録画中継

第3回定例会
9月17日(火) 本会議(一般質問2日目)
公明党市議団
河野 淳一 議員
1.こども・子育て支援
2.沿岸漁業を支える豊かな海の再構築
【下関市議会 本会議速報版】
・下関市議会では、本会議の正式な会議録が作成されるまでの間、速報版を掲載いたします。
この速報版は、会期終了後約1か月程度で掲載します。
・速報版の会議録は校正前原稿であり、今後修正されることがあります。
なお、音声で認識できなかった部分は一時的に「★」で表示しています。
・校正後の会議録が「会議録検索システム」に掲載された時点で、速報版の会議録は校正後の会議録に差し替えます。

○議長(香川昌則君)
 8番、河野淳一議員。(拍手)
  〔河野淳一君登壇〕
○河野淳一君
 公明党市議団の河野でございます。それでは、通告に従いまして質問をさせていただきます。
 最初に、子ども・子育て支援について、お尋ねさせていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 2023年の出生数は約76万人になりました。8年連続の減少、過去最少となりました。若年人口が急に減少する、この2030年代に入るまでが、この少子化傾向を反転させるラストチャンスと政府も、我々も捉えております。
 そうした危機感の下、政府は昨年、子育て応援、こども未来戦略を決定し、全ての子供、子育て世帯を切れ目なく支援し、共働き、共育ての推進とあわせて社会全体の意識を変え、安心して子供を産み、育てることができる社会の実現を目指しているのが現状でございます。
 そこでお伺いいたします。この国のこども未来戦略、また今年からの加速化プラン、3年間でする加速化プランの概要について、まずお示しください。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 令和5年12月、国においては、これまでにない規模で、全ての子ども・子育て世帯を対象に、ライフステージ全体を俯瞰して、切れ目ない子育て支援の充実を図るとともに、共働き、共育てを推進していくための総合的な対策を推進していくこととし、こども未来戦略を策定いたしました。
 こども未来戦略では、2030年までが少子化トレンドを反転させるラストチャンスであるという前提の下、「若い世代の所得を増やす」「社会全体の構造意識を変える」「全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する」という三つの基本理念を掲げ、「ライフステージを通じた子育てに係る経済的支援の強化や若い世代の所得向上に向けた取組」「全てのこども・子育て世帯を対象とする支援の拡充」「共働き・共育ての推進」「こども・子育てにやさしい社会づくりのための意識改革」と、今後の3年間で、集中的に取り組んでいく具体的な施策について、こども・子育て支援加速化プランとしてまとめております。
○河野淳一君
 タブレットを御覧ください。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○河野淳一君
 今御説明がありました、今後3年間、集中的に取り組む、この加速化プランの概要でございます。左上にありますように、児童手当の拡充は、この9月からスタートします。私も高校生が1人おりまして、今回、児童手当の対象になるということで、妻は大変喜んでおりました。12月に支給だったと思います。しっかり子育てに使いたいと思っております。
これだけ見れば、国の本気度が相当分かるのではないかと思います。そのほかにも、今言いました児童手当の拡充のほかにも、子育て世代への住宅支援とか、また高等教育、大学等の負担軽減があります。後ほど述べますが、こども誰でも通園制度等、本当に、今説明がありましたように経済的支援というか、子供に焦点を当てた、子育て世代への経済的支援を充実させているところでございます。
 この加速化プランで、1人当たりの給付の拡充額は、平均約146万円になるそうでございます。これで日本の子供関係予算、これまでOECDの中でも、日本は17位ぐらいだったのが、この加速化プランで、しっかり予算を確保することで、現在、子供1人当たりの給付拡充額は、トップのスウェーデンを抜いて、日本が1位になる見込みでございます。国の本気度が、予算の面でも伝わってくるものと思われます。
 本市におきましても、本年度、今年は「For Kids For Future」のセカンドステージということで、本市も最重要施策として取り組んでいるところでございます。
 強力かつきめ細かに推進していくということで書いておりますが、それでは、この加速化プランにひもづけられる本市の現状の取組状況と、今後の取組についてお示しください。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 先ほど議員からも紹介がありました本市の子育て支援につきましては、現在、市における最重要施策として位置づけた上で、昨年掲げました「For Kids For Future」のセカンドステージとして、こども未来戦略に基づく加速化プランにも沿って、強力かつきめ細かな施策を推進しているところでございます。
 主な取組といたしましては、子育て世帯の経済的な負担の軽減を図るため、第2子以降の保育料無償化を、本年4月から開始しております。また、全てのこども・子育て世帯を切れ目なく支援することができるよう、こども家庭センターを設置し、相談支援体制を強化いたしました。
 今後の取組といたしましては、令和8年度からの本格実施が予定されておりますこども誰でも通園制度も、その1例として挙げられますが、こども未来戦略の中で、加速化プランに位置づけられております具体的施策について、本市においても、これらを力強く推し進めてまいりたいと考えております。
○河野淳一君
 今、我々が一番注目しているのが、このこども誰でも通園制度です。これは令和8年度から本格実施になります。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○河野淳一君
 タブレットを御覧いただきますと、スケジュール感が書いてある、この真ん中が、上から三番目で、真ん中のところが、このこども誰でも通園制度のスケジュールになります。
 令和6年度は、これは試行的、こども誰でも通園制度の試行的事業ということで、これは選ばれた、県内でありますと防府市が試行的事業ということで、今取り組んでおられます。それを基に、来年、こども誰でも通園制度の法定事業化と、一部実施ということで、先ほど部長から御答弁ありましたように、令和8年度から本格実施、ここはもう給付化ということで、もうお子さんは全部権利があるということで、取り組んでいかなければならないところでございますが、やはり今、保育の現場というのは、年度途中の待機児童等が発生しているのが現状であると、私は認識しております。
 その上で、こども誰でも通園制度が、この令和8年度にうまく実施していけるのか、一抹の不安を覚えるところでございますが、まず、そこに入る前に、このこども誰でも通園制度の事業の概要についてお示し願います。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 こども誰でも通園制度は、全ての子供の育ちを応援し、子供の良質な成育環境を整備するとともに、全ての子育て家庭に対して、多様な働き方やライフスタイルに関わらない形での支援を、強化することを目的として、こども未来戦略の加速化プランに位置づけられた新たな事業でございます。
 具体的には、保育所などに通っていないゼロ歳6か月から3歳未満の子供を対象に、保護者の就労要件や子供を預ける理由を問わず、1人当たり月10時間を上限として、保育所等に預けることができる制度で、令和6年度は本格的実施を見据えた試行的事業が行われ、事業の問題点等を整理した上で、令和7年度は制度化された事業として、令和8年度からは給付化し、全国の自治体で実施されることとなっております。
○河野淳一君
 そこで一つ、質問というか、私もよく分からなかったことがありますのでお聞きしたいのですが、今、一時預かり事業というのを実施されていると思います。これと、今御説明あったこども誰でも通園制度、要はこども誰でも通園制度がスタートすれば、この一時預かり事業が継続されるのか、されないのか。また、継続されるのであれば、この一時預かり事業とこども誰でも通園制度の違いとか、趣旨等をお示しください。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 こども誰でも通園制度と類似した既存の事業に、一時預かり事業がございます。一時預かり事業は、家庭において保育をすることが、一時的に困難となった乳幼児を、保育所や認定こども園で、一時的に預かる事業で、保護者の出産や病気、就労等の理由が必要で、現在、原則として1週間に3日程度、月10日以内の利用ができる子供に寄り添った事業でございます。一方で、こども誰でも通園制度は、利用対象がゼロ歳6か月から3歳未満の未就園児とされ、保護者に就労等の理由を問わない代わりに、月10時間程度の利用制限があるなど、保護者のレスパイトを主とした事業になります。
 なお、この二つの事業は、その目的が異なることから、こども誰でも通園制度が開始されて以降も、一時預かり事業は継続となります。
○河野淳一君
 一時預かり事業も継続されるということで、今御説明いただきました。こども誰でも通園制度は、どちらかというと子供中心に、所得制限等、要件の制限はございません。子供を中心に考え、子供の成長の観点から、全ての子供の育ちを応援して、子供の良質な成育環境を整備するということを目的にされていることと思います。
 今一番、私も危惧しているのは、先ほど言いましたように、待機児童が、今保育の現場ではたくさん起きていると、多くいらっしゃるということで、この受皿というか、これが令和8年度で間に合うのかというのが、一番大きな疑問点でございます。
 そこでお伺いするのですが、こども誰でも通園制度を利用される乳幼児数の想定というのがあると思うのですが、これは何人ぐらいになるか、お示しください。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 本市における制度の利用見込み人数ですが、こども家庭庁が示した算定方法を用いて、令和5年4月1日時点で算出した結果、1日8時間である保育短時間の園児換算で85人分の受皿確保が必要となりました。算定方法は、全未就園児の利用時間を保育短時間の利用時間で割り戻した値となります。
 具体的には、ゼロ歳6か月から2歳までの未就園児数の1,492人が、それぞれ月10時間利用した場合、月当たりの受入時間は1万4,920時間となります。
 また、保育短時間の園児が、保育所等を一月に利用する時間は176時間です。よって、1万4,920時間を176時間で割り戻して得られた値の85が、こども誰でも通園制度で必要となる受入枠となります。
○河野淳一君
 ざっと計算して85人ということで、今、御答弁あったと思います。一応、このこども誰でも通園制度の中を見ると、保育の現場も一緒だと思うですが、障害児とか、医療的ケア児も受け入れる体制を整えてくれと書かれていると思います。
そういうような状況になれば、この85人という数字が、もっと増えるようになるのではないかと考えるところでございますが。それでは、この85人として、プラス85人になりますということで、この事業実施に向けた提供体制、特に施設、保育士等の確保について、現時点でどのようにお考えになっているか、お示しください。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 事業実施に向けた提供体制につきましては、保育士免許を持つ職員の配置と、3歳未満児を預けるための設備の両方を兼ね備えている地域子育て支援センターでの実施を基本としつつ、事業実施を希望する施設への委託により、受皿確保に努めてまいります。
 また、保育士確保につきましては、10月1日に、幼児保育課内に開設予定の保育士・保育所支援センターにおいて、就職を希望する保育士と就労を希望する施設のマッチングを行うウェブサイトを構築することとしており、また、希望する保育士には、就職に当たって、きめ細かい相談支援を当該センターで行い、就職につなげていくなど、こども誰でも通園制度の実施に向けた保育士確保に努めてまいりたいと考えております。
○河野淳一君
 しっかり取り組んでいくということで、御答弁があったと思います。
 最後の質問に入る前に、待機児童の問題で、ちょうど土曜日の夜に、お二人の子供を持っている35歳の父親の方から御相談というか、要望というか、御相談のお電話がありました。お二人子供がいらっしゃるので、上は2歳で、今、ある保育園に通っていらっしゃるそうです。
 今年第2子が生まれた、元気な男の子らしいのですが、第2子が生まれました。奥さんも、出産のときに産休を取りましたので、上の子が通っている保育所に、出産前から、要は子供が、第2子が生まれるということで入園というか、通園可能かということでお問合せをしていたそうです。当初は、第2子も受入可能ということで、お伺いして安心していたのですが、実際、この9月の場面で、いろいろなルールとかがあるのだろうという話であったのですけれど、この第2子を受け入れられないということで、保育園のほうから御回答があったと。
 私は、この父親から、その後、叱咤を受けるのかと思ったら、父親は、今、第2子を預けなくても、奥様が働かなくてもぎりぎり、我が家は経済的に何とか、対応できるというか、やりますと。ただ、その父親が言っていたのは、私は大丈夫ですけれど、このような、途中で受け入れられないということになると、私より経済的に厳しい方がたくさんいらっしゃると思います、うちはまだ恵まれているほうですと。そういう方が、このように支援を受けられない、保育を受けられない、共働きの環境が整えられないということは、そこはしっかり、市として、また私に対して、もっと取り組んで、推進してほしいということで、本当に真面目にというか、本当に要望というか、受けました。
 本当に真面目な人が、こういう不利益を被ることはあってはならないと。ルールは、いろいろあると思います。制度もありますし、その中で、一定のルールの中で、やっていかなくてはならないということは、理解はできるのですけれど。ただ、冒頭に言ったように、国も、相当力を入れて、今からやっていくという状況の中で、我々、下関市として、この保育行政というか、この環境が整わない状況というのは非常に残念だと。また、自分自身も御相談があった父親に対して、申し訳ないという気持ちになった次第でございます。
 その上で、最後の質問なのですが、このこども誰でも通園制度を今から実施、準備もしていきます。令和8年度から本格実施ですから、1年半ぐらいあるのですが、この通園制度を、この提供体制を、今整備されていると思うのですが、この提供体制を整備することで、この保育体制の充実、具体的には待機児童の解消です。これが同時に取組ができないか。もう厳しいのは分かっているのです。分かっているのですけれど、こども誰でも通園制度の整備と併せて、国もいろいろな形で、今待機児童の解消に努めていくように、市町村で検討してくださいと、いろいろ通知も出ていると思います。
その上で、もう本当にいろいろ大変だと思うのですが、こども誰でも通園制度の提供体制を整備することで、この保育体制の充実、待機児童の解消について、どのように取り組むのか、お考えをお示しください。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 こども誰でも通園制度の提供体制につきましては、新たな保育士配置や施設整備を必要としない、既存の地域子育て支援センターでの実施を基本としているため、保育所などの待機児童の解消には、すぐにはつながらないものと考えておりますが、こども誰でも通園制度と待機児童の解消はどちらも重要な施策であり、今後も積極的に取り組んでいく必要があると考えております。
○河野淳一君
 ぜひ、よろしくお願いを申し上げます。国も2026年度までは、各地方公共団体において、こども家庭庁と連携しながら、先ほどのこども誰でも通園制度の必要整備量の推計とか、こども誰でも通園制度を実施する事業所の検討や、実施に向けた事業所等の調整、これはもう今やられていると思いますが、それと提供体制の確保、施設整備計画の策定等について、検討を進めていくべきであると。
また、待機児童の解消についても、一緒に解消していくような取組をやってほしいということでございますので、ぜひ、この待機児童の解消も、本当に視野に入れて、一つずつするというのは、なかなか難しいと思うのです。同時にするのも難しいかもしれないですが、こども誰でも通年制度で、国もいろいろな支援を、今からしていく予定と聞いておりますので、ぜひ、最後、要望ですけれど、待機児童の解消にしっかり取り組んでいただきたいと思いますので、よろしくお願いを申し上げて、次の質問に移らせていただきます。
 次に、沿岸漁業を支える豊かな海の再構築ということで、質問させていただきます。我々、小さい頃は赤潮とかで、漁業をかなり、魚が大量に死んで、漁業者が困ったということで、昭和40年代、50年代ぐらいですか、いろいろニュースとか、新聞とかでも話題になった時代もございました。それからいろいろな環境規制をかけて、きれいな海というのを国も今、特に閉鎖された海域での、この瀬戸内海というのは取り組んできたわけでございます。
 今、海に行ってもかなり、昔に比べたら全然きれいになったと。透明度も上がってきましたし、以前に比べれば赤潮の発生件数等も少なくなっているのですが、今、海のそういう規制をかけると逆に、海の栄養塩類というか、要は窒素とかリンです。要は、藻が育つとか、魚が生育、プランクトンが生育する。これが環境規制によって、下水から流れたり、いろいろする流出量が少なくなって、現在、漁獲量減少の一つの要因ではないかというような議論もなされているところでございます。
 私は、このきれいな海と豊かな海というか、両立はなかなか難しいものだと思うのですけれど、今から最適解を求めながら、本市としても取り組んでいくべきだということで、この質問を上げさせていただきました。
 それでは、お伺いするのですが、瀬戸内海の環境保全の取組、まず、きれいな海のこれまで取組についてお示しください。
○環境部長(吉田 誠君)
 工場や事業場から公共用水域に排出される水を規制すること等目的に、水質汚濁防止法が昭和45年に制定されました。昭和55年に、有機物の汚濁指標である化学的酸素要求量――CODの汚濁負荷量の総量削減を図ることを目的に、総量規制基準を定める改正が行われ、平成14年には瀬戸内海などのさらなる水質改善を図ることを目的に、総量規制の対象項目に、栄養塩類である窒素とリンが追加をされました。
また、瀬戸内海の関係の保全を図ること等を目的とした瀬戸内海環境保全特別措置法が昭和48年に制定され、より厳しい規制が行われてきましたが、平成27年には、豊かで美しい瀬戸内海を再生することを基本理念に据える改正を経て、令和3年には、周辺環境の保全と調和した形での特定の海域への栄養塩類供給を可能とする栄養塩類管理制度を創設するなど、従来の水質規制を中心とする水環境行政から、きめ細やかな管理へと転換する改正が行われております。
○河野淳一君
 特に、きれいな海への今までの取組ということで御説明いただきました。それでは、この取組を行ってどのような効果が上がっているのか。例えば、赤潮の発生とか、いろいろなものが減少したのではないかと思うのですが、それについてお示しをください。
○環境部長(吉田 誠君)
 山口県全体の状況になりますが、CODの汚濁負荷量については、昭和54年は1日当たり95トンであったものが、令和元年は1日当たり35トンに減少しております。また、赤潮の発生件数については、こちらも山口県全体の状況にはなりますが、昭和46年は55件発生していたものが、令和4年は6件に減少しております。
○河野淳一君
 今御答弁いただきましたように、きれいな海の取組が効果として、もう既に表れているというか、かなり進んでいるというか、成し遂げられているというか、ゴールになっているのかと私は思うのですが。かなり規制もかけて、いろいろな形で効果が上がって、赤潮の発生件数もかなり減少しているということで、今確認をさせていただきました。
今、きれいな海の状況と結果ということでお示しいただいたので、それでは、この沿岸漁業の現状、今度は豊かな海が、今どうなっているかを。まず、下関市の漁業生産量の推移についてお示し願いたいと思います。
○農林水産振興部長(三木正之君)
 本市漁業生産量の推移について、比較のため合併前の旧下関市内の合計をお答えしたいと思います。瀨戸内環境保全特別措置法が施行されました昭和48年は、水揚量が約5,904トン、水揚金額は約23億7,900万円でございました。
20年後の平成5年では、水揚量が約3,519トン、水揚金額は約23億5,300万円となりました。
それから、さらに30年後となります令和4年は、水揚量が約1,194トン、水揚金額は約5億9,600万円で、昭和48年当時と比べますと、水揚量は約5分の1、水揚金額は約4分の1まで減少しております。
○河野淳一君
 漁獲量は、漁業生産量というか、これはもうかなり減少していると、水揚げで5分の1、金額で4分の1以下に、今、現状なっているということで確認をさせていただきました。
 それでは、下関市も海域が広いわけでございますけど、特に、この瀬戸内海、内側というか、特に瀬戸内海、内海側の漁業生産量、私の地元の王司とか入っていると思うのですが、こちらの内訳として、内海側の漁業生産量の推移をお示しください。
○農林水産振興部長(三木正之君)
 干潟を含みます壇之浦から王喜までの内海側における漁業生産量の推移についてお答えいたします。昭和48年は水揚量が約2,282トン、水揚金額は約13億3,200万円でした。このうち干潟漁業の代表的な水産物について申しますと、ノリ、これは板ノリでございますけれども、およそ6,700万枚、9億9,000万円の生産があり、アサリですが、こちらはおよそ1,487トン、9,800万円の水揚げがございました。
 これが平成5年には、水揚量が約235トン、水揚金額は約4億6,900万円と、どちらも減少しており、ノリはおよそ2,600万枚、2億5,200万円の生産で、アサリはおよそ5トン、300万円の水揚げとなりました。
 そして、直近の令和4年でございますが、水揚量が約94トン、水揚金額は約1億500万円で、昭和48年と比べますと、どちらも大幅に減少しております。また、僅かながら生ノリの水揚げがございますが、板ノリとしての生産、加工、それとアサリの水揚げにつきましては、ともにゼロという状況になっております。
○河野淳一君
 今、内海側、また干潟を中心とした漁業生産量を示していただきました。ほとんどもうゼロに近いと言ったら申し訳ない、もう生産できていないという状況でございます。特にアサリとかノリとか、今御説明ありましたように、特に栄養塩類に影響がダイレクトに、影響が強い品種というか。
タブレットを御覧いただきたいのですが、特にこの、今、瀬戸内海での栄養を循環させる仕組みということでタブレットにあります。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○河野淳一君
 もうこれ、御存じのとおり下水処理場から、窒素やリンが出るのを制御、本来は栄養が出る、また工場等、田畑からとか、鳥のふん等、死骸等から窒素、リンが、海の中に流れ込んで、植物プランクトン、動物プランクトンで、小型魚、大型魚ということで、連鎖が起こるわけですが。今、この栄養が、下水処理場から、特に規制で、環境が厳しくなっているので、栄養塩類がかなり少なくなっているという課題も出ているのが現状でございます。
 これを何とか解消できないかということでございますけれど。この漁業生産量、もうほとんど、干潟また内海側の生産量はゼロに近いものでございますが、これの減少の要因、この栄養塩類以外もあると思うのですが、この要因についてお示しください。
○農林水産振興部長(三木正之君)
 漁業生産量の減少の要因についてお答えいたします。漁業生産量減少の要因としましては幾つか考えられますが、一つは漁業就業者の減少が挙げられます。本市漁業就業者数につきましては、比較のため合併前の旧下関市内における人数で申しますと、昭和48年当時は2,838人でしたが、令和4年には364人と、50年間で8分の1程度まで減少しております。特に内海側では、昭和48年は1,786人が、昭和4年には149人と、50年間で10分の1以下にまで減少しております。
また、このほかにも海水温の上昇による海洋生態系の変化や、海水中に含まれる窒素やリンといった栄養塩類の不足なども要因として考えられております。
○河野淳一君
 漁業従事者の減少、また、海水温の、今、気候変動が大きく取り沙汰されていますが、海面温度の上昇、またさっきも言いました栄養塩類の減少も要因として挙げられるということで御説明があったと思います。特に漁業従事者の減少は、要は、魚とか、そういうものが取れなくなったから減ったのか、漁業者の年齢、高齢化もあって減少されたのか。両方、要因としてはあるのだろうと思うのですが、それを踏まえまして、沿岸漁業に、本市が一番、今から取り組んでいただきたいと私は思うのですが、この沿岸漁業の支援策で、漁業生産量、今減少しているということに対しての対策、また支援策について、お示しをお願いいたします。
○農林水産振興部長(三木正之君)
 沿岸漁業への支援策についてお答えいたします。その前に、先ほど水揚量を少し御説明させていただいたのですが、平成5年のアサリの水揚量でございますが、すみません、私、口がうそを言いまして5トンと言いましたが、7トンの間違いでございますので、訂正させていただきます。申し訳ございません。
沿岸漁業の支援策についてお答えいたします。漁業生産量の減少に対する施策としては、栽培漁業センターにおいて、種苗を生産し、漁業者が行う種苗放流の指導や支援、種苗放流の効果を高めるための漁場の環境保全活動や効果調査、そのほか生産力を高めるために魚礁を設置する漁場開発などを行っております。
 また、漁業者が中心となって、沿岸海域の環境や生態系の維持、回復を図る活動に取り組まれておりまして、具体的には、瀬戸内海側では、アサリの資源回復を目的とした干潟の保全活動、日本海側ではアラメを中心とした海藻類の回復を目指した藻場の保全活動を活発に行っておられます。
 これらの漁業者の活動を支援するとともに、漁業者と行政機関が連携し、下関にかつてのような豊かな海を再生するための事業として、下関市豊かな海創造事業について、今年度より準備を始めたところでございます。
○河野淳一君
 様々取り組んでいただいている過程が、今、御説明ありました。最後にちょっと御答弁があった下関市豊かな海創造事業、これの概要は、私も大体お聞きはしました。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○河野淳一君
 ちょっとタブレットを見ていただきたいのですけれど、3月に地元の王司漁協の、皆さんも御存じだと、矢儀運営委員長でございます。いつも王司の干潟を守る、これも、8月の市報に載った矢儀さんの資料でございますけれど。50年近く続いている、地元の王司小学校で海浜学習の実施など、本当に地域にとっても、本当に力強い、また、子供たちに、この海の大切さ、海の資源の大切さ、また干潟の大切さを知っていただこうということで、ずっと地道に、海浜学習等を、地道に活動されている方でございます。
3月にちょうど、公明党の国会議員とちょっと、要望があるということでお伺いさせていただきました。矢儀運営委員長ですけれど、最後のタブレットの5枚目にあるとおり、この栄養塩類の御要望をいただきました。その中で、この下関市豊かな海創造事業というのも、私も初めて知って、ちょっと学んだわけでございます。
矢儀運営委員長からは、ここにも書いてありますように、様々な干潟、また、タイやノリが再生できるように、この栄養塩類の下水道処理のところが、この窒素・リン――栄養塩をしっかり、環境法の中の範囲でしっかり放出していただいて、この豊かな海を再生していただきたいというような趣旨で、御要望をいただいたわけでございます。
 それでは、この下関市豊かな海創造事業の概要について、御答弁いただきたいと思います。
○農林水産振興部長(三木正之君)
 下関市豊かな海創造事業は、当農林水産振興部と漁業者や上下水道局などが連携し、下関沿岸地域の生産性向上を図り、豊かな海域の再生に取り組む事業です。事業では、藻場の減退やアサリなどの餌となる植物プランクトンの減少の一因である海水中の栄養塩類を増加させる取組を進め、水産資源の増大につなげてまいります。具体的には、事業が円滑に進むよう、関係者で協議会を設立し、下水道終末処理場の放流水に含まれる栄養塩類の濃度調整や、処理場で発生した有機残渣物の有効活用などに取り組んでまいります。
 また、この取組は、環境保全に配慮が必要であるため、環境部から意見や指導を仰ぎながら進めてまいります。
本事業は、海域環境の現状把握や効果の検証、市民の方々への周知など、多くの課題がありますが、沿岸漁業の活性化のために、下関の海がきれいで、多くの生き物が生息する豊かな海となるよう、関係者と連携して取り組んでまいります。
○上下水道局長(林 義之君)
 下水道の終末処理場にやって来る汚水ですけれども、ある意味汚いということなのですが、視点を変えれば可能性の塊と言われております。このため、全国では様々な研究や実証実験、実証プラントが立ち上がっております。
上下水道局では、そのうち下水の放流水の活用と下水汚泥―――下水の有機残渣物ですけれども、その活用について取り組みたいと思います。下水の放流水により、海や河川へ栄養塩類を供給することは、将来にわたる多様な水産資源の確保に、一定の役割を果たす可能性があるとされております。
終末処理場の運転管理なのですけれども、基本は下水道法、水質汚濁防止法等で定められる放流水の排出基準を満たすよう、適切な処理を継続することが必要となります。法律の基準が緩和されたとは言いながらも、1日の排出基準、年間を通じた平均的な排出基準というのは、これを守らないと当然ながら法令違反ということになりますが、法律改正の趣旨を受ければ、豊かな水資源の創造に向けて、技術的に困難な点は多々ございますけれども、何とかそれを乗り切って、季節によって、主に冬ですけれども、放流水中の栄養塩類の濃度を上げることによって、窒素やリンを水域に供給したいと思っております。
 このため、農林水産振興部と連携して、水質基準もしっかり守りながら、前向きに取り組んでまいりたいと思います。
 そしてもう一点が、下水道汚泥有機残渣物の活用でございます。下水処理の過程で発生する汚泥、有機残渣物については、国土交通省は農業用の肥料としての活用を推奨しております。上下水道局におきましても、ハード面、ソフト面において検討を行っておりますが、それとは別に、下水の有機残渣物の海域における新たな有効利用の可能性について、農林水産振興部と連携して調査研究、実験をしてまいりたいと考えております。
○河野淳一君
 しっかり協力して取り組んで、上下水道局さんの協力なくして、この事業はできないと思いますので、ぜひ御協力いただきたいと思います。
御回答にございましたように、環境法、このルール、ルールというか基準はしっかり守りながらが大前提でございます。そうなると、このバランスを取るのがかなり難しいのかなと思っております。
今、この瀬戸内海の規制につきましても、前は瀬戸内海全体で、同じような規制がかかっていましたが、今はもう、それぞれの海域、山口県だったら山口県の瀬戸内海それぞれで、今、県でいろいろ取り組んでいただきたいということで、海域ごとにいろいろ体制、また、取組の内容も、個別にやっていくような形で、今法律が改正されているものと思います。
 そういう意味で、今からまた、この豊かな海創造事業をするに当たって、今後、ルールを守りながら、実際に、上下水道局さんが終末処理場から窒素やリンを多く出していただくようになると思うのですけれど、それが海域にどのような影響を与えるのかというのは、これはまだ、全国的にもメカニズムがまだはっきりしていないのです。
それで、この下関市の海、瀬戸内海全体ですけれど、豊かにするためにも計測、また分析を今後していくために、この豊かな海創造事業の予算化が必要だと思うのです。長い目で、漁業沿岸漁業の漁業者を守る、漁獲量を増やしていくためにも今から計測作業とか、また分析作業、または検討、協議会を立ち上げるようになっておりますけれど、運営費とか、様々な予算措置が必要になってくるとは思うのです。
最後の質問ですけれど、この豊かな海創造事業の協議会の運営費用とか、また栄養塩類濃度の把握と分析に係る予算と言ったら失礼ですけれど、今、多分予算がついていないと思うのですが、しっかり予算を取ってやっていただきたいというのが質問の趣旨です。どのようにお考えか、農林水産振興部長にお答えいただきたいと思います。
○農林水産振興部長(三木正之君)
 すみません、大変恐縮なのですが、先ほど漁業生産量の減少の要因で、漁業就業者の減少のお話をさせていただいて、内海側の推移を御紹介したのですが、私がまた説明の際に、ちょっと言葉が違いまして、昭和48年は1,786人、私は昭和と言ったのですが、令和4年です。お気づきのとおりですが、令和4年には149人ということで減少していることでございます。大変失礼いたしました。
 御質問いただきました豊かな創造事業に係る予算についてお答えさせていただきます。令和6年度につきましては、予算を伴わない範囲で協議会の設立など、関係者で調整し、取組を進めてまいります。
また、令和7年度につきましては、干潟などの海洋環境の現状を把握する調査や分析を実施したいと考えており、金額については、今まさに計上する必要があると思うのですけれども、必要な予算の計上を、金額はまだ確定していませんけれども、予算の計上について検討してまいります。
○河野淳一君
 しっかり予算を取っていただいてやっていただきたい、また、部局をまたいでの事業になります。大変、取組としてはいい取組をやっていただくのかと思っておりますので、進めていただきたいと思います。
 すみません、時間が短くなって申し訳ない。公明党としてはしっかり、この第一次産業につきましても、今後、取り組んで、これまでも取り組んできたつもりでございますけれど。先週、秋月議員が農業のお話をさせていただきました。今日、私が漁業のお話させていただきました。
最後、市長に、この第一次産業、農業、林業、また漁業、その他含めまして、この第一次産業の振興を目指した明るい未来というか、展望がございましたら、最後、お時間の範囲で、御答弁いただけたらと思うのですが、よろしくお願いいたします。
○市長(前田晋太郎君)
 もう3分、使っていいですか。(「はい」との声あり)貴重な御質問いただきました。秋月議員、そして河野議員には、一次産業を応援してほしいという趣旨、しっかりと、当然やっていかなくてはいけませんし、私も市長就任当初から、一次産業の元気、活性化なくして下関の活性化はないとうたいまして、様々な政策をやってまいりました。
皆さん、これを振り返っていただいて、十分ではないのですが、かなり下関の農業、水産業、特に農業はかなりの予算を、制度設計も含めて、つぎ込んでまいりまして、一定の御評価をいただいていると思っています。
 一方で、今、資材の高騰化であったり、昨年は、高騰化対策は、ちょっと山口県を例に出したら非常に恐縮ですが、分かりますよね。肥料補助、10アール当たり山口県は1,000円だったのですけれど、うちは4,000出していますから。あれはちょっと衝撃的な、県内に衝撃を与えたのですが、今年ゼロだったから、逆に怒られているというかですね。「何でやらんのだ」と、会うたびに皆さんに言われるのですけれども。
その前は、農業はウンカ対策も、ウンカを6,000万円、あのときは農薬補助、いいほうの農薬の補助をしたのです。あれも6,000万円、国の補助なしですから、一般会計から出したという、これも当時、財政部も本当によく判断してくれたのだと思いますが、とにかくよくやってきたし、今からもやっていかなくてはいけないのです。
 一方で、水産のほうは、非常にいい御質問をいただいております。まさに今、海洋環境が変わってきて、私もちょっと水産の立ち位置の人間なので、少しお話しさせていただくと、やはり今の沿岸漁業は、本当、魚がめちゃくちゃ減っているのです。私は、去年、筋ヶ浜の海に潜ったのです。自分で海パンをはいて、ちょっと調査に、調査ではないですけれど、漁業組合長に電話して、ちょっと潜ってくると言って。確かに藻が本当に減っていて、藻がないので、貝も減っているし、魚もつかないので、大きい魚もなかなかというところです。
それとまた温度です。海洋の温度が非常に上がっておりますので、昨日、新聞に出ていました。カツオが北海道で捕れて衝撃だと。2年前、私が函館に市長会で行ったときは、真鯛が捕れたと、地元が騒然となっているという、タクシーの運転者が言っていましたけれど。それぐらい海温の変化、フグも北へ上がっています。下関に非常に影響が出ますので、下関市豊かな海創造事業、これをしっかり、いい計画を立てて予算化をしっかりして、盛り上げていきたいと思いますので、ぜひとも、また御指導よろしくお願いいたします。
○河野淳一君
 以上で質問を終わります。(拍手)
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