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平田 陽道 議員
第2回定例会 6月22日(木) 本会議(一般質問5日目)
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内容
会議録
第2回定例会
6月22日(木) 本会議(一般質問5日目)
公明党市議団
平田 陽道 議員
1.脱炭素化について
2.ヤングケアラーについて
【下関市議会 本会議確定版】
○議長(香川昌則君)
25番、平田陽道議員。(拍手)
〔平田陽道君登壇〕
○平田陽道君
皆様、こんにちは。公明党の平田陽道と申します。よろしくお願いします。
〔手話を交えながら発言〕
○平田陽道君
それでは通告に従いまして、質問させていただきます。
初めに脱炭素化についてでございます。今月5日は環境の日でございます。これは、1972年6月5日から、ストックホルムで開催された国連人間環境会議を記念して定められたものであり、日本では、環境基本法にも明記をされております。
また、平成3年度からは、6月が環境月間とされております。世界各国で、この日を中心に環境保全に関する様々な行事や取組が実施されており、環境問題に対する啓発のきっかけとなっております。
本市でも、温室効果ガス排出の実質ゼロを目指し、まずは2030年度までに、2013年比46%削減を掲げて、様々な対策を進めておりますけど、まず初めに、本市の温室効果ガスの排出量の現状について、説明をお願いいたします。
○環境部長(三好洋一君)
まず温室効果ガスにつきましては、二酸化炭素以外にも、メタンや一酸化二窒素といったものがございまして、これら全てを二酸化炭素の排出量に換算したもので、お答えさせていただきます。
それでは、本市における温室効果ガス排出量の現状でございますが、直近の数値は2019年度のものとなりまして、こちらは295万7,000トンCO2でございます。これを、下関市地球温暖化対策実行計画の基準年度となる2013年度と比較いたしますと、2013年度は、357万6,000トンCO2でございましたので、61万9,000トンCO2の削減となっております。
○平田陽道君
61万トンCO2の削減ということでございますけど、これの算定方法と、排出削減に関する様々な取組がございますけど、この効果の検証について、説明をお願いいたします。
○環境部長(三好洋一君)
まず温室効果ガス排出のほうでございまして、その算定方法というのは、もちろん推計値ということとなりますが、地球温暖化対策の推進に関する法律施行令第3条に規定する算定方法を用いて算出をいたしております。
その上で、市で取り組んでいる脱炭素化への様々な事業がございますけれども、この検証につきましては、可能な範囲において、環境省や経済産業省など、国が示す二酸化炭素の削減効果を参考として、その効果を算出し、検証を行うように努めております。
一例といたしまして、令和5年2月から実施いたしました下関市省エネ家電買い替え促進事業におきましては、省エネ性能を有するエアコン・電気冷蔵庫・テレビへの買い替えにより、本事業でおよそ年間285.3トンCO2の削減効果があったものと考えております。
○平田陽道君
分かりました。先月ですけど、電力の安定供給と脱炭素社会実現の両立を目指す、グリーントランスフォーメーション脱炭素電源法、これが成立をしております。この同法の柱の一つは、再生可能エネルギーの最大限の導入拡大に向けて、課題となっている送電網、こちらの整備をしっかり交付金などで強力に支援していくということでございますけど、現在国内で使われている電力のうち約2割が再エネでございます。
政府はこの割合を30年度までに、36%から38%にするという目標を掲げておりますけど、将来の主力電源化に向けて、今後も様々な再エネ拡大の取組が進んでいくと思われますけど、現在本市が取り組んでいる、地域再エネ導入目標、こちらの進捗状況を聞かせください。
○環境部長(三好洋一君)
再生可能エネルギー導入目標の策定につきましては、令和4年度から取り組んでおります。令和4年度につきましては、本市の再生可能エネルギーポテンシャルの調査、また、将来に向けて何も対策を行わなかった場合の将来の温室効果ガス排出量の推計を行ったところでございます。
これを踏まえまして、本年、令和5年度は、下関市の地域資源を最大限活用することを目指し、2050年までに温室効果ガス排出量実質ゼロを目指す目標値の設定や、脱炭素シナリオの作成を行ってまいります。
○平田陽道君
この脱炭素化、こちらを確実に進めていくには、企業や市民の方の協力、これも必要だと思うのですけど、本市でも、目標もしっかり定めていくということでございますので、さらにごみの削減とか、プラスチック対策とか、こちらの周知啓発、また再生可能エネルギーの導入に関する補助金の拡充等も、しっかり必要だと思いますので、よろしくお願いいたします。
先日は、宇部市が脱炭素化を進めるために、市民向けの再生可能エネルギー設備導入支援補助金と、事業者向けの省エネ診断支援補助金、これを新設したという報道もございました。
また、公用車に関してですけど、電気自動車などの導入台数、こちらの中核市の平均が5.4%と言われておりますけど、本市をお聞きしたら、500台中22台ということで、若干低い割合でございますので、温室効果ガス排出の全体量から見れば、僅かな数ではございますけど、公共施設への再編導入等を含めて、しっかり行政が率先して、また、脱炭素化に取り組むという姿勢を見せることも重要ではないかと思っております。
現在、環境省が全国に先駆けて、30年度までに、民生部門の電力消費に伴うCO2の排出量実質ゼロを目指す脱炭素先行地域、こちらの選考を進めております。4月には鳥取市など16か所を新たに選んで、太陽光やバイオマス発電による再エネの供給等の後押しをしております。脱炭素先行地域に選定された自治体には、交付金が配分されて、再エネ設備、またCO2を削減する設備の導入等、5年程度、継続した支援があるということでございます。今回3回目の選定で、これまで山口市など、62か所が選定をされております。
次回の募集が8月頃ということでございます。25年度までに少なくとも100か所の選定が目標ということで、取り組んでおりますので、こちらの本市の応募に向けた進捗状況、またどのような内容を検討しているのか、説明をお願いいたします。
○環境部長(三好洋一君)
まず議員御案内の脱炭素先行地域とは、脱炭素事業に意欲的に取り組む地方公共団体等を、複数年度にわたり、継続的かつ包括的に国が支援する枠組みとして設けられているものでございます。少なくとも100か所以上の脱炭素先行地域を国が選定することで、脱炭素に向かう地域特性等に応じた先行的な取組を、全国的に横展開していくことを目的としております。
本市におきましては、現在、脱炭素先行地域計画のサウンディング型市場調査を行っております。この調査では、脱炭素先行地域計画の策定に当たって、事業者の皆さんから、脱炭素の取組について、幅広く情報収集や意見交換を行うこととしております。
今後、これらの情報を生かしながら、対象となる地域の選定や実施体制、参画していただける事業者の検討など、脱炭素先行地域の計画策定に向けて、準備を進めてまいります。
○平田陽道君
少しでも早く応募して、取り組んでいただければと思っております。
この先行地域各地は、それぞれの地域の特性を生かした再エネの取組等、そういう特性を生かして応募しておりますが、地域の特性という点に関しては、三方を海で囲まれた本市には長い海岸線がございます。今後、今の政府等も力を入れておりますけど、ブルーカーボンに関する取組、これも本市はしっかり取り組んで検討していくべきではないかと思っております。
このブルーカーボンでございますけど、2009年に国連環境計画によって命名された藻場、また干潟等の沿岸域に生息する海洋生態系に吸収貯留された炭素のことでございます。この藻場でございますけど、海藻類を食べる生き物にとっては、重要な餌場であるだけでなく、様々な生物のすみ場、産卵場、稚魚の育成の場、保育場等になるため、海の揺り籠と呼ばれております。水産資源を増大する以外にも、水中の有機物を分解するなど、海水の浄化にも大きな役割を果たしております。
このブルーカーボンによる海洋生物のCO2吸収量でございますけど、陸上の植物に比べて、2倍以上と推計をされております。国も、脱炭素の目標達成には、今後吸収源、これの強化が欠かせないとしております。海岸線の長さが世界で6位という日本の地理的特性を生かして、ブルーカーボンの取組を今後しっかり進めていく計画であるようでございますけど、例えば今後計画どおりに藻場の造成が進んでいったら、2030年のブルーカーボンの効果は、森林などを含めたCO2吸収量における2割を占めるという試算もございます。
このブルーカーボンを推進していくためには、この藻場の造成、また再生等が欠かせないと思うのですけど、本市のこの藻場の現状について、説明をお願いいたします。
○農林水産振興部長(植木純治君)
本市の藻場・干潟の状況についてお答えいたします。本市は、瀬戸内海側に干潟、日本海側に藻場を多く形成し、また、延長約227キロメートルの長い海岸線を有しております。
藻場・干潟は、優良な漁場であるとともに、魚介類の産卵場所であったり、稚魚・幼魚の育成場所として大変重要な場所となります。
本市を含む近隣海域では、平成25年の夏に、海水温の高い状態が継続したことで、アワビ、サザエの餌となる昆布科の海藻であるアラメが大量に枯死し、アラメを中心とした藻場が減少しました。現在は、ホンダワラ類と言われる海藻の藻場が主に形成されております。
○平田陽道君
この藻場の再生ですけど、海洋保全、これだけではなくて、沿岸漁業の水産振興にもつながってくると思うのですけど、本市の水産業の現状として、漁業の従事者、また水揚げ高、こちらの近年の推移について、御説明をお願いいたします。
○農林水産振興部長(植木純治君)
沿岸漁業の現状について、下関市水産統計年報に基づきお答えいたします。
直近の資料として、令和元年から3年までのものとなりますが、正組合員数については、令和元年が979人、令和2年が934人、令和3年が837人、水揚げ量につきましては、令和元年が2,327トン、令和2年が1,819トン、令和3年が2,275トン、水揚げ金額につきましては、令和元年が15億6,944万円、令和2年が12億2,807万円、令和3年が12億6,237万円となっております。
○平田陽道君
漁業者の方も、ちょっと減少傾向というところでございますけど、先ほどもおっしゃったように、近年、磯焼けと呼ばれる、この藻場の大規模な消失、また干潟における水質浄化、この機能の低下等が進行して、我が国の沿岸漁業に大きな影響を及ぼしているようでございます。
水産業の振興には、高齢化、経営悪化に伴う担い手不足等、こうした対策とともに、本当に藻場の回復、これ等の環境整備は重要だと思うのですけど、本市の藻場の再生、また水産資源の維持に関する取組、現状どのように、再生について取り組んでおられるのか、説明をお願いいたします。
○農林水産振興部長(植木純治君)
沿岸漁業における藻場・干潟の取組についてお答えいたします。現在、本市では、国・県の制度を利用し、漁業者が中心になって行われている藻場・干潟の保全活動を支援しております。
具体的には、藻場においては、平成25年の夏の高水温により枯死したアラメの種苗を吉母の栽培漁業センターで生産し、漁業者に配布するとともに、漁業者が行う海藻の食害生物の除去活動や、親となる海藻の投入作業などに対して支援をしております。
また、干潟におきましては、漁業者が実施するアサリの食害生物の駆除や、土壌改善となる耕うん作業等に対して支援をしております。
○平田陽道君
今後は、多くの地点で、藻場の回復地点等をしっかり設定をするなど、ブルーカーボンの取組、これを進めていただければと思っております。
ブルーカーボンに関して、港湾局のほうで何か取組がございますでしょうか。
○港湾局長(酒井貴司君)
港湾区域においては、遊休化した水域施設に海浜を位置づける等してございまして、具体的には福浦地区にしゅんせつ土砂等を活用した人工的な藻場を計画し、藻場の造成によるCO2の削減及び、水生動植物の生育環境の創出に取り組むこととしてございます。
○平田陽道君
人工の藻場造成に取り組んでいただけるということでございますので、期待をしたいと思っております。
こうした藻場の再生等、ブルーカーボンに関する取組、これはクレジットとして申請して、企業や地域、また自治体が協力して、脱炭素化を進めていくブルーカーボンオフセット制度、こういう制度が徐々に拡大をしております。
福岡市の博多湾、また神戸港、北九州港などでは、藻場のCO2吸収の価値をクレジットとして販売して、藻場回復と脱炭素化といった社会的課題を解決しつつ、新たな経済循環を創出しているということでございます。
本市においても藻場の回復等の取組において、今後、ブルーカーボンオフセット制度、こちらの認証申請を検討していただくことは、脱炭素だけでなくて、水質浄化、景観の向上等にもつながって、ひいては水産振興・観光など多くの効果が期待できると思うのですが、このブルーカーボンオフセット制度に対する見解、認識等を教えていただければと思います。
○農林水産振興部長(植木純治君)
ブルーカーボンの認証に関して、今後も、水産関係の取組を支援していきたいと考えております。
○平田陽道君
しっかり他市の事例等も研究をしていただいて、徐々に拡大もしておりますので、よろしくお願いいたします。
例えば、周南市では、大島干潟で、保全活動によって創出されたCO2吸収量が、このブルーカーボンオフセット制度の認証を受けております。海の保全に関して、こうしたブルーカーボンの生態系が、海洋プラスチックなどの増加で破壊されており、国際協定の設定等も検討されております。
本市の海洋プラスチック、こちらの対策等、海洋保全、これに関する取組について説明をお願いいたします。
○環境部長(三好洋一君)
海洋ごみといいますか、海岸漂着物等への対策についてお答えいたします。
これにつきましては、山口県の海岸漂着物等対策推進地域計画であるやまぐち海洋ごみアクションプランに沿って、海岸管理者、民間団体、住民ボランティア、行政機関などの各主体が連携して実施しております。
例えば、本市が加盟している瀬戸内・海の路ネットワーク推進協議会の事業でございますリフレッシュ瀬戸内につきましては、例年、長府地区の海岸で清掃活動を行っているものでございます。参加者は、自治会や企業、行政機関など約200人に上っており、今年度も、7月末に実施を予定しております。
○平田陽道君
世界中で出る海洋プラスチックなどの漂流ごみ、これは年間約800万トンと言われております。国内の沿岸の漂流ごみも、3万トンを超えているということでございます。その大半は、どこから来るかといいますと、海外から流れてくるというよりは、本当は町なかのごみ、河川とか海岸等から流入しているのが大半だと言われております。
こうしたことから、海の環境を守る取組というのは、ごみ、プラスチック、これの削減等が本当に重要であり、脱炭素化とも本当に大きく関わっております。海洋保全の取組、またブルーカーボンをはじめとした再エネの拡大、水素の活用等、2050年に向けて、また、脱炭素化の推進には、まだまだ多くの課題があって、本市でも新たな発想、対策が必要だと思っております。
まず、2030年の目標達成に向けて、こうした様々な課題にどう取り組んでいかれるのか、今後の計画等を含めて説明をお願いいたします。
○環境部長(三好洋一君)
2030年に46%削減という目標を達成するためには、なお一層の省エネを進めていくことが重要でありますが、それと同時に、創エネ、つまり、再生可能エネルギーの導入の拡大が必須となると考えております。再生可能エネルギーの導入拡大につきましては、まずは、本市の持つ再生可能エネルギーの潜在量を把握し、将来のエネルギー消費量等について検討しながら、再生可能エネルギー導入目標を作成することが重要であると認識しております。
再生可能エネルギーの導入について、地域に受け入れられるように再生可能エネルギーを地域内で活用し、経済を循環させる仕組みづくりや、災害時の安定した電力供給などについて検討してまいります。
また、水素など、新たなエネルギーについても、利活用を含め検討するなど、再生可能エネルギーの最大限の導入に取り組んでまいりたいと考えております。
○平田陽道君
再生可能エネルギーに関する環境省の調査でございますけど、この中で、資料を私も見まして、全国でも数少ないポテンシャルの高い自治体として、下関市が分類をされております。地域内の再生可能エネルギーがエネルギー需要を上回って、地域外に販売し得ると言われている地域でございます。エネルギー需要の約20倍にも及ぶ再エネのポテンシャルがあるとされておりました。
先ほど、おっしゃいました水素に関してでございますけど、本市でも実証実験をかつて行っておりましたけど、こうした知見をしっかり生かした取組を、今後もお願いいたしたいと思います。
政府のほうも水素基本戦略を改定いたしまして、2040年には供給量を現在の6倍の年1,200万トン、これを目標としております。今後15年間で、15兆円規模の投資を目指すとしております。燃料電池や水素、製造などの技術を活用して、脱炭素エネルギーの安定供給、経済成長、これの同時実現を目指すと掲げておりました。
ほかにも、JR西日本が来月から新幹線に再生可能エネルギーの電力を供給する。また、環境省が、この夏から、中小企業の脱炭素化を支援するアドバイザー制度を導入する等、各方面で脱炭素化に向けた動きが加速しております。まずは、本市でも、先ほどおっしゃいました地域再エネの導入目標をしっかりと定めていただきまして、脱炭素先行地域の応募にも、早期に取り組んでいただくとともに、再生可能エネルギーの拡大、廃棄物の減量等で、脱炭素化をしっかり進めていただいて、これを雇用の創出とか、経済の成長につなげていただければと思っております。
続きまして、ヤングケアラーについてでございます。家族の介護や世話などを日常的に行っている、18歳未満の子供であるヤングケアラーでございますけど、昨年度から、政府は3年間を集中取組期間と定めております。本市の昨年度の取組について、説明をお願いいたします。
○こども未来部長(山田之彦君)
本市の昨年度の主な取組について申し上げます。普及啓発のため、福祉・介護・医療・学校等の関係機関に向けた研修と、児童・生徒や民生児童委員へのリーフレットの配布を行っております。
研修については、会場とウェブによるハイブリッド方式の研修を3回、小・中学校の校長会での説明、主任児童委員向けの研修、下関工科高等学校での出前講座を実施いたしました。リーフレットにつきましては、小学校6年生から中学校3年生までの児童・生徒に配布し、配布の際には、ヤングケアラーについて、先生から直接説明をしていただきました。
また、一般市民に向けては、ポスターの掲示や関係機関等の窓口にチラシを設置するとともに、ホームページ等でも周知に取り組んでおります。
昨年度は、ヤングケアラーを広く知っていただくことをテーマに、研修を実施したところですが、令和5年度はどのようにヤングケアラーに気づき、支援につなげていくかを主眼とした研修を予定しております。また、児童向けリーフレットは全小学生を対象に配布いたします。
一般市民向けのリーフレットの配布や出前講座等につきましては、引き続き実施し、普及啓発に取り組んでまいります。
○平田陽道君
政府が以前行った実態調査でございますけど、世話をする家族がいると答えた割合、これは中2が5.7%で17人に1人で、高2は4.1%で24人に1人、小6は15人に1人の6.5%ということで、県の調査では全体で、小5から高3までの調査ですけど、約12%、世話する家族がいたということでございます。
1日当たりの費やす時間でございますけど、中高生が7時間以上という回答がそれぞれ1割、小6も7.1%ありました。県の調査でも、7時間以上が平日が5.9%、休日が10.6%ということで、かなり高い割合かと思います。
世話をする家族の内訳でございますけど、兄弟姉妹が全国・県ともに最多でございました。この世話をしている家族がいる場合、忘れ物が多いとか、授業中に居眠りをしてしまうとか、宿題や課題ができていないといったことの割合が高い。こうした調査から、本市でも、多くのヤングケアラーがいるのではないかと考えられると思います。
本市のヤングケアラーの実態、これをどのように把握しているのか、現在の現状について、説明お願いいたします。
○こども未来部長(山田之彦君)
ヤングケアラーの本市での実態把握の現状についてお答えいたします。教育現場や福祉、介護、医療等の関係機関が家庭と関わる中で、ヤングケアラーだと思われる子供やその家庭を発見した場合は、下関市要保護児童対策地域協議会、いわゆる要対協に情報が集約される体制となっております。
情報提供があった場合は、要対協の中で、関係部局や関係機関と情報を共有し、連携を図りながら実態把握に努めております。
○平田陽道君
要対協の報告ということでございますが、県の調査では1,419人という具体的な数字も上がっておりましたけど、本市独自の具体的な調査も必要ではないかと思っております。
本年の2月28日時点では、43の都道府県、13の政令指定都市、17の中核市、12の特別区、173の一般市町村において、ヤングケアラーの実態調査が実施されております。
国も、この調査に関する補助の拡充で、実態調査の後押しをしております。本市で今後具体的な実態調査をする計画があるのか、その辺の説明をお願いいたします。
○こども未来部長(山田之彦君)
議員御紹介のとおり、令和4年度に、山口県が小学校5年生から高校3年生までの児童生徒を対象とした実態調査を実施しております。
その結果から、周囲の大人がいち早くヤングケアラーに気づくことができる取組や、ヤングケアラーの認知度の向上に向けて、効果的な周知への取組が必要であるとされております。今年度、本市独自で実態調査をすることは予定しておりません。
しかし、ヤングケアラーの実態をより明確に把握することや、普及啓発の効果についても、検証する必要があると考えておりますので、調査の方法やアンケート項目等について、今後研究してまいりたいと考えております。
○平田陽道君
ぜひ、実態調査に取り組んでいただければと思うのですが、例えば児童生徒と接する時間の多い学校でのアンケート等も、検討していただければと思います。
実態調査の費用とともに、研修に関する費用というのも拡充をされておりますので、しっかり教員やスクールソーシャルワーカー等、教育関係者だけの研修というのも、検討していただければなと思います。
このスクールソーシャルワーカー、お聞きすると現在9人ということでございましたけど、国の配置目標は中学校区に1人ということであります。教員だけでは本当対応が困難ではないかと思いますので、こちらの増員のことも検討していただければと思います。
これまで学校から他の機関へのヤングケアラーに関する相談というのは、あまりなかったとお聞きいたしましたけど、今後こうした事例とか相談、ヤングケアラーに関して何か起こった場合の対応、また、学校と他の機関との連携、こちらの現状について、説明をお願いいたします。
○こども未来部長(山田之彦君)
学校などの教育現場で、ヤングケアラーだと思われる児童生徒が発見された場合、学校から教育委員会を通じて、要対協へ情報提供や相談が入る仕組みとなっております。
学校から情報提供があった場合は、要対協の関係機関が、ヤングケアラーだと思われる児童生徒のいる家庭の状況を調査し、個別のケース会議等により、支援に向けて、それぞれの役割を確認し対応していきます。
また、ヤングケアラーの早期発見のために、従来から使用している質問評価表であるアセスメントシートに加え、国から新たに示された子供との対話を通じて、子供の置かれた状況を確認するためのヤングケアラー気づきツールや、詳細な聞き取りを行うためのヤングケアラーアセスメントツールも活用しながら、教育委員会を含む関係部局と情報共有を図ってまいります。
○平田陽道君
例えば、児童生徒本人から家庭内の悩みというのを打ち明けるというのは、なかなか難しいのではないかなと思います。しっかりスクールソーシャルワーカーの増員等、本当に相談しやすい環境づくり、こうしたことにも取り組んでいただくとともに、学校とか、地域の方々また本人、こうした方々が、ヤングケアラーに関する相談、これをする場合、現在窓口はどうなっているのでしょうか。
○こども未来部長(山田之彦君)
教育現場や地域の方々が、相談、情報提供できる主な窓口として、こども家庭支援課内に設置している家庭児童相談室がございます。教育、福祉、介護、障害等の関係部局、関係機関へ相談があった場合でも、家庭児童相談室に情報が提供され、共有される仕組みとなっております。
また、LINEによる相談窓口である「つながるやまぐちSNS相談」でも相談できます。「つながるやまぐちSNS相談」は、県が実施しているLINEを活用した事業で、24時間365日、気軽に相談できる窓口として、子供から大人まで、家庭や家族の悩み、子供や子育てに関する相談全般に対応しております。
家庭児童相談室や「つながるやまぐちSNS相談」については、ヤングケアラーの相談窓口である旨、ホームページやリーフレット等に掲載しているところでございます。これらの窓口をしっかりと活用し、相談や情報提供をしていただけるように、今後も周知に取り組んでまいります。
○平田陽道君
全国でも専門の窓口というのが増えております。例えば、神戸市は全国初の開設をされておりますけど、こちらは相談窓口だけでなくて、当事者同士の交流とか情報交換の場、これも併せて提供しております。隣の北九州市でも、昨年5月からヤングケアラー専門の窓口を開設しております。先日報道にありましたけど、山口県もこのたび設置をしたということでございますので、しっかり本市でも専用窓口、分かりやすい窓口の検討をお願いいたします。
国や県の調査結果でも、ヤングケアラーというのは、福祉、医療、介護、教育など多機関にわたる課題でございまして、本人や周囲からの相談があった場合は、そうした関係機関による情報共有、迅速な対応等が必要になってまいります。
国でも、厚労省・文部科学省のプロジェクトチームによって、ヤングケアラー対策を進めております。自治体と関係機関、支援団体などとの連携というのはヤングケアラー対策には欠かせないものであり、国では、多機関をつなぐコーディネーターの配置というのを各自治体に提言しておりますけど、現在こうしたつなぐ役割、こうしたものは誰が担っているのか、また新たな配置の検討があれば、お聞かせください。
○こども未来部長(山田之彦君)
現状の支援体制についてお答えいたします。現状、専門職を含む正規職員5名、家庭児童相談員3名、母子父子自立支援員1名で対応しております。
国のヤングケアラー支援体制強化事業として、ヤングケアラーを福祉サービスや就労支援サービスにつなぐためのパイプ役であるコーディネーターの配置や、ヤングケアラー同士が悩みを共有できるように、SNS等を通じて仲間同士で支え合うピアサポート活動への支援、当事者の集い、語りの場であるオンラインサロンの運営・支援等がございます。
また、先ほど議員がおっしゃられたとおり、県は、今月19日から県下全域を対象として、児童相談の経験が豊富なヤングケアラーコーディネーターを配置した、ヤングケアラー専門相談窓口を開設しました。
本市としましても、このような窓口とも連携し、情報共有をしながら、適切な支援につなげていけるように対応し、体制強化につきましては、必要に応じて検討してまいります。
○平田陽道君
今年度から子育て世帯家事・育児支援事業、これも始まってまいります。家事などの支援とともに、悩みなどを聞いて、迅速に関係機関につなぐコーディネーターとしての役割も期待されておりますけど、新事業の現状と課題について、説明をお願いいたします。
○こども未来部長(山田之彦君)
新事業である子育て世帯家事・育児支援事業の進め方と課題についてお答えいたします。この事業は、ヤングケアラーの要保護児童等がいる家庭に、支援員が訪問し、直接家事・育児を行うことで、保護者の家事や育児の負担軽減を図ることでございます。
支援の対象者は60世帯、延べ120回の利用を想定しており、支援が必要な家庭の状況に応じて、家事・育児を保護者に代わって行います。
支援開始後は、月2回または4回の利用で、3か月を目安として、関係者による見通しや効果の検証を行い、支援の継続を判断していきます。支援ニーズが家庭により異なること、また家庭との信頼関係を構築してからでないと、支援の受入れが難しいなどの課題もございます。しかし、既存の教育支援訪問事業や子育て支援訪問強化事業等と組み合わせながら、ヤングケアラー等の家庭への適切な支援を行ってまいります。
また、こども未来部の関わりだけでは、家庭への支援が困難な場合は、他の関係部局、関係機関とも情報共有を図り、連携を図りながら、適切な支援を行ってまいります。
○平田陽道君
この新事業にしっかり取り組んでいただくとともに、やはり多機関にわたる連携、複雑化した家庭内の課題の解決を目指すという点では、ヤングケアラーに関する取組というのは現在本格的な運用に向けて、準備を進めていると思うのですけど、重層的支援体制整備事業、こちらと一致する部分があるのではないかと思っております。
例えば、兵庫県明石市では重層的支援会議、これをヤングケアラー支援チームとして捉えて、対策をしっかり検討しているということです。また、東京都立川市では、重層的支援体制整備事業における重点対象者として、ヤングケアラーを位置づけて、しっかり対策を進めているということであります。
本市でも今後ヤングケアラーの支援体制の一環として、この重層的支援体制整備事業、こちらと連携した取組というのも必要ではないかと思っているのですけど、今後の計画があれば、お示しをいただけますでしょうか。
○福祉部長(冨本幸治郎君)
福祉部を中心に進めております重層的支援体制整備事業と、ヤングケアラーへの支援との連携した取組についてお答えいたします。
本市におきましては、高齢、障害、生活困窮などの複数の分野や、制度のはざまの課題がある世帯など、包括的に支援する重層的支援体制整備事業への移行に向けた準備として、多機関協働事業を実施しております。
この事業は、相談支援包括化推進員が中心となって、課題がある世帯などへの支援に関して、各支援関係機関の役割分担、それから支援の方向性を調整する事業でございます。
おじいちゃん、おばあちゃんを介護していたり、障害のあるお兄さん、お姉さんを手伝ったりしているなどの状況にある、ヤングケアラーへの支援に関しまして、この多機関共同事業としての調整や支援が必要な場合には、こども未来部や教育委員会と連携、協働して対応したいと考えております。
○平田陽道君
複合的な課題が多いヤングケアラー問題、本当に家庭全体の支援が確実に必要になってくると思いますので、しっかりと連携して取り組んでいただければと思うのですけど、家庭内のことを知られたくないという理由で、支援を拒むということもあるようでございます。
学校をはじめ、身近な人が、ヤングケアラーに気づきやすい環境づくり、これを目指して、まずは昨年度からの3年間は普及啓発期間でございますので、しっかり取り組んでいただいて、国が掲げております認知度の5割、この目標達成に向けて取り組むとともに、先ほど言いましたけど、市独自の実態調査、これにも取り組んでいただければと思っております。
家族のために献身するということ自体、これは本当に尊い行動でございます。否定すべきものではありませんけど、手伝いの範囲を超えた世話によって、学業とか健康に影響がある、そうした子供がいるというのも事実でございます。
教育現場、また地域との連携、普及啓発、相談しやすい環境整備等をしっかり進めていただいて、複合的な課題のある家庭であっても、そこに住む子供たちが、伸び伸びと有意義な時間を過ごせる、こうした支援体制の構築をお願いいたします。以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
著作権について
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