録画中継

第2回定例会
6月20日(木) 本会議(一般質問2日目)
公明党市議団
秋月 美佐子 議員
1.学校部活動の地域移行について
2.保育者が安心して働ける環境づくりのための支援について
3.奨学金返還支援事業の拡充について
【下関市議会 本会議確定版】

○副議長(安岡克昌君)
 11番、秋月美佐子議員。(拍手)
  〔秋月美佐子君登壇〕
○秋月美佐子君
 公明党の秋月美佐子と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
  〔手話を交えて発言〕
○秋月美佐子君
 それでは、通告に従いまして質問させていただきます。まず、学校部活動の地域移行についてでございます。令和6年度の取組についてですが、令和4年12月に、スポーツ庁及び文化庁から中学校の部活動改革のガイドラインが示され、本市においても、昨年、令和5年度より実証事業が始まりました。
 少子化による生徒数の減少と、教員の働き方改革とはいえ、部活動は学校教育において、大切な活動の一つであると思います。部活動の円滑な地域移行に向けて、本市がどのように考え、計画されているのか、質問させていただきたいと思います。
 まず、学校部活動地域移行のロードマップをお示しください。
○教育長(磯部芳規君)
 学校部活動の地域移行に向けての方針と、取組状況についてお答えいたします。
 教育委員会といたしましては、本年4月に、今後の方針として、休日については、令和8年度末までに地域移行を目指すこととしております。
 平日については、学校の実情に応じて、学校部活動の地域と連携した取組や、地域移行に取り組むことを決定し、周知のためのリーフレットを学校及び保護者に配布したところでございます。
 また、令和5年度より、有識者や関係団体から、市の方針や取組に対する意見を幅広く聴取することを目的として、下関市部活動地域移行推進委員会を開催しております。
 今後も、本委員会での意見を踏まえつつ、中学校長会等の連携を図り、中学生がスポーツ、文化芸術活動に継続的に親しむことができる機会の確保に努めてまいりたいと考えております。
○秋月美佐子君
 令和8年度末までに、土日の部活動は完全に地域移行を目指すということです。それでは、ただいまの教育委員会のロードマップを受けて、令和6年度の取組をお示しください。
○観光スポーツ文化部長(田中一博君)
 令和6年度の実証事業につきましては、昨年度から実施しております運動部活動に加え、文化部活動においても実施することとしております。
 実証事業として実施するクラブは、複数の種目等を体験することができるマルチクラブと、子供たちや保護者、学校へのヒアリングに基づき実施するニーズクラブに分類し、各運動種目や文化種目のプログラムを編成いたします。ニーズクラブの1例を申しますと、複数校のエリアを対象とした野球クラブをつくりたいなど、新たな環境を実証事業で検証いたします。なお、実施期間といたしましては、7月から10月にかけて第1弾、11月から翌年2月にかけて第2弾を実施する予定としております。
○秋月美佐子君
 こちらは、スポーツ庁が部活動改革ポータルサイトで掲載しているものでございます。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○秋月美佐子君
 部活動の地域移行について、地域の多様な主体が運営して実施する地域クラブ活動によって、部活動を代替するものです。学校とも連携しながら、多様な活動を、可能な限り低廉な会費で実施しますということで、市町とスポーツ文化の団体が連携して、各中学校が地域クラブに行くという、地域が主体となってクラブ活動が整備されていく、このイメージがここに表わされていると思います。特にニーズクラブについては、本当に各学校の状況が違うと思いますし、ニーズが違うと思いますので、丁寧に進めていただきたいと思います。
 ここで、マルチクラブについて、特に本年度から実証事業がされる文化部について、もう少し詳しくお願いいたします。
○観光スポーツ文化部長(田中一博君)
 国のガイドラインにおきましては、生徒のニーズに応じた複数の運動種目、文化芸術分野に取り組めるプログラムを提供することが、新たな地域クラブ活動の在り方として示されております。
 本市では、これらを対応が必要な課題として整理して、プログラム編成の考え方に取り入れております。
 具体的に、文化部ということでございました。茶道や競技かるた、またフルートなど、順次体験できる文化クラブというのを実施する予定でございます。
○秋月美佐子君
 モニターを御覧ください。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○秋月美佐子君
 スポーツ庁のポータルサイトからですけれども、ここに「地域の子供は学校を含めた地域で育てる」とありますが、このマルチクラブというのは、特にその要素が強いと思います。
 こちらは、マルチクラブの参考例になるかと思いまして、今回、提示させていただきます。菊川地区まちづくり協議会で、青少年育成部会の活動で、菊川中学校の生徒さんとの「菊川で学び、活躍する日」の様子です。菊川まちづくり協議会では、子供たちが地域の人と交流することで、菊川に愛着を抱いていただいて、菊川にまた戻っていただきたい、住み続けたいと思っていただけるような交流を設けたいということで、この「菊川で学び、活躍する日」を設けて活動をしております。
 毎月1日で1回、この日は部活動を全てお休みにして、これは平日に行っているのですけれども、これは和太鼓です、琴、陶芸、フラダンスなどを、生徒の希望によって体験ができるようになっております。私もこの茶道体験教室に参加させていただいているのですけれども、昨年から始めて、この1年間で92名の生徒が参加しました。中学生が茶道にどれほど興味を持ってくれるのか、当初は心配だったのですけれども、毎回、定員が10名なのですが、10名を超える希望者がいるということで、初めての人が優先というルールができまして、連続して参加したいという人が入れないということで、定員を和室に入るぎりぎりの15名まで増やしました。それでも、今年度も始まっておりますが、申込書が争奪戦ということで、大変私はうれしく思っているのですけれども、スポーツ省のサイトに、ここにありますように、地域で多様な世代との豊かな交流、有資格者、専門性のある指導者とありますけれども、今回の実証事業を、私が所属する茶道、裏千家の会の先生方にお話しいたしました。とても関心を示されて、日本の伝統文化を若い人に伝承できる絶好の機会ということで、早速この7月から始まる実証事業に、参加を希望していただきました。
 地域クラブは、特に、このマルチクラブ、地域の指導者の方たちのやりがい、生きがいにもつながっていると実感しているところでございます。
 そこで質問です。本実証事業によって、検証したいことは何でしょうか。検証の狙いをお願いいたします。
○観光スポーツ文化部長(田中一博君)
 複数種目が体験できるマルチクラブにおいては、生徒のニーズや興味関心などを把握したいと考えております。また、現在のニーズを起点として取り組むニーズクラブにおいては、指導者の確保をはじめとした実施体制についての検証が必要でございます。
 いずれの分野においても、地域に移行された後の持続可能性に主眼を置き、検証を進めていくとともに、受皿となる団体のマネジメントやコーディネート能力についても、併せて検証を行う実証事業に取り組むこととしております。
○秋月美佐子君
 昨年のDスポーツに加えて、今年度はさらに踏み込んで、いろいろな種目、また、文化部のほうも実証事業が立ち上がるということですので、幅広く中学生の方たちの要望を検証できるいい機会になると思います。私もしっかり参加させていただきたいと思っております。
 教育委員会のほうがアンケートをされたと聞いておりますが、その内容をお示しください。
○教育長(磯部芳規君)
 学校部活動の地域移行に関するアンケート調査についてお答えいたします。
 現在、今後の取組の参考とするために、市立の小学校五、六年生、中学生、及び保護者と教職員を対象に、6月10日から6月21日までの期間で、アンケート調査を実施しているところでございます。
 小学生には、中学校入学後の部活動への加入希望等について、中学生については、現在の部活動の加入状況や、地域クラブにおける希望する種目等について、保護者には、部活動の地域移行への理解や、地域クラブへの期待等について、教職員には、地域移行後の地域クラブへの参加希望等について尋ねているところでございます。
 今後は、7月をめどにアンケートを集計、分析し、当事者皆さんの声に寄り添った取組を進めてまいりたいと考えているところでございます。
○秋月美佐子君
 生徒にとって、部活動は本当にかけがえのない大切なものです。また、部活動を負担に思われている教師の方もいらっしゃる一方で、部活動の時間を生徒との交流の場として、すごく大切に思われている先生もおられると思います。
 また一方で、子供の放課後の過ごし方に対しても、当面は土日ですけれども、不安に思われている保護者の方もいらっしゃると思うので、幅広く、その声を酌み取って、改革を進めていただきたいと思います。
 次に、部活動の地域移行を進める上で、本市が留意し、目指す方向性をお示しください。
○観光スポーツ文化部長(田中一博君)
 山口県が令和5年10月に定めた「新たな地域クラブ活動の在り方等に関する方針」において「地域クラブ活動は、学校部活動の教育的意義や役割を継承する活動であることを踏まえ、単に中学生が加入するスポーツクラブ・文化芸術クラブ等とは区別する必要がある」とし、行政からの支援の対象となる地域クラブ活動については、市町が要件を設定し、登録して行うなど、適切な地域クラブ活動として運営することを求めております。
 本市におきましては、令和8年度末までに、休日における全ての学校部活動を、地域に移行することを目指していることから、県の方針を踏まえた地域クラブの認定基準、また本市の学校部活動、及び新たな地域クラブの総合的なガイドライン、また基本方針の素案を、本年度中に策定したいと考えております。
 令和7年度には、これらの基準や方針について、生徒や保護者、地域等に説明する機会を設け、御意見をいただきながら本市の方向性を確定してまいります。
○秋月美佐子君
 確認ですけれども、既にスポ少などクラブ活動を、活発に参加していらっしゃる生徒に関しては、そのまま活動を続けていただいていいのだろうと思うのですけれども、とにかく学校で、部活動が継続しにくい環境にある方たちが、生徒たちをしっかりと地域で支えて、活動を続けていけるように協力、教育委員会と観光スポーツ文化部が協力し合って進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 その上で、このたびコーディネーターを設けるということなのですけれども、実は、私、今回の質問に至ったのは、菊川スポーツクラブの総会で、この部活動改革の内容を初めて具体的にお聞きしたのです。すぐには、ちょっと理解ができなかったので、今回質問させていただこうと思いました。一般社団法人菊川スポーツクラブにコーディネーターを委託した経緯をお示しください。
○観光スポーツ文化部長(田中一博君)
 令和5年度に実施いたしました実証事業においては、四つの団体、それぞれに業務を委託しておりましたけれども、検証を進める中で、事務処理については、一括して行うことが望ましいのではないかとの御意見を受託団体からいただきました。
 これを踏まえ、令和6年度の実証事業におきましては、各クラブ単位の事務処理を一括して行い、総合的に運営を支援する受皿団体を設置することとして、一般社団法人菊川スポーツクラブをその団体として選定をいたしました。
 選定理由といたしましては、総合型スポーツクラブとして長年にわたり、住民の健全な心身の育成、及びスポーツ活動による地域の活性化に取り組むなど、幅広いスポーツでの事業実績や、充実した運営体制が確立されており、受皿団体としての適性が高いと判断をしたところでございます。
○秋月美佐子君
 分かりました。他のクラブの希望もあって、事務的なことの集約ということで、一つにしたということで理解いたしました。
 それでは、このコーディネーターはどのような働きをされるのでしょうか。具体的な役割を説明願います。
○観光スポーツ文化部長(田中一博君)
 コーディネーターの役割といたしましては、実証事業の各種調整を行うほか、令和8年度末の、休日の地域移行に向けた体制づくりを進めるため、市内各中学校を訪問して、部活動の現状や今後の方向性、生徒や保護者、地域の声、部活動の顧問の意見などについてヒアリングを行い、現状把握に努めております。
 また、これらのヒアリングに基づき、地域クラブ化の可能性についても検討を進め、調整を図る役割も担っております。
○秋月美佐子君
 先ほども申しましたけれど、部活動の状況、また抱えている問題は学校によって様々だと思います。既に、総合型地域スポーツクラブとして、経験と実力を持たれた菊川スポーツクラブのコーディネーターには、大いに期待するところでございますが、現場の声を聞くというコーディネーターの業務が十分なされるように、教育委員会、また観光スポーツ文化部にはしっかりサポートをお願いしたいと思います。
 次に、この地域クラブ活動が円滑に運営されるために、今後いろいろな整備がされていくと思うのですが、どのような支援が必要と、考えられますでしょうか。
○観光スポーツ文化部長(田中一博君)
 地域クラブ活動を実施する上で、様々な経費に対応するためには、参加者の会費が必要となってまいります。
 国のガイドラインにおいては、会費の適切な設定と保護者の負担軽減を求めており、活動の維持、運営に必要な範囲で、可能な限り低廉な会費を設定することとしております。
 これらを踏まえて、本市といたしましても、地域クラブの運営を総合的に支援する受皿団体や、経済的困窮家庭、生徒の移動に伴う経費などへの支援の在り方について、検討をしてまいります。
○秋月美佐子君
 先ほど紹介しました菊川中学校の体験教室ですが、一つエピソードがございまして、学校へ行きづらい小学生が数人、保護者や放課後児童クラブの先生と一緒に、体験教室に参加できたという事例がございます。地域クラブは不登校や障害のある子供たちの地域の学び場としての役割も担えるのではないかと実感いたしております。
 こういう大事な部活の地域移行ですので、本当に丁寧に進めていただきたい。聞き取りのときも期限を区切って、急いで進めるのではなく、この改革は丁寧に進めていきたいという部局から回答をいただきました。本当にそうだと思います。部活動に一生懸命な生徒や、教師の気持ちを大切にしながら、地域クラブの認定、今おっしゃいました。それから運営における制度設計を着実に進めていただき、保険とか、そういう安全対策を整えることも必要と思います。大変な改革と思いますけれども、どうぞよろしくお願いいたしまして、この質問を終わらせていただきます。
 次に、保育者が安心して働ける環境づくりのための支援についてでございます。本市における保育士等の配置の現状について、保育士の配置基準、国の基準が改正されましたが、本市の年齢別の配置状況をお示しください。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 令和5年12月に閣議決定された「こども未来戦略」において、1948年の制度発足以来、75年ぶりに保育士の配置基準の改正が行われることとなりました。
 これにより、今年4月から各教育、保育施設に従事する職員等の数を定めた規定のうち、満4歳以上児の職員配置基準を30対1から25対1へ、満3歳児においては20対1から15対1に改正されましたが、各地域の事情もあることから、従前の基準により運営することも妨げないとする、経過措置も設けられているところでございます。
 本市においては、現状で保育士の確保が十分ではなく、年度途中から待機児童が発生していること、また、今後、3歳未満の未就園児が月一定時間、保育園やこども園などを利用できる「こども誰でも通園制度」が本格実施される予定であることから、当分の間、従前の職員配置基準により運営することも妨げないとしております。
○秋月美佐子君
 今、示されましたように、75年ぶりに見直された配置基準でございます。こちらのタブレットの表を見てください。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○秋月美佐子君
 保育士の負担軽減の第一歩は、やはり人を増やすこととして、これは公明党が強く要望して、実現された基準でございます。ただいま御説明がありました年齢別の配置基準を示したものですが、左側が改正された基準です。右側に示しましたのが、県の保育協会からの要望の人数です。
 御覧のように、要望では1人の保育士が見る園児の人数はさらに少なくなっています。ある園長先生に聞いてみました、今回の改正についてどう思われますかと。園長先生がおっしゃったのは「4歳・5歳児については、うちはもう25人でできているのです」と「一番保育士さんが必要なのは1歳児なんよね」とおっしゃったのです。こちらの表でも分かりますように、保育協会の要望においても、特に1歳児の要望と、現行の基準に大きな開きがあります。この1歳児については、令和7年度以降は5人に見直されるとのことですけれども、やはり保育の現場の声が反映されていないのではないかと思います。1歳になると、よちよち歩きが始まり、好奇心も旺盛で動き回る、なのに危ないということが分からない。言い聞かせても理解できない。つまり、手がかかるわけです。今回の改正でも、十分とは言えないと思います。
 次の質問です。厚生労働省の統計によると、保育施設での障害児、要配慮児の受入児童数、2021年までの10年間ですけれども、約1.8倍になったとありました。年々増え続ける傾向にあります。
 保育士の加配状況についてお尋ねいたします。障害児、要配慮児に対する保育士の加配基準はどうなっていますでしょうか。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 障害児保育に係る保育士等の配置につきましては、おおむね障害児2名に対し、保育士1名の配置を標準としつつ、障害児の状況に応じて、適切に職員を配置するよう国から求められているところでございます。
 本市の現状ですが、令和6年3月末時点で、公立園では188名、私立園では121名の障害児を受け入れております。中重度の障害児には、保育士1名を配置する園もございますが、受け入れする障害児の約9割が軽度の障害児という状況のため、加配保育士の配置は公立園で3.2名につき1名、私立園では4.2名につき1名となっております。
 就園を希望される障害児の数は、年々増加傾向にありますので、今後も保育士確保に努めるとともに、障害の有無にかかわらず、全ての子供が必要な援助を受け、一緒に成長できるよう、研修などを通して、職員のスキルアップにも努めてまいります。
○秋月美佐子君
 制度は国で決められていますけれども、その制度を運用するのはやはり市町で、実情を把握しているのも市町です。なかなか簡単に数字を、制度が変わったからといって、すぐできるものではないと思いますけれども、その加配基準がある程度満たされていても、保育の現場は、やはり実状は厳しいと思いますけれども、保育士の負担軽減、数が難しいとしても、負担軽減のために、新たな取組はありますでしょうか。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 障害児の就園に当たっては、公立園だけでなく、私立園にも加配保育士を配置していただいており、その費用については、公定価格による療育支援加算や、下関市特別支援保育事業費補助金を活用しております。
 このうち、市の補助金につきましては、従来の補助金額の算定方法では、適切な職員数を加配しようとした場合の経費に対し、十分な補助金額とはなってございませんでした。そのため、令和6年4月から、認定児童数に応じた加配職員の配置基準と、直近の市内特定教育・保育施設の平均的な人件費を反映した補助基準額に改め、さらに加配職員の対象範囲を、一定の要件を満たした子育て支援員についても対象とするなどの改正を行っており、園において就園可能と判断した子供について、可能な限り受入れを行っていただいております。
○秋月美佐子君
 先ほどの園長先生にお聞きしても、そういうところはすごく支援が充実してきたということで喜ばれていらっしゃいました。それでなくても、保育士が不足しているところに、今年度から第2児保育料無償化、また、26年度からは「こども誰でも通園制度」が始まります。担当部局もいろいろと対策を講じておられると思います。待機児童を今以上増やさないために、当分の間、経過措置があるとのことですが、とにかく保育士の確保が急務と考えます。
 次の質問でございます。保育士確保のための支援についてですが、保育士に対する支援はどのようなものがありますか。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 保育士確保のための支援としては、保育士養成校に在学中の学生を対象としたものと、保育士養成校を卒業し、市内に就職した方を対象としたものがございます。
 在学中の学生に対する支援策としては、県の保育士修学資金の貸付けがございます。この事業は、指定保育士養成校に在学し、保育士資格の取得を目指す学生に修学資金を貸し付けるもので、県内の保育所等に5年間勤務すれば、修学資金の返還が免除となります。
 これまでは、県内の保育士養成校の学生に限定されておりましたが、今年度からは、県外の保育士養成校の学生まで、範囲が拡大されております。これにより、本市の地域的な要因で、課題となっていた北九州市や福岡市にある養成校の学生も対象となったことで、本市の就学前施設への就職を希望する学生が増えることを期待しております。
 また、本市の奨学金返還支援制度についても、今年度から対象が拡大され、私立保育所等に就職する保育士も対象となってございます。
 また、保育士養成校を卒業し、市内の私立保育所等に正規職員として就職した方については、1人当たり10万円を給付する「私立保育所等新卒保育士就労支援金」を今年度も継続して行っております。
○秋月美佐子君
 本当に様々、施策を講じていただいていることが分かりました。就職の支援金、また就労支援金、いろいろあるということですけれども、今言いました奨学金の返還事業など、実は隣の北九州の保育科、私の母校なのですけれども、やはり北九州は何か、家賃の助成があるということで、大学の保育科を卒業した方が、そのまま北九州市で就職するケースが、やはり多いようなのです。
 ただ、今回、奨学金返還事業で、この保育士さんを拡充していただいたということで、私は北九州にちょっと電話して聞いてみたら、今やっていないのです、北九州市は。こういう奨学金返還事業を、以前3年間募集して、今その支給期間ということで、新たにはしていないということなので、本当にこれ、チャンスだと思います。これは産業振興部のお仕事だと思うのですけれども、しっかり周知していただいて、保育士さんを、北九州の学校を出た方が下関に戻っていただけるように。チャンスだと思います。保育士の求人倍率3.12倍と高い状況が続いています。下関の保育所を選択してもらえるための魅力ある優遇措置、どんどん発案してほしいです。
 一番は難しいのですけれども、本市独自で処遇改善をすることが早いように思います。というのも保育協会の要望でも、申請しなければもらえない加算ではなく、保育士の給与が低い現状を、根本的に改善してほしいというのがありました。
 他市に先んじて、逆にチャンスですので、少しでもそういう思いを、処遇改善することで、保育士さんの確保が進むのではないかと思いますので、本気で検討をお願いしたいと思います。
 次に、施設に対する支援はどのようなものがありますでしょうか。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 施設に対する保育士確保のための支援としては、待機児童が多く発生している地区にあって、保育士の新規雇用に要する人件費の一部を補助する「待機児童対策保育士確保促進事業」を実施しております。
 また、保育業務全般のサポート役として、保育補助者を雇用する費用を支援する「保育補助者雇上強化事業」や、保育士の業務負担軽減を図る「就学前施設ICT化事業」を実施することで、保育現場の環境整備や保育士の負担軽減を図り、離職防止につなげるための支援も行っております。
○秋月美佐子君
 聞き取りのときに、私はちょっとあまり考えなかったのですけれど、子育て支援員さんに保育士になっていただけることが期待されるということを言われていらっしゃいましたが、実際に、保育士を希望される支援員さんがどれぐらいいらっしゃるか分からないのですけれども、保育士資格を取得するというのは、合格率が20%台というすごい難関なのです。
 山口市で保育士資格の応援講座なども開設されておりますので、支援員に限らず、保育士資格を取得するための後押しになるような支援も考えていただくとよいのではないかと思いました。
 また、保育士の負担軽減のため、当面は本当に支援員さんに支えていただくしかありません。先ほど就学前施設の、去年の5月から3年間ということで始まっております安全対策の事業の現状、1施設1年間で40万円、安全対策費が助成されているということで、ちょっと確認させていただいたのですけれども、人手確保が難しくても、保育をサポートする施設整備をすることで、保育士さんの負担を軽減できると思います。
 この令和5年度の実績を確認させていただきましたら、やはり施設側の優先順位は、まず園児の安全のためのブロック塀の修復、バイオクッションの購入、AEDの設置、また遊具点検など、整備の関係がほとんどでした。
 支援員さんにちょっと聞いてみたのですけれども、やはり午睡センサーです。お昼寝のときに、あれがあると本当に見守りが安心だそうなのです。器具に頼り過ぎるのは気をつけないといけませんけれども、経験が浅い支援員さんなどは、心の負担が軽減されると言ってらっしゃいました。保育士を増やすことはすぐにできないかもしれませんが、施設の整備をしっかり支援することができます。
 令和7年度まで、この助成金を活用して、例えば、保育中の子供の動きを把握するためのエアータグや、保育室内での行動記録のためのカメラ設置など、保育士さんの負担軽減に役立ててもらえたらと期待するところでございます。助成の延長や増額も考えていただきたいと思いますし、助成の使用目的については、保育士の要望に寄り添って、柔軟に対応いただければと思います。
 最後に、今年度、新しく、取組としてスタートされました保育士・保育所支援センターの現状はどうなっていますでしょうか。
○こども未来部長(栗原紹子君)
 保育士・保育所支援センターは、喫緊の課題である保育士不足の解消を目的に、潜在保育士等の確保と現役保育士の離職防止のための支援を行うこととしており、現在、令和6年10月の開設に向けての準備を行っているところでございます。
 具体的には、職業安定法に基づく無料職業紹介事業の届出の準備、保育士等と施設とのマッチングサービスを行うウェブサイトの構築、就職支援コーディネーターがきめ細かな就職支援を行うための施設訪問や、職業紹介責任者講習の受講、保育士免許取得者に保育士・保育所支援センターへの登録を促すための情報収集などの準備を行っているところでございます。
 今後は、養成校への訪問や、私立保育連盟との共催による保育フェアに参加し、保育士・保育所支援センターの開設を幅広くPRすることとしております。
○秋月美佐子君
 県内初のマッチングシステム、他もやっていないかもしれないのだけど、大変期待するところでございます。10月に開設しましたら、1人でも多くの方に、まずは保育に携わっていただけるよう、私もまずは登録をしっかりお声がけしてまいりたいと思います。
 そして、保育士さんの相談窓口となる就職支援コーディネーターさん、保育士さんの本音をしっかり受け止めていただいて、離職の防止につなげていただきたいと思います。保育の現場には、様々な問題があると思いますが、問題解決の糸口もやはり現場にあると思います。よろしくお願いいたします。
 これ、園長先生のお話なのですけれども、今年採用した20代の保育士さん、担当の教室で、先輩保育士さんが、要配慮児がぱっと教室を走り出てしまったので、追いかけて行かれて、残りの児童を1人で見ないといけなくなったときがあるそうです。そのとき、本人は一生懸命、新人で一生懸命対応したのですけれど、やはり十分な保育ができなかったと涙されたそうです。真面目な先生ほど、保育の質が保てないことに悩み、自身を責められます。せっかく高い志を持って保育士になられた方に、こんな思いをさせてよいのかと思いました。
 最初に、配置基準の質問をいたしましたけれども、それは単に保育士の数の問題にはとどまらないと思います。保育の質を確保することは、下関に生まれ、将来、下関を担う子供たちの健全な成長に、直接関わることになります。そして、保育者が安心して働ける環境づくりとは、即、子育て世代の方々が、この下関で、安心して子育てしながら働ける環境を整えることになります。どうか国の打ち出しを待ってとか、他県、他市の動向を見てとか、配置基準を満たしているからとかではなくて、この下関の保育の質を保つために、また向上させるための保育士確保に向けた思い切った施策をお願いいたしまして、この質問を終わらせていただきます。
 それでは次に、最後、奨学金返還支援事業の拡充についてでございます。先ほども少し触れましたけれども、本事業につきましては、河野議員が何度も質問されています。若者支援と地元中小企業の応援に貢献するすばらしい事業と思います。今回、ただ私が質問しようと思いましたのは、こんなによい事業があるのを知らずに、地元企業で働き始めた23歳の青年と出会ったからなのです。
 若い方にお会いしたときに、私、政治に関心を持ってもらいたいと思って、いつもその方に身近な施策をお知らせして、どう思うという感じで、お話することが多いのですけれども、彼は福岡の大学を卒業して、下関の実家に住んで、地元に就職されました。本事業の対象となるべき人ですが、全く知らされていませんでした。数百万円の奨学金を、毎月、返済しながら今働いていらっしゃいます。
 そこで質問いたします。本事業の利用状況について、地域別の利用状況はどのようになっていますでしょうか。
○産業振興部長(津野貴史君)
 奨学金返還支援補助金制度は、若者の市内就職促進と奨学金返還による経済的負担の軽減、そして中小企業の人材確保の支援を目的として、令和元年度に創設いたしました。本制度を利用するには、大学等の在学中に、交付申請の候補者となるための手続が必要でありまして、制度施行から令和5年度までの5年間に、201人が補助金交付申請の候補者として認定されております。
 候補者の地域別の利用状況につきましては、市内の大学等の学生が71人で全体の35%、それから市外の大学等の学生が130人で65%となっております。
○秋月美佐子君
市外の学生が65%というのは、この事業が下関に戻ってもらえるのに、大変効果的ということが数字にも表れていると思います。それでは、登録企業の利用状況はどのようになっていますでしょうか。
○産業振興部長(津野貴史君)
 本補助金の交付を受けるには、あらかじめ登録した市内の中小企業等に就職する必要があり、令和6年3月末時点において233社が登録されております。
 そのうち、現時点で認定を受けた交付申請候補者の就職が確認できた企業数は60社でございます。
○秋月美佐子君
 まだ、登録をしているけれども使われていない現実があるのかと思いました。もし使われていないとすれば、どうしてなのか、そこのところもしっかり聞き取っていただいて、もし必要であれば、利用条件の変更とか、せっかく予算を取って、いい結果が出ている事業ですので、活用していただかないといけないと思いますので、企業側にも意見を求めて、改善できるところはしていただきたいと思います。
 利用者は、聞き取りのときに、市外といってもやはり福岡県が一番多いと聞きました。隣が北九州というのもあるのかもしれないのですけれども、残念ながら、先ほど私が申した青年は福岡の大学でしたけれど、届いていなかったのです。今の周知の方法の現状と、さらなる制度の周知を図るために、新たな取組はされているのでしょうか。
○産業振興部長(津野貴史君)
 制度の周知につきましては、山口県内の大学のほか、福岡県、広島県内の大学に、ポスターやチラシを配布しており、特に山口県内、それから福岡県の大学につきましては、直接持参して、制度を説明し、大学の協力を得ながら学生への周知を図っております。
 また、今年度は、チラシの全戸配布を行うことにより、大学在学中の学生本人だけでなく、保護者や家族を通じて周知を行うとともに、大学進学前の高校3年生にも、校内の進路指導のタイミングに合わせて、チラシを配布していただくことで、制度の幅広い周知を図ることとしております。
 これらに加え、先ほど御案内ありましたとおり、登録企業のほうにも改めてチラシを配布し、採用活動におけるメリットとして、ぜひ活用していただくよう促してまいります。
○秋月美佐子君
 郵送ではなく足を運んで周知を、努力していただいているということが分かりました。今年度からは、奨学金を受ける前の高校生にも、周知してもらえるというのは、これ、本当に大変ありがたいと思ったのです。といいますのは、山口県は大学進学率が全国ワースト2位、私もこれを聞いてびっくりしました。ちょっと統計によって、2位なのか、4位なのかというところはあろうかと思うのですけれども、いずれにしても低いです。この高校生に周知することで、大学進学希望者が増えることも期待できるのではないかと思うところです。
 制度の、今拡充していただいて、すぐにまた、ここを要望するのは心苦しいのですけれども、制度の拡充について、まず今年度の拡充内容をお示しください。
○産業振興部長(津野貴史君)
 今年度の主な拡充内容につきましては、これまで60万円であった交付限度額を100万円に増額するほか、登録企業の要件では、中小企業だけでなく、先ほどお話のありました保育所等、慢性的な人手不足業種である介護や保育等の事業所を、新たに追加いたしました。
○秋月美佐子君
 保育士のところで、私も触れましたけれども、保育士、また介護士さん、少子高齢化問題に直接的に関係する職業に対象を拡充されたことは、大変評価すべきことと思いますし、うれしいと思いました。
また、金額も大きく拡充していただいて、北九州とは全然、ちょっと、こっちは勝っているなという感じなのですけれども、この事業が若者支援に大変効果的であるからこそ、さらに対象者の拡充をお願いしたいのですけれども、今、転職が当たり前の時代になっております。
再就職の方へはどのように対応されているのか。また、対象者の拡充は検討されているのか、回答をお願いいたします。
○産業振興部長(津野貴史君)
 このたびの制度の拡充に合わせまして、再就職の方に対する運用につきまして、従前でありましたら、交付対象者が離職した場合、その資格を喪失しておりましたが、登録企業から別の登録企業に切れ目なく転職した場合は、制度を継続して利用できるように見直しをいたしました。
 また、それ以上のさらなる制度の拡充につきましては、まずは、今回拡充した制度を一定期間運用しまして、その効果と課題を分析、そして評価した上で、必要に応じて見直しを検討してまいりたいと思います。
○秋月美佐子君
 市内の、引き続き転職された方には、ちゃんとこの制度の支援も引き継いでいただくということはありがたいと思います。こちらの表を御覧ください。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○秋月美佐子君
 これは総務省統計局のデータなのですけれども、転職希望者のデータです。
 男女とも、私、これを見てびっくりしたのですけれど、正社員の方の希望が非正社員の方よりも、抜きんでて上昇してきている状態がよく分かります。それと年齢なのですけれども、男女ともに、やはり25歳から34歳の方がどんどん増えている状態です。
 今申し上げましたようにデータの上でも、転職が、ちょっと当たり前のような時代になってきていることが、分かります。私が最初に紹介した、この知らずに地元就職した青年への救済を求めましたけれども、単に返済を助成するというのは、産業振興部の仕事ではないと言われました。確かに新卒の方が地元の登録企業への就職を選択してもらうことが狙いなのは理解いたします。ただ、このデータのように、昨今では、転職当たり前の時代、一旦は市外に就職した若者が、転職を考えるときに、下関へ帰ることを選んでもらえるように、また、若者にこの下関に住み続け、地元企業で働き続けてもらうために、さらに奨学金という借金の重荷を少しでも軽くすることで、家庭を持つという、次のステップへ進んでもらえるのなら、十分投資する価値はあると思います。
 ある母子家庭のお母さん、お嬢さんが嫁ぐときに、やはりこの借金を背負わせて送り出すのが忍びないということで、今パートをしながら、嫁いだ娘の代わりに、お母さんが返済をしていらっしゃるということもあります。来年度から、子供を3人以上同時に扶養する家庭というのが対象なのですけれど、大学無償化の制度も、どんどん始まっていきます。国がこれを進めていきます。公明党も応援しているところなのですけれども。
 この下関で働くことを選んでくれた若者に、奨学金という重荷を背負わせたままでいいのでしょうか。産業振興部の仕事でないというのであれば、どこの部署でも、部局でも構いませんので、若者支援として拡充を強く要望させていただきたいと思います。
 公明党市議団の控室のホワイトボードには、恵良会長の発案で、目指す10年後の下関の姿と書いてあります。私は、10年後の下関、若い人を応援するまち下関を目指して、若者がどんどん集まってきて、人生経験豊かな高齢者と若い人が和やかに交流し、支え合う下関、そんな下関をイメージしております。
 どうか、実現するために、私もしっかりと議員として働かせていただこうと思っておりますけれども、執行部の皆様は、10年後の下関、どのようにイメージされていらっしゃるでしょうか。どうか、それを実現するために力を合わせて進めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上で、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○副議長(安岡克昌君)
 以上で、本日予定された一般質問は終了いたしました。本日は、これにて散会いたします。
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