再生可能エネルギーの最大限の導入や地域課題の解決に貢献できる再生可能エネルギー事業の推進が重要であると認識をしております。太陽光発電やバイオマスなどの再生可能エネルギー発電を推進していくとともに、再生可能エネルギーを地域内で活用し、経済を循環させる仕組みづくりについて検討を進めてまいります。
○桂 誠君
これからゼロカーボンに向けて、取り組まなくてはいけないことがよく分かりました。
現在、豊北町の白滝山では20基の風力発電が稼働中で、総出力は最大で5万キロワット、約1万6,000世帯1年分の電力が賄えます。また、一つの風力発電の定格出力は2,500キロワットとなっています。
〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○桂 誠君
これが現在の白滝山風力発電の姿です。下から見ると、山の上に風車が建っているだけです。しかし、山の上はどうなっているでしょうか、想像できるでしょうか。
これが山の上の姿です。さらに、こんなところもあります。これは2007年の写真です。今の白滝山風力発電をつくるための工事の様子です。
この風景を私が見たときの驚きは今でも覚えています。周りは山々の緑の連続でしたが、突如として、木が生えていないむき出しの地面が見えたのです。20基の風力発電が完成するまで写真を撮り続けました。どうなるだろうかと思いました。
ネットにアップしたところ、野鳥の会の人が写真を使わせてくれと連絡が入りました。理由を聞くと、渡り鳥が角島を目印として渡ってくる。白滝山がちょうど通過場所になっており、風車の羽根に鳥が当たる危険性があるとのことでした。2007年当時は、風力発電を建てるのに環境アセスメントもない時代でした。唯一、野鳥の会の方々がバードストライクの懸念を示しただけでした。
今、長門市と本市下関市の境にある白滝山周辺において、JR東日本エネルギー開発株式会社が、この既設の風力発電20基全てを撤去した上で、(仮称)新白滝山風力発電事業を始めようとしています。規模は総出力7万7,400キロワット、一つの定格出力4,300キロワットの風力発電を18基設置する計画です。発電電力量は年間17万1,696キロワットアワー、これは一般家庭で言いますと、約3万6,000世帯分の年間消費量を賄える量です。
このような大規模な風力発電が白滝山で計画されています。JR東日本エネルギー開発株式会社が進めているこの事業は、現在、計画段階環境配慮書の審査を経て、環境影響方法書作成に向けて手続が進められております。
下関市は、響灘、関門海峡など特徴的な海をはじめ、多くの島々、木屋川、粟野川、華山、狗留孫山、竜王山などの豊かな自然を有しています。これらの山、森、川、海、水などは、人にとっての生命の源でもあります。この自然を守り、自然の中で学び、遊び、自然の豊かさを感じることは、市民にとっても、とても大切なことです。この豊かな自然に影響を及ぼすであろう開発を行うことを、私たちはどのように考えたらよいのでしょうか。
下関市には市民憲章があります。市民憲章は、憲法と同じぐらいの重さを持っていると私は思っているのですが、その中に「私たちは自然の恵みを大切にします」とあります。また、第2次下関市総合計画のまちづくりの基本理念として「まちの誇りと自然の恵みを未来につなぐ」とあります。2017年から2026年の下関市環境基本計画の1番目に書かれている基本目標は、豊かな自然環境の保全と触れ合いの推進とあります。
そこで質問ですが、以上のことを踏まえて、市は仮称新白滝山風力発電事業とどのように関わっていくお考えなのか、お示しください。
○環境部長(吉田 誠君)
(仮称)新白滝山風力発電事業につきましては、発電事業者が計画する陸上風力発電事業でございまして、本市の関わりとしましては、発電事業について、各分野の法令等で定められた事項について、適切に対応していくものと承知をしております。
なお、環境部におきましては、環境影響評価法に基づき、事業者から市長に提出された環境影響評価方法書について、環境審議会を開催の上、環境の保全の見地からの市長意見を山口県知事に提出をしてまいります。
○桂 誠君
この間、環境審議会にまいりました。真剣に意見されていることがよく分かりました。
昨年9月12日に、市長に対して地元粟野地区の振興協議会会長、副会長、粟野地区自治会代表の3名の方が、(仮称)新白滝山風力発電事業についての意見書を出されました。題名は、(仮称)新白滝山風力発電事業計画段階環境配慮書の環境保全の見地からの意見というものです。意見は4項目となっています。
まず、1点目は、建設工事に反対とあって、大きな理由は、工事現場における土木工事が環境へ悪影響があるということです。工事現場は山頂の尾根筋であり、大量の木を切り、山を削り、風車の土台をつくるために、相当の土砂を掘り下げ、大量のコンクリートを流し込みます。私もこの目で見てきました。このコンクリートは、事業終了後、本体とともに撤去することになるのですが、その場合、また土を埋め戻し、元の緑を回復することが必要です。これらのことにより、土砂災害が発生しやすくなります。異常気象が頻発する現在において、環境破壊の工事を行えば、災害発生の確率が増加します。そして、水環境が悪化してきます。工事により山頂付近の保水力が落ちると、降った雨は一気に川に流れることになり、地下水や伏流水が減ります。この大きな影響を受けるのは粟野川です。粟野川は川筋の周囲に伏流水が流れており、これが市の小河内水源として利用されています。豊北町の水道水として、住民の水資源を賄っています。
建設予定地は、粟野川だけでなく、長門市の大坊川の上流かつ水源でもあるわけです。工事の影響で、水資源の悪化が危惧されています。
2点目は、環境省は「再エネは環境に優しい」と言っていますが、建設のために環境を破壊することとなり、矛盾してきます。また、風力発電事業後の風力発電機やブレードなど、どのように処分するのか不明な点も多く残っています。
3点目は、風力発電建設をめぐる我が国の状況として、山頂や山の尾根などの水源に建設し、環境破壊を行うことへの非難が全国に大きく沸き起こっているということです。
4番目は、日本はモンスーン気候で、ヨーロッパのように偏西風が安定していないため、発電が不安定で、風の弱いときは火力発電などのバックアップ電源が必要ということです。
そこでお尋ねしますが、この地域住民からの事業者に出された事業反対の意見書をどう受け止めておられるかお示しください。
○環境部長(吉田 誠君)
本市といたしましては、当該事業における環境影響評価法に基づく計画段階環境配慮書に対する市長意見の中で「事業推進に当たっては、周辺住民の理解を得ることが重要なため、環境や健康等に与える影響について、周辺住民へ丁寧な説明を行うよう事業者へ意見していただきたい」という旨を山口県知事に求めております。
○桂 誠君
このような大きな事業は、地域住民の理解がなければ進めることはできないと思います。ぜひとも、言われるように丁寧な説明をしていただきたいものと考えております。
私自身、太陽光や風力など再生可能エネルギーの導入、それから普及は地球温暖化防止抑制のためにも喫緊の課題であって、一層の推進が求められると思っています。しかし、再生可能エネルギーの普及の大きな障害となっているのが、メガソーラーや大型風力発電のための乱開発、森林破壊や土砂崩れ、住環境の悪化や健康被害の危険を広げているということです。
目先の利益の追求での乱開発、環境破壊を放置するなら、再生可能エネルギーの大胆な展開を阻害し、気候危機も打開できなくなってしまうと私は思っています。
(仮称)新白滝山風力発電事業計画によれば、事業の実施が想定される面積は1,456ヘクタール、今の20基が設置されているところは32ヘクタールの開発でした。その内訳は、下関が1,141ヘクタール、長門市が315ヘクタールとなっています。新設の風力発電18基のうち、下関市側に12基、長門市側に6基が予定されています。長門市で計画される6基は、下関市と長門市の境界にあります標高691メートルの天井ヶ岳です。白滝山から天井ヶ岳、一ヶ岳にかけては、縦走コースになっていて、多くの登山者が利用しています。
このような大規模で生活に関わった開発が、下関市安岡でもありました。安岡沖の洋上風力発電です。多くの住民の反対運動を受けたことは記憶に新しいところです。このことに対し、報道では、山口県下関市安岡沖で計画されている洋上風力発電事業について、前田市長は今年2月23日、安岡地区で開いた市政報告会で「安岡での風力発電は市長である私が絶対に止めると述べた」とあります。この発言の趣旨は、住民の同意が得られていないものは進めるわけにはいかないということだろうと思います。
そこで質問ですが、市として、再生可能エネルギー事業と関わるとき、地域住民意見を尊重する必要があると私は考えるのですが、どうでしょうか。
○環境部長(吉田 誠君)
再生可能エネルギーを活用した発電事業につきましては、事業過程において様々な問題が発生する場合もございまして、そのようなケースでは、生活環境や自然環境への影響等も懸念されております。
このため、本市といたしましても、発電事業者におきましては、事業を計画する早い段階から周辺住民に説明を行い、地域住民の意見を尊重しつつ事業を進めるべきであると認識をしてございます。
○桂 誠君
今言われました地域住民の意見を尊重するということは、具体的にはどういうことになのでしょうか、お示しください。
○環境部長(吉田 誠君)
環境影響評価法に基づき、発電事業者は、事業の実施による環境への負荷をできる限り回避し、または低減すること、その他の環境の保全についての配慮が適正になされるよう努める義務がございます。発電事業について、地域住民の皆さんに十分な説明をし、事業について理解をしていただくとともに、発電事業に対する不安などの御意見が寄せられた場合は、その不安などを払拭する積極的な情報提供や丁寧な説明が必要であると考えてございます。
○桂 誠君
地域住民は大変に不安を抱えております。それに対する、それを払拭するための情報提供、意見をぜひとも伝えていただきたいと思います。地域住民の意見をぜひとも尊重していただきたい。そのように思っております。
この(仮称)新白滝山風力発電事業は、大規模な開発事業であるため、環境アセスメントを受けなくてはいけません。令和5年8月22日に配慮書が公告され、下関市が山口県へ環境アセスメントの回答をしています。その中には「事業推進に当たっては、周辺住民の理解を得ることが重要なため、環境や健康などに与える影響について、周辺住民へ丁寧な説明を行うよう事業者へ意見していただくことをお願いいたします」とありました。
今年3月19日に方法書が公表され、縦覧と住民への説明会がされました。私も、豊北町、豊田町、油谷町の説明会に参加しました。どの会場も、いっぱいになるほどの住民が集まっていました。関心の高さを感じました。住民の意見のほとんどは反対の意見でした。
反対の理由は次のとおりです。川の水量の減少、水質の悪化、アオノリ、シラウオ、カニ、鮎が取れなくなる。さらに、油谷湾の環境悪化と漁業への影響。山の上で行われる発電事業ですが、やはり海への影響もあるという懸念が示されております。土砂災害リスクの増加による人命、市財政が脅かされる。騒音が大きくなり広範囲に広がる。低周波問題も広範囲におきる。景観を含め、山歩きなど自然を楽しむことが難しくなる。油谷湾、一の俣、俵山の温泉への影響、貴重な生物の生息が危うくなり、生態系の悪化を招くなどです。
方法書の内容について、国、山口県、下関市、長門市の審査を受けるわけですが、この審査結果に基づき、現地調査が始まることになります。既に下関市では環境審議会が始まっており、それを受けて市長意見となるわけです。この市長意見を取りまとめるとき、住民の意見がどのように反映されるのかということが気になります。配慮書では、住民の理解を得ることが重要とありました。これは業者への注文だけではないはずです。
市としても、住民の意見に耳を傾け、住民の皆さんが、この(仮称)新白滝山風力発電事業に対して、どう思っているかということをしっかり受け止めなくてはいけないと思います。また、市も主体的に業者からの情報提供を求め、情報収集に努める必要があると思います。その情報を住民に知らせることも市の重要な役目ではないでしょうか。
そこで質問します。風力発電事業を進めるために、市長の意見を出すと思いますが、市長の意見の中に、住民意見をしっかりと反映させるべきと考えますが、どうでしょうか。
○環境部長(吉田 誠君)
環境影響評価方法書に対する市長意見につきましては、現在、環境審議会において御審議をいただいているところでございます。その審議会の答申を基本にするとともに、地域住民の御意見につきましても、参考の上、環境の保全の見地からの市長意見を作成することとしております。
○桂 誠君
ぜひとも地域住民の不安、危惧、その他を意見に反映していただきたいものと考えております。
現在、豊北町では、各地区の振興協議会長、自治会会長、粟野川漁業協同組合が中心となり、反対署名を豊北町全域で実施しようと準備を進めています。なぜこのような活動が起きるのか、このことを踏まえ、住民の意見をきちんと市長の意見に反映してもらいたいと思います。
次の質問に移ります。下関市が生き残っていくために、人口維持の取組についてお願いします。
市の重点施策の中に、定住・移住支援強化と人口減少社会への挑戦とあり、三つの新しい事業が始められようとしています。一つは、移住・定住トータルサポートセンター運営業務です。二つ目は、お試し暮らし物件創出事業、三つ目は下関暮らしサポート事業です。
移住促進は、何年か先には多くの自治体が消滅すると言われる中、生き残りをかけて全力で取り組まなければならない施策であると私は考えています。移住者について県の報告によると、2023年度の県内移住者が4,312人になり、初の4,000人超えになったとのことでした。その報告では、実際に県に移住した人を市町別に見ると、宇部市が1,249人で、1,000人を超え、最も多く、続いて山口市の944人で2番目でした。山口市はニューヨーク・タイムズでも取り上げられましたので、さらに増えるのではないでしょうか。3位は萩市で657人でした。私たちが住む下関市は、408人で4位でした。1位の宇部市と比べると約3分の1の移住者数です。下関市も移住・定住推進に力を入れているはずです。このことについて質問します。
下関市は、住んでみたいまちのランキングに入るほどの魅力のある街です。しかし、今までの取組では住みたいと望んでいるのに、思ったほど移住が進んでいないように思いますが、市としてこのことについてどのようにお考えでしょうか。お願いいたします。
○総合政策部長(前田一城君)
議員御案内のありました山口県が公表しております県内移住者数でございますが、この移住者数の集計方法を御説明いたしますと、各市町の転入手続の際に任意のアンケートに御協力をいただいて、その回収されたものの中から、転入の理由が就学と転勤という2種類のものを除いた人数を単純に集計したものでございます。だから極端な話、アンケートに1人も回答がなかったらゼロ人というような、そういう集計方法なので、令和4年の県の人口移動統計調査の本市と宇部市の転入者数、これを見ますと、本市が7,096人で宇部市は4,828人となっている。こういう転入者数の実態から見ても、先ほどの県の公表される移住者数というのは、実態に即したものにはなっていないかと思っております。
しかしながら、本市においても、人口減少が急速に進んでいることは事実であり、その対策は本市の最重要課題の一つと捉えております。そのようなことから、移住希望者のニーズを的確に把握し、個別に対応できるよう相談体制を強化するとともに、先ほど御案内のありましたお試し暮らしの施設、これらを拡大して、効果的な移住施策を進めてまいりたいと考えております。
○桂 誠君
統計の取り方の問題、いつぞやの議会でも聞いたと思いますが、分かりました。
豊北町では、昨年度より豊北地域リノベーションのまちづくりということで力を入れてきました。その成果も徐々に現れてきています。昨年6月に行われたキックオフミーティングには70名の参加がありました。しかも、若者が多く参加するという特徴もありました。また、テレワークの研修会でも多くの若者が参加しました。研修会ではいろいろな発表があり、盛り上がりました。
高齢化率の高い豊北町ですが、若者がリノベーションのまちづくりに関心を示し、移住を進めていこうという雰囲気も大きくなってきました。今までになかったことです。パソナからの人材派遣がこのような変化をもたらしたと私は考えています。
また、豊北町の振興協議会の会長や自治会長などが中心となり、空き家情報を集める活動も始まりました。豊北町の活性化ということで大いに盛り上がっています。この盛り上がりとパソナグループやらいおん建築事務所の支援により、豊北町の住民の方が移住推進空き家紹介の会社を立ち上げました。民間の力でこれから移住を進めていこうということはとても大切なことです。新しい動きが出てきました。
もともと、豊北町には多くの移住者がありました。新たに漁業を始めた若者が2家族、農業を豊北町で始めた方、パンの販売や食事の店を出された方もいます。さらにこれまでの取組によって、木工をやる若者も移住してきました。
これらの豊北町や豊浦町の移住には、多くの人が関わっているのですが、とりわけ、豊浦町在住の1人の方が中心となって移住が進んでいるという現実があります。豊浦・豊北への移住を希望する若者は、その方を通して情報を得、定住していきます。多くの方がこういう経路で移住してきました。
その方と移住について話す中で、お試し住宅のことが話題となって出てきました。豊北町でもお試し住宅の計画があるのですが、まだまだです。お試し住宅には、その方が言われるには条件があるということでした。一つは、住んでみたいところにきちんとお試し住宅があるということです。二つ目は、費用として、1か月が1万円程度で、そこでお試し住宅生活ができるということです。三つ目は、お試し住宅が一戸だけでは駄目だ。何戸もそこの周りに必要だということです。理由は、人が住んでいれば、そこに人が集まるからということでした。
このように、移住を推進するためには、お試し住宅の存在は大きなものがあります。移住者の多い宇部市、山口市、萩市に、既にお試し住宅が整備されています。当然、下関市もあるわけですが、そこで質問ですが、下関市にも似たような下関市お試し暮らし体験プログラム事業がありますが、実績をお示しください。
○総合政策部長(前田一城君)
お試し暮らし体験プログラムの実績でございますが、事業を開始しました平成27年8月から令和5年度末までの間で84件、176人の方の利用実績がございました。このうち、実際に移住につながった方は15件28人であり、利用者の約16%が移住へつながっているところでございます。
○桂 誠君
16%はやはりかなり大きい数字だと思います。お試し住宅の効果は随分あるのではないかと思います。
それでは、次に質問します。お試し暮らし体験事業の実績を踏まえた上で、さらなる移住促進の取組を考えておられますか、お示しください。
○総合政策部長(前田一城君)
このお試し暮らし体験プログラムですが、移住前に本市の住みやすさを体験することで、移住への動機づけとなり、また移住後の定住にもつながるものと捉えております。この体験プログラムの参加者によるアンケートにおきましても、約9割の方が下関に良い印象を感じたという高い評価をいただいております。
そのような中で、現在利用できる施設が4施設に限られているため、移住希望者が求める多様な暮らし方に対応したさらなる受入れの施設、受入体制の強化が必要であると考えております。
そこで、本年度から民間事業者とも連携しまして、お試し暮らし施設創出事業に取り組み、市内の未利用家屋や空き部屋をお試し暮らし施設として、活用したい人材の発掘や未利用家屋の家財の撤去や建物の改修など、イノベーションに要する費用を支援し、お試し暮らし施設の拡大を図り、移住希望者の多様なニーズに対応できるよう選択肢を増やすことで、より多くの本市への移住につなげてまいりたいと考えております。
○桂 誠君
さらなる拡充はぜひとも必要だと思いますし、移住したいところにぜひともお試し暮らし住宅を設置していただきたい。そのように思います。
さきに紹介しました、豊浦の方が移住推進のためにやっていることの大きな役目は、移住者の相談に乗ることです。住むところの相談はもちろんですが、移住し生活するためには仕事をしなくてはなりません。そこでなりわいを営むわけですから当然です。いろいろな職種の方が移住してきますので、人1人では対応できません。その方は、この仕事ならこの人に相談したらよいとかアドバイスをし、紹介しています。そして移住者は、そこで自分の望んだなりわいを営むようになるのですが、仕事をきちんとし、生活が成り立たなくては移住はできません。その方は、移住者の希望をかなえるために相談相手となっているのですが「あなたの望む移住はここでは難しい」ということもアドバイスすることもあるということでした。
移住者の将来を考えたとき、このような厳しいアドバイスも必要ではないでしょうか。これは行政では言えない、できないアドバイスです。
そこで質問です。山口市や萩市は、移住の地域相談員、支援員がいますが、下関市でもこのような現地で活躍するコーディネーターや支援員の制度を導入してはどうでしょうか。
○総合政策部長(前田一城君)
移住希望者にとって、先輩の移住者や地域住民の実体験やアドバイスを聞けるということは、これは移住を検討する際に大変参考になることであると考えております。
議員御案内の移住者の方、これはまさに地域の相談員や支援員といったような方に当たると考えておりまして、移住施策に今取り組んでいる中で、本市においてもそういった役割を担ってくれる地域のキーパーソン的な方、こういう方が増えてきているとは感じております。そのため、移住相談窓口とそのキーパーソンをつなぐネットワークを構築して、公民の連携で移住希望者に寄り添えるような相談体制、受付体制というものをうまく整えてまいりたいと考えています。
○桂 誠君
ぜひともそうしていただきたいと思います。僕はこの豊浦の方と話した中で一番心に残ったのは「あなたにはここは向かないよということを言ってあげないと。それも必要なことだと。何でもかんでもブームに乗って移住してくればいいものではない。そこで生活できなければいけないんだと。だから僕はそれをあえて言う」ということを言われました。そう親身になって、その人の将来生活を考えてアドバイスしてくれることが、人がぜひとも必要だと思います。
移住は人生を決定する大きな決断です。それだけに多くの人が関わります。逆に、多くの人の関わりによって成り立つのが移住ではないでしょうか。移住推進に関心を持つ住民が増えなくては、前に進みません。今豊北町は移住推進へ関わろうとしている人が増えています。ぜひともこの流れを維持したいものです。
それでは、この移住推進で行政が果たす役割は何でしょうか。当然、移住推進の雰囲気を盛り上げることも必要でしょう。しかし、一番大切な役割は、移住した人の生活が成り立つような資金援助をすることではないでしょうか。資金の援助はなかなか住民や民間ではできるものではありません。そこで、ここが行政の出番だと思います。
そこで質問ですが、下関市の移住推進のための補助金、交付金などはどのようなものがありますか。代表的なものでいいのでお知らせください。
○総合政策部長(前田一城君)
本市の主な移住・定住に係る補助金等について御説明いたします。UJIターンの方への支援策としましては、東京23区からUJIターンの方で、一定の要件を満たす方に支援金を交付しております。移住に伴う費用負担の軽減を図る地方創生移住支援事業、これを実施しております。
このほか、過疎地域や離島においては、移住者世帯に対して定住奨励金を、第三子以降の子を出産した方に対して出産祝い金を支給しております。また、移住者向けの住宅支援策としましては、下関市に転入し、住宅を建築または購入する場合、一定の要件はありますが、その費用の一部を補助する下関市移住者向け住宅購入支援事業も実施しております。
○桂 誠君
いろいろな部にまたがる支援があると思いますが、それらの支援が移住相談などの窓口で取りまとめて知らせることができるようになっているでしょうか。移住希望者に今ある制度がきちんと届いておりますか、お示しください。
○総合政策部長(前田一城君)
これら支援制度、補助金等の制度につきましては、現在、大丸下関の7階に設置しております「住まいる★下関」――移住相談窓口でございますが、こちらで情報は集約して案内をしております。そのほか市の担当窓口でも、同様に案内を行えるようになっております。
また市のホームページ及び公式LINEをはじめ、民間の移住情報サイトも活用して、幅広く移住希望者が本市の情報を入手できる環境を整えているというところでございます。
○桂 誠君
スムーズな移住促進のためには、ワンストップでそこで全てが情報収集できるというシステムが必要だと思います。ぜひとも構築していただければと思っています。
次の質問ですが、このような制度は、他の自治体より手厚く魅力のある制度であることが必要です。そうでないと移住者は増えていかないと考えますが、どうでしょうか。
○総合政策部長(前田一城君)
今年度から新たに実施する、先ほど議員さんからも御案内ありましたが、経済的な支援策としましては、若者や子育て世代の移住者に対して家賃を支援する「下関暮らしサポート事業」や本市に居住する新婚世帯の住宅費用や引っ越し費用などを支援する「結婚新生活支援事業」をはじめ、東京23区を除く東京圏や中京圏、近畿圏から本市に移住した方で、一定の要件を満たす方を対象に支援金を交付する「やまぐち創生テレワーク事業」がございます。
これらの経済的支援策は、移住希望者にとって、移住を後押しする重要な施策ではありますが、移住は人生の一大事でもありまして、決め手となるのは、移住先で自分が楽しく生活できるイメージを持つことができるかというところが重要なポイントかと思っております。
そのため、今年度から移住総合窓口として、トータルサポートセンターを設置する予定としており、移住希望者と地域をつなぎ、公民で連携しながら、寄り添ったサポートを行い、移住希望者にとって心強い相談窓口になるよう取り組んでまいります。
○桂 誠君
移住推進の宇部市に視察に行きました。補助金、交付金その他、下関市と大して差はないという感じがして、決して下関市が劣っているわけではないというのを感じてきたわけですけれども、補助金や交付金も、他の自治体と差別化が図れるような手厚く魅力のあるものでないと移住者は感じない。移住という行動までは起こせないのではないかと私は思います。
移住者が増えることによって、街にはこれまでとは違う新しい活気が出てきます。人が増えます。若者が増えてきます。いろいろな考え方も増えます。下関市にとっていいことばかりです。海や山、海峡の豊かな自然があります。農業・漁業があります。今は衰退していますが、工業・商業もあります。魅力いっぱいのまち下関市です。移住者にとっても魅力いっぱいのはずです。ぜひとも、移住者を官民連携イノベーションのまちづくりの考えで増やしていきましょう。
次の質問に移ります。市営住宅の問題について質問します。私の家の近くに市営住宅があります。そこに私の小学校時代の同級生のお母さんが暮らしておられ、今年96歳になられます。とても元気です。時々、私の家まで歩いて来られ、いろいろ話をするのですが、昔の話が聞けて楽しい時間を過ごすことができます。
その話の中で「私はここで生まれてここで結婚し、子供らを育て上げた。96になっても、子供の世話にならないで1人で生きているが、住むところがあるからだ。市営住宅だから年金でも生活できるのだ」と言われました。また「台所が破けたけえ、言うたらすぐ直してくれた」と喜んでおられました。このような会話から市営住宅の恩恵を受け、幸せに暮らしていることが分かります。
さて、96歳の方が住んでおられる市営住宅ですが、市営住宅についてお尋ねします。下関市の市営住宅はどのような理念で設置されているのか、確認させてください。
○建設部長(伊南一也君)
市営住宅の理念でございますが、市営住宅は、住宅にお困りの低額所得者に対しまして、低額な家賃で賃貸することにより、生活の安定と社会福祉の増進に寄与することとを目的として整備を行っております。
○桂 誠君
公営住宅法にも「住宅に困窮する低所得者に対して、低廉な家賃で賃貸し」とあります。一般の住宅には、所得上入れない方が入れる住宅ということに市営住宅の存在価値があると思います。
市営住宅に住んでおられる方から相談がありました。相談内容は、共益費が年々高くなっているということでした。なぜ高くなるのか聞いてみたところ、浄化槽代が高くなるとのことでした。理由は、浄化槽の維持管理は、その住宅に住んでいる人で負担するため、年々住んでいる人が少なくなるために、1人当たりの負担が増えるということでした。
下関市市営住宅の下水処理には三つあります。一つ目は、公共下水につながっている住宅です。都市部の市営住宅はほとんどが公共下水につながっています。二つ目はくみ取り式です。三つ目は、このように浄化槽で処理する方法です。くみ取り式と浄化槽での処理は、下関市周辺部の市営住宅に多く存在しています。また、公共下水とくみ取り式は、各家の負担となるために、住んでいる住人が変化しても負担額は変わりません。唯一、浄化槽での処理は、住んでいる住民が増減すると負担が変わります。
そこでお尋ねですが、私に相談された方は、市にも相談したとのことでした。どのように回答されたのでしょうか。
○建設部長(伊南一也君)
市営住宅における共益費につきましては、下関市営住宅の設置等に関する条例に基づきまして、入居者の方皆さんで負担していただくこととなっております。
市営住宅の1棟当たりの共益費といたしましては、具体的には、階段灯や防犯灯の電気料金、共同水栓の水道料金、共用部分の清掃費などになりますが、これらの費用は入居者の数の増減に関わりなく一定額が生じるものですので、入居者が少なくなったとしても、入居されている皆さんで負担していただくこととなります。このことについて、相談にこられた入居者の方へ丁寧に説明させていただいております。
○桂 誠君
どのような負担になっているのか。私は自分で調べてみました。公共下水につながっている市営住宅の負担について、上下水道局に行って尋ねましたところ、一人暮らしの人で大体平均で2か月3,012円ですので、1年で1万8,072円となります。くみ取りはくみ取り業者に聞きました。これまた平均で3か月4,000円ですので、1年で1万6,000円です。公共下水とあまり変わりません。浄化槽はどうかというと、四つの市営住宅について、浄化槽を管理する業者に尋ねました。一つ目の市営住宅は、年間15万円を三世帯で分担するので、1世帯当たり5万円です。二つ目の市営住宅は、年間20万5,000円を2世帯で分担するので、1世帯当たり年間10万2,500円です。三つ目の市営住宅は、年間30万円を7世帯で分担するので、1世帯当たり4万3,000円です。四つ目の市営住宅は年間7万円で、1世帯で負担しています。いかがでしょうか。
公共下水と比べると約2.4倍から5.7倍になります。このように高い負担をしなければならなくなった理由は、住宅に住む住人が少なくなったためです。4町の市営住宅の住民はどんどんと少なくなっているのが現状です。ですから、浄化槽の維持管理負担はこれからさらに高くなっていきます。現実に、このように1人が負担している市営住宅もあります。市営住宅設置理念の中に「住宅に困窮する低所得者に対して、低廉な家賃で賃貸し」とあります。下水処理の格差はこのような理念に反するのではないでしょうか。
そこでお尋ねしますが、浄化槽が設置されている市営住宅は、他の住宅との差を少なくするために、下関市として何らかの手を打つ必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○建設部長(伊南一也君)
浄化槽代を含む1世帯当たりの共益費の負担を軽減するためには、住宅1棟当たりの入居者の数を増やす必要がございます。しかしながら、総合支所管内の市営住宅につきましては、人口減少のため、募集しても入居がない状況が続いており、入居者の数は減少しております。
こうした状況を踏まえ、市といたしましては、入居率が低い住宅にお住まいの方々に対して、移転費用を補償し、別の住宅に移転していただき、入居率を高めることで、共益費の負担軽減となるよう取り組んでいるところでございます。
○桂 誠君
移転ということを言われましたけれども、周辺部に住んでおられる方はほとんど高齢の方で、移転というエネルギーがない方がほとんどです。移転と言われても難しい。確かに移転するための費用を出されるということですが、お金を出されても、ここにいるほうがいいという意見のほうがほとんどです。何らかの手が必要ではないかと考えております。
また、こういう浄化槽を1人で負担されている住宅が、豊北町に一つ、豊田町に一つあります。今さっき申したような数字の中で随分な負担を強いられているわけですけれども、何らかの援助が必要ではないだろうか、そのように考えます。
高齢になって、年金だけで暮らしておられる、もともと収入が少ない方が住んでおられる市営住宅です。その辺のことを考えたときには、何らかの援助が必要と私は考えています。ぜひとも、生命と財産を守る市営住宅でもあるわけですので、考えていただきたい、そう考えております。以上で質問を終わります。(拍手)
○議長(香川昌則君)
この際、暫時休憩いたします。再開は13時20分といたします。
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