録画中継

第2回定例会
6月19日(水) 本会議(一般質問1日目)
公明党市議団
河野 淳一 議員
1.住み続けたい下関市を目指した住環境整備について
【下関市議会 本会議確定版】

○議長(香川昌則君)
 2番、河野淳一議員。(拍手)
  [河野淳一君登壇]
○河野淳一君
 公明党市議団の河野でございます。それでは、通告に従いまして質問をさせていただければと思います。
 今回、住み続けたい下関を目指した住環境整備ということでちょっと大きなテーマになりますけれど、私の思い等、執行部に対して質問をさせていただければと思います。少子高齢化、人口減少が同時進行する中に当たって、ライフステージに応じた多様で豊かな人生を実現できる社会、一人一人が輝き、活躍できる社会の実現が求められています。高齢者世代が住み慣れたコミュニティーの中で安心して暮らせる、また、子育て世代が仕事と家庭を両立しながら、安心して生活できる、また、若者世代が住まいへの不安なく成長していける、この安全安心な住宅や住環境の整備は、多様な世代が生き生きと安心して住み続けられる受皿として、その重要な役割を増してきているものと思います。
 近代建築の3大巨匠であるスイスの建築家ル・コルビュジエの、「家は生活の宝石箱でなくてはならない」という言葉が示すように、住宅は健康や幸福感をも左右する、生活の質そのものであると考えます。その上で、現在も大きな課題となっている周辺の生活環境に悪影響を及ぼすおそれのある空き家への対策について、まず質問させていただきたいと思います。
 それではまず、本市の空家等対策計画の策定経緯についてお示しをお願いいたします。
○建設部長(伊南一也君)
 空家等対策計画の策定経緯でございますが、全国的な空き家の増加とその対策が課題となったことを背景に、平成27年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」、いわゆる空家法が国において施行されました。本市におきましても、こうした現状を踏まえまして、空き家対策を総合的かつ計画的に実施するために、平成28年に「下関市空家等対策計画」を策定したところでございます。現在は、令和3年に改定いたしました2期目の下関市空家等対策計画に基づきまして、空き家対策を実施しているところでございます。
○河野淳一君
 国の法整備並びに本市における空き家率の上昇ということで、この計画を策定されたものと思われます。特に空き家率も18.5%以上になっておりますので、この空き家の率もこの本市においてはかなり割合を占めてきているものと思います。
 それでは、今御説明あったこの空家等対策計画を実施していく上で、現在行っている施策をお示しください。
○建設部長(伊南一也君)
 現在実施している空き家施策といたしましては、空き家問題の解決や、空き家の発生予防を目的とした説明会の開催、YouTube動画を通じた情報発信などに取り組むとともに、管理業者に空き家の外観調査や内部換気を委託する費用の一部を補助する、空き家管理・流通促進支援事業、また、危険な空き家の解体に要する費用の一部を補助する危険家屋除却推進事業、空き家の所有者と利用希望者とのマッチングを図る空き家バンク制度、空き家のDIYの普及や人材育成に取り組む団体の活動を支援する空き家DIYリフォーム人材育成補助事業など、様々な支援策を進めているところでございます。
○河野淳一君
 多面的に対応していることが今のでお分かりになったと思います。本当にYouTubeの動画で、建設部さんのほうで、空き家の市民への周知ということで、YouTubeも活用されて周知されているということでお聞きしております。大変前向きな、また、市民の方にとって分かりやすい施策だと思っております。それでは、この計画の目標指標があると思いますが、目標設定時の考え方とこの目標値に対する現在の評価をお示しください。
○建設部長(伊南一也君)
 下関市空家等対策計画におきましては、2つの目標指標を定めております。1つ目は管理不適切空家等解決率で、空き家の適切な管理の促進に関する施策の効果を検証するもので、令和6年度の目標値を50%以上としております。
 2つ目は、腐朽・破損無し空き家率で、空き家の活用の促進に関する施策の効果を検証するもので、令和6年度の目標値を56.5%以上としております。
 1つ目の管理不適切空家等解決率につきましては、令和5年度末で約40%となっておりまして、2つ目の腐朽・破損無し空き家率につきましては、現時点では把握できておらず、今後の調査により検証してまいりたいと考えております。
 こうした目標に対する評価でございますが、年々空き家の数が増えている中で解決することが難しい空き家の割合が増加していることから、目標達成には至っていない状況でございますが、新たな施策に取り組むなど、今後も引き続き、より効果的な空き家対策に努めてまいりたいと考えております。
○河野淳一君
 タブレットを御覧いただきたいと思います。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○河野淳一君
 こちらは下関市の今の御説明あった、空家等対策計画の中の管理不適切空家の平成25年度から令和元年度までの推移でございます。この下から2段目の解決率というのが、先ほど部長から御答弁あったように、令和6年度で50%以上という目標値ということでございます。この目標を立てたときは50%以上で、令和元年度が42.9%ということで、年々少しずつ増加するという見込みで50%という目標を立てたということでお聞きしておりますが、現在もまだ40%程度ということです。これが既に頭打ちになっているという状況でございます。
 部長から答弁があったように、また新しい施策等をしっかり実行しながら、この解決率を上げていっていただきたいと思うわけでございます。
 それでは、次の質問に移ります。同じくタブレットを御覧ください。こちらも本市の空家等対策計画に示されている図でございます。周辺の生活環境に悪影響を及ぼしている空き家として、ここにありますように特定空家、それと管理不適切空家、このDとCでございます。このように区分がされております。またここには示されていないのですが、昨年、国の空家対策特別措置法が改正されまして、新たに管理不全空家ということで、国のほうで定義・認定されております。似たような言葉で、私も分かりにくいなと思っているのですけれど、この特定空家、また管理不適切空家、そして国が定めているこの管理不全空家につきましてこの定義と取組と対策についてお示し願えればと思います。この表図を出しておりますので、これを使って説明してもらっても結構でございますので、よろしくお願いいたします。
○建設部長(伊南一也君)
 まず、空き家の定義でございますけれど、管理不適切空家等につきましては、本市の下関市空家等対策の推進に関する条例におきまして、「周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理が実施されておらず、周辺の生活環境に悪影響を及ぼす空家等」と定義しております。
 次に、特定空家等につきましては、空家法におきまして、「そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態、その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空き家等」と定義されております。
 また管理不全空家等につきましては、空家法におきまして「空家等が適切な管理が行われていないことにより、そのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある状態にある空き家等」と定義されております。
 これらの空き家につきましてその状態や状況に応じた取組と対策についてでございますが、市民の方から情報提供がありました空き家につきまして、まずは外観調査を行って、管理不適切空家等と判断した場合には、所有者を調査した上で助言等を行っております。
 さらに、管理不全空家等、あるいは、特定空家等に該当すると認めた場合には、空家法に基づきまして、助言、指導、勧告といった法的措置を実施することになります。こうした空き家につきましては、所有者に対して、粘り強く対応を求めるとともに、所有者の置かれている状況や、空き家の状態に応じて利用できる補助制度を幅広く整備し、空き家の適正な管理の推進に努めているところでございます。
○河野淳一君
 丁寧に御説明いただきましてありがとうございました。特に特定空家についてはもう法的措置、また対応を打っていくということで決まっていますけれど、この管理不適切空家等、本市においては市民の方から情報提供があった場合、現地に確認しに行っていただいて、それが管理不適切空家として認定されればどんどんストックがたまっていくということであると思います。
 後でも説明しますけれど、枝がちょっとこう敷地外から出て隣の家にかかっている、道路にかかっている等も含めて、軽微なやつもこの管理不適切空家に入るということでございます。管理不全空き家ということで国の特定された言葉もありましたけれど、本市におきましてはこの管理不適切空家ということでかなり大きな範囲で、よく市民から情報提供があれば、もう管理不適切空家として大きく捉えて対策をいろいろ練って、対策をしているということで理解ができました。
 それでは、様々な対策が必要なこの空き家に対する対策を実施する上での課題をお示しいただければと思います。
○建設部長(伊南一也君)
 空き家対策を進めていく上での課題でございますが、まず、空き家は個人の財産でございますので、原則として行政では対処が難しいものであるということ、さらに、相続登記がなされていない場合は所有者を把握することが困難となること、また、所有者を把握した場合でも、その所有者の経済的な理由などにより適切な管理がなされないこと、このようなことが空き家対策を進めていく上での課題と考えております。
○河野淳一君
 先ほど管理不適切空家の解決率が40%で、もう頭打ちになっているということでありましたが、その1つの大きな要因として、所有者不明、要は、所有者が特定できない、この不明空き家が増加していることが考えられます。
 空き家の管理責任は先ほど御答弁ありましたように、その空き家の所有者にあるため、所有者が不明な空き家については、不適切なこの管理状態が改善されないということになります。家屋倒壊や外壁の落下などについては、特定空家として対応が明確にあるわけですが、隣の敷地や道路などへ枝のはみ出し等による、この周囲の建物を傷つけたり、歩行者の通行を妨げるなどの相談も、簡易な影響があるものも、我々も議員として相談を多く受けている状況です。これについても先ほど言いましたように個人の財産ということで、第三者が手出しできないという状況でございますが、なかなかそうは言っても隣の家にも竹なんかが、もう風が強いときなんか隣の家にもう瓦とか、雨どいとか、こういうところに当たって、家が破損する状況も、ケースも数多く相談を受けているところでございますが、こういうような、個人の財産ということは理解しているのですが、緊急な対策が必要な空き家について、市のほうで幾らかの安全措置等が今後できないか、お考えをお示し願いたいと思います。
○建設部長(伊南一也君)
 今御指摘のありました空き家の緊急的な対策としての安全措置でございますけれども、これにつきましては空家法に規定がございませんので、各自治体が独自に条例を制定する必要がございます。本市の緊急的な安全措置の条例化につきましては、市民の生命、身体、財産に危害が及ぶことを避けるために必要最低限の措置を行うことを主眼に検討してまいりたいと考えております。
○河野淳一君
 それでは、ちょっとタブレットも見ていただきまして。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○河野淳一君
 軽微な状態というところ、これ空き家なのですけれど、写っている車は私の車なのですが、道路側にちょっと枝葉が伸びている状態。もう1枚は、これ右側が空き家です。左側が今住んでいる方がいらっしゃるのですが、右側の家から木がもう家の中から伸びて、ちょっと拡大したら分かると思いますが、蔦が、この隣の家までこう接近しているというか、もう隣の家に入りそうな状態でございます。
 これよりかなりひどい状況というのは多々あると思うのですが、このようなちょっと軽微なやつも、やはり住んでいる方にとっては非常に不安になりますし、何とか対処したいと。そうは言いながら、個人の財産なので手が出せないと、これ板挟みになっているわけですよね。
 先ほど御答弁あったこの緊急の対策――空き家へのこの安全措置ですね、これを何とか本市でも条例化していただいて、何とか対応ができるようにしていただきたいと思うところでございますが、この安全措置を条例化する場合の課題がもしあればお示し願いたいと思います。
○建設部長(伊南一也君)
 安全措置を条例化する場合の課題でございますが、空き家対策の基本的な考え方といたしまして、下関市空家等対策計画におきましては、第一義的には空き家等の所有者が自らの責任により的確に対応することとしております。
 このことから、安全措置の条例化に当たりましては、空き家所有者自らで措置する人との公平性にも配慮しつつ、市民の生命、身体または財産に危害が及ぶことを避けるために行う必要最低限の措置を、どのような基準で実施するのか検討していく必要があると考えております。
 また、市が対応することにより、放置すれば行政が対応してくれるといったモラルハザードを起こさないような対策が必要であると考えております。
○河野淳一君
 ぜひ御検討願いたいと思います。実態として、今写真を撮っているのは、何で撮っているのかというと、近隣の方と協力して、いろいろ市にも御相談して調べてもらったけれど、要は所有者が分からない、また対応ができないというようなこういう案件、これもそうですけれど。地域住民の方が協力してこの悪影響を及ぼしている状況を写真に撮っていただいているのです。私も撮っているのですけど。
 この状態を、要は記録というか写真に撮って記録しておいて、最低限の、ここで言えば伐採とか、枝切りをさせていただいているという実態もございます。法律的にはなかなか、難しい判断だと思いますけれど、例えばもしこの土地の方から訴えられるということはないとは思うのですが、何らか声が出てきたときに、このような形であなたの物件というか家、また空き家が、樹木も含めて、周りに悪影響を与えているという証拠をしっかり残しながら対応しているというのが実態としてあります。
 そういう意味で市民の方がある意味リスクを負って、そのような対策をしている、またせざるを得ない状況というのが、この法のはざまであるのかなと私自身考えております。市民の方がそれだけリスクを負っているということもしっかり御検討の中に入れていただいて、市で条例化していただいて、ある程度措置ができるような形で進めていっていただきたいと思いますので、これ要望として上げさせていただきます。よろしくお願いをいたします。
 それでは、続きまして次の質問ですけれど、空き家対策のこの計画の中に、重点対象地区という定義と対応がございます。ちなみに重点対象地区として2つです。中心市街地の斜面地周辺地域と、建物が密集し狭隘道路が多い地区とこの2つの地域がこの重点対象地区として定義されているのですが、この2つの地区の定義とこのエリアについてもお示しください。
○建設部長(伊南一也君)
 重点対象地区につきましては今御指摘がありましたとおり、「中心市街地斜面地周辺地区」と、「建物が密集し狭隘道路が多い地区」の2つ地区がございます。
 まず、中心市街地斜面地周辺の重点対象地区につきましては、防災性を高める必要性並びに地理的優位性を生かし、建物の更新及び流通を図る必要性から重点対象地区としております。このエリアは、中心市街地周辺の竹崎町や長崎新町などの斜面市街地と唐戸町周辺でございます。
 次に、建物が密集し狭隘道路が多い重点地区につきましては、漁港周辺の集落や古くからの市街地のように建物が密集し、狭隘道路が多い地区でございます。エリアといたしましては、市内に点在しておりますので、具体的な区域境は設定しておりませんが、これらの区域は、建物の建て替えや解体が進まず、空き家が増加していることから、その特徴に焦点を当てた重点対策が必要と考えておりまして、こうした特徴を持つエリアについて重点対象地区としております。
○河野淳一君
 後ほど土地区画整理事業については説明いただきますが、今タブレットをちょっと御覧いただけたらと思います。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○河野淳一君
 これも本市の空家等対策計画に記載されています、今御答弁があった建物が密集し狭隘道路が多い地区のイメージということでこのように写真が載っています。
 皆さんも分かると思いますが、こういうエリアというのは本市にたくさんありますよね。私も赤岸通りの近くに以前住んでいましたけれど、ちょっと裏通りに入れば、もう車が1台ぎりぎり入るかどうか。まあ車も入らない地区というのは、この本市また中心市街地においてはかなりエリアとしては大きく占めるものではないかなと考えております。
 その中で、この重点対象地区の空き家対策、道路がないようなところの空き家対策を1件、例えば建て替えしましたということによって点で対策しても、これ結局、道路に面していない、駐車場がイコールない、要は生活環境として悪いということになれば、新しく住む方もなかなかいないのではないかなと思っております。
 空き家対策を進める中で、先ほど解決率も40%程度ということでありましたとおり、所有者不明の空き家も増えている状況の中、対応も難しいのかとは思いますが、この重点対策地区の、こういうような場所の空き家対策を効果的に行うためには、今本市でも実施の検討をしています土地区画整理事業等で、もう1件1件を対応するのではなくて、面的な対策が必要と考えますが、市のお考えをお示しいただきたいと思います。
○都市整備部長(山上直人君)
 重点対象地区において土地区画整理事業を行った場合、密集した建物が整理されることで、地域一帯に点在する空き家が解消され、防災性も向上し、宅地等の価値が高まる、そういうことが想定されます。
 したがいまして重点対象地区のまちの更新や空き家対策として、土地区画整理事業のような面的対策は有効と考えております。
 一方で、事業を進めるには、地域の住民の皆様の御理解、御協力はもちろんのこと、重点対象地区は狭隘で、勾配が急な道路が多いことから、道路や宅地を整備すると、のり面や擁壁がたくさん生じます。
 また、建物の解体費も割高となることから、事業の採算性の面で課題があると認識しております。
○河野淳一君
 特に最後のこの事業の採算性というところは重要になってくると思います。要は民間ではできないスキームなのだと僕は思います。やはり行政がある程度、そこに未来への投資ということで予算をつけて、この土地区画整理事業というのをやって、その土地を生かしていくという考え方がどうしても大きく必要になってくるのではないかなと考えます。
 それでは、この土地区画整理事業の現状についてお伺いしたいと思うのですが、この土地区画整理事業の概要と課題――課題は先ほど少し述べていただきましたが、この事業スキーム及び本市のこの直近の土地区画整備の実績についてお示し願いたいと思います。
○都市整備部長(山上直人君)
 土地区画整理事業は、道路などの公共施設を整備・改善し、併せて土地の区画を整え宅地等の利用の増進を図る事業です。道路が狭く、土地が複雑に入り組んだ市街地では有効な手法です。
 一方課題として、対象地の権利者が多い場合や、所有者不明の土地が存在する場合、土地の地権者等との交渉が長引きまして、また、大規模な事業となることから、一般的に事業の検討開始から完了までに長い時間を要します。
 事業の流れとしては、まず対象地において、まちづくりの構想や方向性を定めた事業計画を立案し、事業採算性の検討及び地権者の調査などを行います。
 併せて地権者等との十分な合意形成を図りまして、都市計画決定を経て事業対象区域を確定し、事業化へと進みます。
 本市の直近の実績である川中土地区画整理事業は、事業エリア約8ヘクタール、総事業費は約120億円となっており、調査開始から平成12年3月の事業認可を経て完了まで約20年を要しております。
○河野淳一君
 タブレットを御覧いただければと思います。
  〔説明資料を議場内ディスプレーに表示〕
○河野淳一君
 これは国土交通省のホームページから、用地買収方式と土地区画整理事業の比較ということで簡単な図でございます。上が土地区画整理事業で下が用地買収方式ということで2つの方式が、図で表されております。
 上の土地区画整理事業のメリットですけど、今部長に御答弁いただいたように、権利者が多くてもおおむね同じ位置に戻れる。土地区画整理事業であれば、元の土地に戻れる。また、全部の宅地がこの道路に面するようになります。また、宅地の形が整形化される。また、土地の権利移動には税金がかからないというふうにメリットも大きいものであると思います。
 またデメリットとしては、この道路で、用地は権利者全員が負担することになっております。減歩ということです。またこの中で、先ほどありました反対者――土地区画整理事業に反対される方が1人でもいらっしゃると、この事業が進まなくなると、要は交渉等長期化するということでございます。
 私の考えとしては、ぜひこの土地区画整理事業をしっかり拡充してやっていただきたいと思うわけでございますが、その中で、以前やられた川中の土地区画整理事業に20年かかったということでございます。これすごく期間がかかるんだなという認識でございますが、それでは次の質問ですけど、現在市が取り組んでいらっしゃいます日和山公園周辺地区市街地整備事業、また入江町周辺地区土地区画整理事業検討業務ということで、同じ土地区画整理の事業、2つ今並行して進んでいると思いますが、これの事業の現状についてお示し願いたいと思います。
○都市整備部長(山上直人君)
 現在、市が取り組んでいる土地区画整理に関する事業として、今議員がおっしゃられたとおり、日和山周辺地区、それから、入江町周辺地区で実施をしております。どちらも事業化前の調査段階でございます。
 両地区は、下関駅から唐戸の中間に位置しまして、周囲には国道9号や、竹崎園田線が通るなど、都市拠点のアクセスがよく、海峡が感じられる閑静な住宅街です。
 一方で、狭隘な道路や老朽建築物が多く存在するなど、町並みの更新に向けて解決すべき課題のある地区と認識しております。
 日和山公園周辺地区では、平成30年より検討に着手をしまして、これまで道路整備による住環境の改善と日和山公園周辺における土地区画整理の検討や調査を行い、地元協議を進めてきたところです。
 入江町周辺地区では、令和3年度より検討に着手しまして、都市計画道路三百目本町線の整備を軸として、旧大江小学校跡地を活用した土地区画整理の検討や調査を行い、昨年度より地元協議を進めてきたところです。
 今年度も説明会や個別協議を行い事業化に向けて合意形成を進めてまいります。
○河野淳一君
 2つの事業、着実に一歩ずつ進んでいるのですが、まだ現実調査ですよね。調査協議の段階、実際事業がまだスタートできていないという状況でございます。
 先ほどデメリットの部分で話しましたが、土地区画整理事業はかなり長期間を要するということで理解できました。
 本市でこの住宅敷地が狭小であることに加え建築基準法上の道路に接道していない、また再建築不能な敷地というのは数多くあると思います。空き家の解体後の跡地の活用が、これは単独で、1件だけでは活用が見込まれづらく、また解体費用も、車両等重機が入らないため、1件だけの工事では高額となる傾向にあります。
 これにより建物の建て替えや解体が進まず、腐朽・破損した空き家が増加し、災害時の危険性が高まることを考えると、現在、土地整理事業の調査を実施している日和山周辺地区、また入江町周辺地区以外でも、これは土地区画整理事業による面的な整備が私は今後必要になってくるのではないかなと思っております。
 それではお尋ねいたします。本市では建物が密集し狭隘道路が多い地区は多くあるものと認識しておりますが、この土地区画整理事業の対象を拡大して計画的に事業を進める必要があるものと考えますがお考えをお示しください。
○都市整備部長(山上直人君)
 狭隘な道路や老朽建築物が多く存在する中心市街地などにおきましては、住環境を改善し、良好な市街地を形成するためには、土地区画整理事業というのは有効な手法であると考えております。
 一方で先ほども申し上げましたとおり、事業規模も大きく、事業の検討開始から完了まで長い時間を要することから、新規の着手には慎重な検討が必要であると考えております。
 現行の事業の進捗、それから土地区画整理事業と相乗効果の高い都市計画道路などの計画、それから民間開発の動向などを的確に捉えまして、経済効果なども総合的に勘案して、事業の対象エリアについて、検討してまいりたいと考えております。
○河野淳一君
 おっしゃることは理解しました。理解はしましたが、この区画整理事業、長期間かかるのですよね。スタートしてからですね。今後、要は、空き家の相続人というのは、後になればなるほど複雑化していくと思います。そういう傾向が見られます。つまりこの土地区画整理事業に事業着手、調査に入ろうとしても、そのときにこの所有者が分からない、また、所有者と連絡が取れない、また法的になかなか対処できないということで、この区画整理事業が前になかなか進まないことも私は懸念しているところでございます。
 何度も申しますが、未来への投資として今調査だけでもやっていただければ、事業にできるかどうかはまたその調査を基に検討していただければと思うのですが、この未来への住宅政策の投資として、この土地区画整理事業の必要性の検討、また、実施に向けたこの土地建物の権利調査の対象拡大、これは早期にやっていただきたいと思いますし、様々御検討いただきたいということで、ここは要望させていただきますのでよろしくお願いをいたします。
 それでは最後の質問ですが、この土地区画整理事業をスピーディーに、また円滑に進めていく上で、この民間活力の活用というのも、手法としてあるのかなと思うのですが、この民間活力の活用手法があればお示し願いたいと思います。
○都市整備部長(山上直人君)
 土地区画整理事業の進捗を図るための民間活力の活用手法についてお答えします。
 まず、土地区画整理事業の経験のあるまちづくりコーディネーターなどを活用することで、地元との調整を円滑に進め、事業認可までの手続を早められる可能性がございます。
 また、事業予定地への民間商業施設の誘導や、市街地再開発事業との一体施行などにより、エリアの価値や利便性が向上することで、土地の利活用が促進され、移転補償や工事が大幅に進展するということが考えられます。
○河野淳一君
 いろいろな活用手法があると思います。しっかりそれも視野に入れながら、事業の推進、また、事業の進捗を目指していただきたいなと思いますのでお願いいたします。
 それでは最後に、この土地区画整理事業における、民間の土地利活用の事例があればお示し願いたいと思います。
○都市整備部長(山上直人君)
 本市直近の事業である川中土地区画整理事業を事例としてお答えします。
 本事業は新下関駅から国道191号までの東西をつなぐ幹線道路の整備、これを軸に既成市街地を再構築し、住環境の改善を図る、それを目的に実施された事業でございます。
 平成12年に事業が認可されまして、幹線道路、区画道路、宅地造成の工事が完了したのが平成26年、それまでの間に、幹線道路沿いに大型商業施設が進出をしまして、それが契機となり、民間投資が誘発され、沿道の土地利用がさらに進捗いたしました。
 このような事例も踏まえ、民間活力を生かしつつ土地区画整理事業という手法を有効に活用し、住みやすく、住み続けたくなるまちづくりに向けて取り組んでまいります。
○河野淳一君
 ぜひ研究していただいて、前に進めるよう施策をお願いしたいと思います。
 最後でございますが、質問ではございません。最後に、ちょっと意見だけ述べたいと思います。「街の住みここちランキング2023」で山口県ではこの下関が県内では3位に選ばれました。「住みたい街ランキング」では4位と、「住みたい田舎ベストランキング」で全国で総合部門第3位にも選ばれております。
 この下関市の注目度、住むということで、本市の注目度が高まっているものと考えられます。なぜ空き家対策が必要か、また住環境整備が必要かと考えるのは、やはり築30年以上経過したこの住宅というのは、新しい住宅であれば高齢者のためのバリアフリーとかあると思います。これがまだ築30年以上だともう未整備であります。また共働き世帯、また子育て世帯の方についてはやはり駐車場がない。また、子供部屋が確保できないということで、多様な世代が生き生きと暮らし続けられる住宅、及びこの住環境整備というのが、対策することで本市の人口減少対策の一つの大きな対策として有効と私は考えております。
 その上でしっかりこの土地区画整理事業の早期調査を求めるとともに、また先ほどランキングの3位、4位ということで、下関が選ばれているということで述べましたが、やはり第1位になりたいですよね。第1位に選ばれるための施策の一つとしてこの住環境整備、雇用も大事ですけれど、両輪だと思います。住環境の整備、これが、未来への投資であると私は考えます。この拡充について、しっかり御検討いただきますよう要望して質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
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