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山下 隆夫 議員
第4回定例会 12月13日(水) 本会議(一般質問1日目)
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内容
会議録
第4回定例会
12月13日(水) 本会議(一般質問1日目)
市民連合
山下 隆夫 議員
1.学校図書館整備について
2.JR山陰本線の利用促進と早期復旧に対する本市の姿勢について
3.市民病院と下関医療センターの統合について
【下関市議会 本会議確定版】
○議長(香川昌則君)
3番、山下隆夫議員。(拍手)
〔山下隆夫君登壇〕
○山下隆夫君
市民連合の山下隆夫です。初めに、学校図書館図書標準の達成状況についてお伺いいたします。
公立義務教育小学校の学校図書館に整備すべき蔵書の基準として、平成5年3月に、小中学校ごとに、それぞれの学級数に応じた蔵書冊数を定めた学校図書館図書標準が文部科学省によって定められています。この標準の達成を支援するため、文部科学省は類似の学校図書館図書整備5か年計画を策定し、地方交付税措置を講じるとともに、定期的に学校図書館の現状に関する調査を実施しています。
直近では、令和2年度に実施し、令和4年1月24日に修正版が発表されています。モニターを御覧ください。
〔説明資料を議場内ディスプレイに表示〕
○山下隆夫君
図書標準を100%達成している学校の全国平均は小学校71.2%、中学校61.1%です。山口県の平均は小学校78.3%、中学校57.4%ですけれども、本市は小学校53.5%、中学校9.1%と全国平均、県平均を大きく下回っています。
まず、なぜこのような状況になっているのか、お伺いをいたします。
○教育長(磯部芳規君)
本市の学校図書館図書標準の達成状況についてお答えいたします。
御指摘のとおり、下関市の学校図書館図書標準の達成校数が少ない状況にあります。学校図書館図書標準冊数が達成されない理由といたしましては、各校の蔵書が古くなってきたことや、配架スペースの不足から廃棄処分数が増加傾向にあること、各学校からの要望の多い消耗品等の予算配分に重点を置くため、結果として図書の購入に要する予算が十分に確保できないことが挙げられます。
○山下隆夫君
文部科学省が講じている地方交付税措置、先ほど言いました廃棄分、更新分を含めた地方交付税措置となっているわけでございます。そういった意味では、この間、図書購入費にかける予算が本当に下関市は少ないのではないかと感じているところでございます。
では、1校当たりどれぐらい図書購入費が予算措置されているかについて、公益財団法人全国学校図書館協議会が2022年度の学校図書購入費を調査しています。モニターを御覧ください。
〔説明資料を議場内ディスプレイに表示〕
○山下隆夫君
小学校1校当たり44万2,429円、中学校1校当たり57万7,654円が全国平均であります。山口県内では、小学校で下松市の60万9,857円、中学校で防府市の67万7,273円が最高額となっています。
一方、本市は小学校1校当たり19万3,381円、中学校1校当たり25万2,182円で、回答した県内の実施の中で小学校・中学校とも最下位であります。
全国学校図書館協議会などの4団体が発行している資料を基に、本市の学校図書館整備地方交付税措置を算定いたしますと、小学校1校当たり37万1,145円、中学校1校当たり47万4,622円となりました。しかし、本市の予算措置は、これに対し約52%程度であります。これが図書標準の達成率が低い最大の要因だと思います。
現状の予算措置では、学校図書館図書標準を達成することが困難だと思います。少なくとも、図書購入費を倍増すべきと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。お伺いいたします。
○教育長(磯部芳規君)
本市の図書購入費についてお答えいたします。
学校図書館の整備充実は、今後の学校における学習環境整備の重要な要素であると認識しております。今後も、図書標準の達成校の割合が増加していくよう、予算確保に努めてまいります。
○山下隆夫君
よろしくお願いいたします。図書購入費の予算拡充を求める理由は、図書標準を達成するためだけではございません。地方交付税措置が十分に活用されていないことについて、6月27日の読売新聞の社説は「社会のデジタル化が進み、多くの情報が氾濫している。真意を見極め、情報を正しく活用する能力を身につけるには、読書活動が欠かせない。思考力を養う探究学習の場としても、学校図書館の役割は高まっている。子供の読書環境を整えることは、未来への投資である。目先の課題ばかりに目を奪われず、本来の目的通りに使うべきだ」と述べるとともに「ドイツが東西に分かれているという古い記述の本が、そのまま置かれている学校もある」と指摘しています。本市でもこのような状況があるのでしょうか、お伺いをいたします。
○教育長(磯部芳規君)
御指摘のとおり、学校図書館に古い図書が残っている学校はございます。しかしながら、学校司書の配置により、資料として古いものを廃棄するなど、これまで行き届かなかった図書室の環境整備ができるようになっております。
○山下隆夫君
ある学校で聞いたのですけれども「ソ連という記述の本がまだあります」。ある学校司書にお伺いをいたしましたら「感覚的には、本来廃棄・更新しなければいけない冊数の約40%があるのではないか」とそういったことをおっしゃっております。再びモニターを御覧ください。
〔説明資料を議場内ディスプレイに表示〕
○山下隆夫君
全国学校図書館協議会の調査によりますと、周南市では、小学校1校当たり45万3,333円、中学校1校当たり54万円を予算化しています。図書標準を小学校100%、中学校92.9%が達成をしています。また、小中学校とも図書標準を100%達成している宇部市の令和5年度の予算措置は、小学校1校当たり54万9,333円、中学校1校当たり91万3,916円です。本市とは雲泥の差であります。県内唯一の中核市として恥ずかしくない予算措置をしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、学校図書館図書整備5か年計画に基づく学校司書の適正配置について伺います。学校司書の配置により、貸出冊数や来館人数の増加、学校図書館の環境整備、読書活動に関わる行事の工夫など、学校図書館が充実をしてきています。また、令和5年度の子供の読書活動優秀実践校図書館団体個人表彰で向井小学校が表彰されるなど、大きな成果が出ているところであります。
その一方で、1人の学校司書が複数校を兼務していることから、図書ボランティアの方々とうまく連携できていない事例や、子供たちと接する機会が少ないためコミュニケーションがうまく取れていない事例もあると聞いています。
令和4年度から8年度を計画期間とする第6次学校図書館図書整備等5か年計画では、計画期間内に学校司書を小中学校のおおむね1.3校に1名配置することを目標にし、そのための予算が地方財政措置されています。目標を達成するには、本市では48名の学校司書が必要です。第6次5か年計画期間内に48名をぜひ達成していただきたいと思います。教育委員会の見解をお伺いいたします。
○教育部長(藤田信夫君)
学校司書の配置についてでございますが、令和4年度に10名増員いたしまして、現在市内小中学校に20名を配置しているところでございます。下関市では、複数校の兼務ではございますが、司書または司書教諭の資格のある職員を週5日、1日7時間勤務で任用しており、各学校のニーズに応えることができているものと認識しております。
まずは現状の中で、学校図書館運営を質的に高めることを目指して、学校司書に対する研修を充実させてまいりたいと考えております。
○山下隆夫君
過去にも今答弁されたような答弁をされておりますけれども、そう言いながら、実際はいろいろな問題を抱えているというのが実態ではないでしょうか。考えはちょっと改めていただかなければいけないと思います。
学校司書の職員、これは言うまでもなく、学校教育や子供の将来と関わるものであります。第5次子供の読書活動の推進に関する基本的な計画におきまして、第6次学校図書館図書整備等5か年計画における地方財政措置の予算化を通じ、学校司書の専門性が一層発揮できるよう、学校司書が継続的、安定的に職務に従事できる環境に配慮することが求められております。
以前、学校司書を募集しても応募者が少ないことが課題としてあるという答弁もいただいておりますけれども、なぜ、そういう状況になっているのか。継続的、安定的な雇用体制になっていないからではないかと思います。学校司書が継続的、安定的に職務に従事できる環境とするためには、正規雇用とすべきと思います。教育委員会の見解をお伺いいたします。
○教育部長(藤田信夫君)
学校司書の任用につきましては、3年ごとに更新のための試験を受けていただく必要がございますが、能力の実証を踏まえ、継続して勤務することが可能となっております。引き続き、こうした運用を継続してまいりたいと考えております。
○山下隆夫君
繰り返しになりますけれども、御答弁のような状況とは大きくかけ離れているのが現状だと私は思っています。正規職員としての雇用というのが難しければ、会計年度任用職員ではなくて任期付職員とすることも一つの方法だと思います。そのことによって、継続的・安定的な勤務体制ができますし、しっかりと安心して学校司書の人たちも働くことができるのではないかと思います。そういった意味でも、再度検討していただきたいと思います。
次に、学校における「しものせき電子図書館」の活用についてお伺いをいたします。本年10月3日より「しものせき電子図書館」の運用が開始をされ、各学校においても、その活用を推進していると思いますけれども、ある学校司書の方から「学校は教育現場なので、発達段階に応じた指導の下で、児童書に限った利用が望ましいのではないでしょうか」と。「ゲームでも映像でもR指定が存在しているように、図書だけ無制限にするのはいかがなものかと思って、中央図書館にフィルターをかけるべきではないかと相談をしたけれども、図書館の自由に関する宣言の中で、資料提供の自由が掲げられていることから、フィルターをかけることはできないと言われました。どうにかならないでしょうか」という相談を受けました。
確かに、私も図書館の自由に関する宣言、これは尊重すべきと思います。その一方で、全国学校図書館協議会が図書選定基準を定めています。現在運用されている「しものせき電子図書館」で、その基準から外れる書籍が閲覧できるとすれば、これも問題ではないでしょうか。例えば、現行の中央図書館が運用する電子図書館とは別に、学校図書館独自の電子図書館システム、これを構築することはできないでしょうか。見解をお伺いいたします。
○教育部長(藤田信夫君)
現在、学校図書館独自の電子図書館システムを構築するということは考えてございません。しかしながら、児童生徒が閲覧するに当たり、心身の成長過程に応じた図書を提供することは重要であると捉えております。「しものせき電子図書館」の活用に当たりまして、各学校のニーズや意見を把握し、図書館と連携しながら、よりよい読書環境を整えるように努めてまいりたいと考えております。
○山下隆夫君
問題があると考えて、まだ利用されていない学校も数校あると聞いています。今御答弁いただいたように、市教委として何らかの対策を講じて、全ての学校で利用できるようにしていただきたいと思います。
次に、学校図書館を快適に利用できる環境整備についてお伺いします。近年、猛暑・酷暑が常態化をしている中で、学校図書館にはエアコンが設置されていないため、図書館の利用に制限を設けなければならない事態となっているとお聞きをしています。せっかく学校司書を配置しても、児童生徒と触れ合う機会が損なわれるようでは問題ではないでしょうか。
全国学校図書館協議会制定の学校図書館施設基準で「図書館は、常に適当な温湿度を保ち快適に利用できるよう、機械換気設備や空調設備を設ける。なお、個別に温湿度が調節できる設備が望ましい」とされています。
図書館本来の目的を達成するためにも、学校司書配置の効果をさらに高めるためにも、エアコンの設置は避けて通れない喫緊の課題であります。早急に整備すべきと思いますけれども、見解をお伺いいたします。
○教育部長(藤田信夫君)
学校図書館の環境整備につきましては、今後、小中学校の特別教室にエアコンを設置する計画がございますので、その中で、図書室のエアコンを設置するよう計画しているところでございます。
○山下隆夫君
1日も早い設置をよろしくお願いしたいと思います。現在、学校司書の方はいろいろ努力をして、中央図書館のブックルを参考にして、学校司書の方がワゴンに本を持って各教室を回っているとか、そういう苦労もされています。そういった意味では、学校司書の皆さんの負担を軽減するためにも、1日も早い設置をお願いしたいと思います。
最後に、学校図書館は教育の基盤です。主体的な学びを支える多様な蔵書が必要であります。また探求学習等、子供たちが主体となる授業実践には、教育課程の編成に関わる司書教諭と子供たちが求める資料を的確に整理をする学校司書の連携が欠かせません。そのために、累次の学校図書館図書整備等5か年計画を策定し、地方交付税措置が講じられているわけであります。第6次5か年計画期間内に、ぜひとも図書標準と学校司書配置の目標を必ず達成していただくことを改めて求めまして、次の質問に移りたいと思います。
次に、JR山陰本線の利用促進と早期復旧に対する本市の姿勢についてお伺いをいたします。
昨年7月に、国土交通省の有識者検討会が輸送密度1,000人未満の線区について、国が関与し、協議を促すことを含めた鉄道の見直しに関する提言をまとめました。また、それに先立ち、JR西日本が昨年4月11日に輸送密度2,000人未満の線区を発表しています。山陰本線の長門市-小串-仙崎間は、2020年ベースで輸送密度が290人です。線区存続のための利用促進は喫緊の課題となっています。
こうした背景の下、本年8月10日に海峡メッセ下関におきまして、JR山陰本線(下関-益田間)利用促進協議会が設立をされました。利用促進協議会の概要及び利用促進のための具体的取組をお伺いいたします。
○都市整備部長(清水 悟君)
JR山陰本線(下関-益田間)利用促進協議会は、沿線市町などが連携し、日常生活や広域観光での利用促進を図ることで、地域活性化につなげていくことを目的として、本年8月10日に設立したものでございます。
本協議会委員は、本市を含む4市1町の首長及び議会議長に加え、山口県、島根県並びに西日本旅客鉄道株式会社の13名により構成されております。利用促進のための取組につきましては、三つのコンセプトにより進めることとしております。
一つ目は、マイレール意識です。山陰本線の沿線にお住まいの皆様やファンの皆様を取り込んで、路線に愛着を持ち、自分たちの大切なものというマイレール意識を持っていただき、日常利用を促進するものでございます。
二つ目は魅力発信です。山陰本線のいろいろな情報や鉄道の魅力、沿線のお店やまちの催しなどを様々な手法で、地域内の住民の方だけではなく、地域外の方にも幅広く伝えていきます。
三つ目はツーリズムです。観光客の利用を促進するものであり、山陰地域が持つ食や自然など、観光資源に着目し、また鉄道そのものが観光資源であり、十分に乗って楽しんでもらうことを考えていきます。
今年度、既に取り組んでいるものとして、鉄道や駅舎など、鉄道の魅力を伝える写真コンテストの開催や萩ツインシネマで開催された「10月14日鉄道の日記念」イベント、山口大学の研究室が主催して行われた「鉄道すごろく」など、ホームページやSNSなどを活用し、山陰本線の利用促進となるイベントの情報を発信しております。
今後も、本協議会がさらなる利用促進につながるよう、関係機関とともに知恵を振り絞るとともに、一人でも多くの方に山陰本線を御利用いただけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
○山下隆夫君
本格的な事業展開は、これからしていかれるのだろうと思いますけれども、現在、6月末の豪雨災害によりまして、長門市駅-小串駅間が不通となっています。幡生駅―小串駅間を除く区間が運休していることから、効果的な利用促進を展開することが、ある意味では困難な状態になっていると思います。また地域や利用者から、1日も早い復旧が望まれてもいます。
これに関しまして、9月の山口県議会の一般質問におきまして「利用促進協議会の中で、鉄道復興を見据えた線路の活性化の議論を深めていく必要があると考えている」と観光スポーツ部長が答弁をしています。JR山陰本線利用促進協議会の中で、鉄道復興後を見据えた線路の活性化のための議論、これは行われているのでありましょうか。お伺いをいたします。
○都市整備部長(清水 悟君)
本年6月30日からの大雨によりまして、JR山陰本線の小串駅から長門市駅間においては、粟野川橋梁の傾きや土砂崩れなどにより、現在も運転を見合わせております。本協議会は、既に被災して不通となっている状態での立ち上げとなりました。そのような状況の中でも、復旧後を見据えた利用促進に向けて、本協議会メンバーが一体となって取り組んでいるところでございます。
○山下隆夫君
復興後を見据えた線路活性化のための議論の本当の必要性については、後ほど触れさせていただきます。
その前に、不通となっている長門市駅―小串駅間の早期復旧に対する本市の基本姿勢をお伺いいたします。
JR西日本中国統括本部は、9月19日の記者会見で、山陰本線について、長門市駅-小串駅間の約51キロの区間において、69か所が被災をしている。被災の原因は、大雨による土砂災害等であると想定していると発表するとともに、今後の見通しとして、粟野川橋梁の被災メカニズムの調査や構造物の調査を引き続き進め、結果がまとまり次第報告をする。復旧方法については、調査結果が出てから検討していくことになるとの見解を示しています。
2010年に被災をした美祢線の完全復旧には1年2か月を要しています。今回は、美祢線と山陰本線の2路線が被災をしていることから、復旧まで相当の時間を要することが想定されます。長門市駅-小串駅間の不通区間の早期復旧を実現するためには、JR西日本任せだけではなく、下関市もそれなりの汗をかく必要があると思います。
下関市として、どのようなスタンスでこの問題を解決していこうと考えているのか、お伺いをいたします。
○都市整備部長(清水 悟君)
市といたしましては、鉄道が被災した場合には、事業者の責任において速やかに復旧させる必要があると考えております。このため、被災直後から、事業者である西日本旅客鉄道株式会社に対し、JR山陰本線の早期復旧を図ること、運行再開までの間、通勤・通学の利用者の移動に支障が生じないよう、早急に代行バス確保・運行を行うことについて要望しております。また、早期完全復旧はもとより、代行バスの運行区間が短くなるよう、被災が大きい橋梁以外の早期部分復旧及び運行についても要望しております。
一方で、国土交通大臣に対しても、早期完全復旧が図られるよう同社に対する財政支援を行うことや、今回の被災を契機として、直ちに路線の存廃の議論に結びつけることがないよう指導することについて要望しております。
本市といたしましては、引き続き山陰本線の早期復旧が図られるよう、関係するあらゆる方面へ要望を続けてまいります。
○山下隆夫君
モニターを御覧ください。
〔説明資料を議場内ディスプレイに表示〕
○山下隆夫君
モニターに示していますように、2016年に発生をした熊本地震をきっかけに、大規模災害や激甚災害、またはこれに準じる大規模災害で、被災路線が過去3年間赤字であり、復旧費用が路線の年間収入以上等の条件が整えば、黒字企業であっても赤字線区に対しては、鉄道軌道整備法に基づく災害復旧補助制度が使えるように法改正がされています。JR西日本が昨年4月11日にプレス発表した資料と災害の状況を照らし合わせると、補助要件を満たしていると思います。
本定例会に、豊北自治連合会から山陰本線の早期復旧を求める請願が提出をされています。私も紹介議員の1人になっていますけれども、JR西日本だけに要望しても早期復旧は望めません。鉄道軌道整備法に基づく災害復旧補助制度の対象となるよう国に働きかけるとともに、災害発生前と比べた収支改善等を含む長期的な運行の確保に関する計画の作成が容易に策定できるよう、早急に鉄道復興後を見据えた線路の活性化対策を取りまとめて、JRを後押しすべきではないかと思います。
あわせて、赤字会社の赤字路線には長期的な運行の確保に関する計画の作成、これが補助要件になっていません。今後を見据え、鉄道軌道整備法に基づく災害復旧補助要件のさらなる緩和を国に求めることも必要だと思います。いかがお考えでしょうか。
○都市整備部長(清水 悟君)
災害状況や復旧方針について、西日本旅客鉄道株式会社に対して、地元の不安解消のためにも、中間報告などの情報の公開を何度も要請しているところでございますが、現時点では、本年9月19日以降、報告がない状況でございます。
また、議員御提案の国の事業におきましても、同社からの報告を受け、協議・調整を図りながら、復旧に向けて同社が活用できる補助制度などの財政支援について、市としてできることは積極的に行ってまいりたいと考えております。
○山下隆夫君
以前、JR西日本広島支社の中に山口支店というのがありました。今、山口支社になっているわけでありますけれども、当時支店長とお話をする機会がありました。JRが大々的にこの観光キャンペーンを実施している時期でした。
そのときに、支店長に対して「下関市も一生懸命頑張っているのに、名前は言っていいのか分かりませんけれども、萩市のほうにどうも力が注がれているようだけれども、何で下関のほうにもうちょっと力を注いでくれないのですか」と問いかけたときに「熱量の差です」と言われたことがあります。
そういった意味では、JR西日本の対応を待っているだけではなく、下関市としてもしっかり熱量を上げて、JR西日本にアピールをする必要もあるのではないかと私は思っています。
次に、小串駅から阿川駅までの運行延伸についてお伺いいたします。繰り返しになりますけれども、2010年に被災した美祢線の完全復旧には、1年2か月を要しています。当時は、山口国体が控えていたこともあり、急ピッチでの復旧となりましたけれども、今回美祢線では2回目の被災ということもあり、JR西日本も相当慎重になっているようであります。粟野川の橋梁復旧には相当の時間を要すことが想定され、全線復旧はいつになるのか想定ができません。
そこで、小串駅から粟野川橋梁手前の駅である阿川駅まで、あるいは豊北自治連合会の陳情で求めている滝部駅までの運行延伸について、本市独自にJRと協議をしていただきたいと思います。既に協議されていれば、その状況をお示しいただきたいと思います。
○都市整備部長(清水 悟君)
JR山陰本線の小串駅から長門市駅間における被災では、特に粟野川橋梁の復旧は長期にわたると想定しております。そのため、同社広島支社副支社長に対し、早期完全復旧を要望するとともに、代行バスの運行が鉄道に比べ乗車時間が長くなり、また鉄道への乗り継ぎがスムーズでないなどの声があるため、バスの運行区間が短くなるよう、被災が大きい橋梁以外の早期部分復旧及び運行についても要望しております。これら以外にも、同社担当者との協議時には、度々要望についてお伝えしているところでございます。
○山下隆夫君
モニターを御覧ください。
〔説明資料を議場内ディスプレイに表示〕
○山下隆夫君
小串駅から阿川駅または滝部駅までの間の部分復旧の障壁となっているのが、写真の土砂崩落箇所だと思います。現在、崩落した土砂等は除去されていますので、軌道の安全確認ができれば、すぐに運転が再開できそうですけれども、当該箇所は、平常時でも落石徐行区間となっておりまして、時速25キロの徐行運転が義務づけられている場所であります。ふだんでも、イノシシや鹿による落石が発生している箇所で、落石が発生すると、運転を停止し、土木部門の社員による安全確認が行われた後に運転再開する、そういった仕組みになっています。一旦落石が起こると、運転再開まで半日を要するそうです。
また、大雨や強風が発生する可能性がある場合に、よく山陰本線は運転を見合わせていますけれども、この箇所が要因の一つになっています。当該箇所でありますけれども、赤い丸印をつけた部分に境界杭があります。そういう意味では、それより上部はJR西日本の敷地ではないと思われます。現状のままでは、落石や再び土砂崩壊が発生し、軌道を塞ぐ可能性があり、この部分の対策を早急に講じない限り、部分復旧も私は困難だと思っています。土地の所有者がどなたなのかは分かりませんけれども、下関市としても何らかの方策を考えるべきと思いますけれども、見解をお伺いいたします。
○都市整備部長(清水 悟君)
先ほども申し上げましたけれども、現時点では同社からの災害の調査結果や復旧方法について報告がない状況でございます。特定の区間が原因で復旧に支障があるのであれば、対処方法も含め、市としてできることは積極的に行ってまいりたいと考えております。
○山下隆夫君
何度も言いますけれども、JR西日本からの声かけを待っているのではなくて、地域住民からも部分復旧を強く求められているわけですから「ここのところが問題なのですか。この問題ならこの問題を解決するために、我々、どんな協力ができるのでしょうか。協力できる部分については考えます」というような投げかけを、市から積極的にしていかなければ、私は部分開通も望みが薄いのではないかと思いますので、しっかりそういった部分、そういった姿勢で臨んでいっていただきたいと思います。そのことを申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
最後に、市民病院と下関医療センターの統合についてお伺いをいたします。中間報告及び4病院意見のまとめを踏まえて、下関医療圏において、将来も持続可能な医療体制を確保するには、各病院の建て替えのタイミングに合わせて、段階的に再編・統合を進めていく必要があることから、まずは4病院体制から3病院体制への再編・統合に係る検討を早急に進めていく必要があると本年3月2日に公表された「下関医療圏地域医療構想調整会議第2次中間報告」で市民病院と下関医療センターの統合に向けた検討をすることが示されました。
その後、パブリックコメントを実施し、それから約半年が経過しています。しかし、どのような検討が行われているのか、市民には全く伝わってきません。具体的にどのような検討が行われ、どのようなことが決まっているのか、お示しください。
○保健部長(八角 誠君)
下関医療圏地域医療構想調整会議第2次中間報告は、御案内のとおり、中間報告及び下関医療圏公立・公的等4病院意見のまとめを踏まえ、市民病院と下関医療センターの統合の可能性を検討することや急性期医療体制を3病院体制で確実に担うことができるような必要な医療機能再編を行うことなどについてまとめたものでございます。
この第2次中間報告を受けまして、これまで4病院(関門医療センター、下関医療センター、済生会下関総合病院、下関市立市民病院)の院長や山口大学、九州大学、地域医療機能推進機構(JCHO)本部、また山口県等、様々な関係者と協議を進めてまいりました。
これまでの協議結果を反映し、本市の基本的な考え方を示すために、新病院の基本構想を策定することとしておりまして、医療関係者や医療の提供を受ける市民の皆様の御意見を伺うため、本日12月13日19時から「新下関市立病院基本構想検討委員会」を開催することといたしてございます。
○山下隆夫君
次に、職員の理解を得る取組についてお伺いをいたします。第2次中間報告では、在籍する職員の理解を得ながら検討を進めるとともに、雇用について、職員の希望に沿えるよう、十分に配慮することが必要であるということが示されています。市民病院と下関医療センターの統合に向けた検討は、職員の理解を得ながら進めていると理解してよろしいのでしょうか、お伺いをいたします。
○保健部長(八角 誠君)
市民病院及び下関医療センターの職員につきましては、病院の再編・統合の必要について御理解をいただくため、令和5年3月にそれぞれの病院において、全職員向けに説明会を実施し、下関医療圏の人口動態や入院患者数推計、医師確保の課題等を説明いたしました。
また、4月には「これからどうなる?病院の再編・統合」と題し、パネリストとして、公立・公的等4病院の院長などに御参加いただいてシンポジウムを開催し、2病院の多くの職員に参加いただきました。
さらに、8月に下関医療センター主催で「下関医療圏のさらなる成長のために」と題した講演会が開催され、2病院の多くの職員が参加されたところでございます。
今後も、適宜情報提供を行い、病院の再編・統合の必要性について御理解をいただきながら、検討を進めてまいりたいと考えてございます。
○山下隆夫君
持続可能な医療提供体制を確保するためには、医療現場で働く全てのスタッフ、この御理解が必要だと考えています。しかし、第2次中間報告で市民病院と下関医療センターの統合に向けた検討をすることだけが発表され、その後、具体的な計画、それからスケジュールが明確にされていないことから、再編・統合の対象となっている病院では、雇用不安を抱えながら仕事をしている現状だということをお聞きいたしました。
このままでは、今後、看護師をはじめとする職員を募集しても集まらない可能性が高いのではと危惧をいたします。病院スタッフの不安を解消するためには、再編・統合に関する検討過程の情報提供をさらに適宜行うとともに、在職職員の理解を得ながら、検討を進めることはもちろんでありますけれども、今後のスケジュール、これも明確にすべきだと思いますけれども、いかがお考えでしょうか。
○保健部長(八角 誠君)
再編・統合に向けたスケジュールについては、多くの関係者と協議を進めており、現時点で具体的に確定したスケジュールをお示しすることは困難ですが、本日開催する検討委員会において、病院建設における標準的なスケジュールというものをお示しすることといたしてございます。
○山下隆夫君
情報提供はしていただきたいと思います。職員の募集の関係に関しては、既に募集しても集まらないというような状況が発生しているということも聞いております。そういった意味では、病院スタッフの不安を解消することは、とても大切な要件になってくると思いますので、しっかりと取り組んでいっていただきたいと思います。
次に、市民への周知についてお伺いをいたします。地域医療構想の推進の趣旨や病院再編・統合の必要性等について、市民へ分かりやすく丁寧に説明を行う必要があることが第2次中間報告に明記されています。それが実現できているのでありましょうか。私は、市民に対して分かりやすく丁寧に説明ができているとは決して思いません。
地域医療構想策定ガイドラインに、情報提供手段はホームページを基本とするが、一般的にホームページは患者・住民が閲覧する機会自体が少ないと考えられるため、掲載方法の工夫が必要である。また、世代によりアクセスしやすい手段が異なることを意識し、市政だより等の行政による機関誌の活用、テレビ、ラジオ、SNSなどの活用などが示されています。地域医療構想や市民病院と下関医療センターの統合について、もっと市民へ分かりやすく丁寧に説明をする必要があると思いますけれども、いかが考えでしょうか、お伺いします。
○保健部長(八角 誠君)
市民の皆様への丁寧な説明は重要であると認識しており、地域医療構想の推進の趣旨や病院再編・統合の必要性等の周知につきまして「第2次中間報告」が公表された後、令和5年3月から4月にかけて、第2次中間報告やその解説などを公表し、御意見を頂戴したところでございます。
4月には、先ほども御紹介しましたけれども「これからどうなる?病院の再編・統合」と題して、公立・公的等4病院の院長などをパネリストとして御参加いただき、シンポジウムを開催いたしました。また、全ての自治連合会に住民説明会の御案内をし、御希望のあった地域において、9月に住民説明会を開催して、御意見をいただいたところでございます。さらに、下関医療センターにおかれましては、YouTubeで病院再編に関する動画配信を行っており、市民への周知に努められているところでございます。
今後も、引き続き説明会などを通じて、しっかりと情報提供を行い、市民の皆様へ周知を図ってまいりたいと考えてございます。
○山下隆夫君
それなりに努力をされていることは分かりました。ただし、そういったシンポジウムやそういったところに参加できるというのは、本当に限られた市民だと思います。本当に医療を受けなければいけない方々というのは、なかなかそういうところの参加をする機会も少ないのではないかと思います。そういった意味では、もっと幅広く、多くの市民に伝わるような伝え方をしていかなければいけないのではないかと思っています。
前々部長のときに、市報に何回か連載をしておりましたけれども、その後途絶えています。そういった意味では、ガイドラインで示されるように、様々な媒体を使って、一人でも多くの市民にこの情報が伝わって、共に地域医療を考えていけるような体制をつくる必要があると思いますので、現行の周知方法に固持をせず、もっと幅広く、様々な媒体を使って市民に情報を伝えていっていただきたい。これも要望としてお伝えをしておきます。
最後に、統合病院の運営体制についてお伺いをいたします。総務省が策定をした「持続可能な地域医療提供体制を確保するための公立病院経営強化ガイドライン」の中で「公立病院は、新型コロナウイルス感染症への対応において、積極的な病床確保と入院患者の受入れをはじめ、発熱外来の設置やPCR検査、ワクチン接種等で中核的な役割を果たしているところであり、感染症拡大時に公立病院の果たす役割の重要性が改めて認識された」また、公立病院経営強化の基本的な考え方として「今後の公立病院経営強化の目指すところは、公・民の適切な役割分担の下、地域において必要な医療提供体制の確保を図り、その中で公立病院が安定した経営の下でへき地医療・不採算医療や高度・先進医療等を提供する重要な役割を継続的に担っていくことができるようにすることにある」と示されています。
第2次中間報告で、当面、急性期医療体制を3病院体制で行っていくとされています。統合対象外の病院は公的病院であります。採算医療や新興感染症の感染拡大時において、公立病院は重要な役割を担っていることからも、統合病院は公立病院である現状の地方独立行政法人として運営すべきと考えますけれども、いかがお考えでしょうか。
○保健部長(八角 誠君)
救急医療などの不採算医療につきましては、公立病院だけでなく、公的病院や民間病院にも担っていただいているところでございます。また、新興感染症への対応につきましても、山口県の感染症予防計画が今年度改定され、感染症患者の受入れ体制が取れるよう、地域の中核的な公立・公的医療機関等により、一定数の病床数を確保されるように要請される予定と承知してございます。
新病院につきましては、本日開催する新下関市立病院基本構想検討委員会において、建設主体について方針を明らかにし、御協議いただくことといたしております。
○山下隆夫君
今、答弁のありました計画の中で、今回のコロナウイルス感染症対策をしたときのマックスの病床数の確保も、たしか検討課題とされていたと思います。そういった意味では、新型感染症が発生したときに、機動的にやはり動けるのは公立病院ではないかと思います。そういった意味では、公立病院として、現状の地方独立行政法人として運営されることを改めて求めておきたいと思います。
地域医療とは、病院などの医療機関での治療やケアといった枠組みにとらわれず、地域全体で住民の健康を支える医療体制のことであります。各医療機関が連携をし、行政や住民組織など地域全体で協力して、住民のための取組を実施することを指しています。市民が安心して暮らすための生活基盤の一つでもあります。ゆえに、病院の再編・統合に当たりましては、一部の方々だけで議論し決定するのではなく、利用者である市民や医療従事者の意見を十分に反映することが重要であるということを改めまして指摘をいたしまして、私の一般質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
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