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江村 卓三 議員
第2回定例会 6月21日(金) 本会議(一般質問3日目)
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内容
会議録
第2回定例会
6月21日(金) 本会議(一般質問3日目)
創世下関
江村 卓三 議員
1.工事における品質管理の向上について
2.市立美術館の現状と今後について
【下関市議会 本会議確定版】
○議長(香川昌則君)
15番、江村卓三議員。(拍手)
〔江村卓三君登壇〕
○江村卓三君
創世下関の江村卓三です。どうぞよろしくお願いいたします。
〔手話を交えながら発言〕
○江村卓三君
それでは通告に従い2点、工事における品質管理の向上についてと、市立美術館の現状と今後についてということで質問をさせていただきます。
では、初めに工事における品質管理の向上についてお聞きいたしますが、私は以前、職員の研修経費についてお聞きをいたしました。といいますのも、私が以前、技術系の業務をしていたことから、私がいたときよりも、さらに煩雑化する業務の中で、市民が求めている現場対応ができているのだろうかと懸念したことから、市職員の資質向上のための研修がどのようになっているかについてお聞きをいたしました。
答弁として、地方公務員法第39条に基づき、職員研修を実施しているとのことでしたが、それは一般的な答弁で、私としては、現実問題としてどこまで現状を認識されているかでした。そして、そのときにお聞きをした、技術系の職員については、各職場で専門性を高めるために、独自の研修機関に派遣を行っているとのことでしたが、私がいたときよりも縮小され、そんなに独自の専門機関への派遣をあまりされていなかったように感じています。
では、現在はどうかといいますと、今も研修に対しての思いは同じですが、特に技術系の現場ですが、経験を積まないと、現場ごとに条件や内容が異なる、災害が発生したときなどにどこまでの対応ができるかでございます。経験を積まないと難しいかと思っております。ですから、職員の資質向上のためにも、現場を兼ねた研修を実施されることをお願いいたしました。
そして、前回の質問から9年経過した今では、事業者も同様で、若年層の技術能力が全国的な問題となっており、設計ミスや施工不良等の多発により、工事等の品質低下が懸念をされています。その対策として、発注者の体質整備や品質管理の取組の強化となるわけですが、品質管理からいえば、対策の一つとして、入札方式によるものが挙げられます。その入札方式は、総合評価方式か、プロポーザル方式となりますが、本市でいえば両方とも大型の工事となります。
そこでお聞きいたしますが、本市での総合評価方式、プロポーザル方式の使い分けをどのようにされているか、まずお聞きをいたします。
○総務部契約事務専門監(青山雅行君)
本市が適用しております入札制度のうち、総合評価方式につきましては、公共工事の品質確保を図るため、価格のほかに、価格以外の技術力などを総合的に評価して事業者を決定する場合に活用しており、設計金額が4,000万円以上の全ての工事を一般競争入札で発注する場合は、原則として総合評価方式を適用することとしております。
一方で、プロポーザル方式は、その工事の性質や目的を踏まえ、広く民間事業者の企画力、創造性、専門性、技術力などを生かした提案を募り、総合的に判断して最適な事業者を選定する場合に活用しております。
○江村卓三君
では、その総合評価方式についてお聞きをいたします。本市では今現在、総合評価方式の対象とする工事を原則として設計金額4,000万円以上としていますが、その考え方と、現在に至った経緯を教えてください。
○総務部契約事務専門監(青山雅行君)
本市におきましては、平成28年度より総合評価方式を本格導入しております。導入当初の平成28年度は、設計金額3,000万円以上の全ての工事に適用しておりましたが、平成29年度からは、土木系の工事は5,000万円以上、営繕系の工事は7,000万円以上の工事に適用することといたしました。また、平成30年度からは、5,000万円以上の全ての工事に適用することとし、令和2年度以降は、さらなる公共工事の品質確保、市内業者の技術力及び履行能力の向上を目的として、4,000万円以上の全ての工事に適用することとし、現在に至っております。
○江村卓三君
考え方をお聞きしましたが、総合評価方式の大きな目的は、当然のことながら品質管理が大でございます。また、その入札自体が事業者の能力向上にもつながっており、事業費を無駄にすることなく有効にでき、目的とする施設が安心・安全の上に建設されます。そこで総合評価方式による入札は、現在何件ぐらい実施されているのか、ここ5年間の実績をお聞きいたします。
○総務部契約事務専門監(青山雅行君)
これまでの総合評価方式の契約件数としましては、令和元年度が26件、令和2年度が34件、令和3年度が27件、令和4年度が40件、令和5年度が46件となっております。
○江村卓三君
年々増えてきているということは確認ができました。そして先ほどの経緯でもありましたが、令和2年4月1日から総合評価方式を設計金額5,000万円以上から、4,000万円以上に変更されました。その理由として、さらなる公共工事の品質確保、市内業者の技術力及び履行能力の向上を目的とするということでございますが、さらに品質管理の点で今後対象工事を拡大することは考えられるのかお聞きしたいと思います。
と言いますのも、当然のことながら先ほどの目的である品質管理をよくしようと、総合評価方式に参加され努力されている業者の方の御意見ですが、参加する事業者は少しでも現場の品質管理をよくし、成績評点を上げるように常に努力しておられるようですが、総合評価方式によらない工事、いわゆる4,000万円未満の工事に参加される業者の中には、成績評定点はどうでもよく、仕事を取ることが優先となっている事業者もおられるようで、その点から言えば、品質管理を努力する事業者を増やすためにも、対象工事を拡大すべきではないかと考えますが、本市の御意見をお聞きいたします。
○総務部契約事務専門監(青山雅行君)
昨今の物価や労務費の高騰に伴い、本市が発注する工事費においても全体的に上昇しているものと承知してございます。これにより、これまでの設計金額であれば、総合評価の適用にならなかった工事も、総合評価の対象となっている状況でもあるため、総合評価方式の対象工事を拡大することにつきましては、今後の社会情勢や関係する地元建設業界などの御意見を踏まえ、慎重に判断してまいりたいと考えております。
○江村卓三君
総合評価方式をどれくらいの金額からするかについては、今お話もありましたが、現段階では物価高騰もあり、判断は難しいと思います。しかし、今後の状況を見られて検討していただければと思います。
次に、災害工事の入札についてお聞きいたしますが、昨年の6月から7月初めにかけて、線状降水帯の影響で、本市ではこれまでにない災害箇所が発生いたしましたが、その中には4,000万円以上の復旧工事もあったのではと思いますけど、その工事は総合評価方式で実施されたのか、お尋ねをいたします。
○総務部契約事務専門監(青山雅行君)
昨年の豪雨により発生した災害で4,000万円以上の復旧工事も発注しておりますが、早期にかつ確実に復旧し、地域住民の安全を確保する必要があることから、発注方法は、契約までに時間を要する総合評価方式での一般競争入札ではなく随意契約により対応しているところです。昨年度の災害復旧工事につきましては、今後もできる限り早期に復旧できるよう、随意契約での発注を想定しております。
○江村卓三君
ないとのことでした。品質管理の点からいえば総合評価方式となるのでしょうが、早期の復旧であればやむを得ないと思いますので、現場管理をしっかりと見ていただければと思います。次に、今年度の工事発注についてお聞きいたしますが、昨年度からの繰越しで実施される多くの災害復旧工事や今年度予定されている工事箇所、さらには問題の一つですが、能登半島地震などの影響もあり、職人が足りないとの話も聞きますが、その点での今後の発注に影響はないのか、どのように見通されているのかをお尋ねをいたします。
○総務部契約事務専門監(青山雅行君)
本市におきましても、技術者不足に対する懸念や昨年発生した災害復旧工事の発注も引き続きございますが、今後の工事発注につきましては、本年4月に本市のホームページで公表しております工事発注見通しに基づき発注する予定としてございます。
○江村卓三君
発注側からいえば、予定どおりに発注されるから問題はないのかも分かりませんが、発注現場が多くなると、入札においては、入札不調となる案件も増えてくるかと思います。その要因の一つですが、現場代理人の問題でございます。現場を兼ねる範囲もあるようですが、受注可能な体制をよろしくお願いしたいと思います。そこで心配されるのが、現場の品質管理ですが、その対策の一つとして、令和2年度に設けられた優良工事事業者表彰推薦入札がありますが、その内容をお尋ねいたします。また、優良工事事業者はどのようにして決まるのかも併せてお願いいたします。
○総務部契約事務専門監(青山雅行君)
優良工事事業者表彰推薦入札につきましては、災害復旧工事や難易度の高い工事など、不落不調対策として、当該工事の発注に当たり、事業者の受注意欲を高めていただくことを目的として、表彰対象事業者として推薦する優遇措置を付与するものでございます。
また、優良工事事業者につきましては、請負代金額が500万円以上の工事で、工事成績評定点が82点以上の工事を施工した事業者、または施工困難な工事、災害対応の工事などを施工したことにより、市に貢献し、表彰に値すると認められる事業者から選考し、決定しております。
○江村卓三君
災害に関してですが、入札不調となると再入札となるため、その準備期間がさらに必要となることから、工事完成が遅れ、市民生活の安心・安全に影響が出てきますので、1日も早い復旧が求められます。
そこで、受注対象者が優良事業者となれば、品質管理もしっかりとされていますので安心ですが、先ほど随意契約での話もありましたが、災害工事を優良工事事業者表彰推薦入札ではされないのかお尋ねをいたします。
○総務部契約事務専門監(青山雅行君)
昨年度の災害復旧工事につきましては、繰り返しになりますが、早期にかつ確実に復旧し、地域住民の安全を確保する必要があることから、発注方法は契約までに時間を要する一般競争入札ではなく随意契約により対応しているところでございます。そのため、昨年度の災害に対する復旧工事では、優良工事事業者表彰推薦入札を適用してございません。
○江村卓三君
先ほど、優良工事事業者表彰の説明をいただきましたが、この点についてお聞きをいたしますが、昨年度の表彰者はどのような状況でしたか、お尋ねをいたします。
○総務部契約事務専門監(青山雅行君)
令和5年度の優良工事事業者表彰の状況についてですが、土木一式工事が9件、建築一式工事が2件、電気工事が2件、とび・土工・コンクリート工事が1件、舗装工事が2件、解体工事が1件の延べ17件で14事業者が表彰されております。
○江村卓三君
分かりました。優良工事事業者表彰は説明にもありましたが、公共工事の品質確保や市内業者の技術力、履行能力の向上に寄与するとありますが、同時に、社会的、対外的に会社としての信頼度にも大きく貢献していると考えられますので、すばらしい評価表彰だと思います。
そこでですが、最近は、若年技術者の確保育成と、熟練技術者から若年技術者への技術・技能の伝承が行われにくいなど、いざというときの災害発生時の対応などが危惧されているなど、国としても現状と課題を認識されておられます。
そこで、若年技師の資質を向上させる解決策の一つとして考えられるのが、本市の上下水道局が実施している個人への現場技術者表彰が大いに有効と考えます。まずは実施されている現場技術者表彰について、説明をお願いいたします。
○上下水道局長(林 義之君)
上下水道局の現場技術者表彰についてお答えいたします。この表彰は、上下水道局で実施しております優秀工事及び優秀工事現場技術者表彰の対象となった、他の模範となる優れた工事について、当該工事の施工業者並びに当該工事を担当した現場代理人、主任技術者、監理技術者及び監理技術者補佐を表彰することにより、工事の適正な施工の確保並びに建設技術及び、現場技術者の資質の向上に資することを目的として実施しているところでございます。
優秀工事現場技術者表彰は、優秀工事表彰の対象工事のうち、当該工事を担当した現場技術者に対する評点が加点評価となる技術者に対し、表彰しております。
この表彰は平成26年度から実施しており、平成26年が21名、直近3年で申し上げますと、令和4年が21名、令和5年が15名、令和6年が12名の方が表彰されております。
○江村卓三君
ただいま水道局より実施されているお話の説明を受けました。同じ市でありながら、市長部局ではされておられません。今後、市長部局でもされる考えがあるのかお尋ねをいたしたいと思います。
個人表彰されることにより、会社内でも競争意識が高まり、お互いの技術力の向上につながると思いますし、個人のステータスや、会社の信頼度としても大いに喜ばしいことと思います。また指導する立場の市職員も一緒になって努力されるのではないでしょうか。いかがでしょうか、お尋ねをいたします。
○総務部契約事務専門監(青山雅行君)
本市では、平成27年度から下関市優良工事事業者表彰を実施しているところですが、御指摘のとおり、現在は工事に携わる現場技術者に対する表彰は行っていない状況です。
しかしながら、建設業界では、高齢化による労働人口や新規雇用の減少により、労働生産性の低下や次世代への技術承継が大きな課題となっております。
このような状況の中、工事品質を確保していくためには、現場技術者の育成及び資質の向上が不可欠であると考えております。また、技術者への表彰制度があることで、受賞者の意欲を高めるだけではなく、技術者間で競争意識が高まり、励みにもなるとの声も伺っておりますので、現場技術者表彰の実施につきましては、関係部局とも連携し、検討してまいりたいと考えております。
○江村卓三君
ぜひ市長部局でも個人への現場管理者表彰の実施をよろしくお願いいたします。
次に、品質管理にも関わる件ですが、本市の入札発注見通し情報の公表についてでございますが、現在、国土交通省中国地方整備局や、山口県で発注見通し情報を公表されている内容ですが、ICT活用工事、余裕期間設定工事、週休2日指定工事、そして、工事発注規模を県では概算工事費をランクで表示をされております。本市でもされている内容もありますが、改めて本市での公表はどのようになっているのか、簡単にお願いいたします。
○総務部契約事務専門監(青山雅行君)
現在、本市が公開しております発注見通しでは、工事名、入札方式、工種、工事場所、工期、工事概要及び発注予定時期を公表しておりますが、ICT活用、週休2日、余裕期間適用の設定及び工事発注規模につきましては公表しておりません。
○江村卓三君
今されていない案件もありましたけれども、本県で実施されている内容もありました。事業者が関心を持っておられるのは、工事発注規模の見通しで、県では概算工事費をランクで表示されている内容でございます。これについては本市ではないということでしたが事業者にとっては重要で、入札工事の規模によっては、監理技術者が必要となってきますので、事前に情報が分かれば、職員の誰を配置すればよいかで複数の入札参加ができることとなるようでございます。
そこで、本市も見通し情報として、今後、国、県同様に公表されるようよろしくお願いを申し上げます。今回は、工事における品質管理の向上についてということで、総合評価方式など、入札に関する内容についてお聞きをいたしました。その一つである総合評価方式ですが、事業者は、より大きな工事を受注するために、総合評価点を高め、ランクアップする必要があることから、職員の技術能力を伸ばす努力をされています。その点からいえば、発注者側からも、現場の品質管理がさらに増すということで、安心・安全につながることと思います。どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。そしてまた、最後に質問をさせていただきましたけれども、現場技術者表彰、そして工事発注規模見通しの公表をお願いいたしまして、この質問は終わらせていただきます。
次に、市立美術館の現状と今後についてお聞きをいたします。今回なぜ質問に至ったかといいますと、市立美術館は1983年、昭和58年11月に開館しましたので、今年度で41年を迎えます。開館された数年間は話題も多く、美術館としての存在意識は高くありましたが、最近は市立美術館の存在さえ知らない方が多いのではと思われるぐらい関心が薄れているように思います。ですから、市民に関心を持っていただくために今回の質問といたしました。
そこで美術館ということで、美術館に行く利点を調べてみますと、8つの効果があるようで、創造力が磨かれる、心が癒される、表現力が豊かになる、直観力が鍛えられる、美意識が高まる、多様性を受け入れられるようになる、教養が身につく、健康になるとのことです。私も同感であります。
その美術館ですが、下関には市立美術館があります。その市立美術館は、今年度で41年を迎えますので初めに、建物についてお聞きいたしますが、これまでに平成22年にリニューアル工事、平成31年に屋上防水工事などをされていますが、今後の館内改修の予定をお尋ねいたします。またその際に収蔵品である絵画等はどのように管理されているのか、影響はないのかについてもお尋ねをいたします。
○教育部長(藤田信夫君)
下関市立美術館は、昨年11月に開館40周年、今年で41年を迎えます。施設が大変老朽化してきております。このため、施設の長寿命化の対応といたしまして、令和3年3月、下関市立美術館個別施設計画を策定し、計画に基づいて施設の更新を進めることとしております。美術館機能を維持するため、展示室の空調機改修が喫緊の課題でございまして、今年度は機器改修に係る実施設計を行い、整備をしていくこととしております。施設改修を行う際の絵画等の収蔵品の管理につきましては、館内に収蔵庫3室と一時保管庫等がございまして、こうした部屋で、温度、湿度、ほかの空気環境の維持と防犯、防災対応を行いながら、収蔵品の状態の維持、安全性に配慮して保管をしているところでございます。
○江村卓三君
建物の改修は、美術館個別計画に基づいて更新されているということでございました。収蔵品については当然のこととはいえ、安全性に配慮されていることを確認させていただきました。
では、本館工事ですが、改修工事は通常の建築改修とは違うように思われますので、誰がどのようなタイミングで判断されているのかお尋ねいたします。
○教育部長(藤田信夫君)
美術館におきましては、先ほど答弁したとおり、個別施設計画におきまして施設長寿命化の方策を定め、今後必要となる改修の項目化及び優先順位の設定、実施スケジュールの想定を行っているところでございます。
改修につきましては、美術館として必要な専門的な業務を維持するための水準を踏まえまして、専門職として業務に当たる学芸スタッフを中心に施設管理に携わる美術館職員が日々施設を点検、管理する中で、緊急度・必要性を評価し、本市の建設部門の助言と支援を受けて、改修の詳細を決定しているところでございます。
今後も必要な対策とそのタイミングについて適切に判断し、計画的な整備・更新に努めてまいりたいと考えております。
○江村卓三君
改修時期のタイミングは、専門職である学芸スタッフを中心に決められているということでございました。
では、次にソフト面である基本的なところからお聞きいたしますが、そもそも美術館を本市で設置した目的は何かお尋ねいたします。
○教育部長(藤田信夫君)
下関市立美術館は設置条例の第1条に掲げます「市民の教育、学術及び文化の向上に資すること」を目的として設置をしております。地域の芸術文化につきまして、作品等の文化財を収集、保存し活用することを使命とし、文化の振興を通じて、豊かで活力ある社会の形成に寄与することを目指しております。
少し美術館の紹介をさせていただきますと、本市美術館は市制施行90周年を記念する事業の一環として建設されまして、昭和58年に開館いたしましたが、その基礎となったのが下関市出身の実業家 故・河村幸次郎氏による下関市への美術品コレクション寄贈でございます。地域ゆかりの画家・加納芳崖等による作品のほか、古代オリエントの工芸品など、ユニークな性格を持つコレクションを核として、所蔵品の拡充に努める一方で、幅広いテーマによる企画展の開催、調査研究、普及教育の各業務にも併せて取り組んでいるところでございます。
○江村卓三君
設置目的は市民の教育、学術、文化の向上に資するということでございました。では、美術館は何のためにあるのか調べてみますと、2022年文化庁は「美術館は美についての多様な思想やイメージなどを造形的に表現した美術作品の恒久的な収集・展示の場であると同時に、展覧会、講演会等を通じて、教育・普及の活動を展開するものである」と言っています。それでは、なぜ美術館を造るのかの問いには、文化庁は「美術館には芸術作品の保存や、展示だけでなく、芸術作品の研究解釈、芸術教育の場としての機能、文化交流の促進など、多様な役割がある」と言っています。
ここで今回私が主にお聞きしたいことは、文化交流の促進についてですが、その前に、美術館の現状についてお聞きをいたします。本市の美術館にどれだけ来館されているのか、入館者数をオープンから変動のある年度をピックアップされて、ピーク時はもちろん、最近についてはコロナ禍もありますが、入館者数の状況をお尋ねさせていただきます。
○教育部長(藤田信夫君)
まず、開館の翌年度、昭和59年度は12万6,835人で、最大になりましたのは昭和62年度で20万5,502人の来館の方がございました。平成15年度までは、年間10万人以上の入館者数がございましたが、その後は減少傾向が続き、平成23年度以降につきましては6万人から5万人台での推移となっております。コロナ禍前の令和元年度につきましては、5万3,113人でございました。コロナ禍の令和2年度には、本市美術館におきましても感染症対応のための臨時休館もございまして、入館者数は2万267人と、開館以来最少となりました。以降、令和3年度が2万7,461人、令和4年度にはコロナ禍対応に加えまして、施設改修のための比較的長期にわたる休館もあったため、2万7,587人となっております。令和5年度は4万5,528人と回復し、コロナ禍以前の水準に戻りつつあると認識しております。
○江村卓三君
入館者数はピーク時で20万人、平成15年までは年間10万人以上ということでございました。そしてまた、平成23年以降は五、六万人と、コロナ禍もありますけれども、現在は4万5,000人とのことで大きく減少してきていると思っております。そこで、設置目的からして、市立美術館は必要とされているのか、入館者数の減少は何が原因と考えられているのかお尋ねいたします。
○教育部長(藤田信夫君)
入館者数減少の理由といたしましては、開館当初、1年度内に8回の企画展示を開催してきたこともございますが、テーマの絞り込みとともに規模もコンパクトにしてきたことから、現状は年間2回程度を基調としているため、企画展示の開催回数の減少ということも一つの要因と考えております。
また、市民の方々が施設を使用して自主開催する個展やグループ展についても、近年規模が縮小し、最盛期には、年度で30回以上が開催され、市民ギャラリーの観覧者数も最大5万人を超えたこともございましたが、現在はそれに比べるとかなりの減少となっており、そうしたことが要因にあるのではないかと考えております。
○江村卓三君
減少してきている理由、一因を言っていただきましたけれど、その中で下関市民は何割の方が来られているのかお尋ねいたします。
○教育部長(藤田信夫君)
申し訳ございませんが、入館者の市内・市外の割合について集計しているデータがございません。しかしながら、来館時にお書きいただく任意回答方式のアンケートを行っており、その結果からお答えいたしますと、令和5年度所蔵品展では、市内の在住の方が約6割、企画展では市内の方が約5割となっておりまして、企画展につきましては、市外から来られる方の割合が高いという傾向がうかがえると考えております。
○江村卓三君
今集計データがないということでございましたが、それでは私がお聞きした話ですけれども、美術館の展示室をお借りしているグループのメンバーのほとんどの皆さんが、初めて美術館に来たというグループもおられたようですけれども、恐らく多くの市民、特に若い世代は市立美術館の存在を知らないのではと感じております。
認識されていても企画展の内容により、入館者数が大きく影響していることと思います。私も、最近は率先してまでは行かなくなりましたが、いい企画展があれば、県立美術館や旅行先での美術館へは行っております。そこでお聞きしますが、年間の主な企画展は誰がどのようにして決めておられるのか、お尋ねをいたします。
○教育部長(藤田信夫君)
特別展等の企画展示につきましては、館長をはじめ、学芸スタッフが地域ゆかりの芸術文化の顕彰活動という観点を中心にテーマを検討し、企画の実現に当たっては、学芸スタッフが調査・研究を基に、作品の所蔵者及び関係者との交渉など準備を進め、おおむね複数年にわたる調整の末、実施に至っている状況でございます。
○江村卓三君
時間の都合でちょっと省略をさせていただきますけれども、聞き取りの中で、年間予算はどのような状況かということをお尋ねいたしました。その回答の中では、おおむね必要な予算を確保できているということでございました。しかも、令和5年度の開館40周年の企画展では、入館者数も対前年比65%増との説明を受けております。
そこでちょっとお聞きいたしますけれども、恐らく企画展が大きければ大きいほど、展示美術品に対する取扱いなどの気遣いや経費も必要だと思います。そこで今年度も市立美術館として、魅力ある企画展を進められていかれるのでしょうが、今後の市立美術館の在り方も含め、企画展をどのようにお考えか、お尋ねをさせていただきます。
○教育部長(藤田信夫君)
企画展の方向性といたしましては、下関市ならではの独自性のあるものと、集客の見込めるものとをバランスよく組んでいくことが大事であると考えております。魅力を市民と共有し広く発信していくことを基本としながら、新しいテーマ、ジャンルこうしたものに取り組んで、魅力的な企画を実施してまいりたいと考えております。
○江村卓三君
美術館の現状もお聞きいたしました。今回重きを置いている内容ですが、美術館の目的の一つに文化交流の促進がありますが、下関市民の中には、絵画や写真、書道などの芸術を趣味として関わり、美術館の一室をお借りして作品の発表会をされている方やグループもおられると思います。
そこで市民の作品展示の場としての利用をどのように考えておられるか、また年間を通して施設使用の状況はどうなのか、お尋ねをいたします。
○教育部長(藤田信夫君)
美術館では、創作活動の発表の場である市民ギャラリーとして、施設の1階の一部を個人及び団体に美術館が使用しない期間におきまして、原則1週間を単位として貸出しをしております。こうした場での活動が市民に対しての芸術文化の普及、交流の拠点としての機能強化につながるものと考えております。
施設使用の状況でございますが、制度が本格化した昭和59年には、貸出件数が10件、また観覧者数も2万3,476人と大変多くございました。その後、近年の利用状況でございますが、令和3年度は貸出し件数9件、観覧者数が9,381人と、コロナ禍の影響もあり、令和2年、令和3年につきましては、観覧者数が1万人を割り込んでいる状況でございます。令和4年度は貸出件数が19件、観覧者数が1万4,799人、令和5年度では貸出件数が18件、観覧者数が1万4,974人と徐々に増えてきている状況でございます。
○江村卓三君
今度は施設利用料をお聞きするところですが、聞き取りの中で借りられる部屋、そして使用料をお聞きしましたので、その後の質問をさせていただきたいと思いますけれども、発表会として展示使用される場合、1日で終わることはなく、少なくても1週間は展示されると思います。そこで借りられる個人、団体の方が負担とされている使用料ですが、展示発表は入場料を取るわけでもなく、無料でございます。そこで、例として多くの方が借りられる1週間で試算しますと、準備や片づけにも施設の使用は必要となりますので、展示期間以外でも使用料が発生し、聞き取りで聞いた部屋と金額ですと使用可能な第4展示室7,550円と講堂5,690円の2室を借りると、6日展示と準備、片づけを入れて7日間使用となるようで、使用料は9万2,680円となります。個人・団体にせよ展示での負担は大きいと思いますが、私だけでしょうか。
そこでお聞きしますが、市民の文化力向上の点で使用料設定は妥当と考えられているかお尋ねをいたします。
○教育部長(藤田信夫君)
使用料につきましては、本市が定めております公共施設の使用料算定の基礎としている受益者負担の見直し基準により、美術館は公費と受益者で負担するものとして、受益者負担50%としている施設に分類されており、施設使用料は、おおむねこの基準に沿った金額で設定されているものとなっております。近隣自治体の公立美術館と比べても、妥当な額であると考えております。
○江村卓三君
妥当な額とのことでしたが、美術館は市民の文化力向上のための施設だと思いますので、せめて本市在住の市民特権として使用料を安くできないものか、市立美術館を大いに利用していただくことが施設としての価値と目的に合っているのではないかと思いますが、この点はいかがでしょうか。
○教育部長(藤田信夫君)
個人・団体の別にかかわらず市民の皆様には、文化芸術活動の発表、発信の場として今後も市民ギャラリー用の展示室等を積極的に御活用いただきたいと考えております。
一方で、現在の使用料は、先ほども答弁いたしましたとおり、受益者負担の見直し基準にもおおむね沿った額となっており、妥当な額であると考えておりますので、利用者の方にも御理解をいただきたいと考えております。
○江村卓三君
改めて、基準に沿った妥当な額とのことですが、ここは基準ではなく、施設を生かし、文化力をいかに向上させるのかが優先ですので、見直すべき料金かと思います。ただし、下関市民のみの思いでございます。美術館を大いに使用していただき市民の文化力を高めることが一番だと思いますので、御検討よろしくお願い申し上げます。
次に、展示する際のことについてお聞きいたしますが、展示品といいますか、展示物の規制はあるのでしょうか。と言いますのは、私がお聞きした30年前の話になりますけれど、当時パッチワークの活動をされていた方が初めて窓口へ展示相談をされたようですが、展示は美術館にふさわしくないとのことで断られたようで、その後、違う美術館関係者に相談したところ、許可が出たそうです。そして4町と合併する前の平成11年の下関市芸術祭で、初めてパッチワークの作品が市芸術大賞を受賞したとお聞きをいたしました。そのようなこともあったようでございます。
では、美術館での作品展示の規制についてお尋ね申し上げます。
○教育部長(藤田信夫君)
市民ギャラリー用の施設につきましては、より幅広い文化・学術に関わる催しや活動にも御利用いただけるものとして御案内をしており、展示する作品等に特に制限等はございません。ただし、害虫の発生など文化財の生物被害を招くおそれのあるものなど、美術館の所蔵品や取り扱う作品、資料の安全管理に関わるケース、施設管理に支障を来すおそれのあるケースについてはお断りをする場合もございます。
○江村卓三君
もう一つの問題点ですけれども、利用者が展示される場合、手続事務が簡素化されないのかという御意見を聞いております。毎年利用するのに以前のデータがあれば参考にさせていただくなどの対応はできないのかということでございます。まるでデータ管理がされていないように感じられている方もおられるようで、その点も含め、手続の簡素化ができないものか、お尋ねをいたします。
○教育部長(藤田信夫君)
使用希望の調整のため、施設使用希望申出の書類を御提出いただいているところでございます。これにつきましては事前調整の手段としているもので、この調整の後、内定の通知、正式な使用許可申請書による手続を行っているものでございます。一連の手続の中で公平に施設を使用していただくため、年度ごとに同様の書類を提出していただいております。
なお、手続方法の改善につきましては、利用者の御意見も聞きながら、適宜見直しを検討してまいりたいと考えております。
○江村卓三君
事務の簡素化についてはよろしくお願いいたします。
次に、平成19年に第1回として始まった本市の芸術文化祭についてお尋ねをいたします。市長は、市芸術文化祭に対するお考えとして、日頃の文化芸術活動の成果を発信する場所として、そして作品を通じて多様な価値観に触れることができる絶好の機会として、参加される祭りであると言っておられます。また、芸術文化は、表現者と観客とが互いに力を及ぼし合い、文化芸術の発展のみならず、本市の活性化にも大きく貢献するものであると考えてございます。まさにこれまで話してきた美術館の持つ力でございます。
そこで、本市の芸術文化祭を市民はどのように捉えられているのか、バロメーターとして最近の作品の出展数といいますか、参加者の状況をお聞きしようと思っていましたけれど、時間の都合上、聞き取りでの話をさせていただきますと、市芸術文化祭は美術部門と文芸部門とがあるようでございます。美術部門には当然、絵画、彫刻、書、芸術写真など、また文芸は短歌、俳句、川柳、現代詩、随筆とあるようでございますが、開館当初からいえば、総出展数は相対的に減少してきているようでございまして、部門によっては、僅かに増えているものも聞き取りではありました。では、この状況をどのように分析されているかお尋ねいたします。
○観光スポーツ文化部長(田中一博君)
市芸術文化祭は、平成19年度から先ほど議員御案内のように始まっておりまして、平成23年度に小中学生の川柳、令和2年度にはイラスト部門を追加しております。出品数の推移全体を見ますと、ピーク時には及ばないものの、コロナ前の水準に向け回復傾向にございます。これは新部門の創設が増加の要因である一方で、美術部門の工芸や写真の応募件数が減少傾向にありまして、高齢化の進展、また写真を取り巻く環境がスマートフォンなどの普及により、影響を受けたものと推察をしております。
本市といたしましては、今後も多くの市民の皆様に参加をしていただきますように新しい分野の創設など、必要に応じて検討してまいりたいと考えております。
○江村卓三君
次に、減少する出展数に影響しているのではないかと考えられるのが出品料金です。要は応募料です。この出品料ですが、令和5年度の作品募集要項を見てみますと、作品1点につき1,100円必要で、その料金は、入賞者の副賞等に充てられると表記されていますが、出展者は副賞目当てに応募されていないと思います。今活動している自分の作品がどのように評価されているのかが一番と考えられます。その点からいえば、出品料の1,100円は高いのではないかと思います。出品資格者は中学生以上ということですが、これまで出展をちゅうちょされる方もおられるのではないかと思います。市民の文化力向上のためにも見直すよい機会ではないかと考えますがいかがでしょうか、お尋ねいたします。
○観光スポーツ文化部長(田中一博君)
市芸術文化祭への出品料は、作品1点につき1,100円で入賞者の副賞に充てられています。議員御案内のとおり、出品をされる多くの方は評価を一番の目的とされていると推察されます。副賞の取扱いについては、様々な考え方もあると思いますので、関係する市の文化振興財団、市文化連合会と在り方について、他市の状況も踏まえながら考えてまいりたいと思います。
○江村卓三君
市芸術文化祭の目的である文化芸術活動の成果を発信する場となり、個人の文化活動が評価される場となりますよう、見直しをよろしくお願いいたします。
最後に、美術館の存在感を高めるためにも、展示企画はもちろんですが市民の展示発表の場としてさらに活用していただき、芸術文化の発展に寄与していただきたいと思いますので今回の質問となりました。下関市立美術館の在り方をいま一度見直しを含め、御検討いただきたいと思いますが、教育委員会のお考えをお尋ねいたします。
○教育部長(藤田信夫君)
美術館につきましては、地域に根差す美術館として、引き続き地域文化を掘り下げ、市民の皆様に愛される施設を目指すとともに、その魅力を広く発信し、新たなテーマ、ジャンルの開拓にもチャレンジしていきたい、そして利用者の拡大を目指してまいりたいと考えております。
○江村卓三君
芸術文化の発展のためにも、よろしくお願いいたします。
今年の2月9日に下関市主催で開催されました下関クルーズシンポジウム2024がシーモールパレスであり、その中の発表者で、本社より来られました東武トップツアーズの営業担当の部長さんが言われましたが、クルーズ船で来られるインバウンド客をいかに本市に呼び込むか、魅力を持っていただくかのお話の中で、最近の動向は、観光地や食にしてもどこも同じような内容であれば飽きられるように、東京や京都などの大都市の旅よりも、最近では歴史ツアーや美術館などを求めてくる方も多いとのことでした。だから、下関に多くのインバウンドを求めるなら、市立美術館を大いに生かし、PRすることも必要とのアドバイスもいただきました。本市がどう捉えるかは、今後に大いに期待したいと思います。
以上です。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○議長(香川昌則君)
この際、暫時休憩いたします。再開は13時10分といたします。
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