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早川 幸汰 議員
第2回定例会 6月16日(金) 本会議(一般質問2日目)
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内容
会議録
第2回定例会
6月16日(金) 本会議(一般質問2日目)
早川 幸汰 議員
1.下関市が運用する情報共有ツールについて
【下関市議会 本会議確定版】
○議長(香川昌則君)
9番、早川幸汰議員。(拍手)
〔早川幸汰君登壇〕
○早川幸汰君
こんにちは。下関市民、特に若者代表の早川です。マスク着用を強要されず、このように皆さんと面と向かって議会ができることを大変うれしく思います。当たり前だったことがつい先日まで、数年にわたり当たり前でなかったことを大変不思議に思い返します。
世間は、コロナ禍での生活にも比較的慣れて過ごしておりますが、依然としてコロナがなくなったわけではなく、時期によっては、また感染者が増加することもあるかと思います。この辺りも、外にいると磯臭い日がたまにありますが、その場に長時間居るとそんな臭いさえ感じなくなります。慣れとは怖いものだと思います。
さて、今日は下関が管理・運営する情報共有ツールについて、現在どうなっているのかを質問したいと思います。ちなみにここで言う情報共有ツールとは、平たく言うとホームページやSNS、アプリなどです。もっと大枠で捉えると、今年度も多くの予算が割かれていたDXのための様々なサービスをデジタルツールと捉えることができますが、非常に範囲が広いので、今回は少し範囲を狭めて話を進めたいと思います。
今日の最初の質問は、各ツールの費用について、現在下関が関係する情報共有ツールの費用について、イニシャルコスト、ランニングコストをそれぞれお答えくださいという質問でしたが、回答が多過ぎて質問することを取りやめました。
本来は、費用がかかっているツールに関しては、全部把握しておきたかったのですが、課ごとに事業をしており、統括して現状把握している課が見当たらず、やむなく自分で把握し得る限りのツールについて個別に質問を聞いて回りました。
これはその後で知ったのですが、市が関係するソーシャルメディアアカウントの数は現在41個。アカウントを集約しているページがあり、はっきり言って、この時点で僕はよいイメージを持てませんでした。ですので、最終的には50個を超えるツールに対して質問をすることになります。これらをこの場でそれぞれ口に出して質問するのはやめておこうといった感じで取りやめました。
この時、僕の感想はこんなにたくさんのツールを用いて運用している驚き、ぱっと見で役割が分散しているのではないか。もっと効率的に少ない人員で管理し、費用も抑えることができるのではないか。下関で生活してきた中で、ほんの少しだけ下関市のホームページを見たことがあるのみで、それ以外はどれも使ったことはなかった。
僕はまず、これらのツールの実態について把握する必要があると思い、費用について知りたいと思いました。費用の概要を聞き取りで聞くだけでかなり時間がかかりました。該当する課は多岐にわたり、広報戦略課、企画課、観光政策課、まちづくり政策課、子育て政策課、健康推進課でした。
これらの概要をこの場で質問することになると、とても該当が多くなり、かなりもったいない時間が生まれます。しかし、一般質問中に事業概要や経緯を聞くことは往々にしてあるわけで、僕がここで知りたい内容を質問することは、不適切なことではないと認識しております。
聞き取りを進める中で「これらのツール全ての費用、それからそれぞれの費用に関して聞くつもりですか。それだけで質問時間が終わりますよ」と職員の方から言われました。私も存じております。でも、それが僕の言いたいことでもあります。
まず、そんなにたくさんのツールを作ったのはそもそも僕ではないし、まとめて答えてくれる人がいれば、僕は聞き取りに長時間かからなかったし、その後聞いた費用をまとめて、イニシャルコストやランニングコスト、助成金がどれぐらいかかっているか、計算する時間も要らなかったと思います。そう思うなら、上司に言ってくださいと思いました。しかし、そこが難しいのが市役所、存じております。
そんなわけで、答弁したかった内容に関して質問していてはらちが明かないので、事前に聞き取った費用についてまとめました。
まずイニシャルコスト、合計は約1億2,000万円。ランニングコストは、1年間の合計で約3,500万円。もし詳しい概要が知りたければ、僕かその課に直接聞きに行ってください。
その他費用がかかっていない媒体がかなりありますが、お金の動きがないだけで41個もあるアカウントがあるわけですから、運用する中で、かかる人件費は見えないながらもコストだといえると思います。
先ほど言ったイニシャル・ランニングコストに関して、下関市の平均年収は、下関市の給与、定員管理等について、令和4年度1人当たり、603万4,000円。多くの場合は、実際に実務をする方はもっと少ないでしょうが、引き合いに出す場合はフェアでないので、平均を今回の指標とします。トータルのイニシャルコストに対して約20人分の人件費、ランニングコストで1年間約6人分、皆さんはどう考えますか。1年間丸々6人採用できるなら、プラスアルファで仕事をしてもらえるような気もするし、外注であれば妥当な気がします。それぞれ金銭面以外の副次的なメリット、デメリットが生まれると思います。この辺りは市がどのように把握して、どのように評価しているか、大変気になるところではありますが、回答できる該当の課がないようなので、ここはひとつ闇に葬っておきたいと思います。
次に各事業の評価です。まず根本の話ですが、市がする事業は、何かしらの問題を解決するために始めると思います。ですので、通常は事業に対する目標は、問題の解決につながるはずです。そして、その事業によって、その問題がどのように、あるいはどのぐらい解決したかが評価だと思います。その評価を基に、その事業や類似の事業に生かすことで、さらなる解決につながるし、経験がついていくという流れが理想的だと思います。
各委員会で予算の説明を受けるとき、必ずと言っていいほど、毎回この事業目標設定がおかしい、おかしくないかと質問が出るかと思います。自分も多々思うことがあり、質問をすることがあります。半年たたない間にこう思うということは珍しいことではないと認識しております。
ほとんどの場合、核心的な目標ではなく、どうにか因果関係がある程度の目標である旨の説明しか得られず、そのときに言っていることは理解できるのですが、どうしても本質的ではないなと、多くの議員が納得できていない状況を僕は目の当たりにしています。
下関市役所では、現在いろいろな面で目標・評価が使用されています。9月に行う決算のためであったり、そこに向けて定める各課の事業目標であったり、それに準じて定める職員の個人目標であったり、それら全てに評価をします。
僕が見ている限り、何かを解決していこうといった目標ではなく、少なくともマイナスに見えてしまわないように目標を立てている場合も見受けられます。1年間で確実にクリアできる目標を立てる。たとえ、具体的な目標が立てられそうな場合でもです。
市はよくKPIと言ってきます。組織の目標達成度を計測するための数値目標らしいです。成果を数字にしにくい事業もありますが、そういう決まりだから仕方なく目標を立てたのだろうというこじつけのような目標もあります。
例えば、今年の予算の中から抜粋すると、観光デジタルナビ多言語強化事業。デジタル技術を活用し、多言語対応の強化を図ることで、外国人観光客の満足度の向上を図るという問題に対する事業に対して、KPIは外国人の宿泊者数といった感じです。それが具体的に何か解決できるように、僕は思いません。
そこでお尋ねします。各ツールの目標と導入によって解決されたことを教えてください。
○総合政策部長(前田一城君)
まず総合政策部が所管します情報共有ツールについてお答えいたします。
総合政策部では、公式のホームページそれからしもまちプラスのほか、公式のフェイスブック、ツイッター、インスタグラム、LINEといったSNSがございます。これらのツールの導入目的としましては、それぞれのツールが持ちます即時性の高さや、拡散力、視覚に訴える情報発信などの特徴を生かし、必要な情報をより早く、分かりやすく多くの方に届けることでございます。
市民の情報収集手段が多様化している中で、これらの情報共有ツールの導入により、市報などの紙媒体をあまり利用しない方への市政情報の発信や災害時における緊急情報の伝達、それから写真や動画を活用しました、より魅力的な情報発信ができるようになるなど、多くの効果があったものと考えております。
○市民部長(渡部英樹君)
私からは「しもまちアプリ」について答弁いたします。
令和2年10月に運用を開始いたしました「しもまちアプリ」による情報発信事業につきましては、アプリを多くの市民の皆様に御利用いただきたいとの考えから、事業の目標指標をアプリのダウンロード数とし、5年後の目標を3万ダウンロードに設定しておりましたが、運用開始2年度目におきまして目標を上回ったことから、現在は目標指標を見直し、6万ダウンロードに設定しております。令和5年5月末現在、4万3,000を超えるダウンロードいただいているところでございます。
引き続き、各コンテンツの充実と市民生活に必要な情報の発信に努めてまいりますが、事業の効果を図る観点におきましては、目標指標の考え方の見直しを検討する必要もあると考えております。
○こども未来部長(山田之彦君)
私からはこども未来部が所管する下関子育てアプリについてお答えいたします。
この子育てアプリは、紙の媒体中心から電子媒体を活用した情報発信に切り替えることを目的に、平成29年3月末に公開した、スマートフォンを活用した情報発信ツールでございます。令和5年5月末、現在の累計ダウンロード数は6,926件でございます。
このアプリは、市民実感調査における「下関市は、安心して子供を産むことでき、育てやすいまちであると感じている市民の割合」を活動指標として採用しております。この指標の数値の向上に向け、アクセス分析等の結果を基に、システム改修等を行ってまいりました。
この数年の例で申し上げますと、アクセス数の多い「保育所等空き状況」について、認可施設と認可外保育施設の画面を改修することで、操作性や視認性の向上を図りました。また同じく、アクセス数の多いイベント情報について、月次のカレンダー表示を追加した上で、イベントのある日やその内容の検索が容易になるように機能を追加することで、利便性の向上を図りました。
このアプリの導入、その後の機能の拡充により、子育て家庭に対してイベント情報等を速やかに、かつ御利用いただきやすい形で提供できているものと考えております。
今後は、他のアプリとの機能の重複など利用者の混乱を招かないように、関係各課と調整連携に努めてまいります。
○観光スポーツ文化部長(古川 力君)
観光スポーツ文化部が運用いたします情報共有ツールとして「しものせき観光ホームページ」がございますが、下関観光コンベンション協会にもホームページがございます。この二つのホームページは、掲載内容が重複する部分があったため、令和3年度末に集約作業を行いまして、職員による更新作業の負担軽減を図り、保守経費等の削減にもつなげたところでございます。
参考ですが、令和4年度のページビューですけれども、しものせき観光ホームページで34万1,912回、しものせき観光コンベンション協会のホームページで65万1,909回、合わせて約100万回のページビュー数がございまして、集約前と同程度の閲覧数となり、一定の成果が得られたと考えておりますが、今後さらに魅力ある使いやすいホームページ運営に努めたいと思っております。
○早川幸汰君
今の答弁で聞けたとおり、うまくKPIを定めて効果的に生かしている場合もあるようです。この場で、悪い例をあえて挙げることはないと思います。
この点で問題に思うことは、それぞれの事業に解決すべき問題に対して、一律な設定基準ゆえに適切な事業目標が設定されていない場合が見受けられることです。自分たちの取り組む事業がどの位置にあるか、非常に核心をつきにくい状態になっており、本当に解決していきたい問題が何なのか、各課によって職員に至るまで、本来向かうべき解決方向に進めていない原因になっている場合もあるかと思います。
また、評価は行政内から見た一方向の評価になりがちで、使用者からのフィードバックに基づく評価は少ないように感じます。
そして、僕はこの制度の仕組み自体が業務に取り組む職員のモチベーションを著しく下げる要因になっているのではないかと考えます。しようがなく立った目標に向かって業務をしたり、はたまた自分の努力が左右されにくい事業だったり、それらの評価に対して支給されるボーナスの額が左右されたり。KPIを用いた一律の評価基準もいいですが、事業によっては柔軟な目標を立てることが、職員が仕事に臨むモチベーションになる場合もあると思います。KPIに執着せず、いろいろな目標設定があっていいと思います。そもそも意味がなく目標がない、なくてもパフォーマンスが変わらないなら、なくてもいいと思います。
その目標が意味のある目標かどうか、管理職の方が判断すればいいだけであって、決まった範囲で目標を立てることが重要ではないと思います。実務を実際にしている人や若い人のほうが適切に判断できる場合もあるかと思います。ジャンルによっては、携わっている時間が圧倒的に長い、そういう層のほうが適切に評価をすることができる場合もあると思うからです。そういう雰囲気もあっていいのではないでしょうか。
事業がよくなるためなのか、住民のためなのか、問題解決のモチベーションを上げるためなのか。いずれにしろ、今の事業目標評価の仕組みは本質的に機能しているとは言い難いと思います。よくない副産物も生み出しているように感じます。
繰り返しになりますが、何のための目標なのか、もう一度見直すべきだと思います。
次に、事前の連携についてです。行政においては、かなり長い間、縦割り縦割りと耳にたこができるほど言われてきたのではないかと思っています。印象とは怖いもので、私も市役所は縦割りで時代遅れな場所という印象を持っていました。印象どおり、しっかりと縦割り行政的なものが垣間見えることもありますが、議員になって市役所の方々と関わりを持つと、思ったよりもひどくないということが多々あり、とても不名誉な環境で働かれているとしみじみ反省しているところであります。しかしながら、ひどくないだけで世間や民間の感覚と比べると、まだまだ印象を覆すことができないようなスピード感での改善にとどまっているのだと思います。
今までの行政の感覚をねじ曲げてでも変えていかなければいけないほど、世の中が変わっていくスピードは速く、組織全体の感覚が鈍化して、その変化にも気づいていない部分もあると思うのではないかと思います。
今回、いろいろなツールについて他部署との連携について聞くと、関係してくる部署との連携はあるようでした。しかし、それが全庁に及ぶわけではないようです。
そこでお尋ねします。市全体で見ると数も多く、各ツールの役割が分散されていると思いますが、これまでの各課のコンテンツを連携、あるいはまとめたりした取組があれば教えてください。
○総合政策部長(前田一城君)
総合政策部で所管しております公式ホームページの件でございますが、令和3年度に本市が行ったホームページのリニューアル、これにおいては、部局を越えた連携によりまして、それまで各課が個別に運用していました七つのホームページを公式ホームページと同じシステム上に集約をいたしました。これにより、アクセシビリティーの向上やセキュリティーの強化など、各課が個別に管理していたホームページを公式ホームページと同じ水準で管理・運用することが可能になったほか、各課で調達していたサーバー等の運用が不要となり、事務負担や維持管理費の軽減につながっております。
また、各課が用途に応じて運用しているSNSがたくさんございますが、これらについても利用者が選択しやすいように、各課と連携しまして、公式ホームページの下のほうにSNSの一覧ページをつくって集約しているところでございます。
○早川幸汰君
現在は、いろいろな部分が過渡期で、かなり改善もされているようです。自分が思ったよりも努力されて、費用をスリムにされているようでした。それなら最初からしろよとそういう声も聞こえてきそうですが、口で言うよりも難しいのが現状。デジタルツールが導入されてかなり時間がたっています。参考にできる事業がかなりあると思いますが、現時点ではまだまだ各課の連携が十分とは言い切れない状況だと思います。
先ほど言われた、集約されているページに関しては、冒頭で申し上げたとおり、ホームページを入れずに41個リンクが飛んでおり「おいおい、これ、誰が見るねん」という突っ込みを入れたくなるような数ですので、ぜひ皆さんも一度御覧ください。
やはりなお分散しているところも多いですし、同じ媒体で運営したほうが効果が出そうなものはまだまだあると思います。ツールが近い機能であれば、実施している各課がアドバイスしたり、これから実施する課が効果や手順などを聞きに行くことは、全庁的に把握できていれば難しいことではないと思います。場合によっては、自分でやることにこだわらず、最初の段階で共同で運用できるかもしれません。
こういった身近なツールを行政が理解し使いこなすことが、これから進めていくDXの職員間での抵抗を減らしたり、本質的な生産性の向上や業務の効率化の理解につながると思います。それが住民の生活をよりよいものにすることへつながります。これらがユーザーにとって良いものなのか、ぜひ市役所全体で考えられるような連携が一体どういうものなのか模索されることを期待しています。
次に、今後の取組についてです。取組が少しずつ進んでいるようですが、今言ったような問題もそうですし、利用者から見ると、まだまだアプリをそれぞれダウンロードする必要があるなど、連携が必要な部分が多くあると思います。その辺りはいかがですか。
○総合政策部長(前田一城君)
議員御指摘のとおり、様々なサービスの連携は大変重要であると認識しております。
現在、本市が推進しておりますスマートシティや行政DXにおいて、市民生活の利便性向上及び行政運営のスマート化に向けて利用者目線に立ち、ニーズに合った情報の発信やサービスの提供に取り組んでおります。
その中で、特に今年度提供を予定しております三つの子育てサービスについては、データ連携基盤につなぐことでサービスを一元化し、地域ポータルサイト「しもまちプラス」を窓口に提供することとしており、市民の皆さんが使いやすく、様々なサービスに触れることで、便利と感じていただけるよう関係部局と連携して事業を進めてまいります。
今後につきましても、部局間の連携を密にし、利用者が求める情報の発信、また使いたいと感じるサービスの提供ができるように取り組んでまいります。
○早川幸汰君
問題意識もあるようですし、必要がある課とは連携されているようなので、その点については、引き続き利用者目線に立って、市民の方々が使いやすく、分かりやすいコンテンツづくりに努めていただきたいと思います。
一昔前のデジタル導入が遅いイメージのせいで、これも先ほどと同じ話ですが、多少の改善では、どうやってもいいイメージが持たれず、文句が多く聞こえてきます。ですが、それは住民の正直な評価であるともいえます。これらは、住民が使って初めて意味の出てくるものです。あるだけでは何の意味もありません。
取り上げた自分としても、今の状況は大分気の毒な気がして心が痛くなっております。頑張りが評価されないとつらいですね。この辺もモチベーションを維持することが難しくなる要因のように感じます。僕自身、イメージアップも含め、そこの改善に協力していきたいと思っておりますのでよろしくお願いします。
しかし、やはり全ツールを把握し、ツールが担える役割が分散していないか。そのせいで人員が過度にかかっていないか。現在運用しているツールの費用が最適か。判断して運営しているかなど。市全体のバランスを見るポジションがないので、これは根本的な何かを変える必要があるのではないかと感じます。十分に取り組まれていることは分かりましたが、情報ツールのみならず、部局横断で事業を進めていくには特定の分野に特化した人材や組織についても考えていかなければならない時期なのではないでしょうか。
そこでお尋ねします。今回取り上げたデジタル関係に限らず、特定の分野に特化した組織や人材の導入予定はありますか。また、過去にそのような採用をされたことはありますか、お答えください。
○総務部長(笹野修一君)
総務部からお答えをさせていただきます。組織の関係、機構改革、よくありますけれども、新たな組織の導入あるいは既存の組織の見直し、こちらにつきましては、多様化する行政ニーズに的確に対応するということと、市民満足度の高い行政サービスを提供していくということから、限られたヒト・モノ・カネ、いわゆる経営資源、こちらをどう配分するか最大限活用するかということで、各部局のほうからの要望もいただきながら、いろいろ内部での検討をした上で見直しをしているところでございます。
それから職員の採用のこともちょっと触れておきたいと思いますけれども、一般的に、この間5月臨時会の中で報告ということで、職員採用計画のほうのお話をさせていただきましたけれども、行政職をはじめ、各部局からの要望によります技術職、専門職、こういった者の採用についても実際行っております。
そのほか、こういった従来からの職種のほか、今市として平成29年から取り組んでおりますけれども、移住定住枠という枠を設けております。こちらは一例の中でお話しさせていただくのですけれども、本市へのUJIターンということで、ぜひ下関市にいろいろな都会で経験された知識・経験を生かして活躍してほしいと、社会経験を生かして活躍してほしいということでこういう枠を設けたのですが、こういうことで組織の活性化にも当然つながるのではないかということも考えまして、多種多様な人材の確保、こういったものにも努めております。
そうしたことから、議員から御質問ありました各部局が所管する事業の中から、まず組織のほうでございますけれども、必要となる要素あるいは新しい行政ニーズといいますか、そういったところをしっかり掘り下げて、組織の導入であったり、見直しであったりというようなところも検討しておりますし、あるいは職員の採用におきましても特定の分野にたけた職員、特に社会人採用とか過去やっておりましたけれども、いわゆるシステムエンジニアのような経験を積まれた職員の方も下関市のほうに入庁していただいて、いろいろな活躍をしていただいたというようなところでございまして、こういったことを活用して、適宜必要に応じて行っていきたいと考えております。
○早川幸汰君
ここで一例なのですが、神戸市の例がありますので聞いてください。
神戸市ではクリエイティブディレクターという制度を採用していて、デザインの観点から解決のためにサポートを行う専門のアドバイザーを導入しております。2021年から民間から採用され、市の全体のデザイン意識の向上を目指すという方を採用されております。この方の使われ方は詳しく言うと、その人が全部をやるのではなく、必要になった職員がその人にアドバイスを聞いて、その人からもここはこうというアドバイスをする関係性の方が入られております。
同じく神戸市でデザイン・クリエイティブ枠、神戸市では2020年からデザイン・技術・音楽・映像などを学んだ人たちを対象に、デザイン・クリエイティブ枠の職員を採用されております。この方たちは採用された後に、そういったジャンルの業務に就く場合もあるし、普通の業務をすることもあるのですが、その経験が生きるといったことで採用されています。
このような他自治体あるいは民間、海外の例を知って、自分たちの現在地を知るのは大変重要なことだと思いますので、引き続き取り組んでほしいと思います。
僕はここを強く言いたいのですが、この自治体のこの例のやり方をまねしたほうがいいと言っているのではありません。実際、市長が「いいね、これやろう」と乗り気になって実現するかもしれません。専門のチームがもしかしたらできるかもしれません。クリエイティブディレクターが入るかもしれません。でも導入している組織全体の意識が変わらなければ、やってもその場限りだと思います。次に、また同じような問題があふれて出てきます。
現在、日本のほとんどの自治体はたくさんの問題を抱えています。本市も例に漏れることなく多くの問題があり、それらを解決させるために、行政、議会一丸となって同じ方向に向かっていることは、今も昔も変わりないことかと思います。
人口は、皆さん御存じのとおり、見通し以上のスピードで進む少子高齢化と人口流入より流出が多いことによる人口減により、税収、働き手の減少が急速に進んでおります。
財政健全化プロジェクトにおける人件費総額の縮小がプロジェクトの柱として設定され、定員管理計画に基づき、開始から6年経った今、職員数は260人減少しております。全体数の約10分の1です。10人でしていた仕事を9人でしていますという状況だと思います。並々ならぬ努力を感じます。これは同時に新入社員が減っているといえると思います。加えて、新しく就職活動をしようとする母数、つまり子供の数は減少しています。
加えて、下関の他市に比べた求心力の低下、客観的にも相対的に見ても、これから採用される職員の質は、今のままだと、順当に行くと下がらざるを得ない状況にあると思います。それでも残っている職員の方は、大きな問題が起きずに変わらずに業務されています。
そんな中で、顕著に時代についていけていないことが露呈していると見受けられるのが、今回取り上げた情報共有ツールです。とりわけ、新しい技術や感覚が必要になる事業や部署はこの傾向にあると思います。昔からの知識が通用する事業や部署は、問題になる前に芽を摘むことができる経験を積んだ人材がおりますが、人員削減が進む中でも同程度の仕事ができていることが多いと思います。
しかし、そんな部署や事業でも、デジタルやデザイン関係が絡んでくると、少し調子が悪いように思います。新しい技術や感覚はなじんでくるまで軽く見られる傾向にあると思います。スマホが販売された当初は「何だこれ、携帯で十分だろう」と思われて、早や10数年、NTTの調べでは、2010年には4%だったスマホの保有率は、今や96%を超える状況にあります。
下関市役所の中でも同様で、無意識のうちに情報を扱う課やデジタル地域おこし協力隊など、軽く扱われている印象を受けます。デジタル版地域おこし協力隊をスマホ教室に駆り立てている場合ではないと思います。軽く扱われていると、全業務に当たる必要性を理解されにくく、適切な予算が出されないし、適切な人材が用意されにくい。ここ10数年、本市は停滞していると思います。
若い人材を生かすかどうか、今後の下関の鍵を握ってくると思います。いいバランスがどこかにあるはずです。入ってきたいと思える職場、頑張ってもいいと思える職場にしないと終わりに近づいてくると思います。そして、職員全体がより新しい考えを取り入れて判断できる環境も合わせて必要になってくると思います。
今の下関にたくさんの問題がある中で、自分が何かを変えていきたいと思ったときの解決策の一つとして、最終的に行き着くことがあります。人事こそ重要ではないかと思います。
僕は職員だった時代があって、それは短かったですが、常に体験してきたし、多くの職員から一応愚痴を聞いてきた経験があるから間違いないです。働かないおじさんと調べると腐るほど記事が出てくるので、役所は特に温床なのだと思います。そういう製造機的な体質があると思います。
そこでお尋ねします。仕事に意欲を持っていない人といる人がいると思いますが、どうですか。
○総務部長(笹野修一君)
今御質問いただいた件についてお答えをさせていただきます。まず職員については、職務を行う上で地方公務員法、これが我々の絶対的な規範になるわけですけれども、その35条におきまして、職務に専念する義務、これが課されております。当然、仕事中はもうしっかりやらないといけないということでございますけれども、一方で職員の能力であったり、あるいは意欲、モチベーション、こういったものには当然個人差があるのは当然でございます。
そのため本市におきまして、取組としまして、まず下関市人材育成基本方針、こちらにおきまして、目指すべき職員像の一つとして、今いろいろお話しいただきましたけれども「挑戦する職員」という言葉を掲げております。研修等におきまして、常に主体的、意欲的に業務や自己研さん、自己啓発に取り組んでもらう。あるいは問題意識、改善意識を持った職員の育成にも取り組んでおります。
それから、次に管理監督者の役割としまして、職員が一丸となって働くことができるよう、部長会などの機会を通じまして、コミュニケーションが活発な、風通しのよい職場づくりに心がけてくださいというようなことも、常々お話をしております。若い職員の発言に対しても当然耳を傾ける、双方向でいろいろコミュニケーションを取るというのは非常に大切なことだと認識しております。
最後に、加えて人事評価の制度でございますけれども、この中でも業務目標というのを設定しております。その目標を達成するための面談を実施するということで、上司と評価される側の職員のそれぞれのコミュニケーションを通じて、職員のほうにも気づきを与えるし、職務に対する意欲を感じる、あるいは高めていくというようなこともやっております。こういったことで、課題のない組織というのは正直ないのだろうと思いますけれども、こういったことを通じて、我々も日々研さんしているということで、組織としての向上を図っているということでございます。
○早川幸汰君
お答えいただきましたが、さっきした人件費削減の話、実は10人でしていた仕事が今実質8人でしていますみたいな状況の課もあると思います。それでも皆さん頑張っています。でも頑張った分上がらない給料制度、むしろ評価によってはボーナスが下がったりなどします。
財源が減っていく中、DXによって業務効率を落とさず、人件費削減にシフトチェンジを試みていますが、全体的に見ると働き手の環境に対する改革の配慮が足りていないように思います。
続けてお尋ねします。人事評価について、努力している職員や能力のある職員の評価は一律に評価できていますか。
○総務部長(笹野修一君)
今、人事評価に関する御質問をいただきました。まず人事評価制度、こちらにつきましては、平成26年の地方公務員法の一部改正によりまして、人事管理の基礎ということで位置づけをされました。本市では、人事評価の実施要綱であったりマニュアル、こういったものに基づいて評価を実施しております。
なお、人事評価制度は人が人を評価するという制度でございますから、評価者やあるいは組織の目標の違い、こういったものによりまして「厳し過ぎる」あるいは「甘過ぎる」といった偏りが発生するということもございます。
このため、評価者、被評価者それぞれを対象としまして、継続的に人事評価の研修を実施しておりまして、より公正・公平な評価となるように努めるとともに、制度そのものも、あるいはその運用につきましても、我々としましてはPDCAサイクル、こういったものでしっかりと適宜、改善・見直しを図っていきたいと考えております。
○早川幸汰君
そのほかにも、自分が働いていたときから感じていたモチベーション低下の要因の一つが年功序列、年を取るだけで給料が上がっていくこのシステムの合理性はほとんどないように感じます。
あくまで一例ですが、大阪の箕面市が2014年から年功序列を廃止しております。箕面市では、頑張った職員には報い、頑張らない職員には一切報いないをコンセプトに、現行の人事評価制度を抜本的に見直し、従来の年功序列型の公務員制度の枠に捉われない新たな人事給与制度を構築しました、とあります。これをするかどうかは、先ほど申し上げたように、あくまで一例なので、そういう場合もあると考えて改善していただきたいと思います。
2019年には経団連の当時の会長がこのように発言しています。「新卒一括採用、年功序列・終身雇用をセットする従来の日本型雇用システムでは、こうした転換に対応できる人材は育ちにくい。企業において、雇用形態の変化と社員のエンゲージメントの向上が一体となって進んでいくようでなければならない。こうした中、ここまでの日本型雇用システムだけというわけにはいかず、ジョブ型雇用などを組み合わせていくことになるであろうし、それが雇用流動性を高めることにもなる。
実際、企業は経済価値、環境価値、社会価値を重視しており、社員にしても自分の仕事が社会に貢献しているという認識が、充実感や、やる気につながる傾向が強い。この変化をよく踏まえ、労使間でも協議を深めていく必要がある」民間と行政は全く違いますが、発言されている内容は、行政にも当てはまらないかと言われると全くそうではないと思います。
そのほかにも、モチベーションを上げることはできると思います。例えば、自分が得意なことや意欲を持って生き生きと仕事ができる業務内容かどうか。幸いなことに、市役所には様々なジャンルの業務があると思います。
そこでお尋ねします。適材適所な人材の使い方はされていますか。
○総務部長(笹野修一君)
今、適材適所な人材の使い方がされていますかという御質問をいただきました。先ほど来からあります職員の数といいますか、限られた人的資源、こういった中で、特に人事の中で言いますと、それぞれ所属長からのヒアリングというのを当然やります。上司がどう部下を見ているかというところがまず1点と、あと職員個人のほうからも、自己申告書制度というのを設けておりまして、今やっている仕事の中で、いろいろな難しいところとか、そういったところをいろいろ聞き取る場面もありますし、希望する仕事、職種、どういったところを自分の強みとして生かしていきたいというようなところをしっかり聞き取るという制度もございます。
こういった双方向の取組もありますし、あるいは先ほど来から出ております人事評価、こちらも人事管理の基礎とするということで定義されております。こういったものを活用しながら、組織や事業の継続性の確保、あるいは職員の意欲や希望を可能な限り反映させるということで、中には他市の例がございましたけれども、年齢にもこだわらず、意欲や能力のある若い職員につきましても、いわゆる抜てき人事みたいなものもこちらも取り組んでおります。
こういったことで、適材適所の人材配置になるように努めているというところでございます。
○早川幸汰君
完全には希望に沿えていない現状だとは思いますが、それにしても、人によっては自分に合った環境で働けている職員の方もいるということですね。ただそういう方たちも、長い間その課で働けるかと言われると、数年で異動だったりという感じのこともあるかと思います。
働かないおじさんが、合理性もなく自分より少ない仕事量で給料を多くもらう仕組み、何のためにあるのか分からない目標に向かって取り組む仕事。市民からは非常に褒められにくい仕事内容、ついでに上司からも褒められにくい。おまけにクレームのほうが多いという始末。自分の力が最大限発揮される可能性がある職場で仕事のできる確率は低く、意味は非常に伝わりますが、数年でがらりと変わる業務内容、これらによって、モチベーションが下がりに下がり、止まることを知らないといった感じでしょうか。それでもみんな何とか働いています。ですが、やはりここ数年は自己都合で退職される方がとても多いことは肌で感じているのではないでしょうか。
今の市役所では、働くモチベーションを高めたり、維持できる要因が非常に少ないと感じます。僕もそれで退職した職員の1人です。業務以外の時間外で手当がつかない仕事をどれくらいさせていますか。有休は消化させていますか。有休取得時の理由は必要ないのに、聞いたりしていませんか。休みを取ること自体、言い出しにくい環境ではありませんか。忙しい時期に休むのがそんなに駄目ですか。それぐらい配慮しろよというのも違うと思います。
これは現実的ではないですが、給料も今の2倍ぐらいもらえたら、めちゃくちゃ優秀な人材が集まると思います。ですが、今すぐ効果があるほど給料を上げることができない現状だとは思います。それなら、せめて自分が休みたいタイミングで有休20日取るぐらい、全課で直ちにやってほしいです。僕は、給料をもらいながら休める仕組みを全て使いたがらない人がいるとは思いません。
人生の中で一つの会社で働き続けるという考えが変わっている現代において、行政も運営していかなければならないです。今の市役所は、民間に比べると、若い人材を大切にできる仕組みではないように感じます。優秀な人材ほど就職してこないし、就職してきても早期退職につながっている可能性はあると思います。意欲が高く、優秀な人材を確保するために何か大きな改革が必要ではないかと感じているのは僕だけでしょうか。
世の中にはいろいろな方法がもう既に転がっています。どうか幹部の方々には、部下のために、新しいマインドを取り入れ、意見を取り入れ、今の下関に最善の職場環境を整える方法を模索していただきたいと思います。
最後の質問です。今の人事のシステムについて問題があると思いますか。
○総務部長(笹野修一君)
今の人事システムについて問題があるかというお尋ねでございました。本市に限らずですけれども、本市を取り巻く社会情勢、非常に常に変化しております。先ほどありましたとおり、スピードも速いというところもありまして、人事全般の在り方も日々変化していき、また新たな課題も生まれると認識しております。
先ほど来からちょっと伝え切れたかどうか分かりませんけれども、より効果的な職員配置に努めるというのが1点と、それから職員研修、これは非常に私は大事と思っておりまして、いろいろな研修があるのですけれども、集合研修あるいは他の自治体の方と一緒にある派遣研修といいますか、東京であったり集合の研修所でやるところ、こういった所でやる研修の中では、他の自治体の職員、同年代ぐらいの職員と一緒になるわけです。そうしますと、非常に刺激を受けるといいますか、いろいろほかの自治体ではこんな取組をしているとか、こういうところをしっかりやっているというのも聞いて帰ると。座学でいろいろな知識を学んで帰るわけですけれども、そういった中で、併せて人の交流といいますか、知らない分野を知るというのが非常に大事と思っておりまして、こういう研修もしっかりメニューの充実を図っていきたいと思っております。
それから人事評価制度、こちらも昨年処遇への反映ということで初めて実施しましたけれども、こちらも適宜見直しをかけていって、よりブラッシュアップしたいと考えております。
こういったことをしながら、限られた人的資源に対して、職員の持つ能力をしっかり発揮するということで努めていきたいと。多様な価値観であったり、個性は当然あるわけですけれども、こういったものを生かしながら、最終的には公務能率の向上、組織の活性化、こういったことで市民サービスの向上ということにつなげていきたいと考えております。
○早川幸汰君
問題も認識されているところもあると思いますし、もっと本質的な改革が必要だと思います。
ここまで長々と話してきましたが、厳しい財政の中、少ない人員で効率と能力を上げて業務に取り組むことで、かなりの問題が解消されるのではないかと思っています。情報共有ツールに関しては、特に効果てきめんだと思っています。そして何度も言いますが、それが下関にとってかなり有益になると思います。
今下関では、唐戸、あるかぽーと地区、安岡複合施設、港湾の埋立地、総合体育館、下関球場のスコアボード、長府苑の購入等、いろいろなプロジェクトが動いています。自分としても、興味や異論があるものに関してはしっかり関わっていきたいという思いがあります。前田市長も度々言われる、投票率が低下し続けている問題に関しては、個人的には一番対応していきたいと思っています。
茨城県のつくば市では、来年2024年の市長選と市議選をインターネット投票で実施することを目指し、準備を進めています。経過がよければ、すぐさま本市でも導入できるように動きたいところですが、今の下関には、それを理解してすぐさま導入するまでこぎ着ける土壌は育っていないと思います。
今の、少しのことでも変えることが難しいのはよく分かります。でも、今まで独自の進化をしてこなかった、あるいは拒んでこなかった差がほかの都市との差の全てだと思います。衰退していく中で、下関が何かを解決していくためには、圧倒的にマンパワーが必要になっています。派手なところにお熱になるのも分かりますが、下関市役所として動いていくエンジンである組織や人材をより強いものにして、もっと効率や精度を上げて、同じ方向へ戦っていきたいと思います。以上で質問を終わります。(拍手)
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