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本池 涼子 議員
第1回定例会 3月7日(木) 本会議(個人質問2日目)
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内容
会議録
第1回定例会
3月7日(木) 本会議(個人質問2日目)
本池 涼子 議員
1.地域医療確保対策業務
2.医事業務
【下関市議会 本会議確定版】
○議長(香川昌則君)
8番、本池涼子議員。(拍手)
〔本池涼子君登壇〕
○本池涼子君
無所属の本池です。初めに、新病院基本計画策定支援等業務について質問いたします。
平成28年に、山口県が地域医療構想を策定し、それに沿った病床機能の検討が本市でも行われてきました。特に急性期においては、平成29年4月に中間報告として4病院の統合の話が出てきました。急性期病院の機能再編となると、市民にとっての関心度も高く、その行方が見守られてきましたが、コロナ禍を経た昨年3月に、第2次中間報告が出されました。
平成29年4月の中間報告は「公立公的4病院は、2025年までに段階的に再編する。その際は、500床以上の規模が複数あることが望ましい」といったものでした。
それが、第2次中間報告では「4病院を3病院体制にすることを検討する。建て替え時期が近い下関医療センターと市民病院の統合の可能性を検討する。急性期医療機能は3病院で担いつつ、段階的な再編の必要性について、今後も協議を続ける」といった、より具体性を伴ったものになっています。
この背景には、コロナ感染症を経た病院側の経営的事情や病床稼働率の低下などが背景にあるのだと理解しています。
話を戻しまして、第2次中間報告公表後、市民への意見聴取などを経て、現在は基本構想案が完成する段階まで進んでおり……。
〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○本池涼子君
これは、タブレットにスケジュールについて素案の一部を映させていただいておりますが、来年度予算には、基本計画策定のための予算として、委託料3,400万円を含む3,650万円が計上されています。
いよいよ基本計画の策定に進むことが見て取れますが、今後の事業の進め方についてお示しください。
○保健部長(八角 誠君)
今後のスケジュール等について御説明いたします。このたび策定いたしました「新下関市立病院に関する基本構想案」は、令和5年3月の下関医療圏地域医療構想調整会議の第2次中間報告を受け、新病院の概要や3病院体制の大まかな方向性を規定するために、令和5年12月と令和6年1月に検討委員会を開催し、医療関係者や市民団体の代表者の方々などの意見をお聞きし、策定したものでございます。
今後の予定といたしましては、今議会の文教厚生委員会で報告した後、3月から4月にかけてパブリックコメントを実施いたします。その後、御意見を反映した最終的な基本構想を文教厚生委員会で御報告し、公表する予定となってございます。
また、令和6年度につきましては、新病院の基本計画を策定する予定でございます。
新病院の整備につきましては、具体的な整備スケジュールは確定しておりませんが、スムーズにいった場合の標準的なスケジュールといたしまして、令和6年度に基本計画を策定し、その後4年間で設計・施工を行い、令和11年度に新病院の運営を開始するということになるのではないかと考えております。
○本池涼子君
分かりました。この間ありました4病院の意見まとめや第2次中間報告があったとはいえ、基本構想そのもの――今案ですけれども――これは市がつくったものであります。第2次中間報告が出たときの医療構想推進調整会議や基本構想素案が出た検討委員会などで部分的に私も傍聴させていただいたり、参加できなかったものについては、そのときの議事録やそこで出た質問等を確認させていただいております。
昨年12月13日の第1回検討委員会の場では、示された基本構想素案には、病床数や新病院が持つ診療機能について記載がない。病床数や新病院が持つ診療機能が決まる時期、スケジュールを明確にすべきとか、新型コロナの影響で患者数が減っている、コロナ前のデータを用いた推計は現状を捉えられておらず、それを基に検討した基本構想は見直すべきといった意見が、統合対象でない残りの2病院から出ました。
〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○本池涼子君
指摘されているデータが、タブレットに、この2枚目のデータでありまして、これは2018年のデータですので、実際はもっと急速に人口減少が進んでいるということです。
御指摘の内容について、なるほどとは思ったのですが、それ以上に驚いたのは、当事者である4病院の意見がまとまっていない事実についてです。さらに、検討委員会では「会議が広く市民の皆様に対してのアナウンスをしていくという役割もあると思っているが」――ちょっと略しますけれども――「本当に出せる範囲の中で、我々も入って議論できれば」との意見が委員からも出されております。つまり、今のやり方では議論が不足していることが指摘されているのではないでしょうか。
2回の検討委員会は、基本構想の素案について、出席した委員から意見を聞き、素案から案になるまで2回ほど訂正がなされていますし、そのような仕組みになっているようですが、第2次中間報告から基本構想ができるまでの議論の在り方、これが今のこの状況でいいのかと私は思っています。
今議会で文教厚生委員会に報告がなされますが、報告ですので議決はありません。そして案として固まり、パブコメを経て構想が確定すると、専門的立場、当事者的立場からの議論も終わりになってしまいます。議会も議会で、これを追認した形になると、責任も伴うもので、議論不足のままの状態ではいけないのではないかと思っています。
そこで質問ですが、第2次中間報告を受けて、基本構想案ができるまでに、医療関係者が直接協議をする場はどれほどあったでしょうか。
○保健部長(八角 誠君)
中間報告後の医療関係者との協議の場ということでございますけれども、医療関係者との協議の場につきましては、第2次中間報告に基づき、下関医療圏としての急性期医療体制を3病院体制で確実に担うことができるよう、必要な機能再編を行うため、昨年7月、公立・公的等4病院の院長、また下関市医師会長、山口大学、九州大学の医療関係者により協議を行ったところでございます。
また、こちらについては公表されておりますけれども、昨年12月から本年1月にかけて2回の検討委員会を開催し、4病院の院長にも御指摘いただいたところでございます。
○本池涼子君
今のお答えでしたら、検討委員会を除くと、4病院の関係者が直接協議する場というのは7月の1回ということになります。
繰り返しになりますが、検討委員会は決まったものに対して意見を言う場であって、それぞれの立場から病院の在り方について議論する場と言えるものではありませんでした。そのほかとして、検討委員会以外に1回の4病院間での会議があったということですが、その会議ではどのような意見が出たのでしょうか。懸念されていることなど、具体的に示してください。
○保健部長(八角 誠君)
先ほど申し上げました4病院の院長での会議ということでございますけれども、その議題につきましては、診療科の内容でありますとか医師の編成等々ということで、今後、基本構想以降に決まってくる内容についての協議が、主に意見交換をされたところでございます。
○本池涼子君
基本構想以降に決まっていくものということだったら、基本構想には4病院間での会議の内容というものは反映されているのですか、されていないのですか。
○保健部長(八角 誠君)
基本構想の内容につきまして、方向性については、4病院間での意見の取りまとめたものをベースに行っているところでございます。
○本池涼子君
だから、当事者である4病院の熟議の場が要ると思うのです。この間、聞き取りも含めて、保健部の担当課と話もしてきたのですが、検討委員会は公開を目的とした会議と言われてきました。では、熟議とか議論する会議はどこにあったのかと思うのです。
熟議したという記録が見たくて、4病院の会議の議事録を見せてくれと、見せてほしいとお願いしたのですが、それは駄目だと断られました。2回の検討委員会だけで会議をしたことにして、それをもって議会に報告して、はいそうですかとなるでしょうか。
私たちは市民の代表であって、専門家ではありません。だからこそ、関係者での熟議が行われているという事実が見えなければ、認めることができないはずなのです。
議会での報告が済めば、議会に報告したとか、議会はおおむね認めているといったことが言われていくのは明らかで、では議会は何をしているのかとなりかねないからです。
いま一度要望なのですが、これまで検討委員会以外の会議で何が議論されて、何が問題になっているのかということについて、議会なり、文教厚生委員会なりに、検討委員会以外の場で協議されていることとか、概要だけでも示していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○保健部長(八角 誠君)
4病院長等の会議で議論になりますのは、常に下関医療圏にどのように医師を確保していくのか、地域の急性期医療を複数の病院としてどう担っていくのか。そのために、どういう形で3病院体制をつくっていけばいいのかいうことになりまして、やはり一番大きな課題というのは、医療圏の医師の確保というところが一番大きな課題だと議論されています。
○本池涼子君
ですから、検討委員会だけでは、何かきちんと議論しているという状況が見えないので、例えば、その4病院で今心配されていることとかも話になっているわけではないですか。
だから、それをきちんと議会にも示していただいた上で、議会でしっかり議論をしないと、検討委員会は、公開のための会議というのは、私は何回も聞きましたから、だからそうではなくて、きちんとそのほかでも議論している、熟議しているというものが、委員会にも見えることが私はすごく大事なのではないかと思うのですけれども、その概要だけでも示していただけないかと思うのですが、どうでしょうかという質問です。
○保健部長(八角 誠君)
議論の概要ということをお示しくださいということだと思いますけれども、4病院の院長などでは、この協議について全てを公表するというのは、自由な意見交換、率直な意見交換というのは、なかなか難しくなるということで難しいと考えてございます。
意見交換の内容をそのままを公表するというわけではなくて、そこで取りまとまった事項を今回の基本構想であるとか今後の基本計画であるとか、そういった形で盛り込んだ形で議会のほうに報告させていただくという形を取らせていただきたいと考えております。
また、先般の令和5年3月の第2次中間報告につきましても、4病院の意見・まとめというのがベースになってつくられたものであるということも、改めて申し上げておきたいと思います。
○本池涼子君
分かりました。その4病院間の協議で、診療科の内容ですとか医師の確保とかという話になったということですけれども、今時点で、各病院の経営側としての意見というのも差があると思います。統合する病院、残される病院としての意見は、それぞれの実情からも違ってきますし、経営の今を担っておられる院長先生たちの意見がぶつかるのもまた当然だと私は思っています。一言でいえば、簡単にはいかないものなのだろうということが分かります。
そして、その声も経営陣レベルの話であって、働くスタッフの皆さんですとか、病院に関わる各種団体ですとか、取引先事業者の皆さんですとか、そういう言いたいことがたくさんあると思うのですが、こうした方々の声がどれほどこの素案に盛り込まれているのかということがすごく重要だと思っています。
例えば、その職員の処遇について、素案には「在籍する職員の理解を得ながら検討を進め、雇用について職員の希望に沿えるよう十分に配慮しつつ、統合に向けた検討を進めます」という一文が入っているのですけれども、この一文を入れるために、どれだけの職員の方々の実情や思いを聞いたのでしょうか。これはお答えいただけますか。
○保健部長(八角 誠君)
その文章を入れるために、職員の意見を聞いたかと言われますと、文章については、想定される内容として記載してございますので、職員の意見に基づいてその文章になったというわけではございません。
○本池涼子君
分かりました。もう一つ、新病院が担うべき医療機能の5疾病6事業のところでは「精神疾患に関しては、新病院では担いません。周産期及び小児医療については、新病院では担いません」となっています。ここに、今の下関の実情や課題がどれほど検討され、この言葉になったのでしょうか。単純に市民目線で考えると、何で入れないのだと思う部分もあるからです。
検討委員会の設置要綱によりますと、任期は基本構想策定までと規定されています。今のままですと、基本構想の策定に向けた素案のたたき台は市がつくりました。選任した委員からの意見をもって、若干の文言修正や文言追加をしましたということで、後はパブコメ、報告ということになるのでしょうけれども、これで検討委員会が終わりということになってしまいます。
これでは、検討委員会とはただの手続にすぎないということを今見せつけられているようなものなのですが、私はそうなっていると思うのですが、そこはどうなのか、保健部長の見解をお聞かせください。
○保健部長(八角 誠君)
新病院の基本構想につきましては、市が整備します新病院の大まかな方向性を規定するものと、先ほど申しましたとおりでございますけれども、その大まかな方向性を規定するに当たって、市が素案を示し、検討委員会の皆様に御意見を頂いて、修正を加えて行っていると。大まかな方向性としては、基本構想の策定で終了いたしますので、委員会のほうもそこまでで閉じると考えてございます。
○本池涼子君
分かるのですけれども、その大まかな構想を決めることに、より多くの人たちの意見なり、熟議が大事なのではないかと今お伝えしているのです。
ここからは、市民の中で熟議がされているのかどうかということについて質問いたします。市民の実感としては、第2次中間報告が出るまで、ほとんどの市民がその進捗ですとか、どうなっているのかという状況について知りませんでした。
第1回検討委員会で基本構想素案として、建設候補地が報道等で出てから、ようやく全市的に知られていったという状況だと思います。
そこで質問なのですが、第2次中間報告が出された3月以降、市民がこの4病院の再編・統合に関し、熟議する場はあったでしょうか。
○保健部長(八角 誠君)
熟議の場という御質問でございますけれども、市民に対しては、どちらかというと周知、こういった内容が出てございますということのお知らせをしてまいったというところが実情でございます。
市民の皆様に、病院の再編・統合の必要性について御理解いただくことは大変重要と考えてございますので、昨年3月に第2次中間報告及びその解説を公表し、3月から4月にかけてパブリックコメントを実施した。そのうち、4月には「これからどうなる?病院の再編・統合」と題して、公立・公的等4病院の院長などにパネリストとして御参加いただき、シンポジウムを開催いたしました。シンポジウムには、多くの市民の皆様に参加いただき、様々な御意見を頂いたところでございます。
また、全ての自治連合会に住民説明会の御案内をいたしまして、御希望いただいた地域については、9月に住民説明会を開催して御意見を頂いているというところでございます。
○本池涼子君
パブコメの実施に当たっては、どのような方法を取られたでしょうか。
○保健部長(八角 誠君)
昨年3月から4月にかけて実施いたしました第2次中間報告のパブリックコメントにつきましては、本庁舎1階ロビー、保健部地域医療課、各総合支所、各支所及びホームページにおいて意見募集を行ったものでございます。
この第2次中間報告につきましては、保健医療を提供する立場にある者、保健医療を受ける立場にある者、学識経験者、関係行政機関の職員といった関係機関代表を委員とする下関医療圏地域医療構想調整会議において取りまとめたものであるため、改めて関係者機関等の聴取というのは行っていないところでございます。
○本池涼子君
そのパブコメの結果の意見は7件だったと。この7件というのも、最近のパブコメの動向を見ていると、まだ多いほうかと思うのですけれども、それ自体が異常ですし、7件という数字について、もっと市民からの意見を寄せてほしいのか、7件で十分と考えているのかお答えください。
○保健部長(八角 誠君)
意見が少ないということについては、より多い意見を頂けるほうが、計画等を策定していく上においては重要だと思います。
○本池涼子君
ではお聞きしますが、今回基本構想案について行うパブコメのやり方はどのように考えておられるでしょうか。
○保健部長(八角 誠君)
パブリックコメントの方法でございますけれども、これにつきましては、第2次中間報告のパブリックコメントと同様に、本庁1階ロビー、地域医療課、各総合支所、各支所及びホームページにて意見募集を行う予定としてございます。
○本池涼子君
より多いほうがいいと言いながら、前回と同じやり方というのは、結局、市民からの意見が少なくてもいいとなりませんでしょうか。下関医療センターの院長が市民に向けた動画配信をしておられますが、市民は情報を得て意見を出すことをしなければならないし、それらの意見を吸い上げ、今市民が何を求めているかを的確に把握するのは行政の役目ではないでしょうか。
パブコメのやり方ももちろんちょっと考えていただきたいのですけれども、パブコメ以外に、後は市民に知らせるためのやり方はどのように考えておられるでしょうか。
○保健部長(八角 誠君)
市民の皆様への周知につきましては、第2次中間報告においても「地域医療構想の推進の趣旨や病院再編・統合の必要性について市民へ分かりやすく、丁寧に説明を行う必要がある」とされてございます。
病院の再編・統合の必要性と新下関市立病院基本構想、その内容の周知方法といたしましては、シンポジウムの開催、シンポジウムの内容のSNSによる動画配信、希望する全ての自治連合会を対象とした住民説明会の開催、市報の特集ページの掲載、御希望する団体への出前講座などを検討しているところでございます。市民の皆様に、可能な限り情報提供を行いたいと考えてございます。
○本池涼子君
シンポジウムに来られなかった人に対して、新しく動画配信もされるということで、そういった取組もすごく大事だと思います。ただ、シンポジウムそのものが、例えば方向性の決定に市民が加われたり、市民と行政、医療関係者が議論、対話できる場であるかどうかというのを考えてみてほしいのです。市民はその意見を聞いて、こう文言修正しましたとか、そういうことをしてほしいわけではなくて、今の実情を知ってほしいし、その実態から必要な医療の提供のために、行政に動いてほしいと思っています。
今後予定されている基本計画は、基本構想を踏まえて、新病院の医療機能、病床数、概算整備事業費、経営収支の見通しなど、具体的な数字が決まっていくものになると思いますので、ここに一般の市民が加わることは難しくなってきます。基本構想こそ、病院関係者はもちろん、幅広い市民が参加して議論すべきですし、病院だけでなく、市民の暮らしとして考えるなら、保健部だけでなく、例えば交通に関わる都市整備部などが参加するとかいうのも考えるべきです。
彦島や豊北での自治会への説明会、御意見から見ても、そういったことが必要ではないかというのは分かると思いますけれども、あえてここはもう言わせていただきますが、そういうのも考えるべきだと思います。
後は、下関市市民協働参画条例には、その前文に「世の中の大きな流れの中で、私たちは、今、市民生活に密接にかかわる分野で様々な問題に直面しています。市民一人ひとりが「社会のために何ができるか」と問い直し、自らの責任と役割を明らかにしながら、その解決に取り組んでいく事が大切になっています」とあり、市の責務として「市は基本理念にのっとり、市民参画が図られるよう努めるものとする」とあります。市民参画の対象の1番に、市の基本構想、基本計画、その他の施策の基本的な事項を定める計画等の策定または変更となっています。
こうした条例は、お飾りのためにあるわけではないと思います。市民が自分たちの市の実情を知ったり考えたりすることは、今の下関市にとって最も必要なことではないでしょうか。
提案ですが、今出来上がっている基本構想案を構想として確定する前に、できる限り市民が参加し、議論ができることを全力でやっていただきたいと思います。そして、一部の人とか、もしくは市が勝手に決めたというものではなくて、市民の構想に練り上げるということをしていただきたい。時間はかかるかもしれませんが、そうした作業を住民とともに行っている自治体は今たくさんあります。ぜひ、スケジュールありきではなく、下関の医療をどうするかを一人一人が考え、関係者も市民も一致して進める構想・計画になることを求めて、次の質問に移ります。
続いて、医事業務について質問いたします。医事業務とは「医療法に基づく病院、診療所等の申請届出の受付及び監視・指導を行う。その他、医療機関と患者、家族の対話の促進を図るなどの医療パートナーシップの構築を目指す」とあります。
そして医事業務の内容である医療監視とは「保険診療の質的向上及び適正を図ることを目的として、医療法に基づき、行政担当者が行う検査、指導であり、具体的には、医療従事者の充足状況、無資格者による違法行為の有無、防火防災対策、機器の管理や保安点検、危険物・汚染物質の処理方法等、必要に応じて立入検査が行われる」とされています。市内各地に適正・健全な状態で医療機関が存在し、必要な人に必要な医療の提供がなされるためには、非常に重要な業務であり、日頃からの正確な仕事が求められるものです。
さて、代表質問や個人質問で既に出ていますが、昨年末頃にかけて、豊北町粟野にあります豊北病院の実態が報道されてきました。そして先月末、事実上の閉鎖をしたわけです。資金難と言われていますが、その内実は、東京のコンサルが病院の経営権を握り、患者、スタッフ、取引先に多大な迷惑をかけて去っていき、最後の日も責任者が現れずに、いまだに閉院届も出ていないというのが客観的な事実だと思います。
民間病院のことですので、議会の場でその内実について詳細にお聞きすることはできませんが、不思議なのは、なぜここまでこうした病院が放置されてきたのかという問題ではないかと思います。
私の元にも、昨年中には「保健所は何をしているのか」との声は届いていましたし、「事実上の閉鎖という事態を受け、もっと行政には早く動いてほしかった。閉院届が出されていないから閉院とは言えないなど、人ごとの回答ではないか」など、様々な声が寄せられています。
先ほども確認したとおり、医事業務という業務があり、下関市の場合は、保健部がその役割を担っています。そこでお聞きしますが、豊北病院の件に関して、内情を訴える市民や関係者からの通報はいつから何件あったでしょうか。
○保健部長(八角 誠君)
市民からの通報という御質問でございますけれども、私どものほうで受けている相談ということで、件数をお答えしたいと思います。令和5年9月に1件、令和5年12月に1件、令和6年1月に2件、同2月に3件、合計7件の御相談をいただいてございます。
○本池涼子君
内容はどのようなものでしたでしょうか。
○保健部長(八角 誠君)
内容につきまして、医療従事者の配置に関すること、施設の管理に関すること、給与の支払いに関すること、診療報酬に関すること、経営状況に関することなどがございました。
○本池涼子君
だから、医療監視の対象となる事項があったわけですよね。それを受けて、保健部としてはどう行動されたのでしょうか。
○保健部長(八角 誠君)
保健部といたしましては、医療法第25条に基づき、令和5年12月15日、病院に対し立入検査を実施してございます。本市に指導の権限がございます医療従事者の配置等人員基準に関すること、また施設の管理等施設の基準に関することについて検査を行い、問題があった項目につきましては、口頭、文書にて指導を行っているということでございます。
○本池涼子君
一番初めの相談は9月なのです。9月に相談を受けておきながら、なぜ12月の定期検査まで放置したのでしょうか。
○保健部長(八角 誠君)
医療法第25条に基づく立入検査につきましては、病院の人員体制もしくは施設設備の状況ということでございます。病院の経営に関する部分につきましては、検査対象となっていないという点、それから情報の内容、市が臨時に立入検査を行うことによる風評被害など、総合的に勘案し、定期の立入検査での対応ということを決めたものでございます。
○本池涼子君
12月25日の定期の立入検査で、発覚した事項というのを先ほどちらっとおっしゃいましたけれども、もう少し言える範囲でお願いいたします。
○保健部長(八角 誠君)
個別の医療機関の検査事項でございますので、ここでは差し控えたいと思います。
○本池涼子君
豊北病院は、20床以上の病床機能を持ついわゆる病院なのですが、今ここに医師が不在というのは違法状態でしょうか、違法状態でないでしょうか。お答えください。
○保健部長(八角 誠君)
医師が不在という言葉の意味によって異なってまいりますけれども、医療法第16条におきましては「医業を行う病院の管理者は、病院に医師を宿直させなければならない」とありますので、宿直する医師が不在という場合は違法ということになります。
○本池涼子君
医師不在で外来診療はできるでしょうか。
○保健部長(八角 誠君)
医師不在での外来診療ということでございますけれども、医師法第20条におきまして「医師は自ら診察しないで治療をし、もしくは診断書もしくは処方箋を交付し、自ら出産に立ち会わないで出生証明書もしくは死産証書を交付し、または自ら検案をしないで検案書を交付してはならない」とあります。
特定の条件下で認められた遠隔診療を除き、医師が不在の場合、診察ができませんので、診察をして治療を行うという診療には該当しないと考えてございます。
○本池涼子君
分かりました。2月から市が関わって、転院の支援をしてきたわけなのですが、その後の患者さんの様子や患者さんの身に起きたことなどを確認されているでしょうか。
○保健部長(八角 誠君)
御質問いただきましたような相談というのは受けてはございません。
○本池涼子君
私がお聞きしているのは、例えば外来で薬をもらっていたけれども、その患者さんの症状に合わない薬が出ていたようで、体調が急変して、別の病院に駆け込んだなどの話も聞いています。外来診療を受けたとき、医師は不在だったそうです。
そういった話もありますし、先日の連絡会議、あれで、患者さんを引き継いだ医療関係者から、患者の診療情報がなく、お薬手帳から病気を推測したり、再検査を必要としたなどの話もありましたが、これは間違いないですね。
○保健部長(八角 誠君)
今の後段の会議において、近隣のクリニックの先生方から、診療情報提供書がなかったので、お薬手帳等々から確認したというのは事実でございます。
○本池涼子君
要するに、その転院や引継ぎすらまともにきちんと患者のためにできていないというのが実態というのが分かるかと思います。
このとき、一番悪いのは病院、そして患者さんの命や健康というものを食い物にしたコンサルでしょうが、患者にしろ、スタッフにしろ、取引先にしろ、これほど多くの市民が傷つく前に保健部が動いていたら、事態はまだ違っていたのではないかと思われないでしょうか。
豊北病院は2019年に一斉退職が起きており、その際も多くの関係者が翻弄されました。だからこそ再建過程に関しては、注視しておかなければならなかったのではないでしょうか。
医療監視だけではありません。スタッフの皆さんの給与から天引きされていた特別徴収の市県民税が納められていなかったという事実もあります。これに関しては、どのように財政部は動かれたのでしょうか。庶民から取り立てることはどうかと私は思っていますが、悪質なものに関しては、結果としてどうなるかは別として、動くべきだったのではないでしょうか。
なぜここまで動かなかったのかをきちんと総括をしていただきたいし、簡単に不納欠損処分をして、なかったことにしないように求めます。
最後に、豊北病院が事実上閉鎖したことによって、豊北の方々の医療環境はますます悪化しています。豊北地域の医療をどうするかは、豊北病院の動向とは別問題として、行政が考えなければならない問題であることは言うまでもなく、どこにいても安心して暮らせるよう、行政の責務を果たしていただきたいと訴えまして、質問を終わります。(拍手)
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