録画放映

第2回定例会
6月16日(金) 本会議(一般質問2日目)
創世下関
林 透 議員
1.沿岸漁業対策について
2.公共交通について
【下関市議会 本会議確定版】

○議長(香川昌則君)
 8番、林透議員。(拍手)
  〔林透君登壇〕
○林 透君
皆さん、おはようございます。創世下関の林透と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
〔手話を交えながら発言〕
○林 透君
それでは、一般質問に入らせていただきます。
1番目の沿岸漁業対策についてですが、まず初めに、沿岸漁業の現状を確認するため、豊浦統括支店内で豊浦町と豊北町の漁業者数、いわゆる正組合員数、その直近とその10年前または15年前の数及び減少率を教えてください。
○農林水産振興部長(植木純治君)
 沿岸漁業の現状について、漁業者の数についてお答えいたします。下関市水産統計年報に基づいて、令和3年のものになりますが、豊浦管内では正組合員数が119人、10年前の平成23年では210人で、減少率は43.3%となっております。
次に豊北管内では、正組合員数が420人、10年前の平成23年では602人で、減少率は30.2%になっております。
○林 透君
特に豊浦のほうは10年で半減に近いという数字になっております。結構危機的な状況、漁師の方が10年で半分になるという状況ですので、何らかの対策を今から取っていかないといけないと思っております。
それでは次に、現在も様々な沿岸漁業対策事業は行っているとは思いますが、その内容と現時点での評価、これをどう捉えているのかお答えください。
○農林水産振興部長(植木純治君)
 本市の沿岸漁業の施策とその評価についてお答えいたします。
沿岸漁業に対する施策としましては、主にニューフィッシャー確保育成推進事業に取り組んでおりまして、新規漁業就業希望者の研修から就業、定着までの一貫した支援体制を整えております。
また、本市の水産資源の維持増大を図るため、吉母にあります栽培漁業センターにおきまして、漁業者から要望のある魚種の中間育成、種苗生産事業を行うなど、放流用種苗を漁業者へ提供するとともに、放流効果調査や漁場調査を行うなど、栽培漁業の推進にも取り組んでおります。
さらに、漁業者の方が取り組む藻場・干潟の保全活動、海底や海岸のごみ収集等の漁場の保全活動に対しましても支援を行っております。
いずれの取組におきましても、漁業者からは今後も継続を希望する声が多くありまして、一定の効果が出ているものと考えております。
○林 透君
 放流事業もあるのですけれども、やはり小さい魚を放流すると、大きい魚がすぐ食べてしまうという、そういう現実もございますので、ぜひとも中間育成等々も考えながら進めていっていただきたいと思います。
それから、以前、山陰側の水温上昇などで藻場が磯焼けの状態になったときに、豊浦統括支店内の漁協で、水産大学校に協力してもらいながら調査を行ったと思いますが、その後の現状はどうなっているのか、これは市が直接的な事業主体ではないので、分かる範囲でお答え願えればと思います。
○農林水産振興部長(植木純治君)
 藻場の現状と藻場調査の結果についてお答えいたします。
本市を含む近隣海域では、平成25年の夏に海水温の高い状態が継続したことで、アワビ、サザエの餌となるコンブ科の海藻の一種でありますアラメが大量に枯死し、藻場が減少しました。その後、市内沿岸漁業者の方々が中心となりまして、藻場の保全活動を開始されまして、水産大学校の協力を得ながら藻場の状況について定期的な調査を行っておられます。
本市では、漁業者の方々のこれらの活動に対しましても、支援を行っております。本市栽培漁業センターにおいて、種苗生産したアラメ種苗の配布を行うなど、藻場の回復に向けた取組を行っております。
現在、水産大学校の協力の下で、アラメは回復の傾向にあるものの、平成25年以前の状況には戻っていないため、今後もこれらの藻場保全活動を継続して行っていく必要があるものと認識しております。
○林 透君
 少し回復はしていると思うけれども、以前のようにはなっていないということですけれども、これは本当に山陰の海のサザエ・アワビの大切な餌というか、それがないとなかなかほかのほうまで影響されるので、継続して調査なり保全活動をやっていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
それでは、次に2番目の――すみません。その前にもう1個ありました。近年、山陰の魚もなかなか獲れなくなっていると、私は山陰のほうが地元なのですけれども、よく耳にします。今お示しいただいた沿岸漁業の現状の中で、漁業者数とかいろいろありますけれども、もちろん第一義的には漁業者が漁業改革に主体的に動いていくことが大前提ではありますが、沿岸漁業の漁獲量も減少していることを、下関市としてどのように捉えているのか、お答え願えればと思っております。
○農林水産振興部長(植木純治君)
 藻場の先ほどの状況や漁獲量の減少など、沿岸漁業の現状についてお答えいたします。本市の沿岸漁業におきましては、漁業就業者の減少、高齢化による水揚げ量の減少や海洋環境の変化に伴い、生息する魚介類に変化の兆しが見られること、また資源管理の必要性などを問われることなど、多岐にわたる課題があると認識しております。
こうした沿岸漁業の現状には、簡単に克服できない課題が多くあります。しかしながら、本市沿岸漁業の振興と発展につなげるために、今後も漁業者の方々と協力して、これらの課題の解決に向けて取り組んでまいります。
○林 透君
 続けてお願いいたします。ここにいる皆さん、多分山陰産のお魚は、日本で一番おいしいと思っていると思いますけれども、その魚が少なくなってなかなか食べられなくなる。あるいは観光に提供していくことに関しても、数が少なくなっていくという現状がございますので、ぜひともここら辺は、下関の山陰側で育ったおいしい魚がもっと食べられるように、また努力していっていただければと思っております。
続きまして、ブルーカーボン事業の取組について、下関市でも漁業者の要望によって、下関港の福浦地区で国の社会資本整備総合交付金を使って藻場の整備などを行っておられます。これもブルーカーボン事業の一つではあると思いますが、そもそもブルーカーボンとは何なのか。また、ブルーカーボンのメカニズムについて、分かる範囲で教えてもらえればと思います。よろしくお願いいたします。
○農林水産振興部長(植木純治君)
 ブルーカーボンの定義についてお答えいたします。ブルーカーボンとは、海洋生物の働きによって、海洋環境に吸収・蓄積されている炭素のことで、2009年に国連の環境計画の報告書によって定義されております。植物は光合成によって二酸化炭素を吸収しますが、陸上の植物によって蓄積される炭素が「グリーンカーボン」と呼ばれるのに対しまして、海藻等の海洋植物が成長する際に蓄積される炭素が「ブルーカーボン」と呼ばれております。
近年の研究で、海洋生態系の二酸化炭素吸収量が大きいことが分かりまして、ブルーカーボンは地球温暖化の原因とされる二酸化炭素の新たな吸収源として注目されております。
次に、ブルーカーボンのメカニズムについてお答えいたします。植物の光合成によりまして二酸化炭素が吸収されますが、海藻等の海洋植物の光合成や成長によって蓄積されます炭素は、海藻が枯死した後も海底に堆積し続けることにより、炭素が固定化されます。
また、炭素は海洋中の食物連鎖によって、魚などの生物に捕食され、その魚の死骸も海底に沈むことで、さらに海中に炭素が固定化されます。陸上植物によって固定化された炭素は微生物によって分解され、再び二酸化炭素として空気中に放出されますが、海底に蓄積された炭素は無酸素状態となり、微生物による分解が抑制されるため、二酸化炭素の吸収や蓄積が大きくなり、新たな吸収源として現在注目されております。
○林 透君
 次に、ブルーカーボン・クレジットというのがありますが、これがどういうものか分かる範囲で教えてください。またJブルークレジットというのもありますけれども、それも含めてお願いいたします。
○農林水産振興部長(植木純治君)
 J-クレジット制度についてお答えいたします。J-クレジット制度とは、省エネルギー設備の導入や再生可能エネルギーの利用による二酸化炭素等の排出削減量や適切な森林や海藻群の管理による二酸化炭素の吸収量をクレジットとして国が認証する制度でございます。Jブルークレジットというのは、その海洋版、海版ということになります。
○林 透君
 分かりました。今言われたように、ブルーカーボンの主役は浅い海の海藻類です。磯焼けの原因の一つは、森林伐採や護岸整備などによって、藻類の生育に必要な栄養分である鉄分が減少していることと言われております。
藻場を増やすことは並大抵のことではないとは思いますが、今盛んに研究されているのが、製鉄所が鉄を作るときに出る副産物のスラグという、いわゆる鉄のごみですが、これが海中投入によって、藻場が増殖していくということがあります。これは研究、実証の段階は、私は既に終わっていると思いますが、まだまだ途中という学者さんもおられます。
いずれにしても、海のいろいろなことというのは、工事にしても何でもそうなのですけれども、ここをいじったから解決するということはもうほぼありません。海流の関係等とかでテトラを投入しても、そこから遠く離れたところに影響が出るとか、角島大橋にしても、橋脚が和久のほうの海岸で岩が打ち上げられた。そういう影響もあるのではないかとも言われておりますので、とにかくやれることはやってみるという意味で、ここまで実証できている事業であれば、ぜひとも進めていきたいと思っております。そんな現状の中で、ここまで研究とか実証が進んでいるということは、本当にブルーカーボン事業というのはすばらしいことだと思っております。
これまでの質問を踏まえて、少し私が調べた国内の事例を紹介いたしますが、まず国土交通省は、脱炭素社会の実現に向けて、港湾においてカーボンニュートラルポートの形成に取り組み、その一環として、ブルーカーボン生態系を活用して、港湾、沿岸域で環境価値の創出に関する検討を進め、今般、横浜港それから神戸港、そして山口県の徳山下松港、お隣の北九州港において、藻場や干潟の保全活動により創出したCO2吸収量を企業等の間で試行的にクレジット取引されるようになったとあります。近所でももう大分進んでおります。
それから日本製鉄は、2004年から全国38か所で鉄鋼スラグを使った海藻藻場の造成に取り組み、藻場が回復、再生し、漁獲高が向上したことが報告されています。また、それによりJブルークレジットが発行されています。
また、JFEスチールは山口県岩国市の神代漁協と宇部の宇部高専と共同で「岩国市神東地先におけるリサイクル資材を活用した藻場・生態系の創出プロジェクト」を展開し、国土交通省認可のJブルークレジットの認証を受けています。これも多分スラグを使った再生事業が基だと思っております。海藻藻場の分布が拡大したと結果的にはあります。
また、大手ゼネコンの鹿島建設は神奈川県葉山町の研究所で、建設で培った技術を海の保全に生かすため、アラメやカジメの種苗を通年で生産できる技術を確立し、海藻を陸上で育てることができるようになっております。
ほかにもたくさんの事例があり、ブルーカーボンの研究がスピードを上げながら進んでいますが、中でも特に皆さんに御紹介しておきたいのは、水産研究・教育機構がこのブルーカーボン研究に大きく関わってきていることです。御承知のとおり、この水産研究・教育機構というのは、ここの水産大学校の母体であります。そこが大きく関わっているということです。
今までのことをまとめますと、鉄鋼スラグという製鉄時のごみを海洋利用し、藻場の再生に取り組むと、少し時間はかかりますが、藻場が再生して、まず貝類の餌となり、魚の産卵場所となり、また稚魚の育成場ともなって魚が増えていく。加えて、藻場の海藻等はCO2を吸収し蓄積し、また枯死したブルーカーボン生態系は、堆積し埋没し続けることによって炭素が蓄積され、そしてそこにとどまることはなく、沖へと順次流れていき、永年にわたり蓄積されるということです。
なおかつ、その吸収量によって、クレジットとしてその製鉄会社等に買い取ってもらえるという、これは一石三鳥から四鳥くらいの効果があると思います。
藻場の再生は豊かな海を育て、全ての市民に関わる大変重要なものでもあります。
様々な自治体で、このブルーカーボン事業を取り入れた事業が進められていますが、沿岸対策は本市の重要課題でもあり、三方を海に囲まれ、なおかつ水産大学校も所在する本市にとって、この事業の取組はうってつけと思いますが、今後の取組について、いかがお考えでしょうか。
○農林水産振興部長(植木純治君)
 ブルーカーボンの取組について、現在、本市の沿岸漁業者は、水産大学校の指導の下、海藻を食べ尽くすムラサキウニの除去や有用な海藻であるアラメの種苗を投入するなどの藻場の保全活動に取り組まれておりまして、本市もその活動を支援しております。
これらの活動は、豊かな漁場を取り戻す漁場保全の効果に加えまして、二酸化炭素の削減、すなわちブルーカーボンの推進につながる取組と考えております。
沿岸漁業の振興におきまして、今後、ブルーカーボン事業の取組が一層図られる必要性があることから、その可能性について、水産大学校など関係機関と協力しながら、沿岸漁業の持続的な発展について支援を行ってまいりたいと考えております。
○林 透君
 なかなかブルーカーボンだけやればいいということでもないと思いますが、藻場を再生させるための一つの手法として、ブルーカーボンがある程度役に立っていくという実証ができたことは事実ですので、ぜひとも少しだけでもそういうものを取り入れていただきたいと思うし、ガゼの件にしても、陸上で実をつけて、キャベツをやって実をつけて出荷していくというような、6次産業化したものもございますけれども、もともと藻場が再生して藻がいっぱいあれば、ガゼもいっぱい御飯を食べて身をいっぱいつけて出荷できるという状況にもあります。これガゼだけではなくて、ほかのものもそうです。だから本当に身がついていなくて邪魔になってしようがないガゼが生きるような生き物になっていくということにもなりますので、ほかの自治体の状況も見ながら、ぜひとも下関にもいろいろな形で取り入れられるようなことを進めていっていただきたいと思います。
これは結果的に無理だったら仕方ないのですけれども、まずはやってみるということをやっていただきたい。というのがやはり下関、山陰でいえば、下関から彦島からずっと豊北町の海までは、本当にいい漁場がありますので、ぜひともそこで藻場を回復させて、魚がたくさん獲れるような状況をつくっていただければ、漁師になっていただける方も少しは増えて、それがお金になって、また漁業も発展していくという、いい連鎖が続くと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、ニューフィッシャー事業についてお伺いいたします。
まず、この事業の開始年度、それから2年間の研修の修了者数と、そのうち修了した方の中で漁業者になった方の率、いわゆる就業定着率を教えてください。
○農林水産振興部長(植木純治君)
 本市の行うニューフィッシャー確保育成推進事業は、平成15年度より開始しております。現在までに支援制度を利用し、研修の後、市内で漁業者として就業された方は32名、そのうち豊浦管内では9名、豊北管内では14名となっております。
就業後に離職された方は、旧市内で1名、豊北管内で1名の計2名でございます。また現在、豊浦管内で1名、豊北管内で1名の計2名の方が研修受講中でございます。研修修了後の定着率は100%と、非常に高い効果が現れております。
○林 透君
 豊北の平成15年というのは、ほかに先駆けて、早めに進んだのではないかと思いますけれども、それにしても定着率が100%、皆さんが卒業されて漁師になっていただいているという現実がございますので、ぜひともこの事業は進めていっていただきたいと思います。ちょっと後先になるのですけれども、このニューフィッシャー事業のもともとの目的を教えてください。
○農林水産振興部長(植木純治君)
 ニューフィッシャー確保育成推進事業は、漁業者の高齢化と就業者の減少に対する施策として、国や県の制度を利用し行っております。
当初は、漁業技術の習得のための研修に対する支援制度でございましたが、研修開始時や就業直後のこの時期に、ニューフィッシャーの方が漁業活動を継続する上で抱える課題を解決するためや移住・定住に関する支援、それから就業直後の技術が未熟な時期に自立を促す支援、漁船や漁具の購入に対する支援など、支援内容は拡大されております。
当初の目的は、新しい漁業者を確保することのみでございましたが、現在ではその漁業者を育てること、本市に定住を促すこと、漁業操業環境を充実させることと、目的も大きく広がっております。
○林 透君
いろいろ要求が広がっていくということなのでしょうけれども、私は第1番目には、本当に漁業を持続的に発展させていくためには、そういったことをやっていかないと、なかなか高齢化とか漁業者数が減少していく中で、続いていかないということが根本にあったのではないかと思っております。
事業に取り組んでもう20年になることが分かりました。この事業で育った漁師が、もう既にこの事業で、ニューフィッシャーで育った人がニューフィッシャーの親方になっている時代になっております。
それからニューフィッシャーで育った方が単位漁協のベテランの漁師さんがいるにもかかわらず、その中の組合長というか運営委員長に既になった方も何人かおられます。こういう時代になっているということです。
ニューフィッシャーという事業の漁業者、ニューフィッシャーで育った方というのは僅かかもしれませんけれども、漁業者全体から見れば、本当に数は少ないと思いますが、私としてはもう第2段階に入っているのではないかと思っております。1次的な者が巣立って、次の第2段階で巣立ったニューフィッシャーを活用した今までの漁師さんの感覚ではなくて、新しい感覚でぜひとも山陰の漁業改革をやっていただきたいと思いますし、もうそれが必要な時期になってきていると思います。そういった点については、市のほうは何かお考えがあるでしょうか。よろしくお願いいたします。
○農林水産振興部長(植木純治君)
 ニューフィッシャーの事業が開始されて約20年が経過しております。ニューフィッシャーとして漁業に就業された方が、師匠として新しいニューフィッシャーを育てる時代も、もう来ております。
議員が言われたように、ニューフィッシャーの中から漁協の役員に就任された方など、地域の中でその能力を発揮されていると聞いております。
これまで行ってきた本市のニューフィッシャー確保育成推進事業には一定の効果があったものと評価しつつ、これからも発生する様々な課題に向けて、必要な支援を行ってまいりたいと思っております。
○林 透君
 今後とも、ぜひニューフィッシャーと一緒になって、沿岸対策を確実に進めていっていただきたいと思います。また、ニューフィッシャーのちょっと情報はないのですけれども、横のつながりというか、卒業された方々の協議会というか、何というか親睦会というか、そのようなものがあれば、いろいろな情報交換ができると思いますので、もしなければ、そういったものを行政のほうから、またお願いをして発展的な議論が中で形成できるような組織体も、せっかくですから、もったいないですから作っていただければと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
それから、最後の4番目の今後の対策についてですが、藻場の再生が豊かな海をつくり、海でニューフィッシャーが新たな感覚で漁業を捉え、活躍そして操業していく。海洋レジャーと協力して稼ぐことも必要となってくるでしょう。育てる漁業も必要です。
少し夢のような話ではございますが、私が育てられた山陰の海はぜひそうあってほしいと思っております。特に、ブルーカーボンについては、いろいろ研究してみていただきたいと思います。
これからの大切な山陰の海の沿岸漁業化対策について、前田市長のほうで何かお考えがあれば、よろしくお願いいたします。
○市長(前田晋太郎君)
 漁業、特に沿岸漁業に対する御質問をいただきました。漁業も幅広く言えば、下関では沖底の遠洋漁業から、また養殖を頑張っている方々もいらっしゃるし、それに対する流通に従事している方、そして市場関係者、やはり漁業でこれまで栄えてきた下関でありますので、また魚、漁業を通じて、これからまた盛り上げていかなくてはいけないのですが、御承知のとおり、そして今、林議員がいろいろお話ありましたとおり、苦しい現状がいろいろあるということでございます。
また沿岸漁業につきましては、私ももともと新地、伊崎が地元で、魚が好きで海が好きで、水産を学ぼうと思って長崎大に進んで、下関の海を盛り上げようと思って出ていった人間ですので、やはりこの今の状況というのは非常に苦しい、悔しい状況でもあります。
漁業者の方々の、特にやはり若い方々、ニューフィッシャーをいかに育てるかということについては、今お話させていただいたとおりでございますが、この我々の体制というのは、これからも当然切れ目を持たせることなく、絶やすことなく、継続してさらにいいアイデアがあれば予算投入もいとわず盛り上げていかなくてはいけないと、もちろん思っております。
そしてブルーカーボンにつきましては、藻場の育成については、実は私が7年前に就任をしたときに、漁協関係者の方々から、非常に最近磯焼けの状況が厳しいので、藻場を育成するように、ちょっとずつでもいいから支援してくれないかということで、最初の年にたしか70万円の補正予算を、一番最初の予算で70万円ほどつけて、少しずつ藻場をつくっていこうということで、三、四年続けて、今コロナでちょっと様子を見ている状況ではあるのですが、せっかく今日議員から御質問いただきましたので、改めてまた確認をさせてもらって、例えば継続していこうと。六連の周辺の海もかつてはバフンウニがたくさん獲れて、六連島の瓶詰ウニの生産の基になっていたわけですが、そういったことも今すごくできなくなってしまっているような現状もあったり。やはり沿岸漁業の皆さんが元気にならないと、ちょっと沖底とかフグとか鯨とかとまた違う世界、同じ海でも違う世界でありますので、力を入れてやっていきたいと思っています。
若い人たちが、もう少し海に、そういった漁師のすばらしさというか、仕事のすばらしさに関心を持ってもらいたいというのがすごく思うのですけれども。今の若い人たちは、この漁業にかかわらず、すごく自分の携帯の端末で情報を取って、自分のやりたい道とか、やりたい会社とか、いろいろなものを検索していく。好きなものをYouTubeとかで探したりというところで、私が最近一つはまっているYouTubeがありまして、小豆島の漁師ユーチューバーで「はまゆう」という若い漁師がユーチューバーをやっているのです。登録者数がもう数十万人で、出すたびに10万、20万ヒットするのですけれども、どういうことかというと、この人、朝「おはようございます」とか言って、夜中に目が覚めて映像を映して、ねぼけた顔を写して「今から漁に行ってきます」と言って、ぱっと着替えて、真っ暗な中船を出して、ブーンとだんだん明るくなっていく景色を写して、投網をして「ただいま」と。また「網を取りにいきます」と回収したところに、「タイが上がってきました」「ヒラメが上がってきました」「サワラが上がってきました」こういうことを延々とやって、最後に港に上げたら「今日は幾らになりました」「今日は獲れなかったので赤字です」とか「今日はたくさん獲れたので、黒字です」とかそういうことで、最後は自宅で料理を自分でやって、すごくおいしそうな料理、漁師がしたらこんなこともできるというようなことを紹介しているような番組があって、そういった世の中、すごく変化、残念なほうに変化をしてきている一方で、そういう明るい情報もあって、こういうのを少しでも、他力本願ではないのですが、こういったことにヒットした若い人たちが、少しずつでもこれから漁師のすばらしさを知って続けていただけるといいと思うし、その中で、下関はやはり漁場としてはものすごくすばらしいポテンシャルがあるのです。
私が3年前ぐらいに蓋井島の奥に船を出してもらって釣りに行ったのですけれども、80センチぐらいのハマチとブリが4人で30本釣れたのです。ヒラメも5枚釣れて、ほとんど逃がしましたけれども、もう食べられないので、それぐらいやはり、すごくいい漁場だそうです。ハマチを釣りたい人たちは、この山陰の海か福岡の玄海灘がすごくいい漁場で、それを求めて、二、三日かけて旅に来たりとかいう方もいらっしゃるぐらいなので、決して暗い話ばかりではなくて、このすばらしさを発信することで、いかにまたそれを下関の定住人口につなげたりとか、前向きにいろいろ考えていきたいと思っております。
豊北町は特にサワラ漁とかイカもそう、安岡のアカウニなども世界に通用するおいしいウニだと思いますし、北海道より全然うまいと僕は思っていますので、ぜひ皆さんでまた応援していただければと思っています。どうぞよろしくお願いします。
○林 透君
 市長も海が好きなので、いろいろなことをよく分かってもらえると思いますけれども、なかなかやはり海といえば、右から左に事業は進んでいきませんので、地道にやっていかないといけないと思います。
それで、今思い出したのですけれども、涌田という漁業組合があるのですけれども、黒井の涌田という漁協があるのです。ここは皆さん半農半漁――漁業しながら農業もやっているという方が多くて、今ちょっといろいろな面で県漁協に入っていないので、大変苦しい状況にはありますけれども、もともと農業しながら漁業される方というのは発想がやはり違うのです。あそこはもうずっと昔から養殖をやっている。だから魚は育てて、出荷というかやっていくという、基本的なものが身についたものではないかと思うのですけれども、そういったものも、ほかの漁師さんは勉強してもらいたいと思いますし、さっき言われたようにガゼは餌がないから殻だから獲ってから陸に上げてキャベツ食わせて出荷すると。もともと藻場があれば、そこで実がつくわけですから、その手間はいらないわけで。だから元になる藻場の再生というのをまずは考えていかないと、なかなか難しい。それにはやはり漁師さんの協力が要るということで、私も頑張りますので、また行政としても御支援のほどよろしくお願いいたします。
ということで、次の質問に移らせていただきます。次は公共交通についてですが、この質問はあくまでも四町についてのものでありますので、初めにお断りしておきます。
まず、四町での空気ばかりを運んでいる――私は定時定路線という方式はもう既に崩壊していると思っております。この点についてどうでしょうか。
また、旧市内と旧四町、旧市内にも四町に近い場所、地域はありますが、それぞれ環境が違う中で一緒には考えられないと思っております。
公共交通もない、どうしようもない地域が存在していることを認識していただきたいのですが、どう考えているのでしょうか。お願いいたします。
○都市整備部長(清水 悟君)
 総合支所管内の公共交通につきましては、主に豊浦、豊北、豊田地域におきまして、29路線の廃止路線代替バスを運行しており、また路線バスを補完することに加え、住民の移動手段の利便性向上のため、主に菊川、豊田、豊北地域で市生活バスが運行を行っております。
市生活バスにつきましては、菊川地域で6路線の定時定路線運行と1路線の予約制運行の合計7路線、豊田地域で4路線の予約制運行、豊北地域で2路線の定時定路線運行を行っており、乗車1回につき100円で御利用いただいております。
なお、廃止路線代替バスや市生活バスにつきましては、主に旧市内で運行されているサンデン交通株式会社の路線バス135路線に比べますと、路線数及び利用者数が少ないところではございます。しかしながら、総合支所管内の路線バスや生活バスは、市民生活の足として大変重要であるため、地域の皆様の通院や買物などのニーズに合わせて、運行区間や時間帯などについて随時見直しを行うなど、利便性の向上を図っているところでございます。
○林 透君
 現実には、JRもバスも地域の環境や状況とマッチしていない。これは四町ですけれども、これは今後も調査と思いますが、これは余談になるのですけれども、JRにしても、この間協議会ができたとお聞きしたのですけれども、まずは民間事業所であるから、利用促進のための、まず自分たちで自助努力をして利便性を増すようなことを考えていただきたいと思っております。
私は山陰線沿いに住んでおりますので、地域の方がボランティアでいろいろな草刈りとか何とかいろいろやっていますけれども、なかなかJR――してあげても何も返ってこない。「ここをちょっとして」と言っても何もしてくれないという現状がありますので、地域のほうは「そんなにJRが協議会を作って乗ってくれ乗ってと言っても、それはあんたらが悪いのだろう」と言われる人もおりますので、それはよくJRのほうで自覚していただきたいと思います。JRについては、たくさん言いたいことがあるけれども、もう切りがありませんので、これは余談として聞いておいていただきたいと思います。
次に、豊浦町には住民にマッチした事例がございます。豊浦町の薬局運営の無料バスがございますが、これは御存じでしょうか。
○都市整備部長(清水 悟君)
 NPO法人による無料のバスにつきましては、豊浦地域に加え、豊北地域の特牛地区まで運行しており、利用者も多いと聞いております。公共交通ではございませんが、移動手段の一つの事例として、今後の公共交通体系を検討する上で参考にしたいと考えております。
○林 透君
 これは病院に行くために、不自由な地域の方々を援護しているのですが、最初は豊浦町南部から始まって北部もエリアとされ、次に豊北町の南部もエリアに入っております。市民ニーズに――これは手を挙げればどこでも停まってくれるバスなのですけれども、その代わり、行先とかは限定されております。買物はついでにいいということですけれども、これこそが市民ニーズにマッチすれば、利用されていくという良い事例ではないかと思います。
ただ、これは無料バスなので、こういったものが広がっていけば、今ある既存の民間バス事業者にも影響が出てくると思いますし、そこも考えないといけないと思っておりますので、これは行政のほうで、市民の立場でうまく調整というか、お話合いをしながら、抑えるなり何なりしていかないと、あまりにも突出するといろいろな問題が起きると思いますので、これもまたよろしくお願いいたします。
それから2番目のタクシーの利活用についてですが、昨年の豊浦町で大変困った状況に陥った事例がありますので、ちょっとそれを御紹介していただきたいと思います。
豊浦町には2社のタクシー会社があったのですが、昨年の4月1日に1社が夕方6時からの営業を運転者がいないということで営業を休止しております。残りの1社が去年の10月に倒産しました。豊浦町には、夕方6時以降のタクシーが皆無、何もないという状況になって、それは夜、食事に行かれる方も困るかもしれませんけれども、一般の方も困ったという状況になってしまいました。町民全体が困った状態に陥り、このときタクシーは、地域の重要な公共交通インフラの一部であり、これまで存在が当たり前と考えていたことが私の中では崩れました。6時以降の営業をやめていたタクシー会社に運行の要請をしましたが「運転手を探してくれれば、タクシーは何台でも回すよ」と言われました。運転手を探したのですけれども誰もいませんでした。このときにタクシーの売上が相当落ち、賃金も安く、運転手が集まらないことを初めて認識しました。
運転手はより賃金のよい、ほかの業種、中・長距離トラックなどへ流れていっているのが現実です。タクシー会社自体、収益性が落ち、運転手の処遇、待遇の悪化の問題も認識しました。収益の悪化イコール賃金の低下イコール運転手不足イコール倒産とつながっていきかねません。地域にタクシーがなくなれば、地域住民全体が困る状況になり、市民生活に影響が出ます。
取りあえず、残るタクシー会社さんへ何度も何度もお願いをしたら、そのタクシー会社の社長さん自らが、運転手がいないので、6時以降の営業を1台だけしてくれました。今でも6時から12時近くまで社長自ら運転をしてくれているようです。そのうちに市内のタクシー業者が1社進出してきましたので、現在はどうにか夜間の営業もできておりますが、これも売上次第ということで、いつ撤退があるか不安でなりません。
このときに行政として何か調整はできたのか、一応報告はしたのですが、もし何もできなかったとしたら、それで市民の福祉を守るということができるのでしょうか。
過疎地の免許返納問題がありますが、これにしても田舎のほうでは90歳、100歳になっても車を運転しなければならない現実、生活ができない現実がございます。車が走る凶器とならないためにも、免許返納時の対策をしっかりつくってもらいたいと思います。
大体、足腰の悪い高齢者に遠いバス停まで行かせることも限界です。豊北町の場合は家からバス停まで相当距離もあります。タクシーも公共交通の一部として強く捉えること、持続性を担保するのであれば、田舎でのタクシーを活用することはとても大事なことだと思います。
もちろん、利用目的や対象者は限定してからのことですが、タクシーを使った制度設計はできないものでしょうか。それで既存の路線バスに影響が出るのであれば、スクールバスやほかの事業等を代替として考えればよいと思っております。本当にタクシーがなければ、地域住民全体に影響が出ます。タクシー会社の存続を考慮した制度を真剣に考えていただきたいのですが、いかがでしょうか。
○都市整備部長(清水 悟君)
 各総合支所管内においては、公共交通がカバーできていない部分を補う移動や高齢者及び運転免許証返納者等の移動手段の確保が必要であることは認識しております。また、タクシー事業者が抱える運転手の不足や高齢化、夜間運行の廃止等により、一般住民の移動手段に影響があることも大きな課題として捉えているところでございます。
今後も引き続き利用者のニーズや利用状況を踏まえて、将来あるべき公共交通体系の検討と合わせて、公共交通とは異なる観点の施策についても、総合支所や関係部局と協議連携を図ってまいりたい、行ってまいりたいと考えております。
○林 透君
 それでは最後の三つ目の今後の対策についてですが、市の地域交通会議が今年度法定協議会に改められるとのことですが、今まで述べたように、旧市と四町では、ベースとなる環境が全く違います。そうなると、一緒くたに協議をしていくということは考えられないのではないでしょうか。また、四町でもそれぞれ環境と実情が違います。協議会の中で何らかの四町を考えるところ、できれば四町それぞれの町を考えてもらえるところをつくっていただきたいのですが、部会なり分科会なり、つくっていかれるお考えはございますか。
○都市整備部長(清水 悟君)
 下関市地域公共交通協議会では、今年度から地域公共交通計画の策定に取り組んでおります。同協議会において協議・検討する際は、各総合支所管内の課題や利用者のニーズなど、御意見を丁寧にお聞きして、効果的な計画の見直しに向けて、議員御案内のタクシーの課題につきましても、それらも含めて協議・調整を図ってまいりたいと思います。
○林 透君
 今言ったように、やはり旧市内のバス利用者が多いところとバスで空気を運んでいるところとは全く事情が違いますので、そこら辺をよく分科会とか、部会とは言いませんけれども、それぞれ話ができるところをまたつくって、よく協議していただきたいと思います。
この一般質問にしても、旧市内の人が公共交通を質問するのと、旧四町の人が公共交通の質問するのは全く内容が違うと思っております。田舎ではタクシーはなくてならない存在です。公共交通機関の大きな一つと認識をしていただき、大切に考えながら進めていただけることを希望して、一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
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