録画放映

第2回定例会
6月23日(月) 本会議(一般質問3日目)

宮野 直樹 議員
1.市立学校防犯カメラ設置事業について
2.新たな介護人材の確保策について
3.分身ロボットを活用した重度障害児者等の教育、就労支援について
【下関市議会 本会議確定版】


△一般質問
○議長(林 真一郎君)
日程第3 これより「一般質問」を行います。
本日は、御手元に配付の通告一覧表により、11番から15番までの通告者について行いたいと思います。
それでは、順次質問を許します。11番、宮野直樹議員。(拍手)
〔宮野直樹君登壇〕
○宮野直樹君
 おはようございます。私の名前は宮野です。どうぞよろしくお願いいたします。
  〔手話を交えながら発言〕
○宮野直樹君
それでは、通告に従い一般質問をさせていただきます。
一つ目のテーマは、市立学校防犯カメラ設置事業についてです。初めに、設置の目的と期待される効果について質問をさせていただきます。通学路や学校周辺などの安全確保は保護者の関心が高く、防犯カメラの設置は、これまでも下関市PTA連合会の要望事項で挙げられていました。
このたび、市立小・中・高等学校を対象とした防犯カメラ設置事業が補正予算で示され、最重要施策の一つに位置づけられたことを高く評価いたします。
防犯カメラの導入は、児童生徒を守るインフラとして、不審者の侵入や犯罪抑止の効果が期待されるとともに、安心・安全な学びの場を確保する上で大変重要な取組です。
文部科学省の令和5年度学校安全の推進に関する計画に係る取組状況調査結果では、全国の学校の防犯カメラの設置率は64.6%となっており、防犯カメラの設置は年々増加しています。
そのような中、東京都立川市で起きた小学校への乱入暴行事件では、保護者の知人が教室に乱入し、教員へ暴行するという極めて衝撃的な事案が起きました。このような事件を他人事とせず、安心・安全を守る観点からも、学校をはじめとした防犯体制は今後ますます重要になると強く認識すべき時代に入ったと私は考えています。
そこでお尋ねします。市立学校へ防犯カメラを設置する目的と期待される効果についてお示しください。
○教育部長(門田重雄君)
設置の目的につきましては、近年多発しております様々な犯罪から児童生徒を守るために設置するものです。
防犯カメラの設置により、不審者の侵入防止や犯罪企図者の犯意を抑制することに効果があると考えております。
○宮野直樹君
目的と期待される効果について御説明をいただきました。
次に、設置場所及び設置台数の考え方について質問をさせていただきます。政策予算説明資料によると、防犯カメラの設置台数は、市立小・中学校、高等学校63校に対して154台の設置とされています。
そこでお尋ねします。設置場所はどのように選定されるのか、また設置台数の算出根拠についてお示しください。
○教育部長(門田重雄君)
防犯カメラは、児童生徒が主に通学で使用する門や外部からの出入りが多い門を対象として、1か所当たり1台の設置を計画しております。各学校における設置台数の合計が63校に対して154台となったものです。
○宮野直樹君
設置場所の選定と設置台数の根拠について御説明をいただきました。学校によっては、校門の数など環境が異なります。学校現場の声をよく聞いて、効果的かつ万全な設置をお願いいたします。
次に、映像管理体制とプライバシーへの配慮について質問をさせていただきます。防犯カメラの設置に当たっては、個人情報やプライバシーの保護にも十分な配慮が必要だと考えます。
そこでお尋ねします。プライバシーへの配慮、アクセス制限など管理体制についてお示しください。
○教育部長(門田重雄君)
映像管理体制につきましては、防犯カメラの設置及び管理に関する要綱を作成し、管理責任者や管理責任者が指名する操作取扱者を定めることを予定しております。
防犯カメラで記録した画像の取扱いは、管理責任者や操作取扱者が行い、他の者が画像へアクセスすることを制限いたします。個人情報にも配慮し、犯罪の捜査など、真にやむを得ない場合を除き、第三者への画像提供は行いません。
なお、防犯カメラ撮影対象区域、またはその付近の視認しやすい場所に防犯カメラを設置している旨を表示いたします。
○宮野直樹君
個人情報への配慮やアクセス制限など管理体制について御説明をいただきました。
次に、設置後の維持管理体制について質問をさせていただきます。政策予算説明資料によると、防犯カメラを設置してから5年後に更新手続が予定されています。その間、適切に機能を維持することが重要です。
しかし、機器の故障や不具合が起こることも予想されます。そこでお尋ねします。防犯カメラ設置後の定期点検の実施、故障、不具合への対応や、窓口など維持管理体制についてお示しください。
○教育部長(門田重雄君)
設置後の維持管理につきまして、日常の点検は学校職員が行うことを想定しております。点検で故障等の不具合が確認された際は、学校から学校支援課に報告を行い、学校支援課はその旨を契約業者に連絡し、早急に修繕等の対応を行ってまいります。
○宮野直樹君
定期点検の実施は学校職員が担うとありましたが、適切な点検はできるのか、またそれに伴う先生方の負担など、しっかり検証しながら、必要があれば業者に委託するなど、適宜見直しをお願いしたいと思います。
次に、警察との連携強化について質問をさせていただきます。防犯カメラの設置は、安全を守る上で重要な役割を果たしますが、その効果は警察との連携によって最大限発揮されます。警察と連携強化を図ることで、犯罪企図者の侵入防止、犯意の抑制にもつながります。また、あってはなりませんが、万が一事件が発生した場合、迅速な映像提供とその映像を活用した警察の捜査活動は、犯人検挙や犯罪抑止に不可欠な要素です。
そこでお尋ねします。今回の事業を進めるに当たり、警察との事前協議や意見交換は行われたのか、また、警察との連携強化が必要と考えますが、御見解をお示しください。
○教育部長(門田重雄君)
防犯カメラの設置に関しては、警察とも意見交換を行い、教育委員会として設置検討を進めてまいりました。引き続き情報共有や協議などを行い、連携に努めてまいります。
○宮野直樹君
子供たちの安心・安全を守るために、継続的な情報共有、対応体制を構築するためには、警察との連携協定の締結が重要だと考えています。
そこでお尋ねします。警察との連携協定の必要性について御見解をお示しください。
○教育部長(門田重雄君)
教育委員会では、児童生徒の生命を脅かすような重大事案が発生するなど、生徒指導上の諸課題が多様化、深刻化する中、子供たちの安心安全を確保するためには、警察との連携が不可欠であると認識しております。
この現状を踏まえ、平成28年3月に山口県警察本部と下関市教育委員会が、双方の責任体制や連絡基準等を明確にした相互連絡制度「やまぐち児童生徒サポートライン」に関する協定を締結し、学校や家庭だけでは対応が困難な児童生徒の問題行動や非行及び被害の防止並びに安全の確保を図ることといたしました。
以前から、児童生徒の安全確保と非行防止等を目的として「下関市学校警察連絡協議会」を定期的に開催するとともに、各学校においても、適宜、警察と情報共有を行うなど緊密な連携を図ってまいりましたが、協定締結を契機として、日々の情報交換はもとより、必要に応じて協議を行うなど、一層の連携に努めているところでございます。
○宮野直樹君
子供たちの健全育成や安全確保ということで、平成28年に提携を結んでいるということで御説明をいただきました。
先日、総務委員会の視察で大阪府箕面市へ伺いました。警察は、箕面市との連携協定に基づき、防犯カメラの効果が最大に発揮されるよう、通学路等への設置場所の選定をはじめ、その他必要な情報提供や適切な助言が行われています。
また、同じく大阪府茨木市でも、警察との連携協定を結び、夜間や休日等緊急を要する犯罪への協力体制を整えています。本市においても、連携協定を結ばれているということですが、実効性のあるものとなるようにさらなる取組をお願いいたします。
この項目の最後に、今後の取組について質問をさせていただきます。市立学校における防犯カメラの設置は、その運用体制、維持管理、地域や警察との連携など、多方面にわたる体制構築が求められます。カメラの設置による防犯効果を最大限に発揮するためには、地域全体での防犯意識の向上や情報共有の強化も欠かせません。
また、子供たちの安心安全を守るためには、一過性の事業として終わらせることなく、持続的に発展させていく必要があると私は考えています。
そこでお尋ねします。地域全体での防犯意識の向上や、他部局とも連携を図り、通学路等への防犯カメラ設置など、今後さらなる安全確保策に取り組む必要があると考えますが、御見解をお示しください。
○教育部長(門田重雄君)
現在、各学校では、子ども見守り隊やPTA等との連携の下、登下校の見守り活動を行うとともに、登下校における避難場所である「こども110番の家」の協力を得て、子供の安全確保に努めております。
あわせて子供たちが見守り隊の方と一緒に通学路の危険箇所を確認しながら歩いたり、安全マップを作成する際に、「こども110番の家」への避難の仕方について学ぶなど、子供自身が安全を確保するための方法について具体的に学ぶことができる機会を設けております。
また、教育委員会では、交通安全だけでなく、防犯の観点も含めた通学路の危険箇所調査及び合同点検を行っており、警察や道路管理者とともに、通学路の安全確保に努めております。教育委員会といたしましては、引き続き学校と保護者、地域、関係機関等との連携を図りながら、子供の安心安全の確保に努めるとともに、これらの活動を通じて防犯意識が地域全体に広がり、安心安全な地域づくりにつながることを期待しております。
○宮野直樹君
先日、下関中央ロータリークラブの皆様から、こども110番のステッカーを1,000枚寄贈いただきました。私もPTA連合会の一員として、しっかり受け取って、今後学校と地域の方と一緒にそれを活用して、子供たちの安全を守っていきたいと思います。
今回の防犯カメラ設置事業は、未来を担う子供たちの安心・安全を守るためのさらなる一歩であると私は考えています。学校を起点とした安心・安全な地域づくりを、今後も行政、教育現場、地域、関係機関が一体となって進めていくことを強く期待し、この質問を終わります。
二つ目のテーマは、新たな介護人材の確保策についてです。初めに、介護人材不足の現状について質問をさせていただきます。先日、高齢者介護施設で働いている方と意見交換をさせていただきました。様々な課題がある中においても、やりがいや福祉専門職としての誇りを持って、介護の仕事をしていると語られている姿がとても印象的でした。
しかし、現場は人手不足で大変な状況であり、求人をしてもなかなか人が集まらないのが現状です。また先月、私と同年代の方から御相談をいただきました。御家族の認知症が進行し、心身の疲弊を訴えられており、仕事や生活に大きな支障を来している状況でした。すぐに福祉専門職へ相談し対応を進めているところですが、これは氷山の一角であり、今後このような事例が増えてくると予測します。
高齢化率の高い本市において、介護は欠かすことのできない仕事であり、介護人材の確保は喫緊の課題です。介護はもはや福祉の一部門ではなく、社会の持続可能性を支える基幹産業と認識すべき時代だと私は考えています。
介護人材の不足数については、令和4年3月定例会の坂本晴美議員の質問に対して、国の第8期介護保険事業計画に基づき、令和7年度に山口県全体で不足するとされる2,420人に対して、本市の介護認定者数の割合で案分すると537人となり、不足人数の一つの目安になるのではないかといった答弁がありました。
正確な人数の把握は難しいですが、現状として多くの介護人材が不足していることは間違いないと思います。
そこでお尋ねします。介護人材不足の現状について御見解をお示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
ただいま議員がお示しいただきました令和4年3月の第1回定例会で答弁いたしました、目安となる数値の最新値として、令和6年7月に国が公表しております。
その数値――こちらは都道府県単位の数値でございますが、そちらは令和8年度に、山口県は2,646人の介護職員が不足する見込みとなっております。今回も前回の答弁と同様に、この数値を本市の要介護認定者数で案分してみますと、本市の介護職員の不足人数は573人となります。
また、令和7年第1回定例会で答弁いたしました、ハローワーク下関による職種別の求人・求職者の令和7年4月末時点の状況についてもお答えさせていただきますと、常勤の介護サービス就業従事者につきましては、有効求人数218人、有効求職者数が80人で、有効求人倍率は2.73となっております。
これに比べまして、常勤職全体の有効求人倍率は1.68でありますことから、介護分野は、ほかの産業と比べても厳しい状況にあり、介護人材は不足していると、喫緊の課題であると認識しております。
○宮野直樹君
介護人材不足の現状について御説明をいただきました。では、次に介護人材確保の取組の成果と課題について質問をさせていただきます。昨年9月定例会で、ビジネスケアラーという観点から、介護人材の確保について質問をさせていただきました。
本市としては、介護人材の確保に取り組んでおり、各種事業の取組や成果について御説明がありました。加えて、令和6年度は支援金の対象に非常勤の訪問介護員を加えること、介護職員初任者研修の開催の追加など、介護人材の確保に取り組むと答弁がありました。
そこでお尋ねします。令和6年度の介護人材確保の取組の成果と今後の課題についてお示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
令和6年度の介護人材確保の取組といたしまして、介護人材の確保に向けて実施しております、介護人材確保支援事業におきます令和6年度の実績についてお答えさせていただきます。
介護職員として就職する新卒者、転職者、復職者への支援金、こちらでございますが34人に、また、外国人介護職員への転入費用等の助成、これは11人に、介護サービス事業所への事務改善費用の助成、こちらは2事業所に行いました。
また、介護職員初任者研修を豊浦町で開催し、14人が参加、また、介護職員同士の意見交換会を開催し、41人が参加しました。介護サービス事業所の経営層を対象とした外国人材の受入れに関するセミナーは、3人が参加いたしました。
また、次世代を担う小・中・高生を対象とした介護に関する出前講座、こちらにつきましては5回開催いたしまして、介護人材の確保に向けて取り組んでいるところでございます。
次に、今後の課題についてでございますが、介護人材の確保につきましては、社会全体の問題ではございますが、労働力人口が減少しており、他職種との人材の奪い合いになっている中で、いかにして介護従事者を増やしていくかということが大きな課題であると考えております。
本市の介護人材確保支援事業は、令和3年度より取組を始めまして、ブラッシュアップを繰り返しながら事業を進めているところでございますが、その成果としては、まだ十分とは言えない状況でございます。
今後も事業者の意見等を参考にしながら、よりよい事業設計に向けて引き続き研究してまいります。
○宮野直樹君
様々な事業を通して取組を行っているというところと、その事業をしっかりと今後も周知していくと。そして必要な方に届けていくことは、これはもちろん大切ですが、各業界が人手不足に悩む中、処遇の改善を図り選ばれる職業になることも極めて重要です。
先日の代表質問の答弁にもあったように、5月15日には全国知事会より、厚生労働省に対し、社会経済情勢を適切に反映した診療報酬改定等に関する緊急要望が行われています。
そのうちの一つが、介護障害福祉サービス等報酬の見直し及び財政支援です。要望内容を簡潔にまとめると、介護障害福祉サービスの報酬が物価や人件費の上昇に追いつかず、特に中山間地域などで事業継続が厳しいものとなっている。
さらに、訪問介護は、令和6年度に基本報酬が引き下げられた影響で、小規模事業者を含め、休廃業が過去最多となっている。こうしたことから、臨時改定や緊急的財政支援の実施、報酬を物価や賃金に連動させる仕組みの要望が行われています。
本市においても苦しい状況の中で、現場に従事をされている介護障害福祉事業者の方々の声に耳を傾け、特に訪問介護事業所等には、国よりも早い独自の支援施策の実施を要望いたします。
それでは次に、多様な人材の確保について質問をさせていただきます。タブレットの資料を御覧ください。
〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○宮野直樹君
この資料は、令和7年第1回社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会のものです。「2040年に向けたサービス提供体制等のあり方検討会」中間まとめを踏まえた論点が記載されています。
そのうちの一つに、若者、高齢者、未経験者などの多様な人材をどのように確保していくのかということが挙げられています。また、先ほど御答弁にあったように、近年では外国人介護人材確保の取組も進んできています。
そこでお尋ねします。若者、高齢者、未経験者など多様な人材の確保について、現在の取組をお示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
多様な人材の確保につきまして、まず、高齢者に向けた取組といたしましては、令和5年度にお元気な高齢者などが新たな人材として介護分野へ参入していただくことを目指しまして、「これからはじめる介護の仕事入門講座」と題した入門的研修を豊北町で開催し、12人の参加がございました。
外国人の人材確保の取組といたしましては、先ほどもお答えいたしましたが、令和6年度に外国人介護人材の受入れに関するセミナーを開催いたしました。令和7年度は、外国人介護職員への転入費用等の助成を引き続き行うことで、多様な人材の確保に取り組んでまいりたいと考えております。
○宮野直樹君
多様な人材の確保の取組について御説明をいただきました。介護人材の確保の鍵は、働きたいと思える環境づくりと、支援したいと思える環境づくりの両輪が必要です。そのために必要な対策として、介護に参入する敷居を下げて、経験や世代を問わず多様な人材をつなぎ、介護に関わる関係人口を増やすことも有効な対策の一つではないかと私は考えています。
そこで、スケッターの導入について質問をさせていただきます。スケッターとは、身体介護以外の周辺業務、例えばレクリエーション、清掃、配膳、下膳、慶弔などを依頼したい介護施設事業所と介護領域に関心がある地域住民を有償ボランティアとしてマッチングするサービスです。
介護に関わるハードルを下げて、求職者と介護現場をつなぎ、就職のミスマッチ予防、介護現場の理解促進、魅力、やりがいの体験に貢献するとともに、介護に対する関係人口を増加させることで、人材不足の解消を目指しています。
実際に介護現場では、身体介助など専門性の高い業務と、周辺業務を切り分ける傾向が強まっています。福祉医療機構の調査によると、2024年度に特別養護老人ホームで、シーツ交換や清掃などを担当する介護助手を導入している割合は66%となっており、その導入は増加傾向で、2年前と比べ7ポイント増えています。
タブレットの資料を御覧ください。
〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○宮野直樹君
この資料は、川口市でスケッターを活用した実証事業の内容です。川口市とスケッターを提供する事業者が協定を結び、無償トライアル利用について、3か月間ごとの取組を2回実施しています。
川口市は介護事業者へトライアル参加の呼びかけ、また、スケッター登録候補者の市民へ広報を実施しています。スケッターを提供する事業者はトライアル参加事業所へ、利用方法のサポート、業務の切り出しサポート等を実施しています。
その結果として、登録スケッターは423人、うち介護未経験者は約8割となっており、介護人材の裾野拡大に寄与しています。また、トライアルへ参加をした7割の事業所が、職員の業務負担が軽減された、約9割の事業者が、利用者のQOLが向上したと回答されています。
そこでお尋ねします。多様な人材確保に向けた介護人材の裾野拡大の取組として、スケッターの活用は有効であると考えますが、御見解をお示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
事業所と有料ボランティアをマッチングするスケッターでございますが、まず、若者やお元気な高齢者など、様々な方に介護の現場を経験していただく機会を創出することができるという点で、非常にメリットがあると考えております。
また、一般の方に現場の業務をサポートしていただくことにより、限られた人材の中で、職員が専門性の高い業務に集中しやすくなり、より一層能力を発揮できるようになるメリットもあるのではないかと考えております。
議員御指摘のとおり、介護についての関係人口の拡大は、介護人材確保に向けた重要な視点の一つであると認識しておりますので、このようなスケッターのような、マッチングする仕組みは非常に有効なツールだと考えております。
○宮野直樹君
有効であるというところで御認識についてお話をしていただきました。次の資料を御覧ください。この資料は、厚生労働省の介護未経験者マッチング機能強化モデル事業です。この補助金は、民間事業者によるマッチングサービスの導入経費や会議の開催経費などに使用できます。全国各地の自治体でも、例えばお隣の北九州市でも今やられています。実証実験が進んでおり、事業を活用することで、財政負担も抑制できます。本市においても、まずはモデル的な導入を検討すべきではないかと私は考えています。
そこでお尋ねします。多様な人材の確保の取組として、スケッターの実証実験を検討してはと考えますが、御見解をお示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
ただいま議員から御紹介いただきましたように、スケッターの実証実験につきましては、他市で非常に効果が出ており、エビデンスも出ておりますので、注目する仕組みでありますし、制度だと思っております。
今後、市内事業者の御意見をお聞きしながら、ほかの自治体による実証実験の効果も踏まえまして、研究してまいりたいと考えております。
○宮野直樹君
しっかりと事業者の皆さんにも御意見を伺いながら、研究するということで進めていただければと思います。
タブレットの資料を御覧ください。本市のホームページに、介護のしごと魅力発信等事業ニュースレターの外部リンクが掲載されています。その中の10月号に、雑誌ananとタイアップした記事があり、スケッターを活用した方の事例が掲載されています。
自分の趣味・特技、これまで培ってきた経験を生かせるのが魅力、ありがとうと感謝されることが多く、自信につながり、やりがいを感じることなどが述べられています。ここでは御紹介とさせていただきますが、お時間のあるときにぜひ御覧いただければと思います。
最後に、今後の取組について質問をさせていただきます。このたびは、主に介護人材確保の裾野を広げるという視点で質問をさせていただきましたが、そのほかにも、あらゆる手を尽くして介護人材の確保に努めていかなければなりません。
そこでお尋ねします。介護人材の確保に今後どのように取り組まれるのか、御見解をお示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
まず最初に、ホームページのニュースレターの御紹介ありがとうございました。今後の介護人材の取組といたしましては、令和7年度から新たな取組といたしまして、訪問介護事業所が人材を確保するために取り組む経費として、1事業所当たり5万円、50事業所分を補助することとしております。あわせまして、就労定着支援金における非常勤の訪問介護員につきまして、支給人数を20人から30人へ、10人拡大しております。
また、議員御指摘の裾野拡大に関しましては、下関市介護支援専門員協会に協力をいただきまして、次世代の小・中・高生を対象といたしました介護や福祉の魅力と、介護の仕事のやりがいを伝える出前講座、こちらを令和5年度より実施しております。介護人材の確保は、本市における喫緊の課題だと認識しております。
今後も、事業者からの御意見を参考にしながら、ほかの自治体の実績のある取組も調査し、官民連携の上、課題の解決に向け取り組んでまいりたいと考えております。
○宮野直樹君
新たな取組も含めて、しっかりと今後も、事業者、あるいは当事者の皆さんの声も聞きながら進めていただきたいと思います。介護は、人生の最終章に寄り添い、人と人との信頼とぬくもりに支えられた極めて尊い仕事です。支え手を地域全体で育て、つなぎ、広げていくことが必要です。
介護の仕事が誰かの人生にとって希望となり、誇りとなるように、そして年を重ねることが不安ではなく、安心と喜びとなるように、今後も介護人材確保の取組に善処いただくことを要望して、この質問を終わります。
三つ目のテーマは、分身ロボットを活用した重度障害者等の教育、就労支援についてです。初めに、重度障害児者、難病児者の現状について質問をさせていただきます。
下関市第3次総合計画では、まちづくりの基本理念として、「可能性を築くまち」が掲げられ、その中の一文には、国籍、性別、年齢、障害の有無などに左右されることなく学ぶことができ、働くことができるまちづくりが不可欠だと書かれています。
しかし、現実には、重度の障害や難病等により外出が困難となり、学校や職場など、社会との接点が薄れ、孤立や孤独を感じられている方もいます。このたびは、そうした方々の可能性を築く選択肢の一つとして、分身ロボットの活用をテーマに質問をさせていただきます。
初めに、重度障害児者、難病児者及び小児慢性特定疾病患者も含めて、本市の人数をお示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
重度障害児者という定義はございませんので、統計数値もございません。そのため、18歳以上の障害者については、障害福祉サービスを受給する際に判定を受ける障害支援区分別の支給決定者数をお示しさせていただきます。
また、18歳未満の障害児につきましては、主に重度心身障害児を通わせる障害児通所支援事業所の利用者数でお答えさせていただきます。
まず、18歳以上の数でございますが、障害支援区分は障害の状態によって区分1から区分6までございまして、数値が大きくなるほど障害が重くなりますが、令和7年6月1日現在で、区分5の支給決定者が269人、区分6の支給決定者が486人で合計755人いらっしゃいます。
また、18歳未満の数は、主に重度心身障害児を通わせる障害児通所支援事業所が市内に3か所ございますが、令和7年4月の利用者数は合計で61人でございます。
○保健部長(八角 誠君)
国が指定いたします難病及び小児慢性特定疾病の医療費助成の対象者の数について、令和7年3月末時点の人数をお答えいたします。
難病の対象の方は2,676人で、そのうち18歳未満の方は4人でございます。また、小児慢性特定疾病の対象の方は260人で、そのうち18歳未満の方は232人でございます。
○宮野直樹君
ただいま御答弁いただいた方々は、一人一人の心身の状態や、生活環境も含めて違うため、一概には言えませんが、様々な事情により外出が困難となり、教育や就労の機会に課題を抱えている方がいると思います。
次に、教育支援の現状と課題について質問をさせていただきます。昨年12月の高校生議会では、豊浦総合支援学校の松宮議員から、長期入院している子供たちへの教育の保障というテーマで質問がされました。御自身の経験から伝えられた思いは、皆さんの心に響いたのではないかと思います。
私自身も、治療のため数か月の入院が必要となった市立中学校に通っていた重度障害のある生徒に携わった経験があります。また、別の生徒ですが、筋ジストロフィーの症状が進行し、身体機能の低下に加えて、医療的ケアが必要となり、受入体制や支援体制に課題が生じたケースに携わることもありました。そのほかにも、同様の境遇にある重度障害児へ関わってきましたが、ほとんどの方が可能な限り友達のいる地域の学校に通い学びたいという思いを持たれています。
そこでお尋ねします。長期入院や体調等の理由により、学校へ行くことが困難な児童生徒に対する教育支援はどのように行われているのか、課題も含めてお示しください。
○教育長(磯部芳規君)
教育支援の現状と課題についてお答えいたします。子供たちの入院期間等の学習機会を保障していくことは、とても大切であると考えております。
現状として、長期入院や体調等を理由に学校へ行くことが困難な児童生徒に対しては、本人の意向も踏まえて、医師や保護者と相談の上、ICT等の活用により、タブレット端末を活用したオンラインで授業を受けることができるなど、学習活動に参加できる環境を整えているところでございます。
入院中の児童生徒に対しましては、医療機関と連携して、病状や治療の状況等に応じ、体調等に合わせて授業の様子を視聴することや、先生への質問、またグループ学習において、友達と話し合う意見交換などを行うこともでき、また課題の提出や、返却をしたりすることもできるため、病院内等でも学びを進めることができます。
また、休み時間には、ビデオ通話やチャット機能で友達とつながり、ともに楽しい時間を過ごすことも可能であり、こうした取組により、学校との関係を維持していくことは、子供たちの心の支えにもなるものと考えております。
利活用する際の課題といたしましては、入院中の児童生徒の場合は、病院の協力と理解が不可欠であり、またオンラインでの活用に際しましては、インターネット環境の整備とともに、安全面での配慮が必要であると考えております。
また、児童生徒の様々な状況に応じた個別の支援方法については、制度面、授業に参加可能という体制のみでなく、本人の体調に応じた時間帯に視聴可能なオンデマンド型の授業配信や、病気の種類や病状に応じた支援を行うための教職員の専門性の向上などを検討していく必要があると考えているところでございます。
○宮野直樹君
個々の児童の個別性を重視しながら、関係機関としっかり連携を取りながら、ICTやタブレットを使った、オンラインの学びの保障や様々工夫されているということで御説明をいただきました。インクルーシブ教育を推進するという観点からも、さらなる教育支援の取組に尽力いただければと思います。
次に、就労支援の現状と課題について質問をさせていただきます。重度障害者が就労するための社会の受皿や支援体制は、残念ながらまだまだ十分ではありません。しかしながら、体は自由に動かないがコミュニケーション能力の高い方、パソコンを使用すれば様々な価値や技術を生み出せる方など、就労の可能性がある方はおられます。特にそうした重度障害者の就労促進については、物理的な移動や仕事内容など、個々の障害特性を踏まえた環境づくりが重要です。
そこでお尋ねします。病気や体調等の理由により外出が困難な方に対する就労支援をどのように行っているのか、課題も含めてお示しください。
○福祉部長(野坂隆夫君)
一般就労が難しい障害者に対する就労支援といたしまして、就労移行支援や、就労継続支援という障害福祉サービスがございます。このサービスは、通所での利用が基本でございますが、外出が困難で障害者本人が希望した場合は、在宅で利用することも可能です。
在宅でもできる作業の例といたしましては、パソコンの入力や動画の編集、あるいは部品の組立てなどの軽作業がございます。
また、外出は難しいけれども、自宅で自営業を営むことができる重度障害者に対する支援といたしましては、令和6年4月に開始いたしました重度障害者等一般就労支援事業がございます。この事業は、重度障害者にヘルパーを派遣して仕事中の支援を行うものでございます。
課題といたしましては、事業所が在宅でもできる作業を継続的に確保しなければならないことや、自宅のWi-Fi環境の整備などが考えられます。
○宮野直樹君
福祉サービスの活用というところで新たな、仕事中にヘルパーを利用できるといったそうした制度もつくっていただいて、様々な支援に取り組んでいるというところで御説明いただきました。
そうしたICTや既存の制度、あるいは仕組み、工夫、それに加えて、このたび分身ロボットOriHime(オリヒメ)を選択肢の一つとして提案させていただきたいというところで、分身ロボットOriHimeについて質問をさせていただきます。
タブレットの資料を御覧ください。
〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○宮野直樹君
これがOriHimeです。OriHimeは、人と人をつなぐロボットをコンセプトに開発されたもので、カメラやマイク、スピーカーが内蔵された遠隔操作可能なロボットです。タブレットやスマートフォンから簡単に操作ができます。
自分の分身として首や腕を自由に動かして周囲の人と話し、一緒に学んだり働いたりするうちに、本当にそこにいるような感覚、経験を得ることができるのが大きな特徴です。そのことにより、物理的な距離も、様々な障害も、とらわれていた常識までも乗り越えることに期待ができます。
次の資料を御覧ください。この資料は、三重県桑名市の総合教育会議のものです。桑名市では、肢体不自由児など、近年では地域の学校へ通うことを選択する児童生徒が増えていることから、特別な支援を必要とする児童生徒が、自宅や病院にいながら在籍学級の授業への参加を可能とするために、分身ロボットOriHimeが活用されています。
次の資料を御覧ください。OriHimeは自分で操作をすることで、教室の様子を好きなように見ることもできます。また、自分の姿を見られることはないため、何らかの事情で姿を見られたくない場合も安心して授業を受けることもできます。
こうした取組により、学習の継続のみならず、仲間とのつながりの維持、孤立感の解消にもつながり、学習意欲や精神的安定を確保する大きな効果があるとされています。
なお、山口県内においては、本年1月に県内の障害のある子供たちが、臨場感を持って友達と授業に参加できるよう、教育のために使ってほしいという思いから、国際ロータリー第2710地区が山口県教育委員会にOriHimeを送っています。
次の資料を御覧ください。この写真は、昨年総務委員会で、つくば市に視察へ行ったときのものです。つくば市では、OriHimeにより、スタートアップカフェでの接客や、市立図書館での駐車場無料化の案内、絵本の読み聞かせなど、実証実験が行われていました。
比較的近隣の自治体では、福岡市や長崎市がOriHimeを活用した就労支援の取組を進めており、先進的に取り組んだ自治体では、教育、就労をはじめ、今後の可能性や成果を上げられています。
そこでお尋ねします。障害児等の教育支援や、重度障害者等の就労支援において、分身ロボットOriHimeの活用は有効だと考えますが、御見解をお示しください。
○教育長(磯部芳規君)
議員御案内の分身ロボットOriHimeは、ロボット型のテレプレゼンスロボットの一つであり、遠隔で操作することによって、本人がその場にいるような感覚を感じることができるものであると承知しております。
OriHimeを導入している自治体等の活用状況から、授業における意見交換や学び合いの場、または、参加や移動が困難な場面においてOriHimeを利用することで、学校活動への参加の機会が広がるなど、導入の効果が示されていますが、本市では活用した実績がないため、実機を使用した研修会等により有効性を判断する機会を設けてまいりたいと考えています。
○福祉部長(野坂隆夫君)
分身ロボットOriHimeは、様々なところで様々な活用実績もあるようでございますので、重度障害者等への在宅就労の可能性を広げ、生きがいや働きがいを感じることができるツールといたしまして、期待できるものと考えております。
○宮野直樹君
それでは最後に、今後の取組について質問をさせていただきます。分身ロボットOriHimeの導入は、できないことの代替ではなく、その人らしい人生を選び取る手段の一つです。もちろん万能な解決策ではなく、あくまで一つの選択肢の提示にすぎないかもしれません。
しかし、時代の変化を追い風に、新しい視点を持ち、人と人がつながり続け、可能性を築くまち下関の実現に向けて、様々なチャレンジに取り組み、選択肢を用意することが行政の責務ではないかと私は考えています。
そこでお尋ねします。教育委員会や福祉部をはじめ、各部局で連携を図り、導入に向けた実証実験を行っていただきたいと考えますが、御見解をお示しください。
○教育長(磯部芳規君)
病気や障害により外出が困難な場合を含め、全ての方が豊かな生き方ができるような、支援の選択肢を増やしていくことは重要であると認識しております。教育委員会といたしましては、先ほど議員からも御紹介がありましたように、山口県がOriHimeを3台所有していることから、借り受ける機会を持ち、関係部局と連携し研修会を実施するなど、導入の効果についての研究を進めてまいりたいと考えております。
○福祉部長(野坂隆夫君)
福祉部といたしましては、OriHimeの機能と有効性を職員が実感できるよう、今教育委員会の答弁にもありましたOriHimeの体験会に職員を参加させたいと考えております。
また、本市では、自立支援協議会の中に就労部会を設置し、市内の各就労支援事業所に加え、ハローワークや総合支援学校の担当者も参加して、障害者の就労に関する様々な議題について、実務者レベルで取り組んでおります。
この就労部会でOriHimeの活用について検討するなど、研究をさらに進めていきたいと考えております。
○宮野直樹君
このOriHimeを私が初めて知ったのは、今からもう数年前ですけど、筋ジストロフィーという障害があって、障害がどんどん進行していくと。まだ20代の若者だったのですが、どんどん諦めることが多かった。あるとき私に夢ができましたと。それは何と聞いたら、このOriHimeというのを使ってカフェで仕事をしてみたいんだと。今まで、彼がどんどん障害が進行してきて、どんどん諦めていたというところで、とても気持ちが塞がっていたのですけれども、これから自分がやってみたい、可能性を追求したいと言った彼の生き生きとした表情が、私は忘れることができません。
それから、自宅をICTの環境を整えて一生懸命チャレンジ、その夢に向かって進んでいるところを私は応援をさせていただきました。いろいろな事情があり、残念ながらその夢までは行かなかったのですが、自分はこういう夢を持っているということを周りに伝えて、これはみんなで応援しようと、まさに可能性を感じた瞬間です。
私は、そうした方々は下関にはまだまだおられるのではないかと思いますし、実際に関わっている方も、そうした可能性を持っている方がいらっしゃいます。障害や病気等によって、社会から切り離されることのない、全ての人が未来に希望を持てるまち、可能性を築くまち下関を実現するために、導入に向けた検討を進めていただくことを強く要望して、このたびの私の一般質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
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