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宮野 直樹 議員
第4回定例会 12月15日(金) 本会議(一般質問3日目)
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内容
会議録
第4回定例会
12月15日(金) 本会議(一般質問3日目)
宮野 直樹 議員
1.多目的シートの整備について
2.子ども110番の家について
【下関市議会 本会議確定版】
△一般質問
○議長(香川昌則君)
日程第2 これより「一般質問」を行います。本日は、御手元に配付の通告一覧表により、13番から17番までの通告者について行いたいと思います。
それでは、順次質問を許します。13番、宮野直樹議員。(拍手)
〔宮野直樹君登壇〕
○宮野直樹君
おはようございます。無所属の宮野直樹です。通告に従い、一般質問をさせていただきます。
一つ目は、多目的シートの整備についてです。高齢者や障害のある方、ベビーカーを利用されている親子などの社会参加や外出の機会をさらに促進するためには、バリアフリー化を推進することが重要です。
昨日、坂本晴美議員からオストメイトの方々について質問がありましたが、トイレに安心してアクセスできることは、外出意欲の向上にもつながり、生活の質向上や豊かな社会をつくる上で欠かすことのできない取組だと考えています。今回は、多目的シートの設置について複数の御相談をいただいたため、取り上げさせていただきました。
まず初めに、多目的シートとはどういうものなのか、その定義について御説明ください。
○福祉部長(冨本幸治郎君)
多目的シートの定義についてお答えいたします。多目的シートについての定まった定義はございませんが、乳幼児のおむつ交換のために設置されているベビーシートとは異なり、障害のある方の介助などに利用できるほか、高齢者や子供連れの方など、多くの人が多目的に利用できる大型のベッドで、ユニバーサルシートとも呼ばれております。
○宮野直樹君
明確な定義がないということでしたが、御説明をいただきました。多目的シートとは、今御答弁があったように、主に介助が必要な方に対して、排せつ、おむつ交換、着替えなどに利用される大型のシートです。それでは、多目的シートについて、大きさなど基準はあるのでしょうか。
○福祉部長(冨本幸治郎君)
多目的シートの大きさの基準についてお答えいたします。法令や国のガイドラインにも、多目的シートの大きさについて定められた基準はございません。
○宮野直樹君
多目的シートの基準については、明確に定められていないということが分かりました。タブレットの資料を御覧ください。
〔説明資料を議場内ディスプレイに表示〕
○宮野直樹君
これは、市役所本庁に設置されているみんなのトイレの入り口の写真です。ピクトグラムが掲載されており、文字で「多目的シートがあります」と記載されています。次の資料を御覧ください。実際の多目的シートの写真です。トイレ内で車椅子の移動・回転を妨げないよう、折り畳み式の多目的シートが設置されています。このシートの大きさについて、メーカーのホームページで調べてみました。シートの長さは150センチ、幅は60センチとなっています。
先ほどの御答弁で、基準は明確に定められていないとありましたが、この程度の大きさがあれば、横になり、体位交換などを介助することは可能となります。
次に、多目的シートの設置状況について質問をさせていただきます。冒頭にも申し上げましたが、障害のある方やその御家族より、多目的シートの設置をさらに促進してほしいという御相談をいただきました。まずはお聞きした内容について、幾つか御紹介します。
まず御家族の声です。「子供が小さい頃はよかったが、成長して体が大きくなり、外出時におむつ交換ができないため困っている」「多目的シートがないため、衛生面は気になるが、ブルーシートを床に敷いておむつ交換をしている。ただ、床から抱えることは介助の負担が大きく、いつまでできるか分からない」
次に当事者の方の声です。「外出するときは、おむつをはいており、おむつ交換をしてほしい時もあるが、介助者の負担を考えると申し訳ないので、家まで替えずに我慢をしている。障害があっても、ほかの人と変わらず、外でおいしいものを食べたり、きれいな景色を楽しんだり、季節を感じたりしたい。ただ、トイレに対する不安があるので、外出を控えている」そうした切実な思いをお聞きしたところです。
加えて、福祉従事者の方々にも状況を聞いたところ「外出支援において、トイレ介助を行うときに困った経験がある」と言われる方は多く「多目的シートの設置について、ぜひ進めてほしい」といった御意見をいただきました。
また、私自身の経験としても、公共施設で多目的シートがなかったため、その施設の方に相談して、施錠のできる部屋を借りて対応したことがあります。このように多目的シートに対するニーズや必要性は確実にあります。
そこでお尋ねします。本市の公共施設にある多目的シートの設置箇所と設置数についてお示しください。
○福祉部長(冨本幸治郎君)
本市の公共施設の多目的シートの設置箇所と設置数についてお答えいたします。令和5年12月現在で、設置箇所が8施設、設置数が16台になります。
○宮野直樹君
本市の公共施設に設置されている多目的シートは8か所、設置数は16ということが分かりました。
多目的シートについては、令和2年9月定例会で香川議長も取り上げられていました。議事録を確認してみると、その時点で把握されているのは、2施設4か所のトイレに4台設置されているという答弁がありました。また、市としての対応方針についてただしたところ、表示の部分について関係部局とも協議すること、多目的シートの設置について、例えば施設の改修や建て替えの際には検討してもらうよう、全庁的にも周知することについて福祉部長より答弁がありました。
そこでお尋ねします。多目的シートの設置に向けて、これまで取り組まれたことについてお示しください。
○福祉部長(冨本幸治郎君)
取組についてのお答えをいたします。
令和2年第3回定例会において、香川議員からの一般質問の際は、当時、障害者支援課で把握していた設置数として、2施設で4台とお答えをしておりました。その後、障害者支援課のほうから、庁内の各課に多目的シートの設置状況を照会し、ただいまお答えした8施設で16台であることを把握するとともに、多目的シートを設置しているトイレには、多目的シートを設置していることが一目で分かるように、先ほど議員のほうからも表示をしていただきましたが、案内用の記号の図であるピクトグラムの表示もお願いしたところでございます。
また庁内の各課には、照会と併せて施設の新設、改修、建て替えなどを行う際には、多目的シートの設置の検討を依頼しておりますが、この3年間については、施設の新設などがなかったこともあり、新たな設置はございませんでした。
○宮野直樹君
多目的シートの表示や公共施設に関わる設置状況の把握、全庁への周知などに取り組まれたことが分かりました。
次に、情報発信について質問をさせていただきます。先ほど、障害者の方、その御家族、支援者の方々の声について御紹介をさせていただきました。また本市においての取組について御答弁をいただきました。そのような中で、多目的シートを必要としている方へ情報を届けることが重要だと考えています。
そこでお尋ねします。本市では、ホームページに多目的シートが設置されている市の施設一覧を掲載されていると認識していますが、そのほかで情報発信されていることはあるのでしょうか。
○福祉部長(冨本幸治郎君)
ホームページ以外での情報発信についてお答えいたします。
現在のところ、市のホームページ以外での情報発信はしておりませんが、今後は、市報への掲載など、複数の媒体での情報発信を検討しますとともに、障害者団体や障害サービス事業所に対しても、周知を行うことを考えております。
○宮野直樹君
本市においては、現時点ではホームページで発信をされているということが分かりましたが、今後、周知をされていくということについても御答弁をいただきました。タブレットの資料を御覧ください。
〔説明資料を議場内ディスプレイに表示〕
○宮野直樹君
この資料は、令和5年11月30日までホームページに記載がされてあった多目的シートが設置されている市の施設一覧です。障害のあるお子さんがいる御家族から「外出するときに困るので、多目的シートが設置されている場所を知りたい」と御相談を受けた際「市のホームページに情報が掲載されているので、参考にしてください」とお伝えしたことがあります。
ところが、最近お会いした際に、多目的シートがあると思い外出したが、実際にはなかったというお話を伺いました。そこで、現地に足を運び、多目的シートの設置状況を確認してきました。タブレットの資料を御覧ください。
この写真は、王司にある風車公園内の多目的トイレの入り口の写真です。ピクトグラムが掲載されており「多目的シートがあります」と記載をされています。
次の資料を御覧ください。多目的トイレの中の様子です。私が目視をする限り、ベビーシートはありますが、多目的シートの設置はされていませんでした。
次の資料を御覧ください。しおかぜの里角島の多目的トイレです。風車公園と同様に、私が目視する限り、ベビーシートはありますが、多目的シートの設置はされていませんでした。
こうした状況を担当課に伝え、確認をしていただいたところ、多目的シートの設置はされていないことが分かりました。そして、直ちにホームページを訂正し、現在は風車公園、しおかぜの里角島の記載は削除されています。
誤りの原因について、私なりに考えてみましたが、現地確認が十分でなかったこと、多目的シートの理解が不十分で、ベビーシートとの区別がついていなかったことなどがあったのではないかと推測します。
そこでお尋ねします。今回誤った情報がホームページに掲載されていた原因について、どのように認識されているのか、お示しください。
○福祉部長(冨本幸治郎君)
誤った情報がホームページに掲載されていた原因についてお答えいたします。
今回の宮野議員からの御指摘を受けまして、障害者支援課から該当する施設を所管する課に確認したところ、多目的シートではなく、ベビーシートが設置されていたことが判明いたしました。直ちに課のほうで市のホームページを修正するとともに、多目的シートの表示を取り除きました。
このたびは、利用ができなくてお困りになった方がおられたとのことで、御迷惑をおかけいたしましたことにつきまして、深くおわびを申し上げたいと思っております。
なお、多目的シートの設置状況を庁内の各課に照会した際には、多目的シートがベビーシートとは異なり、障害のある方や大人の方も利用できる大型のベッドであることを記載し、参考に写真を添付していたところではございますが、職員の認識に相違があったことや、御指摘のとおり、障害者支援課での確認が不十分であったことが原因と考えております。今後新たに多目的シート設置の報告を受けた場合は、現地を確認するなどして、誤った情報を発信することがないようにしたいと考えております。
○宮野直樹君
原因についての御説明をいただきました。担当課の皆さんが、複雑・多様化した様々な課題やニーズに対して日々努力されているのは、十分理解をしております。今回の原因を踏まえて、多目的シートのみならず、ユニバーサルデザインを踏まえたまちづくりの推進のために、さらなる庁内連携をお願いいたします。
また、この多目的シートについては、まだまだ認知度が低い状況です。障害者や高齢者のみならず、多くの方に知っていただき、多目的シートを必要とされている方が活用できるように、情報発信が必要だと考えています。
そこでお尋ねします。ホームページに実際の多目的シートの写真を掲載するなど、分かりやすい情報発信をしていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
○福祉部長(冨本幸治郎君)
ただいま議員から御提案がありました件についてお答えいたします。今後、ホームページに掲載する際は、御提案があったように分かりやすい写真の掲載など、情報が見る方にとって分かりやすい内容になっているように、工夫していきたいと考えております。
○宮野直樹君
排せつなど、支援が必要な方々にとって、私たちが想像する以上に切実な問題です。そうした方々が、少しでも安心感を持って外出が行えるように、情報発信をお願いいたします。
また、周知がされることで、この場所に行こう、トイレを済ませて次の目的地へ行こうといったように、多目的シートを利用されたい方々の行動範囲の広がりやQOLの向上にも期待できます。こうしたことから、情報発信の一つとして、マップ等の作成についても御検討をいただきたいと思います。
それでは、今後の取組について質問をさせていただきます。国土交通省の「共生社会におけるトイレの今後の在り方について」では、今後のトイレ整備に求められる内容として、大型の電動車椅子でも利用でき、介助用の大型ベッドを設置した広めの便房を1つ以上設置することが推進されています。しかし、バリアフリー法や山口県福祉のまちづくり条例では、設置の義務化まではされていません。
こうしたことから、多目的シートの設置については、自治体での判断となり、公共施設へ設置するに当たっては、複数の部局が関わることから、福祉部の働きかけが重要になると考えています。
そこでお尋ねします。多目的シートの整備に向けて、今後、福祉部としてどのようなことに取り組まれるのか、お考えをお示しください。
○福祉部長(冨本幸治郎君)
今後の福祉部での取組についてお答えいたします。多目的シートの設置は、障害のある方や高齢者の方も含め、全ての方が利用しやすい生活環境を整えていくという、ユニバーサルデザインの考えに沿ったものであり、必要性については十分認識しております。
今後も、庁内の各課に対して、多目的シートの設置の必要性について定期的に周知をしていきたいと考えております。
○宮野直樹君
今後の取組や考えについて御説明をいただきました。最後に、本市では、下関市総合体育館「J:COMアリーナ下関」や安岡地区複合施設、下関市社会福祉センターなど、新たな施設の建設が進められています。
そこでお尋ねします。今後完成する市の施設において、多目的シートの設置予定はあるのでしょうか。
○福祉部長(冨本幸治郎君)
多目的シートの設置予定についてお答えしたいと思います。現在建設中の下関市総合体育館、安岡地区複合施設には、多目的シートを設置する予定であると聞いております。
また、下関市が建設費を補助し、社会福祉協議会が建設を行っております新しい社会福祉センターにも多目的シートを設置する予定でございます。
○宮野直樹君
ただいま御説明があった施設について、設置が予定されているということが分かりました。
障害のあるお子さんの御家族から「お母さんたちは、トイレの場所をチェックしているので、多目的シートが設置されれば、きっと市内外から遊びに行きますよ」という御意見をいただきました。
本市にはすばらしい観光資源がたくさんあり、市内外から多くの方々に訪れていただいています。スペースや壁の耐久性など、設置における課題はあると思いますが、そうした視点も含め、既存の観光施設にも目を向けていただきたいと思います。
加えて、指定避難所にも必要があるため、今後御検討いただき、多目的シート設置のさらなる促進を要望して、この質問を終わります。
二つ目のテーマは、こども110番の家についてです。少子化の進行が深刻さを増している中、安心して子供を産み育てることができる環境は極めて重要です。子供たちに安心・安全に登下校してほしい。事故や犯罪など、緊急事態に巻き込まれないでほしいといった思いは、全ての保護者や地域の共通する願いです。しかし、不審者はいつどこに現れるのか予測できません。
文部科学省の「地域における通学路の安全確保の方策等についての調査研究報告書」によると、子供が被害となる犯罪発生の特徴の一つとして、登下校時間帯の被害が挙げられています。令和5年1月から10月末現在で、山口県警が把握した18歳以下の子供に対する不審者による声かけ、つきまとい等の事案の状況を調べてみると、下関市では85件発生しています。また、時間帯別発生件数のデータを見ると、15時から18時にかけてが最も多く、次に多いのが6時から9時となっています。このように、下校時間帯及び登校時間帯に被害が集中していることから、子供の犯罪被害防止に向けては、登下校時の安全確保は重要な課題といえます。
そのような中、今から約2年前、私の地元安岡地区に登録をいただいている、こども110番の家とこども見守り隊の方々が活動されている各現場に訪問をさせていただきました。コロナ禍で様々な活動が制限され、人や地域との関わりがますます希薄化していた中において、登下校時の子供たちの安心・安全を守るためには、地域の見守りと助け合いの環境づくりをさらに強化することが必要だと考えたことがきっかけです。雨の日も風の日も、子供たちを温かく見守ってくださるこども見守り隊の皆様や、子供たちが訪ねたときに優しく対応してくださる、こども110番の家の皆様に改めて感謝の気持ちを抱いたところです。一方で、高齢化や活動の特性ゆえの弊害化など、課題を感じることもありました。
人口減少等により、ボランティア人材の確保が難しい状況において、歴史あるすばらしい取組を大切にすることが、子供たちにとって安心・安全なまちづくりを維持、発展させるのではないかといった思いから、今回は、こども110番の家に焦点を当てて質問をさせていただきます。
初めに、設置の経緯と効果について質問をさせていただきます。地域が一体となって、事故や犯罪の発生を未然に防止し、子供の避難場所等となるこども110番の家の取組は大変重要です。私が調べた限り、本市では、平成9年10月よりこども110番の家が設置されています。
そこでお尋ねします。本市において、こども110番の家が設置された経緯についてお示しください。
○教育部長(藤田信夫君)
本市におけるこども110番の家につきましては、平成9年10月に市PTA連合会と市子ども会連合会が警察の協力を得てスタートしたものでございます。現在は、各小学校が毎年こども110番の家の確認を行い、それを基に校区ごとの協力家庭や事業所の名簿と地図を作成しております。
○宮野直樹君
設置の経緯等について御説明をいただきました。長きにわたり、子供たちの安心・安全を守ることに大きな役割を果たしてきたと思います。
そこでお尋ねします。こども110番の家が設置された効果について、どのように認識しているのか、過去の事例もあれば、その紹介も含めてお示しください。
○教育部長(藤田信夫君)
こども110番の家は、子供たちが不審者等により、身の危険を感じたときなどに逃げ込むことができる、緊急時の安全が確保できる場所であると認識しております。また、こども110番の家であることをステッカーやのぼりで表示することによって、犯罪抑止の効果も期待できるなど、子供たちの安全確保において、重要な役割を果たしていると認識しております。
なお、平成20年から、下関中央ロータリークラブから毎年のぼり等の寄贈を受けているところでございます。
○宮野直樹君
効果等について御説明をいただきました。また、先ほど部長のほうから御答弁ありましたが、10年以上前から下関中央ロータリークラブの皆様より、のぼりやポールの寄贈をいただいています。先日も、こども110番の家の登録をされている事業所の方から「旗が古くなったので交換してほしい」と連絡があったので、今週の月曜日にのぼりをお持ちさせていただきました。本当にありがたいことであり、こうした活動が広がり、継続されているのも大きな効果だと考えています。
また、事例についてはあまりないようでしたが、私がこども110番の家に登録されている方から伺ったことを幾つか御紹介します。「トイレを貸してください」「雨が降ってきたので、雨宿りをさせてください」「喉が渇いたので、お水を飲ませてください」「転んで膝を擦りむいたので、ばんそうこうを貼ってください」犯罪被害に関わるような事例ではないですが、子供たちにとって、様々なSOSに優しく対応いただいています。仮に、小さなことでも困ったときに助けを求めることができるのは、いざというときに役に立ちます。
そのほかにも「指輪が落ちていたので、届けに来ました」「100円が落ちていたので届けに来ました」という心温まるエピソードも聞かせていただきました。一方で「何か役に立っているのだろうか」と言われる方もいらっしゃいました。危険なときに駆け込む場所のイメージがあることから、なかなか成果を感じることについて難しさがあるのかもしれません。
しかし、子供たちの登下校や放課後など、学校や保護者だけでは見守るには限界がある中、地域にのぼりやステッカーを掲げることで、子供を見守る機運が高まり、防犯や犯罪抑止につながることから、こども110番の家については、子供たちの安心・安全のために重要な効果をもたらしてきたと思います。その一方で、全国的にこども110番の家の数は大きく減少しているようです。
そこで、設置の状況についてお尋ねします。本市のこども110番の家の登録件数と近年の傾向についてお示しください。
○教育部長(藤田信夫君)
登録状況についてでございますが、市内全ての小学校区に設置されており、現在1,661戸の家庭や事業所に登録をしていただいております。なお、登録件数につきましては、ここ5年で徐々に減少してきているという状況でございます。
○宮野直樹君
登録件数は、現在1,661ということであり、近年は減少傾向ということが分かりました。高齢化や働き方の変化などにより、個人宅で引き受けることが難しくなっているのも一つの減少要因だと考えます。例えば、事業者の防犯CSRの活動の一つとして推奨するなど、新規登録の確保にも取り組んでいただきたいと思います。
次に、登録されている方や事業者に対する支援の状況について質問をさせていただきます。現在本市では、こども110番の家に登録している方や事業者に対して、どのような支援をされているのか、お示しください。
○教育部長(藤田信夫君)
登録いただいた家庭や事業所などに、こども110番の家の役割と対応の仕方について理解していただくために、子供が避難しやすい環境づくりや110番通報の際の注意点などを示した資料を配布しているところでございます。
また、先ほど御答弁いたしましたが、平成20年より下関中央ロータリークラブから毎年ステッカーやのぼりなどの寄贈を受けており、登録された家庭や事業所からの要望に応じまして、教育委員会が小学校を通じて配布をしているところでございます。
○宮野直樹君
資料、マニュアルやのぼり旗の配布をしていることが分かりました。これも実際に伺ったお話ですが「子供たちに何かあったときに駆け込んでもよいことを知ってほしい」「顔見知りになることで、何か役に立つこともあると思うので、親子で一緒に訪ねてきてほしい」こういった御意見も伺いました。
そこでお尋ねします。こども110番の家について、児童や生徒へ周知はされているのでしょうか。
○教育部長(藤田信夫君)
教育委員会では、小中学校に対しまして、こども110番の家が登下校における身の危険を感じたときの避難場所であることについて、児童生徒に周知するよう毎年指導しているところでございます。
小学校におきましては、こども110番の家の位置が示された安全マップを新入生に配布をしたり、集団下校時にこども110番の家の位置を教員が児童と一緒に歩きながら確認したりするなど、児童に対する周知に努めているところでございます。
また、中学校におきましても、安全マップやこども110番の家の名簿を活用し、周知に取り組んでおります。
○宮野直樹君
児童や生徒に対して、安全マップや集団下校を通じて周知に取り組んでいるという御説明をいただきました。その必要性や役割が認知されることは、児童や生徒、保護者の安心はもとより、登録をしていただいている方へのモチベーションにもつながると思いますので、今後も周知のほうをお願いいたします。
次に、管理について質問をさせていただきます。実際に登録されている住所へ尋ねたところ、空き店舗になっているところや、住んでいる方が変わっているところがありました。
そこでお尋ねします。こども110番の家について、継続更新など、管理をどのようにされているのか、お示しください。
○教育部長(藤田信夫君)
継続・更新などの管理についてでございますが、毎年、教育委員会から全ての小学校に、こども110番の家の協力家庭と事業所の名簿作成とともに、安全マップの更新を依頼しております。それを受けて、小学校では校区の実情に応じまして、PTAや自治会等と連携しながら、家庭や事業所に協力の意向確認を行い、名簿や安全マップの作成を行っております。
なお、作成された名簿と安全マップについては、各小学校から教育委員会への報告を行うとともに、同一校区の中学校と情報共有を行うとなっております。
○宮野直樹君
継続・更新など管理については、各学校また地域の実情に応じてPTAや自治会とも協力しながら依頼・確認を行っているということが分かりました。
先ほど、空き店舗になっていたとお伝えしましたが、学校に報告したところ、以前から空き店舗で、訪問してもお会いできず意思確認ができない状態だったそうです。店舗に住居が併設されていたが、人が住んでいるのか確認が取れず、継続してよいのか登録を外すべきか判断に悩んでいたというお話を伺いました。先生方の負担を考えると、何度も訪問するのは難しいと思います。
先ほど、地域の方の力も借りてといったことで、地域の実情に応じて把握することが大切と思いますが、このように設置から25年以上が経過したことで、管理や実情の把握など課題も出ていることから、その運用を見直すことも必要ではないかと考えています。
そこで、今後の取組について質問をさせていただきます。大切な取組も、適切な管理や運用が行われなければ、かえって子供たちにとって不安なものとなる可能性もあります。
そこでお尋ねします。こども110番の家について、実情を把握し、今後の推進方法など、一度整理をするべきと考えますが、いかがでしょうか。
○教育部長(藤田信夫君)
近年、高齢化や共働き世帯の増加が進みまして、全国的に地域人材の不足が懸念されており、本市におきましても同様の状況にあると考えております。現在、こども110番の家として登録されてはいるものの、活動の継続が難しくなっている家庭や事業者もあるのではないかと考えております。
教育委員会といたしましては、毎年行っております更新確認の際に、登録されている家庭や事業所が日常的に活動を継続できるのかどうか、こういった基準をもって確認を行うよう小学校に指示し、整理をしていきたいと考えております。
○宮野直樹君
ボランティアでお願いしている以上、なかなか基準を設けるのは難しいと思いますけれども、現地確認をする際にしっかり対応しながら、一度整理をしていくことも重要かと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、例えばですけれども、静岡県浜松市では、子供が安全に避難できる環境を整備することを目的として、今年度こども110番の家実態調査事業を実施し、今後は5年に一度、定期的な調査をされるようです。また、奈良県生駒市では、こども110番の家の旗の設置状況等の把握や設置効果の検証のために、平成27年、令和3年にアンケート調査をされています。こうした例も参考に、今後の取組について御検討をお願いいたします。
最後に、こども110番の家がより効果的に活用するために、今後どのような取組をされるのか、お考えをお示しください。
○教育部長(藤田信夫君)
身近な場所での子供を対象とした犯罪を防止するために、地域で子供たちを見守る体制づくりの強化、これは課題であると認識をしております。
現在、各学校ではコミュニティ・スクールの仕組みを生かして、学校の課題のみならず、地域の課題解決に向けて、地域と連携した様々な活動に取り組んでいるところでございます。
引き続き、子供たちの安心・安全な生活を支えるために、こども100番の家をはじめ、見守り隊等の地域住民を中心とした活動の在り方などについて協議を促進、また関係団体とも連携いたしまして、地域の実情に応じた体制づくりが行われるように支援をしてまいりたいと考えております。
○宮野直樹君
こども110番の家の取組が盛んな地域は、地域の連携の強さや防犯意識の高さを社会にアピールできます。また、防犯や災害を想定した危険予測学習等へ活用するなど、子供たちの主体的な関わりを通じて、地域との触れ合いが生まれ、その結果、地域ぐるみで子供を見守ることへつながり、犯罪の抑止にもつながります。そのために適切な運用や効果的な取組をお願いいたします。
今後とも、子供たちの安心・安全な登下校の環境づくりについて、様々な施策を総合的に実施することをお願い申し上げますとともに、子供たちを温かく見守っていただいている地域の皆様の日々の御尽力に多大なる感謝の意を表しまして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
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