録画放映

第2回定例会
6月22日(木) 本会議(一般質問5日目)
創世下関
井川 典子 議員
1.アフターコロナにおける子育て支援について
2.街を元気にするための文化について
【下関市議会 本会議確定版】

△一般質問
○議長(香川昌則君)
日程第2 これより「一般質問」を行います。本日は、御手元に配付の通告一覧表により、23番から最後の27番までの通告者について行いたいと思います。
それでは、順次質問を許します。23番、井川典子議員。(拍手)
 〔井川典子君登壇〕
○井川典子君
皆様おはようございます。創世下関の井川です。
〔手話を交えながら発言〕
○井川典子君
それでは、アフターコロナにおける子育て支援について、質問をいたします。
3年間にわたるコロナ禍の中で、地域子育て支援事業の機能は縮小または停止を余儀なくされました。全国認定こども園協会が、乳幼児のいる家庭を対象に実施したアンケートによると、登園自粛が求められた緊急事態宣言下において、4人に3人が困り事があったと回答し、その内容としては、子供の過ごし方に悩むが7割、親の心身の疲労が5割、減収や失職となり、生活や育児の費用が心配というものが2割となっています。
さらに同調査の中では、子供の様子に関して、ストレスや不安を抱える子供が少なくはなかったことが記載されており、保護者においても、いらいらして怒りっぽくなった、子供を叱ることが増えた、外出するのが怖くなった、感情を抑えられないことがあったなど、精神的に深刻な状況に追い込まれたケースがあったことも伺いました。
下関市においても、同ケースが多くあるのではないでしょうか。アフターコロナにおける子育て支援についての取組は、こういった課題を念頭に置いて考える必要があり、より一層ニーズに沿った支援が必要であると考えます。
そこで、3月の関連質問でも取り上げました、伴走型支援策の経過についてですけれども、妊娠時、出産時の経済的支援5万円の支給の際に行う面談の内容、アンケートの結果については、どのような回答が出ておりますか。
○保健部長(石丸文至君)
下関市妊娠出産子育て支援事業の実施に当たりまして、申請者に対して面談とアンケートを行っており、遡及支給となる申請者のアンケート結果については、現在集計中ということでございます。
なお、保健部としては、アンケートの内容全てに、保健師等の専門職が目を通しておりますが、その中で、心に余裕がなくいらいらするですとか、子供の病気が見つかり、成長について毎日が不安など、気になる回答を見つけた場合には、速やかな支援が必要と判断し、保健師等が訪問や電話連絡等で、迅速に対応するということをしてございます。
現在、アンケートの集計は、保健部において行っておりますが、結果については、こども未来部とも共有をして、子育て支援施策の参考とさせていただきたいと考えてございます。
○井川典子君
様々な事情があって、配偶者の方や母親に支援をお願いすることができなくて、1人で育児をせざるを得ないお母さん方もたくさんいるかと思います。地域で子供を育てる仕組みづくりを確立していく過程においては、ここに行政の支援が上がってくるのが理想ではないでしょうか。
要望の中に、公園遊び場の設置というのもあったと聞いておりますけれども、それだけではなくて、支援を必要とする市民一人一人にダイレクトに届くような産前産後支援のさらなる充実は必要であると思います。
アンケートの内容は貴重な市民の声でありますので、回答集計を早くしていただきまして、その結果を共有していただきまして、前回でも、お聞きしましたけれども、創意工夫の内容につなげていっていただきたい。前回も創意工夫というのは、専門家を派遣するということだと言われましたけれども、この事業の専門性から見てもこれは当たり前で、これを踏まえた上での創意工夫というものにつなげていただきたいと思います。
例えば、今、世田谷で行われている子育て利用券のような、子育てに利用できるクーポンの発行であったりとか、住民の参加型、プラス、質を担保できる訪問支援としてのホームスタートなどもあるのではないかと思います。
では次に、市役所1階で行っている子育て支援センター、親子ふれあい広場、あえて子育て支援センターと言わせていただきますけれども、具体的な子育て支援の実施の状況、実施内容と相談内容について、また、それに伴う効果について教えてください。
○こども未来部長(山田之彦君)
親子ふれあい広場は、単に子供の遊び場の提供や見守りをする場ではなく、子育て支援センターとしての機能を有しており、子育てに役立つ情報発信や子育て世代の悩みに寄り添い、解決に向けてのサポートなどを行うとともに、市役所本庁舎内に所在する立地特性を生かして、必要に応じて、関係部局や関係機関につなぎ、解決に導くなど、子育て世代を支援する重要な役割を担う場として、設置運営しております。
親子ふれあい広場に寄せられたコロナ禍特有の相談内容としては、コロナ禍の中、親子で過ごす、おうち時間が長く煮詰まっている、コロナで家に閉じ籠もっていて孤立感があり、子育てについて教えてくれる場がないため、1人で学んだが、本当に合っているかどうか自信がないなどがございました。
このような相談内容を受け、コロナ禍における育児支援のため、関係機関と連携し、各種オンライン講座の実施や、孤立化防止等のためのオンライン交流会や相談会を実施するなど、支援手段の充実に努めてまいりました。この取組は、利用者の方の心の支え、一助になったものと考えております。
今後も市民の生の声を踏まえた取組が行えるように、努めてまいります。
○井川典子君
育児相談の講座の開催であったり、相談の事業の開催についての情報というものも、私もその資料を見させていただきました。
下関市の子育て世代は約2万2,000世帯、ゼロ歳から18歳未満の子供の人数というのは3万3,162人。これに対しまして、2022年度の講座の参加数というのは、年間延べ人数で大人が約200人、子供が400人でした。コロナ禍における人数の制限もあったとは聞いていますけれども、参加者が別の講座にも繰り返し参加するということも想定した上で、全体的に言いますと、1回における募集の人数は少ないのではないかと思います。
現在は、講座の告知はチラシの設置とふれあい広場のホームページのみであると聞いております。せっかく内容のよい講座を行われているので、今以上に様々な形態での告知を行いまして、開催場所の関係もあるということも言われていましたけれども、募集人数がはるかに超えるのであれば、回数を増やすとか、会議室を使うとか、そのときは、子供たちは下のふれあい広場で預かっておくということも考えていただきたいと思います。
また、平日働いている方のために、平日開催を休日開催にするとか、より多くの方に講座の受講をしていただけるような努力はしていただきたいと思っております。
親子ふれあい広場が子育て支援センターの役割を担っているというのは共通の認識であると言われておられました。であれば、日常的な情報の共有の有無と、情報の共有から見えてきた課題について教えてください。
○こども未来部長(山田之彦君)
親子ふれあい広場では、子育て支援センターの利用者支援事業として、子育て家庭から寄せられた相談等について、必要に応じて関係部局などにつなぎ、情報共有を行うようにしております。
令和4年度の実績で申しますと、相談を受けた525件のうち、163件を関係部局、関係機関、また専門家につないでおり、その相談内容は、子供の食事、就園、就労や親の健康など、多種多様の内容でございました。今後は、親子ふれあい広場が子育て家庭にとって、いつでも気軽に相談できる身近な場であることの周知に努めてまいります。
そして、子育てに関する勉強会や相談会を充実させることで、より多くの子育て家庭からの相談に対応できるようにしていくこと。また、庁内においても、親子ふれあい広場が持つ子育て支援センターとしての役割の認識を深め、さらなる連携を図っていくことが課題であると考えております。
○井川典子君
親子ふれあい広場においての相談内容について、どのような相談があって、どのような連携を取って、どのように対応したかというところのデータを、きちんと蓄積していただいて、次に生かしていくことが必要であると考えます。そのためには、相談の内容について、相談カルテのようなものを作成して、連携内容についても詳細に記録をしていくことが必要ではないかと思います。
そして、また親子ふれあい広場だけでなくて、教育機関から市へ共有される保護者の相談などもあると思われますので、それらをトータルしてどのような相談支援が必要なのか、それについても、もう一度見直しを行っていく必要があると思います。
下関市には、多くの子育て支援センターや、相談支援を行っている子供支援広場などの施設はたくさんあります。この庁舎内にあるこの施設だからこそ、地域にある様々な子育て支援を行っている施設や、団体などとの強い連携を行って、このふれあい広場、ここが下関の子育ての拠点となる必要が私はあると思います。
報告書を私も見せてもらいましたけれど、部局もその報告書の確認をするのだけではなくて、もっと一緒になって分析し、協議し、具体的な支援に結びつけてほしいと思います。市がこの場に何を求めているか。これを、きちんと認識をしていただきたいと思います。こども未来部だけでも、ここでの情報共有、相談の内容いろいろなことは、共有をしてほしいと思います。もっと一体となって、取組を検討していただきたいと思います。
産前産後ケアについても、見直しが必要であると考えております。産前の支援については、コロナ禍で生じた乳幼児家庭の孤立化に対する、具体的な支援が必要であると考えますけれども、コロナ前と比べて、何か工夫をしているところはございますか。
○保健部長(石丸文至君)
妊婦家庭への支援として、両親学級を開催しておりますが、コロナ禍では感染防止対策として、1回当たりの参加人数を減らし、その代わりに、開催回数を増やしましたが、コロナの影響で、一部開催中止となったこともあり、参加人数は例年の3分の1程度でございました。
人数制限の関係上、一部参加できなかった方もおられましたが、沐浴やおむつ替えの仕方など、育児指導を希望される方には、子育て世代包括支援センターへの来所を案内し、保健師や助産師等が保健指導を行いました。コロナ後ということですけれども、令和5年度は募集人数を増やして、サービスの充実を図っているところでございます。
また次に、産婦家庭の支援についても、お答えできればと思いますけれども、産後ママとベビーのためのケア事業というものがございます。本事業においては、コロナ禍においても使用制限を行っておらず、利用件数は、令和元年度が3件、2年度が20件、3年度4年度はともに15件と利用件数が増えているところでございます。これは里帰り出産の取りやめや身内の援助控えなど、コロナの影響によるものも一因と思われます。
産後ケア事業は産後の育児の大変さの軽減や、心身疲労のケアにつながるものでございますので、支援体制のさらなる拡充を図りたいと考えているところでございます。
○井川典子君
現在、婦人科の産院の協力を得て、産後ママとベビーのためのケア事業を行っているということですけれども、この利用件数、令和三、四年度で15件と増えているのが現状であり、増えているけれども、不足は生じていないとの認識であるということでありましたけれども、通院したこともなくて、その医院にかかったこともない、出産を行っていない医院を利用するに当たっては、連絡しづらいという声も多く聞いております。
ベッドが埋まっているときは、利用できないというところもありますので、今後は産院の協力に加えて、助産院等も含めて、より多くの場所でケアを行うことによって、利用者がより利用しやすい環境をつくっていくことも、大切ではないかなと思います。
アフターコロナにおいて、これまでの支援策に加えた、より一層の子育て支援策を思案し、具体策として実施、効果検証を行っていくためには、一体何が必要だと思われますか。私は3月の関連質問でも言ったのですけれども、部局を越えた連携体制の充実というのは、もう早急にこれは必要だと思われますが、それも含めて、いかがでしょうか。
○こども未来部長(山田之彦君)
現在本市には、妊産婦や乳幼児の保護者の相談を受ける下関市妊娠・子育てサポートセンターと、虐待等の課題を抱えた家庭へのケースワーク業務を行う下関市こども家庭支援拠点がございます。それぞれ母子保健と児童福祉の立場から、家庭への支援を行っているところでございますが、議員のおっしゃるとおり、各部局による面談や相談、アンケート等により、顕在化された多様なニーズや課題に対応し、より一層の支援をしていくためには、部局を越えた新たな組織が必要であると考えております。
改正児童福祉法により、市町においても、児童福祉と母子保健を一体的に支援するこども家庭センターの設置に努めることとされました。本市においては、令和5年4月に設置したこども施策調整室で、関係部局と情報及び課題の共有をしており、令和6年4月設置予定の下関市こども家庭センターについても、その中で準備を進めているところでございます。
○井川典子君
今年度庁内において、こども施策調整室が創設をされまして、部次長級レベルでの情報共有が行われているということを、この前のときでも聞きました。
でも、私、聞き取りでも感じたのですけれども、市民の大切な声、それにつながる課題の情報の共有というのは、各部局ではされていないと思います。こども施策調整室における、この情報の共有も踏まえて、より様々な視点からの意見を導入していくことが、現状に沿ったよりよい子育てにつながっていくのではないでしょうか。
こども家庭センターを今準備をしているということで、とても期待をしております。さきの質問でも取り上げました、親子ふれあい広場の相談をきちんとするというところでも、この相談事例を、虐待・育児・多子、就園などのカテゴリーに分けて、各項目の担当がそれぞれの専門性を生かして、データを活用した課題解決の仕組みをつくるなど、これもセンターがあれば、より迅速な対応が可能になるとも考えられます。
センターをつくるとして、周辺の子育ての状況、現状などの認識も含めて、大切なことは何だとお考えでしょうか。
○こども未来部長(山田之彦君)
こども家庭センターの設置により、一層の児童福祉と母子保健の一体的支援を実施していけるものと考えております。
また、支援のつなぎ先として、民間資源や地域資源の開拓等にも取り組むことで、全ての妊産婦、子供、保護者への支援を包括的に行っていくことが重要であると考えております。
○井川典子君
よろしくお願いいたします。3年間にわたるコロナ禍の中で、子育てに対して、たくさんの課題がプラスをされたことは事実であり、またさらなる少子化が進んでいることも事実です。
実際に、下関市においても5年前の子育て世代は2万3,000世帯、ゼロ歳から18歳未満の人口は3万9,222人、これが現在では、世帯数は1,000世帯、人数は6,000人が減少しております。
アフターコロナの中で、現状に沿った的確な支援を行うことは、人口増加の一つのきっかけにもなると考えます。下関における子育て支援に対する課題を早急にくみ上げまして、施策に落とし込んでいただけるよう、取り組んでいただきたいと考えます。
次に、インクルーシブ教育への取組についてお伺いをいたします。2022年8月22日、23日にスイス・ジュネーブの国連欧州本部において、日本政府は障害者の権利に関する条約に関する初めての審査を受け、障害のある子供と、ともに学ぶインクルーシブ教育に向けた計画を立てることが促されています。文部科学省は特別支援教育を中止する考えはないと述べているものの、自治体として、インクルーシブ社会の実現に向けた前向きな取組が必要であると思われます。
下関市の小・中学校において、特別支援学級に在籍する児童、通級による指導を受ける児童数は年々増加傾向にあると感じているのですけれども、現状はいかがでしょうか。
○教育長(磯部芳規君)
小・中学校の特別支援学級に在籍する児童生徒数は、令和3年度が721人、令和4年度が755人、本年度が784人となっております。
また、通常の学級に在籍する児童生徒が、一部の時間、特別の指導を受ける通級指導教室については、令和3年度が449人、令和4年度が444人、令和5年度が460人となっております。
このように支援を必要とする児童生徒は年々増加傾向にあります。
○井川典子君
支援を必要としている児童数が年々増加傾向であるのならば、これまでのやり方が本当に有効だったかということを、見直す必要はあると思います。一度これまでの対応を見直しまして、先を見据えた支援の検討と対策をしていただければと思います。
教員不足が深刻な状況にある中で、特別支援に関わる職員の確保や支援員の専門性の確保についてはいかがでしょうか。
○教育長(磯部芳規君)
特別な支援を必要とする児童生徒と保護者が、安心できる教育環境づくりが重要であり、そのため教職員の資質能力向上に向けて、特別支援学級担任、特別支援教育支援員を対象とした、研修会のさらなる充実を図るとともに、これまで教育センターで行ってきた、通常学級担任を対象とした研修会を今年度からオンラインで開催し、多くの教職員が学べる機会を提供します。
あわせて、通級指導教室担当者の専門性向上を図るため、ガイダンスアドバイザーを通級指導教室設置校に派遣し、指導助言を行っています。
次に、教育環境の充実に向けては、学校の実態に応じた特別教育支援員の配置に努めるとともに、今年度より、支援を必要としている児童生徒に適した学びの場が提供できるよう、臨床心理士等による面談や知能検査等を行う就学に関する相談支援事業を実施しております。
○井川典子君
現状に対する様々な取組について、フィードバックを行いながら、よりよいものにしていただきたいと思います。
先日、山口新聞に、兵庫県の川西市の取組として、学校内にフリースクールを設置したという事例が紹介をされておりました。固定観念にとらわれずに、時代に沿った取組を、下関も行っていく必要もあるのではないかと思います。
就学前における障害を持つ、医療的ケア児を含む子供の幼稚園、保育園の利用について、利用の際には加配保育士が必要と考えていますけれども、保育士不足の現状において、加配保育士の確保、障害を持つ子供の受入れというのは十分にできているのでしょうか。
○こども未来部長(山田之彦君)
まず、保育士の確保につきましては、障害児の受入れに必要な加配保育士を含め、大変厳しい状況にございます。
このような中、障害を持つ子供の受入れにつきましては、公立園においてはもちろんのこと、私立園におきましては、公定価格による療育支援加算や、下関市特別支援保育事業費補助金を活用いただき、園において、就園可能と判断した子供について、可能な限り受入れを行っております。令和5年4月現在、公立園206名、私立園134名の計340名の受入れを行っております。
加配保育士の配置について、国はおおむね障害児2名につき保育士1名を標準としつつ、障害児の状況等に応じて、適切に職員を配置するよう求めております。本市の現状ですが、約9割が、軽度の発達障害の子供という状況から、公立園においては3.2名につき1名、私立園においては2.6名につき1名の加配保育士の配置となっております。
障害児の就園希望は年々増加傾向にございます。今後とも、保育士確保に努めるとともに、障害の有無にかかわらず、全ての子供が、個々に必要な援助を受けながら、一緒に成長できるように、研修等を通し、職員のスキルアップを図ることで、園での受入れ体制を確保していきたいと考えております。
○井川典子君
障害児の約9割が軽度発達障害といいましても、発達に何らかのニーズを持っているということは、違いがないと思います。加配保育士の配置が適正か、専門性を高めるための機会が設けられて、現場がその機会に参加できる環境であるかも踏まえての対応が必要ではないかと思います。
また、医療的ケア児の受入れ等には、専門的な知識はもちろん、人材、それから施設の整備も含めた施設での受入れ体制というのが、とても必要になってくると思いますので、よろしくお願いをいたします。
ニーズのある子もない子も、ともに過ごせる環境づくりの実現には、現状の課題を一つ一つ抽出して解決していく中で、時代に沿った取組を行っていくことが必要だと思います。現状の取組を継続しながら、ぜひ、新しい取組についても検討していただきたいと思います。
それでは、最後の質問ですけれども、市民を巻き込んだ子育て支援策です。市を挙げて子育て支援を行っていくためには、市民の協力は不可欠であると考えます。世田谷区ではいち早く取組を行っており、子ども・子育て会議などを開催して、市民が子育てについて、意見交換をしたり、子育てに向き合って支援の具体策を考えたりする機会を設けていますけれども、下関市はそういった取組を考えている、または開催する予定はあるのでしょうか。
○こども未来部長(山田之彦君)
本市では、子ども・子育て支援事業計画を含む、いわゆる「“For Kids”プラン2025」を、令和6年度に策定します。こども基本法にのっとり、この計画の策定過程において、アンケート等により子供の意見聴取を行う予定としております。
また、子育て家庭の意見を伺う場も設けたいと思っております。
○井川典子君
施策に対する子供の声を聞くというのは、私もとてもよいことと思います。しかし、下関市の子育て支援に関する解決方法を探るためには、決まった枠での議論だけではなくて、一般の市民の方々を巻き込んだワークショップなどを開催して、様々な立場からの意見やアイデアを聴取できる場を設ける必要があるのではないかと考えます。
そこで生まれた具体策を、令和6年度の「“For Kids”プラン」に盛り込んで、実施した結果の評価が目に見える形で、良い評価を受けるようなものにしていただきたいと思います。「“For Kids”プラン」を策定するために、意見聴取をするのではなくて、今まで積み重ねた中で見えている課題に対しての具体的な取組が、しっかり反映されたものにしてもらいたいと思います。
さて、市では、子育て支援に関して、様々な支援を行っておられます。今そういう回答もいただきました。しっかりと子育て支援に向き合って、力を入れておられるということは理解をしております。しかし先ほどお伝えしましたけれども、下関市のゼロ歳から18歳未満の人口は5年間で約6,000人と減り続けています。今回の質問で取り上げた課題が、この人口減少に全て影響しているとは申しませんけれども、人口減少は、これまでの下関市の子育て支援への取組に対する一つの評価であるということは、捉える必要があるのではないでしょうか。人口減少に直結しているところが、私は子育て支援であると思っております。
3月にも申しましたけれども、ライフステージの中での成長過程における施策の具体案を検討していただきたい。それには、いま一度、現状の施策の中で、ブラッシュアップするもの、やめるもの、そこに見えてくる課題を整理して、よりよいものに変えてもらいたい。そして、ニーズに合った新しい取組に着手をしてほしいということを要望いたしまして、この質問を終わらせていただきます。
それでは、続きまして、街を元気にするための文化について、質問をいたします。文化振興とは、文化を盛んにすることであり、創造・継承・発展を導くための取組であるとされています。文化芸術は心豊かな生活を行う上では不可欠なものであると同時に、個人として、またコミュニティーの構成員としての誇りやアイデンティティーを形成する、何ものにも代えがたい心のよりどころでもあります。
その一方で、創造的な経済活動の源泉であり、人々を引きつける魅力や社会への影響力を持つパワーであり、持続的な経済発展の基盤でもあります。
さて、まちづくりや観光に文化をどう利用して、まちの活性を産んでいるのか、文化が寄与するところは大きいと思います。しっかりとした公的な取組が必要なことは言うまでもございません。
そこで、文化振興財団をはじめ、文化協会などとともに連携を深め、行政の役割として考える文化振興ということは、どのようにお考えでしょうか。
○観光スポーツ文化部長(古川 力君)
文化振興における行政の役割といたしましては、市民の芸術文化活動の支援や、機会の充実、国際文化交流の推進、各活動の環境整備などを行うことであると考えております。
本市が取り組む文化振興は、これらによりまして、芸術文化の発展向上に加え、芸術文化活動を通じた交流人口の拡大に寄与し、地域の活性化に貢献するものであると認識しております。
その上で、より多くの市民の参加を促す企画や手法について、各関係先の皆様と協議を重ねながら、業務を推進してございます。
○井川典子君
自分のまちの文化を知ると、ほかの文化に触れたときに、違いであったり、新しい発見があります。また、参加しないと文化力は上がらない気がします。そのためには、まちづくりに文化を活用してはどうかと思うのですけれども、まちづくりや観光に文化をどう利用されていますか。
○観光スポーツ文化部長(古川 力君)
ちょっと若干、繰り返しになりますけれども、本市の文化芸術活動を発展向上させるために、各関係団体と協議を重ねながら、業務を推進してございます。
○井川典子君
いろいろされている内容、こういったことをしているというのは、表にして聞き取りのときに見せていただきました。文化振興の手法として、文化芸術を絡めた様々な取組を、文化振興財団を主軸として取り組んでいるということは分かりました。
その中の具体例の中で一つ私が挙げさせていただきますと、市が主となって行っているもの、言うならば、学校公演があります。令和4年度は小・中学校9校で演劇鑑賞やコンサートをされております。この採択一つにおいても、市教委や部局の関係性が私には感じられなかったのです。例えば、演劇でもテーマがいろいろある。そういった中で、それをその中から子供たちに見せるものを選ぶというときに、市教委や教師はそれを見られているのでしょうか。または、演劇や音楽に携わる、その専門家の方の御意見も反映をさせて、その選択をしているのかなというところも、私はすごく気になりました。
そして、その中で選んだものが、本当に子供たちに見せるべきものであるとするならば、全校にこのローテーションを組んででも、全ての子供に見せていく、こういうことが行政の役割ではないでしょうか。
また、馬関まつりで、朝鮮通信使の行列の再現をしますということを言われていましたけれども、子供たちに朝鮮通信使と下関市の関連であったり、歴史であったりというものを教えているのでしょうか。私が何人か聞いた子供は、全くそのことを知らない子供も多かったのです。みもすそ川のところに碑があるということも知らなかった。見せていただいた一つ一つの事業を見た中で、私が思ったのは、関連団体と市や教育委員会との情報の共有、目的の共通認識を踏まえた連携や協力の体制の強化、また支援の仕方、在り方というものをもう一度考えてみるべきではないかなと思ったのですけれども、いかがでしょうか。
○観光スポーツ文化部長(古川 力君)
イベント等に関しましては、参加者数の拡大の観点、それから、国際文化交流、伝統文化等については、文化活動を啓発する観点からも、今後さらに、力を入れていく必要があると認識をしてございます。
○井川典子君
年齢を問わず、生の芸術に触れる場があるという市民の芸術参加の拡充は、見ていただくほうにとっても、スキルを維持し、発表を通して、より活力を見いだせます。同時に人が集まることで、人々をつなぎ、仲間を増やして、まちに元気が生まれます。地域の歴史や風土に培われた文化が、将来にわたって継承されるように努めることは、下関に住み続けたい、住みたい、訪れたいというまちづくりに資するものではないかと考えます。
本市特有の伝統文化を活用したイベントをすることで、市民の意識の醸成を図るということも答えられていました。それを継続、継承するためには、子供たちへの取組というものは欠かせないと思います。聞き取りを通してでは、小・中学校65校、いろいろな伝統文化に触れる活動を行っていることをお聞きいたしました。
でも、私が感じたのは、学校によってとても差がある、地域とのつながりにしても、そう感じました。子供たちが伝統文化に直接触れ学ぶ、そういう機会を持つ必要性はとてもあると思います。また、学校教育と社会教育をもっと密にするのもありではないかと考えます。
教育委員会は、カリキュラムにどう位置づけるかも含めて、もっと学校での状況、現場を認識するべきではないか、ちょっと関わりが薄いのではないかと感じたのですけれども、いかがでしょうか。
○教育長(磯部芳規君)
教育委員会といたしましては、各学校の状況把握と優れた取組の周知に努めるとともに、地域にいらっしゃる指導者や関係団体等の協力を得ながら、より多くの子供たちが伝統文化に興味を持ち、本物に触れる機会を得られるよう支援を続けてまいります。
○井川典子君
親が興味を持っていないものに対しては、接点が薄くなると思うのです。そしてまたお金を払って、見聞きするというところでも、やはり差が出てくる。みんなが同じに接することができるというところは、学校での取組というのがあるのではないかと思います。
聞き取りの中でも、学校のカリキュラムの中にそういうものを入れるというところは、今難しいんだと言われました。でも、放課後クラブとか、児童クラブがあるのではないかと思うのです。
地域の方が今日こうするから、どうかとか、季節の花が今日こんなにあって、これを皆さん受けませんかとか、そういった地域とのつながりというのも、仕掛けをしていく、子供たちにこういうことをしていただきたいと言ったら応援させてくれる方もたくさんいると思うのです。そういった子供たちに、もっともっとそういう文化に触れていただきたいと私は思います。
そして美術の授業に関しても、1回は美術館でするのもどうかと、前もちょっとその辺に関しては、投げたこともあるのですけれども、今回の聞き取りでは、65校中、小・中学校で7校のみはされているということでした。そういったところももっと増やしていただきまして、子供には芸術に触れる機会をたくさん持つように、教育委員会も考えていただければと思います。
では、最後の質問ですけれども、これまで市が主となって行ってきて経済発展に結びつけた、観光やまちづくりでのイベント、その行ったイベントの中での課題とこれからの展望というものについて教えてください。
○観光スポーツ文化部長(古川 力君)
本市におきましても、将来の人口減少を見据え、文化交流を推進することが、地域の活性化につながるものと考えてございます。
他方、現在、本市が実施している文化振興事業における参加者、これにつきましては、伸び悩んでいる状況にございまして、地域文化を担ってきた文化芸術団体においては、継承者不足が課題となってございます。
これらを踏まえまして、次世代を担う若者が、主体的に活動に取り組むことができる環境づくりが重要と捉えまして、本市の文化芸術活動の知名度を高めるため、SNS等を活用した効果的な情報発信や、関係団体等との連携を深め、魅力ある取組となるよう努めてまいりたいと思います。
○井川典子君
街を元気にするための文化は、やはり人々の参加、市民をどれだけ巻き込める仕掛けがあるかということが必要であるのかなと。そしていかに子供たちがふだんから興味を持てる、選択できる土壌を与えるか。こういうことが、祭りの継続一つをとっても大事になるのではないかと思います。
経済の発展に、観光文化を利用する一つの案として、私が思ったのは、観光のスポットでもある火の山の開発を今手がけておられる。それに当たって、観光客にいつでも、下関の文化芸術を見せることができる箱をつくって、「源平night in 赤間神宮」であったり、先帝祭のページェントなどなど、下関にはたくさんのそういう素材もありますけれども、そういうものがいつでも見られる、市民がおもてなしができる、これも一つのアイデアだし、仕掛けだと思います。
私が聞き取りのときに、これを言うと、観光スポーツ文化部は全く微塵も思っていないというような反応であったのですけれども、やはり、何でもこうあった時に、それをチャンスとして捉えてほしい。ソフトパワーを発揮して、そして、観光とか、それから集客、それからおもてなし、皆さんいろいろな方がたくさん来てくれるためには、というところの経済に結びつけるとかそういったところの、いろいろアイデアをどんどんどんどん出して、仕掛けをしていかないといけないと思うし、そういう取組というのは貪欲にしていただきたいと私は思います。
文化こそ多くの市民の方々との絆ができるし、楽しくまちづくりに参加もできると思います。教育や観光とか、若者定住とか、そういったいろいろな課題があるのですけれども、その課題に活用していくプランを立てていくのも、一つではないか。それに結びつけられるのも、文化ではあるし、文化はみんな嫌という人はいないと思うのです。だからそれを上手にというか、しっかりとそこを捉えて、どんどんアイデアを出していっていただきたいと思います。
この文化を利用したプランについて、またそういった経済発展、文化を利用したまちづくり、そういったところについてのお考えというものを、市長のほうに、お伺いをしたいと思います。
今日ちょっとボリュームが多かったので、早口で言いました。市長にしっかりの時間を残したいと思って、早口にしました。9分あります。市長どうぞよろしくお願いします。
○市長(前田晋太郎君)
今日はないのかと思っていたのですけど、まさかそういうことだったんですね。私が市長になった6年前に、市民のある方が、「市長さん、火の山を芸術文化村にしてほしい」という方がいらっしゃいました。
先日、北九州市長とトップ会談をしたときに、関門の景色を見ながら、北九州市長が、「前田市長、この景色を見て、きっと、文化芸術の携わっている人たちは、すばらしいインスピレーションが湧くだろうから、そういった感性を生かしたまちづくり、関門エリアづくりができないでしょうか」と言われました。
そして最近、高速道路に乗ると、新卸団地の壁に鯨の絵をかいて、アートのまち下関へようこそと大きな字で書いてくださっている市民の活動が、最近ありました。
要は、井川議員が言われるように、下関というのは、やはりその歴史が深く、その歴史があったから、どこのまちにも負けないような文化や芸術が生まれて、それをやはり感じて継承してくださっている、そして感じ取ってくださっている、もっともっとやってみたいと思っている市民の皆様は、潜在的にたくさんいらっしゃるのだろうと思うのです。
こういった方々が、元気にまちに楽しく参加できるように、さっきいい言葉を言われましたね。楽しく町に参加できるように、市としては、何かやっていかなくてはいけない。そういった中で今説明がありましたけど、環境整備であったり、イベントの開催であったり、みんながわくわくするようなことをやっていかなくてはいけないというのは、非常に私としても責任を感じて、これからも取り組んでいきたいと思っております。
具体例を言いますと、結いの会というのがございます。かつて、豊浦町の入り口にある梅光学院大学に拠点を構えて、それで創作活動をそれぞれの方々が続けていた団体です。結局、梅大からはもう出て行ってくださいと言われて、私のほうに相談がありましたけれども――卒業生だからあまり悪く言えませんけれども、出て行ってくださいと言われて、それで何とかしてあげたいということで、今、長府の教員住宅の跡地に入ってもらって、細々とというか、一生懸命、それぞれみんな輝きを持ってやってくださっているのです。
それで、将来的には、こういった方々が、いかにさらに活動ができるか、私は、本当、芸術文化で頑張っている方々というのは、すごく厳かというか、謙虚で、あまり人前にばんばん出て、やっているんだとPRしたいという気持ちはそんなにないのだけれども、でも行ってみると、今日忘れましたけど、私が使っているボールペン、万年筆、すばらしい技術を持ってつくられている方であったりとか、絵もそうです。様々な活動をされていらっしゃる方がいて、まず市民の人々にもっと触れてほしいし、やはり収入にもつなげてほしいです。そういうサイクルがきちんと回っていくことが、きっと町の元気につながってきますし、先ほど井川さんが言われていたような話に、きっとつながってくるのだろうと思うのです。
5年、10年前にでき上がった、ぽっと出たまちと下関はやはり違うのです。圧倒的な歴史の深さが、やはり人々のそういう感性とか、そういったすごく深いものを与えてくれていて、文化の発展というか、文化の醸成なくして、下関のまちづくりは語れないと思っていますので、今日はいい刺激をいただきまして、観光スポーツ文化部も、気合が入ったと思います。
私もどちらかというと、そういう右の脳で考える感性派というか、祖父も絵かきだったし、父も母も音楽に携わっていた人間でもあって、私も非常にギターが好きで、音楽が好きなので、やはりそういった人たちの気持ちというのはすごく理解ができると思っているので、これからも取り組んでいきたい、一緒にやっていきたいと思います。
そういう仲間を増やせるように、市民の皆さんが生活にそういった文化や芸術で潤いを持って、あしたもまた頑張っていこうと、仕事もきついけどそういう文化活動で自分の居場所や、明るさを持っていけるような人生を歩んでいこうと思っていけるような、まちづくりを一生懸命頑張っていきたいと思います。こんな感じでしょうか。以上でございます。
○井川典子君
しっかり時間を残してよかったと思います。ありがとうございます。本当に文化を利用しては、いろいろなことが考えられると思うのです。だから、観光スポーツ文化部も、今日、叱咤激励というか、お金が財政にまた駄目と言われるからとか、そんな細かいことを考えるのではなくて、もっとまちが活性したら、これだけのものを財政に持ってくるというぐらいの大きなことも考えて、文化を利用して何ができるか、イベントをするというのもあるかもしれないけど、地道にどんどんその活動を広げて、がっちりとした文化を利用しての経済の基盤をつくるというところにも、しっかりとアイデアを持って、仕掛けていただきたいということを切にお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
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